『モーリス』(E.M.フォースター/光文社古典新訳文庫)

*ネタバレしてます。


『モーリス』(E.M.フォースター/光文社古典新訳文庫)


 モーリスは父を早くに亡くしたものの、母、妹たちと穏やかに暮らしていた。パブリック・スクールへの進学。その後は仕事につく。教養ある紳士として家族の中心となるべく学びに行った。ラグビーも楽しんだ。
 クライヴ・ダラムという一つ上の学生との出会いが、モーリスの心に押し込めていた感情を目覚めさせた。ギリシア的な愛。互いを高めあう精神的なつながり。議論を戦わせ、あるいはただぼんやりと一緒にいる。
 幸せな学生生活が終わると、やがてクライヴは地主として、政界入りを目指して、そして女性を愛するようになり、結婚する。
 モーリスをもう愛していない。
 一人苦しみの中に残されたモーリスが新たに出会ったのは、森番のスカダーだった。


 映画はずいぶん前に見て勿論大好きですが、本を読むのは初めて。去年の6月刊行。その時買ったまま積読でした。やっと読んでみた。読み始めると、すごく読みやすくわかりやすくて、ときめく。さすが新訳。

 書かれたのは1913年ごろのようで、その後改稿はしつつ、出版はなされなかった。イギリスの同性愛は罪、の厳しさの中ではとてもそんなことは出来ないということだったらしい。作者の死後、1971に出版されたそう。そんなこんなの、作者自身のはしがきがあったり、解説も丁寧で背景わかりやすくて面白かった。

 モーリスが、魅力的な、だけどちょっと素朴で自分の気持ちにさえ気が付くことがなかなかできない、そんな戸惑いや苦悩の様が映画よりもよくわかって、本を読んでみてよかったなあ。
 クライヴのほうは、映画の印象よりだいぶ酷い気がする。同性愛者ではなかった、ってことかなあ。青年期だけの思いだった、ってことで、結婚とかモーリスと別れるとか、別にあんまり悩んでない。モーリス可哀相……。
 モーリスもまた、年を重ねれば同性愛傾向が消えるのでは? と希望を持ってみたり、それでも治らない、と、医者に相談したり、でも全然あてにならなかったり、催眠術で治療を試みるとか、滑稽なほど悲しい。同性愛は罪。同性愛は汚らわしい。ありえない。異常な病気だ。そんな背景が辛い。

 森番、アレックス・スカダーと会って、多分お互い一夜だけの勢い、だけど、忘れられなくて、でも会えない、怖い。そんなすれ違いから、スカダーのほうはモーリスを脅迫するような追い詰め方をしようとしたりして。辛い。でも、本当は互いの気持ちは一つなんだ、という、ハッピーエンドになるのは素晴らしい。同性愛は罪。そもそも階級が違う、みたいな、当時の社会を超えて、愛の物語として終わる。

 今は、同性愛者がいることは当たり前で、もう罪ではない。結婚だってある。それでも、差別も偏見もまだまだあるだろう。けれど、ハッピーエンドが、ありだ、という世界のさきがけとして、『モーリス』はあったんだなあ。

 また映画見よう。切なく。けれど、ハッピーエンドな世界を。

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『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)

*ネタバレしてます。

『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)


 ぬばたまおろち、しらたまおろち のシリーズ3作目。

 ディアーヌ学園は夏至祭の準備で大忙し。生徒会の副会長になってしまった綾乃は会長のマロさんたち一同と準備に追われている。それが終われば試験。それが終われば夏休み!
 夏至祭の夜、ミフミフこと三船先生を訪ねてきた人がいた。子供のころ英国へ渡った妹、妃早子・ミラー。一ふさ赤い髪が印象的なその人も魔女だ。

 群馬にある五郎丸湖に、謎の生物の噂があった。ネッシーのようなそれはゴッシーと呼ばれる。昔、綾乃を狙った首長竜とは違うはず。だが、その竜をめぐって過激な生き物保護団体と、もともとの所有者から依頼を受けた小人のミハイルさんが対立することになり。五郎丸湖の近くに別荘を持つマロさんの所へ遊びにいった綾乃たちも巻き込まれていく。

 今度は英国からきた魔女!? ってなわけで、綾乃ちゃんたちの学園生活と、ドラゴンと、過去の因縁とか生物保護とか、閉じた生態系での先細りの問題とか、またしてもものっすごいいろいろ盛沢山。すごいよなあ。毎回、よくこんなに山盛り要素詰め込んで、でもしっかり話が作り上げられまとまって畳まれるの、やるなあ。

 綾乃ちゃんと雪くんのらぶらぶも深まっちゃって~。って思ってたら、大蛇の姿から戻れないとか、最後には記憶をなくす! だなんて、かなりドラマチックだった。アロウの人格、蛇格? との融合というか混乱というかの不思議。綾乃ちゃんとしては二人相手にラブラブってことでこのままいくのだろうか。それ、双子といっぺんにつきあうみたいなダブルラバーって感じにはならないのか? 体一つだからいいのか? まあ二人と、ってことでもまあ、まあいっか^^ 
 最後の所で、記憶をなくした雪くんに読ませる物語として、「ぬばたまおろち、しらたまおろち」って綾乃ちゃんが書いてみたよ、ってなってて、わ~、と思う。

 これで一区切り? でも英国勢とか敵対しそうな感じ~で、まだまだこれから世界が広がるのかなあって感じ。第一部ここまで、で、また第二部、みたいになっていったりするのかなあ。綾乃ちゃんたちが卒業するまではやる? やるよね? やってほしい。

 ゴッシーを箒代わりに、代わりっていうか、またがれるものなら飛ばせられるのかー魔女すごーい、っていう飛行の旅の力も面白かった。
 けどその前の、豊くんと綾乃ちゃんが誘拐!?っていうのは心臓に悪い;; 子どもをさらうなんて絶対ダメ;; RSPES 英国希少生物保護協会ってゆーの、一部の暴走とかっていっても、も~~~絶対悪い組織って思っちゃう;;

 あ。しかし英国で魔法生物と連想すると、ファンタジックビーストのニュート先生の教科書とか使ってるのでは~。なんて勝手に妄想するのも楽しい。

 いろんな問題がそれなりにうまく収まって。ゴッシーたちも今後幸せに暮らしてくれるといいなあ。綾乃ちゃんとのことを雪くんらは思い出すだろうか。でも思い出さなくてもまた恋するんだろうなあ。しかし大蛇の恋人で婚約者って、つくづくえろいっすね。もえるぜ。
綾乃ちゃん竜に変身しちゃうかも、どうなのかな、今大丈夫なんだからもう大丈夫って思っていいのかなあ。あの首長竜の過去の因縁はもう大丈夫なのかな。心配。とかも楽しみ。
 
 シリーズをリアルタイムに追っかけて読む楽しみを味わっててしあわせだ~。過去作の細部は忘れてるな……と思うけど~。話が進んでから、えっ、って振り返る感じも楽しい。ディアーヌの生徒たちみんなの幸せを願いながら待ってます。

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『償いの雪が降る』(アレン・エスケンス/創元推理文庫)

*ネタバレしてます。


『償いの雪が降る』(アレン・エスケンス/創元推理文庫)


 ジョー・タルバートは大学生。英語の課題で、年長者にインタビューをして、その伝記を書かなくてはならない。あいにくジョーは母子家庭。祖父母はもういない。ろくでもない母の話を聞くなんて考えられない。そして老人ホーム、シニア・センターとかそういう所で、話を聞かせてくれる人を見つけようと考えた。
 そして、知り合ったのは殺人犯。14歳の少女をレイプし殺し死体を放置した小屋に火をつけた罪に問われた男。カール・アイヴァソンというその男は癌で余命数か月となり、刑務所を出て施設で死を待っていた。

 カールが話してくれたのはジョーの心の奥のトラウマ的な告白のあと。ジョーは11歳の頃、祖父と釣りにいった川で、誤って転落した祖父を助けることができず、ただ見ていたことを悔やんでいた。その死は自分のせいだと。
 カールはジョーの真摯さに応えるように、ベトナム戦争での経験を語る。
 話を聞くほどに、カールが犯人ではないという思いを強めていくジョー。

 そんなこんなの、若者の探偵ごっこ、まあ、ごっこってわけでもないのだけれども、カールの無実を信じ、行動していくジョーのピュアさと無謀さにハラハラひきこまれていく。危ないよ~~~ちゃんともっと警察を頼るとか~~してくれ~~。

 ジョーにはジェレミーという弟がいる。自閉症かな。18歳だけどまるで子どもで、環境の変化が嫌いだし独自のこだわりが強い。母はだらしない。その家を出て、大学生としてやっていこうとしているのに、なにかと足をひっぱられるの。ジェレミーのことは好きで大事にしてやりたいけど、重荷にも感じていて、ジェレミーを引き受けることなんてできないと思っている。けど、その思いが変わっていくのもよかったな。感動……。お兄ちゃんだなあ。いいお兄ちゃん。ジェレミーの特性に合わせてうまく話をしたり、カッとなるのを抑えたり。お兄ちゃん、大変だよなあ。それでも弟を守るお兄ちゃん;;ジェレミーもお兄ちゃんが好きなんだよねー。幸せになってくれ。

 ジョーのお隣さんとして、同じ大学生のライラがいる。なんとか彼女の気を引きたいと思っていたところ、ジェレミーとのつながりで、ライラと夕食をするまでにこぎつける。そして英語の課題の話、殺人犯にインタビューの是非についてとか、意見を交わして仲良くなっていく。
 ライラにも辛い過去があった。男の子たちといちゃいちゃするのが好き、というふわふわした日々でいた所、次第にただ簡単にやれる女扱いになり、レイプ被害にあう。そのカウンセリングで一年の休学があったという。
 そういう、傷ついた心を誰もが持っている。

 ちょっとさ、キャラクター作りとか、話の筋道づくりの作者の手つきが見えるような気がするな~。うまくまとまってて、都合よく甘い気が、しないでもない。ストーリー作りのお手本とかキャラの肉付けのポイントとかマメにおさえて書き上げられたのでは。って気がする。素直でわかりやすくて、ドキドキハラハラもあって、ピンチ、脱出、とか、実は最後に頼りになったかっこいい刑事とか、カールの死に間に合うように現在の大事件が過去を明らかに、そして救済、みたいなのも。ほんときれいにまとまってるんだよねえ。

 殺された少女の日記にはシンプルな暗号が記されている。それこそが本当の犯人を示す手がかりなんだけど、カールが捕まった時には暗号は解読されてなくて、カールもむしろ逮捕されることを願っているかのようで、すでに状況証拠は十分ってことで見過ごされてきた。
 しかし、ジェレミーの他愛ないおしゃべりがきっかけで、タイピングに使う例文がキーだ、と気づくと、犯人は義父だとわかる。
 でも本当はその息子、義理の兄だった、と、さらにわかる。おおー、ヤバイ。と、読みながら緊張しちゃった。だからさ、もう~~さっさと警察に行こうよーー。

 ともあれなんとか無事事件終了。カールは大雪のうつくしさを眺めることができて。そして無罪になった知らせを聞くことができて、逝った。
 カールの葬儀の日に、犯人が他にも犯行を重ねていて、別の被害者に懸賞金がかかっていて、ジョーたちは10ドル、さらにもうちょっと、受け取ることができるという。
 ジェレミーを引き取り、学生生活を続けることができる。そんな救いもあった。めでたしめでたし。ドキドキハラハラも、しんみりしみじみも、たっぷり堪能できて、良かったなあ。

 これは作者デビュー作だそうで、いろいろ賞もとってるみたい。本国2014年の作品なんですね。その後、この中のキャラでの話とか、今作の続編とかも書かれているみたい。読んでみたいかも。ルパート刑事の話特に読みたいよー。翻訳されるのかなあ? でもこの続編はきっと翻訳くるよね? わかんないけど、お待ちしたい。出ればまた読みたい。もっと洗練されていってるのか、なんかもっと深くなってるのか。読みたいな。

 

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『三島由紀夫 ふたつの謎』 (大澤真幸/集英社新書)

『三島由紀夫 ふたつの謎』 (大澤真幸/集英社新書)

 

 2018年11月刊。
 なぜ切腹したか? 『豊穣の海』のラストはあれでいいのか? という写真つき帯にもそそられて買ってたの、ようやく読みました。「豊穣の海」好きなんだ。

 

 「三島由紀夫は、哲学的な知性に関しても、また芸術的な感性に関しても、近代日本の精神史の中で最も卓越した創造者の一人である」
 というまえがきに始まる。それでも、三島由紀夫の最期の衝撃があまりにあんまりで、三島をどう評していいのかわからないよね。わからない……という気持ち。10章+終章で、三島の主要な、というか、いくつかの道筋をたどるように、作品の中から三島の最期に至る道を探る一冊。
 正直、私は三島の全作品読み切ってるわけじゃないので、あ、結末まですっかりネタバレ、と思っちゃったりもあったけど、まあ、今更ネタバレがどーのってわけでもないか。最初期の『花さかりの森』、そして『仮面の告白』。『金閣寺』、『鏡子の家』などなどから、豊穣の海の全四巻、丁寧に読み込んで探っていて面白かった。すごい、いろいろ再読したくなる。

 

 答えとしては、えーと。三島には「海」という美のイデアにつながるイメージと、「血、鉄」の破壊のイメージと両輪があって、ええーと、天皇という幻想の彼方のために血を、暴いてみせねばならなかった。みたいな感じか。んー。わかってないか。私が馬鹿ですまない……。


 読んでる時には、ん~んん~なるほど。という気持ちで読んで面白かったのだけれども、でもなんか、著者と私ではやっぱ解釈が違う、ような気がする、と思ったりもして。まあもちろん、私が著者についてく頭がないですし、三島を読んでるのもはるか大昔で、そんな緻密に読んだわけでもないので。やっぱすごく再読したい。自分で読んで自分でもっといろいろ思いたい。私、豊穣の海読んでめっちゃめちゃあのラストの衝撃に参って、やっぱ三島由紀夫好きすぎる、と震えた覚えが。物凄い面白さだったなあ。豊穣の海はああいうラストのはずではなかった、構想ノートの頃とかには、本多にもっと救いがあるような感じだったらしい。


 でも私は今世にある、あの結末、あれを読んで、なんて酷い裏切りっって思ったけどそれはそれですっごいよくって、大好きで震えたんだよなあ。あんまり細かく覚えてないけど。と、この新書読みながら、三島の作品読みたいなあってすごく思った。すごく、そう思わせてくれる、この著者の三島の読みが面白かったので、これ買ってみてよかったな。

 

 ちょうど先日、鎌倉文学館へ薔薇を見に行ったのです。4/20~7/7まで、特別展「三島由紀夫 「豊穣の海」のススメ」というのをやっていて。自分的にはとてもタイムリーだった。この新書読んでる途中だったし。
 展示そのものはこじんまりとしたものだけれども、直筆原稿とかノートを見ることができて嬉しかったし。何より、鎌倉文学館はかつてお屋敷。「春の雪」の中に出てくる舞台、ってことで、あ~ここで~となんとなく嬉しくなりながら見て回ることができるわけです。楽しかった。薔薇もとっても素晴らしく咲き始めている所で美しかったし。満足。いいよねえ三島由紀夫……。

 

 

 目次
 まえがき
 第一章 1970/11/25に結びついた二つの謎
 第二章 仮面の無意識
 第三章 時代錯誤の決起
 第四章 鉄の肉体
 第五章 「吃り」の告白
 第六章 猫を斬ってもなお残るもの
 第七章 美の現れ
 第八章 ニヒリズム研究
 第九章 白鳥に化す天皇
 第十章 不毛の海
 終章  真の<豊穣の海>へ

 

 

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『シスターズ・ブラザーズ』 (パトリック・デウィット/創元推理文庫)

*ネタバレしています。


『シスターズ・ブラザーズ』 (パトリック・デウィット/創元推理文庫)


 舞台は1851年、アメリカ。西海岸へ向かって。
 シスターズ・ブラザーズというタイトル自体がなんか面白いことになってるけど、シスターズというのは苗字ってことで。チャーリー(兄)とイーライ(弟)のシスターズ兄弟が主人公。二人は殺し屋として名をはせていて、提督という男の仕事を請け負っている。
 今回指示されたのは、オレゴンからカリフォルニアまで出張し、ハーマン・カーミット・ウォームという山師を消すこと。
 前回の仕事でしくじりがあって、チャーリーが指揮官ということになり、馬も駄馬しかなくて気乗りしないイーライ。イーライ視点の語りで話は進む。

 兄がキレやすく酒飲みでひどい。が、弟もカッとなると見境なくなってしまう質らしい。
 ゴールドラッシュに沸く中、夢破れてボロボロな人たち、という中、旅していく兄弟。半分くらいは、目的地へ向かう旅で、なんだかたいへんな道のりだなあと思いながら読み進む。私にはちょっとのりきれない感じがして、半分くらいはつまんないなあと思ってた。旅の途中出会う泣いてばかりいる男とか、娼婦とか家族に取り残された男の子とか、なんか、こう、どうなの? 何か深いものを読み取らなくちゃいけないの? 私が読み切れなくてごめん。

 イーライが、タブというちょっととろくさい馬に乗って、そいつにだんだん愛着もってくるのはよかった。私も好きになってくる。けれど、途中で目にけがをして、ダメになった目を抉り出す、その目の穴にアルコールじゃばじゃば注ぐとかいう荒っぽすぎる治療。あげく、タブは崖から落ちて死んじゃう、と。つ、つらい……。けれど、その昔の西部って、そんなもんなのかなあ。生きるのに、動物はもちろん人間にも過酷……。

 マッツの映画「悪党に粛清を」の時にも、西部で生きるのって、あまりにも無秩序つか法なんてあってなきがごとし。力で解決、ガンガン殺されれる、みたいなんだよなー。生き続けるだけで偉業……。

 そして、殺しの標的ウォームは、山師というか科学者みたいなものらしく。水に流せば底に沈む黄金が光輝いて見えるようになるという薬を開発していたのだ。
 ちょっと魔法めいた、西部劇っつーか謎のミステリっつーかファンタジーめいたというか、何その魔法の薬? と思うんだけど、一応、科学って感じ。
 カリフォルニアで先にウォームを見つけて兄弟を案内する係だったモリスという男が、ウォームの口車に乗せられて、提督を裏切ってウォームとともに川へ行き、黄金を手に入れようとしている、とわかる。
 旅の間に、もう殺し屋をやめたくなってしまったイーライは、川で本当に黄金を手に入れている二人を見つけると、一緒に組もう、ってことになる。
 薬品が劇薬で、それを流した水につかったら皮膚がただれてひどいことになり。

 そんなこんなで二人は殺すまでもなく死んじゃうし。ええ~~。あっけない。ウォームの半生のおしゃべりとか面白かった。
 死んだ彼らを生真面目に葬ってやるとか、片手をなくす羽目になるチャーリーが弱気になっていくのも、兄弟の変化が面白かった。
 せっかく手に入れた黄金はインディアンにとられちゃうし。
 途中で隠しておいたカネは火事でなくなっちゃってたし。

 結局、兄弟は母の家へ帰る。イーライが提督をひそかに始末し、殺し屋はやめると決めて。結構お母さんが真面目に優しくて、ほっとした。もう、生きて帰っただけで、すごいよ。

 後半はすごく面白く読んだ。ウォームたちに出会ってからはぐいぐい読めた。だからなんかあっさり死んでしまうことになって残念。というか、ほんと、容赦ないというか、西部劇、過酷……。

 これ、映画になると知って読んでみたのでした。邦題は「ゴールデン・リバー」。映画はだいぶアレンジしてるのかな? そもそも兄と弟が逆になってるみたい。ジェイク・ギレンホールとリズ・アーメットが出てて、リズくんがウォーム役らしく、それはすごくイメージ合うな~と思った。7月に日本公開らしい。すごく見たい。楽しみだ。

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『虚実妖怪百物語 序/破/急』 (京極夏彦/角川文庫)

*ネタバレしてます。


『虚実妖怪百物語 序/破/急』 (京極夏彦/角川文庫)

 去年末に分厚~い、合巻という文庫を買いました。製本の限界を試しているのか……。
 「京極史上最長の超大作が一冊に!」という。タイトル、ついきょじつ、と読んじゃうけど「うそ まこと」とルビあり。序、破、急それぞれの1冊の3巻本もあるね。せっかくだから分厚いのにしましょう京極本だし。と思ったけど読んでる最中には、やはりこれ分冊にすればよかったかな……と思いました。けどまあ、終盤にくると一気読み。この、こ、この、あまりにも、馬鹿が馬鹿で話の腰を折りまくり引き回されるのについていくのがタイヘンだけど本半ばをすぎればこちらも慣れた。

 2016年11月の単行本の文庫化ですね。2018年平成30年12月25日初版。

 「虚構VS現実!」という帯文句があって、読み終わってみればそういう話であった。あまりどういう話か知らず、しかし京極が「不思議とはそういうことだよ」とか榎木津平太郎というキャラがいるんだな? 榎木津?? と、まんまとつられました。

 砂塵の中の遺跡。そこに現れた黒い影。加藤保憲、なのか。

 と、おお? ってそそられて読めば、虚構のキャラクターが、現実に、いる? いるのか?? 現実、どうなってる? メタフィクション? この小説の中に、実在する人物そっくり、というか、モデルというかそのものなのかどうかは私は知らないけれども、まあ、「怪」だとか雑誌の編集者とか作家とか漫画家とか、京極夏彦も荒俣宏も水木しげる大先生も出てくる。獏さんなかなか出ないなと思ったら終盤のほうにでてくる。妖怪好きとかオカルトミステリいろいろ、それぞれ厳密には違うのだ、といいながらどんどんじゃらじゃらみんな出てくる。
 私はこの頃はすっかり日本の小説を読んでいなくて、たぶん若手? たぶん今人気の作家、みたいなのがわからないのだけれども。この作中で大物っぽい人たちのはかなり読んでいる。妖怪馬鹿な人たちの側に自分自身も結構近い。多分、まあまあ、近い。
 延々ぐねぐねどんどん世界が歪んでいくのについていきながら、まあまあ言ってることや出てくる名前、ネタ、が、そこそこにはわかる。でもあんまりわかんない。
 
 そしてなんだか延々と妖怪馬鹿が馬鹿の力で馬鹿ばっかりやってるみたいな、馬鹿、馬鹿がしつこいぞ……って思いながら読むのだけれども、かなりリアルというかシリアスというか、現代日本を憂いている社会派小説だなあって思う。

 世の中にあそび、余裕がどんどんなくなって、だれもかれもがギスギスとして疑心暗鬼を抱いている。妖怪が湧いてくるのは、失われた余裕を求めるあがき、みたいな感じ。

 余裕、大事だよねえ。正論やふりかざす正義ばっかりになるとむしろ世界が滅ぶ。
 その感じはとてもわかる。
 妖怪馬鹿、というゆるみで息をしやすくなるといいのにな~という感じ。

 そして最後まで読み切った時には、ああ、水木しげる大先生が、妖怪の世界へ行ったという、そういう始末がさりげなく、でも巨大な愛を感じられて、不覚にもほろりとしてしまった。妖怪絵巻の中に納まる水木しげる。誰もが納得してしまうじゃないか。
 水木しげる2015年11月没、なんですねえ。

 で、まあ、読み終わった時にはすごくほっとした。よくもこんなぐったぐたに広げまくってかき乱した風呂敷をまとめてたたんで一段落つけたなあ~。さすがすぎる。こわい。と、感心しまくり。
 すべては虚構なのだ。
 虚構VS現実、と、そう思いながら読んだよ。けれど、現実もなにも、私はこの本を読んでいるんだもの。と、読み終わって分厚い分厚い文庫本を持ってめくって眺めて、ああ面白かったなと思い。けれども社会派だったなと思い。
 しかし榎木津の名前でつるのはずるいなあ。

 正直いって、私は、こういう、なんだろう、私が最初見たのはミステリかな、『ウロボロスの偽書』か、竹元健治の。作家が実名で出てきて、みたいなのを読んだことがあって、そーゆーノリっつーかどうにも内輪ネタとしか、いやちゃんと小説で面白いのかもしれないんだけれども、私には、なんか、無理、な、ノリ、と思ったりしてたのを思い出した。なまじ中途半端に実名で出てくる人物を実在の人、って思っちゃうのが、自分の中でうまく収められなくて、私にはなんかヤダという気持ちになっちゃうんだなー。別に登場人物ってことで実名だか実在だか気にしなければいいと思うんだけど。そもそも実名ってわかる人物にしたって本当に実際の人として知り合いとかいうわけじゃなのなー。作家の本読んだりインタビューだとかなんとかで知ってる気になってたとしても、知らないんだし。
 でもなんか、そういうのに私がついていけないのだった。あと下品なのな~。
 久しぶりになんかこういうの読んだなあという感慨。ともかくもこの分厚いの読みましたよということで、満足はしました。読み終えた時の気持ちは、よかったです。

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『風のあこがれ』 (大谷真紀子/北冬舎)

 『風のあこがれ』 (大谷真紀子/北冬舎)


 2018年5月刊。第三歌集だそうです。
 2001年から2017年までという長い期間にわたる歌を477首収めたもの。家族の歌やあちこちへの旅行詠のような歌など、折々の変化を思う。時に挽歌も。歌ですべてがわかるものではないが、その背後に広がる深い思いを十分に感じることができて、自然に歌に、作者に、寄り添う気持ちになりながら読んだ。長く歌を続けるというのはこういうことなんだなと思う。単なる思い出話より優しく深く情景が一行に結晶しているようだった。私はあんまりちゃんと読んで受け取れない読者だと思うけど、あたたかい一冊を手にした気がする。


 いくつか、好きな歌。


  ありったけの力をこめてようやくにこじ開けにけり魔女の抽斗 (p24)

 なんだか固くなっちゃって開けられない抽斗だったんだなあ。それを魔女の抽斗、と表現しているのが面白くて印象に残る。そこにはどんな秘密がしまわれているんだろうか。抽斗がなかなか開けられなかったよ、ということが別世界へ通じるような出来事になる感覚が素敵です。


  この国を出でしことなき私にフランスの香りふり撒きに来よ (p37)

 近藤芳美のこと? 違うかな。遠く憧れの存在、というものがすごく素敵に華やかにあって、あ~なんだかそういう感じ!っていうのがすごくわかる気がする。ちょっとした鬱屈と、でもすなおな憧れの気持ち。フランスって響きはやっぱりいつも夢みたいな感じがするよなあ。


  家猫に留守居をさせてふらふらと梅雨の晴れ間を何処ともなし (p96)

 「夢見る猫」というタイトルがあり。猫かわいいよね猫。猫を飼っていて、猫に留守番をさせて、といっても猫は人間がいないならいないで、ただ気ままに寝たり遊んだりしてるだけだろうなと思うんだけど。梅雨の晴れ間、気持ちよくってあてのないお散歩をして。うちには猫がいる。最高だな~!


  古椅子に言葉のように置かれいし綿毛タンポポ恥ずかしげなり (p114)

 言葉のように、と例えているのが素敵だ。綿毛のたんぽぽを古い椅子にそっと置いた人がいるんだな。置いた人も見つけた作者もちょっとふふって微笑んでる感じがして読んだ私もふふってなりました。


  向日葵のぱんと咲きたる笑い声ふとく捩じれて天にも届け (p130)

 ぱん!って咲いてるという鮮やかさが夏の空の色、向日葵の黄色とくっきり見えてくるような歌で印象的。強くてさわやかな歌でいいなあと思った。


  カップ持つしばしをちょいと一字あけ のような倉敷天領の町 (p159)

 カップっていうのはコーヒーカップマグカップのようなことでしょうか。この歌の調子だとお酒、って思うのは私が酒好きだからでしょうか。ともあれ、ちょっと一息、が「一字あけ」って感じなの、わかる~と思います。「倉敷天領の町」というきっぱりした結句で、倉敷、いいところだろうなあって思えます。
 確かな重みのある歌集読めて面白かった^^


  

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『炎の色』 (ピエール・ルメートル/早川書房)

*ネタバレしてます。


『炎の色』 (ピエール・ルメートル/早川書房)


 『天国でまた会おう』に続く第二部。三部作構想だそうで、次のはまだ出てない、かな。この本は2018年11月刊行。

 舞台は1927-1929年、1933年の二部構成。天国の後7年ほどすぎて、エドゥアールのあの父の葬儀のシーンから。姉、マドレーヌの息子、ポールが7歳になっている。マルセル・ペルクールの柩が屋敷を出てゆく、その時に、ポールは3階の窓から身を投げた。

 前作から時間過ぎているし、エドゥアールのこととかは本当に一瞬名前が出る程度。主役はマドレーヌ。強い意志を持つ大金持ちのお嬢様であった彼女が、大事な息子が車椅子生活になる苦しみを抱え泣き続け、信頼を裏切られ、庶民の暮らしに身を落とし、陥れた奴らに復讐していくという物語だった。
 前半ではただただ翻弄されるマドレーヌという感じだったのが、後半には時に悩み迷いつつも復讐計画を練り上げてやり遂げていく根性に感動する。戯画的ではあるけど、登場人物みんな生々しくて、あ~も~~~お前ら~~~ってハラハラわくわくしながた読んで、そこそこ分厚い一冊だけど一気読みしてしまった。

 厳格パパがさあ、娘を心配してこの男なら年上だけど実直さの面で安心だろうと再婚話をもちかけた銀行の管理職のギュスターヴ・ジュベールが、一度マドレーヌと共に銀行を手に入れられるかも、って思ったあとに破談にされてじわじわと裏切っていくの、そんなの酷い!と思うけど、うーん。マドレーヌのほうも結構酷い、って感じもあって、なかなかすごいうまい複雑さ。侍女のレオンス、美人でしたたかで、一瞬、マドレーヌとラブに? と思わせておいて違ったーとかも、まさに作者の思うつぼにはまってしまって読み進めるのほんと面白かった。

 ポールくんが何故飛び降りちゃったのか。なかなかわからなかったのだけれども、家庭教師でジャーナリスト志望のマドレーヌのツバメだった男が、実はショタコンでポールを密かに襲ってたのね……。酷い。アンドレ、お前、マドレーヌとか他の女とかともたっぷりやってたじゃん!! 自分の本当の欲望を隠して隠してそんな酷い事して。痛快な皮肉正論みたいなコラムを書いて人気ものになっていって。お前こそ死ね、と思いながら読んだ。復讐されてよかった。

 ポールが、心塞ぎ、苦しんでいたのを救ったのは、看護に雇われた、フランス語わかんないままどんどん世界を明るくしちゃうヴラディ。オペラのレコード。
 イタリアのオペラ歌手、ソランジュ・ガリナート。彼女の歌に魅せられたポールはオペラに夢中になり、生きる希望を得た。その歌、音楽の美しさが、小説だから当然言葉だけで描写されていくわけだけども、なんかすっごくよくって、うつくしくてわくわくできて、音楽をこんなに言葉だけで表現できるのかあ、と読んでてうっとりした。素敵だ。彼女の歌を聴きたいってすっごく思う。ナチス台頭してきている頃のドイツでひらくコンサート、その駆け引きと迫力。すごいかっこよかった。
 
 ポールが段々成長してきて、性の目覚め? と、マドレーヌが母としてどうすべきか悩んだりしていると、実は広告戦略に興味があるんだ、って、なんか美容クリームみたいなのを作って売って儲けるぞ、って商売始めたりするのすごい展開だし。なんだそれ。
 でもちゃんとなんとかうまいこと、マドレーヌに協力しているデュプレさんがおぜん立てしてくれるのねー。

 デュプレさん。前作ではプラデル中尉の部下としてなんかいいように使われてた人か、と、私はあんまりちゃんと覚えてないけど、その彼が今度は主要人物になってる、控え目な、善人ではなく悪人でもなく、という複雑さがよかったなあ。マドレーヌとの付き合い、生涯ともにすることになって、でも、ずっとお互いをさん付けで呼び合いました、っていうその感じ、すごくよかった。

 マドレーヌの復讐は、銀行屋実業家や政治家相手だったりするので、経済問題とか政治情勢みたいな、当時のフランスの歴史背景みたいなこと、実際の事件のモデルがあったりするようで、フランスのこともっと知っていたらもっと深く、うんうんわかる、あれね、みたいに楽しみ倍増したりするのかもしれない。わからなくても十分面白いけど。

 そして時代は第二次世界大戦へ、というエピローグ。ポールも戦争へ行き、みたいなことらしく、そういうその後が本当に少しだけあっさりさらっと書かれているのも余韻が深い。大河ドラマみたいにたっぷりのボリューム読んで大満足って感じ。面白かった。

 次作は1940年代らしい。エドゥアールたちを手伝ってた小さな女の子ルイーズが主人公になるらしいとのことで、読みたいな~待ち遠しい。楽しみ。

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『Perfect Quartz (完璧なる水晶) 葉山編』 (五條瑛)

*ネタバレしてます。

『Perfect Quartz (完璧なる水晶) 葉山編』 (五條瑛)


 韓国で重要な地位を得ている財閥のトップから、米国軍部へ亡命話が持ち込まれた。ヨハン、北の指導者の息子である。弟が権力の座をつぎ、海外で教育を受け育ったヨハンはどこからも厄介者扱いされる存在となっていた。
 彼を受け入れることができれば、北に隠されている何か、かつてない中核部分の情報が手に入るかもしれない。横田ではエディ自らが動き出し、葉山もそのお供をすることになった。

 かつてスパイ活動のみならず大金を稼ぎだしていたカタツムリ。国外で力を伸ばす誰も正体をしらない完璧なスパイ、「石英」。過去の秘密を追う葉山。ヨハンの亡命話は順調に進み、本人との条件の話までつめていたが、ヨハンは空港で暗殺されてしまう。
 カタツムリと石英はつまり一人の人間なのでは。本当に裏で糸をひいていたのは、引退して息子を隠れ蓑に、生贄にした京星グループの、社長。エディと葉山が詰め寄ってもその男の信念はみじんもゆるがないのだった。


 2018年10月刊行、でいいのかな。アマゾン電子書籍での個人出版。私はオンデマンド印刷の本で買いました。
 『スパイは楽園に戯れる』というのが2016年に出てるね? 雑誌連載時は「パーフェクト・クォーツ」というタイトルだったらしい。んで、本は読んでる、けど、あんまりちゃんと覚えてないな~私~。ヨハンの亡命話、この本は楽園とはまた全然違う感じ、か。こんながっつりと新作書き下ろし? お話としてはスリー・アゲーツだっけ、なんかそれから直後っぽい気がするけど。スリー・アゲーツももうかなり昔だよね? 読んだ、のは覚えてるけど内容をきちんとは覚えてない。うう。全部読み直して読みふける一ヵ月とか作りたい……。

 それはともかくも。韓国での大統領の不正で政治的大問題だとか、金、なんとか、あの、彼が空港で暗殺だかなんだかされた、あの事件、が、織り込まれていて、さっすがハードでリアルな問題の裏の裏の裏では何かが、みたいなのすっごく読み応えあって面白かった。さすが。ほんと。これ個人出版しなくちゃダメなの? 通らないの? 私はまあ何にもわからないんだけど。ともあれ、なんであれ、読めてよかったー!すごい面白い。


 んで。話が面白いのは勿論ですが。キャラもえもしまくってしまうので、今回、エディが葉山くんと一緒にお仕事~! わ~! とか思ってたら、すごい想像以上に、一緒に、い、い、一緒に、すごい、一緒にいて、エディ優しい……。葉山くんは相変わらずこの上司最悪って感じでいるけれどもっ。でもなにこの、二人のらぶらぶ……同人かな? 夢か……あ~~~。

 一緒に高級ホテルにお泊りで、お食事で、プールで。葉山くんてば溺れかけて助けられてその時思わず噛みつくとかなにそれ!えっろ~~~~(*ノωノ) まあお出かけもお食事も仕事絡みですが。あまりにも、妄想的シュチュエーション~~~。
 そしてヨハン暗殺の報道にショックでエディのマンション行っちゃう葉山くんな。雪が降ってきてもう遅いから泊まっていけ、ってな!!!!! な、な、なにこの、ゆ、夢……妄想が公式様からご褒美で降ってきた……(*ノωノ)
 そしておまけショートは髭剃り~~~~~~~っっっ!!!!! めっちゃ大好きなやつさいこうえろす。命あずけちゃうやつやんけーーーっああああああ~~~。
 はあ。
 めちゃめちゃかっこいい。凄い。すごい、ご馳走さまでした……。

 この本が出てくれてよかった。読めてよかった。しあわせ。ありがとうございます。次~続き~もっと~~~読みたいですっ。あるんですよね「半島の猫目石」!? 読みたい~~。待ってます……。

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『Blue Paradise in YOKOSUKA』 (五條瑛)

*ネタバレしています。


『Blue Paradise in YOKOSUKA』 (五條瑛)

 2018年10月、初版、っていうのかな。アマゾンで個人出版? 電子書籍をオンデマンド出版? っていうのかな、えーと。とりあえず私はキンドル? 使ったことなくよくわからないので、紙の本で買いました。

Fuyuki Sakashita of NCIS
 とのことで、坂下冬樹視点でのお話。海軍の脱走兵が自殺したとみられる事を発端に、軍で薬の密輸が行われているのではないか。しかも訓練中に、という疑いを追う話。葉山隆も首をつっこんできて、それは単なる自殺ではない、という直感を追っていく。

 事件そのもの追っていくのも面白かった。けど、なんだかんだ葉山くんが愛されてるねえという感じがまたすごい可愛くてよかった~。
 危ないかもしれないから銃を持たせようかと言うと、エディが射撃練習してやろう、って、まさに手取り足取りって感じで、後ろから抱きながら言い聞かせてるシーンがあり、悶絶。えろすぎる。いや、まあ、射撃のコツを教えてあげてるだけなんですけど。けどーっ。

 銃に弾が入ってようがなかろうが、絶対に仲間に銃口を向けるな、と言い聞かせる。危なかっしい葉山隆。エディが大事に抱え込む末端アナリスト。
 しかしこの話の前に、私はパーフェクトクォーツを読むべきだったのかな? なんかあった?? とちょっと疑問。というか鉱物シリーズ全部読み返したくなるよ。もえる。

 事件は、やはり密輸に絡むチームがあり、それを突き止めて解決。艦隊で一日だけのおたのしみ水泳大会? ってので、悩み込みがちな葉山くんを泳がせてやろーぜ! って海に飛び込むシーンで終り。
 飛び込むのに躊躇する葉山を坂下が抱えちゃってさー。びっくりさせるために、「エディが結婚する」って言う。えっ。 単にびっくりさせるための方便なのか、もしかしてほんと? ええ~~どういうこと~っと気になったよー。どーなの~。
 ともあれ、今作もめっちゃめちゃ面白かったです。好きだ~。

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