『子規と漱石』(小森陽一/集英社新書)


『子規と漱石』(小森陽一/集英社新書)

友情が育んだ写実の近代

2016年10月刊。
先日「正岡子規展」に行ってきて改めて子規と漱石いいよな~と思ってたところ、
まさにぴったりな本だ思って読みました。こういうの出てたの知らなかった。

二人の友情、という焦点で、手紙のやりとりを主に、いろいろな文章をとても
丁寧に読み解いている。
子規の書いた文章に込められている重層的な時間や漱石に想起して欲しいこと
みたいなことを、いちいちこうなっているこう読める、と細々と言語化して
みせてくれていて、なるほど、こんなにもたくさんのことがこの短い文章の
中に織り込まれていて、それを読む方は感じいるんだなあと思う。

一応私は、二人の友情についてとか、子規さんの本とかそれなりに読んでて
二人の友情もえる~って思いながらなので、ふむふむと納得、確認だった。
二人の友情とかについてあまり知らないという人にもきっとよくわかる丁寧な
本だと思う。
二人の手紙や雑誌でのやりとりが、そのまま近代文学の始まりの、描写とか
写実の実験実践になってるのが凄い。なんなんだよこの二人。

と、後世の今となっては、巨人二人が仲良しですげーってなるけど、二人に
とってはお互い学生時代からの付き合い。まだ何者でもなかった頃に認め合って
仲良くなって、励まし合い、それぞれに仕事頑張ってきたって所なんだよなあ。
二人とも生きてるうちからそれなりに偉くなっちゃったから、余計に、
なんでもないただの男二人っていう気楽気さくな関係でいられるのって、
貴重な存在なんだよなあ。うるる。

「僕ハモーダメニナッテシマッタ」のことも丁寧に書いてて、でももうほんと
この手紙だけで泣いてしまって。

読みやすく面白くて、手紙の引用いっぱいで、とてもよかった。好きだなあ。


 はじめに
 第一章 子規、漱石に出会う
 第二章 俳句と若の革新へ
 第三章 従軍体験と俳句の「写実」
 第四章 『歌よみに与ふる書』と「デモクラティック」な言説空間
 第五章 「写生文」における空間と時間
 第六章 「写生文」としての『叙事文』
 第七章 病床生活を写生する『明治三十三年十月十五日記事』
 第八章 生き抜くための「活字メディア」
 終章  僕ハモーダメニナッテシマッタ
 おわりに

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『猫に知られるなかれ』(深町秋生/角川春樹事務所)


『猫に知られるなかれ』(深町秋生/角川春樹事務所)


戦後の日本が舞台の短編集。あ、一章二章ってなってるから短編集とは言わない
のかな。共通する登場人物、組織が関わる一話完結もの、っていうか。
四章で一冊になっている。

元軍人、そして諜報活動をしていた永倉一馬、藤江忠吾がメインキャストって
感じ。敗戦国日本の中で、GHQと密かに手を結びつつ、いつか復興する日本の
為に、武力を捨てた日本はどの国よりも情報を握って身を守る術を持たねば
ならない、という大儀を持ってCATと名づけた組織が作られた。そこに誘われた
永倉。始めは断ろうとしたが、やはり、大儀を持って戦うことに生きる場所を
求めて、加わることになる。

諜報戦とかわくわく~と思って読んでみた。
それぞれにキャラ造形されてて、これはテレビドラマ化とか映画化を狙っての
感じなのかなあ。それともアニメ化? 動の永倉、静の藤江、秘めた情熱持つ
大物の緒方竹虎、一見無害なおじいちゃんに見えて凄腕運転手、狙撃も得意だよ、
って感じ。

それぞれ面白く読んだ。
けどちょっと私の好みとしては、この、序盤って感じの一冊では惚れ込むほど
には至らなかった。重苦しい長編のがこういうのだと好きなんだよ。
でも序盤だからこそ一話完結って感じで読みやすく整えているのかな。

舞台が戦後日本ということで、なんか、こう、微妙に辛い。フィクションとして
割り切るにはなんか、考えてしまうことが多すぎる。うーん。
あと懐メロというか歌謡曲のタイトルが、なんかこう時代を表すものとしてだか
イメージを誘うためだか、歌詞とともに書いてあるんだけど、私にはなんだか
それがすごい雑音に思えてしまって嫌だった。うーん。

藤江くんの方がハンサムらしいけれども、あんまりピンと来ないし。これは
もしかして映像化になってすごい好みの顔!ってなったらハマるのかもしれない。
ということで、面白さ満足感、私にはほどほどでした。


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『オデッサ・ファイル』(フレデリック・フォーサイス/角川文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています

『オデッサ・ファイル』(フレデリック・フォーサイス/角川文庫)


「「オデッサ」とはナチス親衛隊、SSのメンバーの救済を目的とする秘密組織の
ことである」
1963年、西ドイツ。フリーのライターであるペーター・ミラーは偶然、死亡した
老人の日記を手に入れる。それはユダヤ人としてかつてナチに収容所で酷い目に
合わされた記録であり、いまだ生き延びてのうのうとしている戦犯を告発する
ものだった。
ミラーは自国の歴史と改めて向き合い、ロシュマンというかつてリガの収容所
所長であった男を追いつめてゆく。

『ジャッカルの日』がとっても面白かったのでもう一つ読んでみようと思って。
これも1974年に映画になってるけれど私は見たことないと思う。見たいなあ。
私が読んだこの文庫は1980年初版、39版発行。実際出たのは1972年なのかな?

ナチのユダヤ人大虐殺みたいなことが、ちゃんと広く知れ渡るのは時間が
かかっていた、ってことなのかなあ。それを認めたくない、かつて隣人だった人、
かつて自分がかかわったこと、というのに目をそむけていなくては生きていけない
ということも、確かにあるんだろう。
ミラーがあちこちへ話を聞きに行ってもそっけなくされたり、わかりませんねと
あしらわれたり。それでもきちんと手ががりを追っていけたり。

生き延びていった元SSはちっとも反省なんかしてなかったり。エジプトでさらに
イスラエル殲滅を企んでいるとか、それを阻止しようとするモサドだとか。
モサド!イスラエル諜報部!なんかすっごい凄腕揃いってイメージの!

ミラーをオデッサに潜入させようと訓練があったり、スパイものなわくわく要素
もいっぱいでやっぱり面白かった。
前半はかなり、ドイツ、ナチのことが丁寧に描かれていて、辛い感じもあったり。

ミラーがそんなにもこの日記の告発に深い入りしていく動機は、というのが、
実は父を殺したのもロシュマンだったと気付いたからなの、かーというのが
最後の方であかされて、ああ~と思ったり。

ドイツ中をかっこいいジャガーで駆けまわったり、オデッサが差し向ける殺し屋
とかモサドとかいろいろ凄くて、映画だとこういう後半のあたりがかっこよく
描かれているのかなあ。見てみたい。

偶然も重なってのオデッサファイル入手。でも結局ロシュマンは取り逃がして
しまったし、単なるフリーライターであるミラーはそれ以上の追求はできなくて
あとは恋人と平和に暮らしました、というのはしみじみとよかった。
007じゃないものね。

オデッサファイルがある日突然匿名でボン司法局に届いて元SSを見つけ出すのに
役だった、ということは事実なのかなあ。フォーサイスの小説通りな事が
いくつかは事実だった、とか。ほんと凄いわ。なんで、そう、こう、ルポで
ありフィクションであり、という、こんなのがエンタテイメントに仕上げられる
のか。ほんと。英国。。。こわ。凄い。面白かった。

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『見て学ぶアメリカ文化とイギリス文化』(藤枝善之編著/近代映画社 スクリーン新書)


『見て学ぶアメリカ文化とイギリス文化』(藤枝善之編著/近代映画社 スクリーン新書)

「映画で教養をみがく」というサブタイトル。


「本書は、映画(洋画)ファンの教養書として、また英米文化を学ぶ学生の
授業用教材として企画されました」

とのことで、アメリカとイギリスとの映画の中からその文化の紹介が簡単に
わかりやすく紹介されてました。

第一章 愛と欲望のアメリカ
第二章 祈りと暴力のアメリカ
第三章 女王陛下とパブのイギリス

てことで、アメリカのほうが多いですね。教材に使ってくださいねってことで
それぞれの映画紹介のあとに参考文献もあり。映画見てざっくりお話して、
参考文献も紹介して一般教養のテキストとしてどうぞって感じかなあ。
紹介されている映画も古典的なのもあればわりと最近だなーというのもあり。
30本の映画。私は見たことあるのもそれなりにあって、なるほどと思う。
まーでもさらっと短くまとめてるので、ん~そうですね、という感じ。
知ってることというか、ほんと、入門的にさらっとしてる。映画評ってわけで
なくて、文化紹介、ね。

アメリカのほうが若さ信仰があからさまに根深い、とか、ホモフォビアの
マッチョ志向は新大陸へ渡ってきてどんどん西部開拓していって、という
強くたくましい男じゃなきゃ役立たずみたいなところから、とか。
なるほどそっかなーとか。
まあもちろんこれはざっくり短くまとめてるわけで、ここからさらに興味持った
ことを追及していきましょうねって感じかなあ。

イギリス、ヴィクトリア朝に「清潔」の概念が強くなった、っていうのは
そっかーそういえばそういう頃なのかと知った。伝染病とか疫病との戦いで
あったんだな。家庭を清潔に保つ、という家庭崇拝の理念がもっぱら女性に
押し付けられていた、女性を家庭に閉じ込め行動の自由を奪うことの正当化
でもあった、という。あ~そういう一面もあるのか。

まあ時代は違ってくるけどこの前見たサフラジェットでも、ダウントン・アビー
なんかでも、女性もがっつりしっかり働いてるけど、でも、閉じ込められてる感は
すごくあるよなあ。
社会の平等って、難しい。

さっくり読めて面白かったけど、やっぱりもうちょっと物足りない、と思うので
やっぱりいろいろと、もっと映画も本も見たり読んだりしないとな。

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『ジャッカルの日』(フレデリック・フォーサイス/角川文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『ジャッカルの日』(フレデリック・フォーサイス/角川文庫)


フランス。ドゴール大統領は何度も暗殺の危機にあっていた。OASという組織は
フランスがアルジェリアを放棄することに憤り、ドゴールを独裁者とみなして
革命を行おうとしていた。
だが、6回もの暗殺計画の失敗、続出する逮捕者によってOASは弱体化する。
ロダンは極秘密裏に最後の手段を考え出す。組織の内部には裏切り者も多い。
誰も知らない凄腕の暗殺者を雇うのだ。


映画の「ジャッカルの日」をちょっと前に見たらびっくりするほど面白かった。
午後ローだったのでカットや細切れだったのだろうと思うけどそれでもすっごい
面白い何だこれ、と感動したので、本も読んでみようと思って読みました。

映画を見た後なのでもう内容をおおまかに知っているのに、読んでもめっちゃ
面白かった! 凄い!

1971年だとか、この文庫も1979年の訳かな、それから41版とかになってる。
名前程度は知っていて面白い傑作らしいなーとはいえ、自分が実際読んでちゃんと
面白いと思えるかどうかは別なんだけれども、ほんっとこれ面白かった~。

ジャッカルも慎重緻密綿密周到なな準備するプロ。パスポートの偽造や特別あつらえ
の銃を準備するのとかも面白い。依頼される方もプロだけど、悪なりに脅しを
かけようものならさっくり殺されちゃう。きゃー。
そしてフランスの、警察側も、OASを見張る中で不審な動きに気づき、情報を
得て絶対暗殺阻止せねば。でも大統領は警戒に協力的じゃないし。タイヘン。
そんな中で極秘捜査を命じられるルベル警視。
んも~。ルベルが出てきてからの、ジャッカルを追う、追われるのドキドキが
すっごい最高面白くて、読みながらハアハア(*´Д`)興奮しっぱなしだった。
地道な捜査の中から情報見つけ出していくんだけど、上の方に報告するたびに
情報がもれてジャッカルはすり抜けていく。
追うほうも追われるほうもどっちも凄くて、どっちもがんばれ~って思うし
どっちもかっこいいし~~~っ。
有能なプロたちの駆け引きって最高面白い。
バカなのは情報だだ漏れさせちゃう傲慢なサンクレア大佐くらいかな~。
英国も問い合わせ受けて慎重に調べて情報を得て、っていうそんなこんなも
たまらん。面白い。
フィルビー事件のごたごたがあってさーみたいな話もちらっと出てきて、
あああああ~それな!キム・フィルビーでしょ!きゃーっ、みたいな。
興奮するわあ。今読めて楽しかった。

著者はもともとジャーナリストだったそうで、この小説デビュー作、ドキュメント風
で、実際に起きた事件も混ぜ込まれているらしい。私は社会情勢とか事件とか
詳しくないしわかんないんだけれども、これ発表当時とか実際の事件とかフランス
に詳しいとかだったら興奮度はもっともっとすっごいんだろうなあ。

大統領暗殺の日はパリ解放記念日。その日、ドゴールは絶対に式典を行うと
確信をもって、ジャッカルは計算し動き、それに気づいたルベル達も最善の
警備をしく。
それでも、ささやかなヒューマンエラーは起こるし、ちょっとした偶然で運命は
変わる。
大統領が儀式的なキスのために少し身をかがめたことで銃弾を免れる。
そんな。
そんなーっ

ってことでついにルベルは間に合ってジャッカルのほうが銃弾に倒れる。
本当の名前も、どの国の人間なのかも不明のまま、ひっそりと葬られる。
その時いた男というのはこれはやっぱりルベルなんだろうなあ。ついに対面して
互いを認めあった瞬間、互いの名前だけを呟いたプロ同士な二人。
ジャッカルの準備は数カ月かかったけど、ルベルにとっては一か月足らずの
攻防劇。その、時間が一日一日過ぎていくのが描かれてヒリヒリする思いで
読みおえた。面白かった。はー。

映画ももう一回ちゃんと見直したい。ルベルの助手くん、カルロも有能でさ~。
映画だとちょっと変わってる所あったよなと思う。見直したい。
しあわせな映画+読書でした。

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『臨床の詩学』(春日武彦/医学書院)

『臨床の詩学』(春日武彦/医学書院)


医療当事者として、患者との面接の時のなんでもないように思える会話、言葉の
エピソード交えての、言葉が詩の力を持つ不思議、みたいなことを書いてる、
エッセイ、かなあ。

こんなにも沢山の本を読んでいて覚えていて適切にというかなんというか、
エピソードと作品の引用と、書けるんだなあ、と感心。そんなにちゃんと沢山の
本の内容を、覚えてるんだなあ。
私、記憶力が、ないから。。。
まあ、自分と比べても仕方ないわ頭の出来が違いすぎるわ。

精神が大変になっちゃう人達とこんなやり取りしてて大変だなあと思ったり、
人はなんだかいろんな、ほんっといろんな風になっちゃったりするんだなあと
思ったり、でもそれでも回復したり、折り合いつける方法を見つけたり、
単純に年をとってパワーがなくなるとか、あ~狂気に陥るにもパワーがいる、
と思ったり。
ほんとにいろんなことがあるなあって思う。
なんかもう、いろいろあって仕方ないんだなって思う。

言葉の力というか、詩的な力というのはあると思う。
でもそれって簡単には操れなくて、まあ、だから素晴らしいでもなり尊いでもなり。
たくさんの言葉とか、たくさんの在り様を、知って自分の中でふっとした時に
力にできるといいな。

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『運のいい日』(バリー・ライガ/創元推理文庫)

*ネタバレ、かな? ネタバレどうのこうのって本じゃないと思うけど。

『運のいい日』(バリー・ライガ/創元推理文庫)


『さよなら、シリアルキラー』に始まる三部作、大好きだった。その前日譚な
短編集が出たので嬉しい~!と読む。日本オリジナル短編集、だそうで、
本国じゃ一冊にまとまってないものってことなのかな? 有難い。

ジャズは高校生。ハウイーはジャズの唯一の友達。コニ―はジャズの恋人。
それぞれ視点の短編三つと、保安官がビリー・デントを捕まえる「運のいい日」
という中編、って感じの4つのお話が入ってる。

これまでのを読んでいるので、ああ、こういうことが、こんな日が、あったのか
と感慨にふけりながら読んだ。いきなりこの短編集だけ読むっていうのは、
どーなんだろ。「運のいい日」は問題ないと思うけど、まあ、ジャズたちの
お話も青春高校生の断片として読めて大丈夫な気がする。
私個人的には、ああ、ああ、ああ~こんな日があって。そしてああなって、って
うるる感慨にふけりまくって、という楽しみができてよかった。

ジャズの運命はあまりにも過酷で、サイコパスシリアルキラーな父に丁重に
育てられて、そして、というのがほんともう大変すぎるだろ、と、この設定を
思えば思うほど本当に辛い気持ちになる。
でも、ジャズにはこんな友達と恋人がいるんだ、っていうの、すごく、いい。
ほんっと、青春小説だなあ。
保安官の話はくたびれた大人小説だけどさ。

三部作は、ちょっと終盤失速した気が私はしたような覚えがあるけど、でも
このシリーズ読んだのは物凄くよかった。この短編集も出てくれてほんと嬉しい。
大好き。

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『ホステージ』上下(ロバート・クレイス/講談社文庫)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『ホステージ』上下(ロバート・クレイス/講談社文庫)


タリーは、元ロス市警危機交渉担当係り。SWATチームで立てこもり犯人との交渉に
あたる。ある事件で、犯人との交渉に失敗し、人質を死なせてしまった。
失意の中職を離れ家族とも離れ、ブリスト・カミーノという小さな警察署で
署長になった。これといった重大犯罪などない地域。だがある時、ちょっと押し込み
強盗を働こうなんて思った若者三人が弾みで店主を殺し、逃亡の途中車が故障。
押し入った家に結局立てこもるという事態に陥る。
タリーの管轄。応援を求める中、ともあれ当面は犯人と話をしなくてはならない。
そして、犯人たちが立てこもった家は、実はヤバい組織と関わりのある家だった。


ホステージ、とは人質という意味らしい。
ブルース・ウィリスがすでに映画化してるのね。見たことあるっけなあ。無いの
かな。先日読んだ『容疑者』がとても面白かったので、同じ著者の読んでみた。

人質立てこもり事件にトラウマのあるタリーが、またその任務に当たらなくては
ならない、というドキドキ。の上にさらに、その家、会計士のウォルター・スミス
は実は組織犯罪のヤバい案件を自宅で仕事中だった、ってことで、タリーの妻子を
人質にとって、タリーを操り、家の中の証拠となるファイルを取り戻そうとする
マフィア(?)がいて、うわああタリー大変じゃん!! 無理!!!
という感じで面白かった。

最初はちんけな三人組の若者、すぐ投降するだろうと思っていた彼らの中に
マジもんでヤバいシリアルキラーなマーズが混じっているのがだんだんわかって
きたり。犯人側のぐらぐら危ういのもドキドキするし。
人質にされてる姉弟が結構強気でがんばるのもハラハラして面白かったし。
弟くんトーマスが活躍するんだけど、あぶねーよ~~っとハラハラする。

マフィアの方は、いろいろ余計な策を巡らせすぎてどうしようもなくなってく。
まー、こんな中で事態を掌握するのは無理だよねえ。
残りのページ的に、犯人たちが中で仲間割れして血みどろ放火死亡、ってなって
その後マフィアとの対決、タリーは妻子を取り戻せるの?? と心配したけど、
タリーの根性で粘り勝ち、という感じ。マフィアのもっと上のほうのおかげ、
ってことかなー。
ともあれ、タリーは家族と平和を取り戻しました。めでたしめでたし。
ほんと、ブルース・ウィリスにぴったりって感じのキャラだ。映画も機会があれば
ちゃんと見てみたい。

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『弱いつながり』(東浩紀/幻冬舎)


『弱いつながり』(東浩紀/幻冬舎)

検索ワードを探す旅

2014年刊。
語り下ろしの連載だったものを大幅に手を入れて一冊にまとめたもの、らしい。

弱いつながりというのは、家族や友人という強いつながりではなく、パーティ等
でちょっとした知り合いになった程度、のつながりだそう。パーティで知り合い
になるとか、ないなーと思うけどまあ、そういう外国な感じの用語ですかね。
まあ別にパーティとかでちょっとした知り合いになる、という世界も日本にも
もちろんあるんでしょうが。私の場合はそういうの無縁すぎる(^^;

ネットもまた実は強いつながりである、という。
SNSとか広告とか、個人へ最適化されすぎてて、むしろ狭い、という感じはわかる。
島宇宙とかいってた感じですよね。
自分から属するコミュニティを変えないと世界は狭くなる一方だ。

インターネットには無限に情報があるけれども、適切な検索ワードを持たなくては
情報にたどり着けない。同じ場所同じ毎日では新たな検索ワードを打ち込むこと
は難しい。
旅に出よう。
自分がいる場所、環境を変えよう。
そうすることでそれまでとは違う検索ワードで知らなかった世界を知るきっかけ
になるのだ。
端的に言えばそういう、旅の勧め、というか、発想や頭の切り替えの勧めかな。
語り下ろしベースというだけあって、ものすごくするっとつるっと読める。
ちょっと哲学的なことを言うと、ってところも、ほんとやさしく書いてあるので
ほほう、と、するっとわかったような気になる。
まあそれは表層だけのことなんだろうけど、そもそもこの本が観光客になろう、
というものなので、何にもしない見ない知らないより表層的なことだけでも、
ってことなんですね。
0と1は全然違う、という感じか。

ぐぐると大抵のことはなんとか探せる。けれども、この頃は下手なまとめサイト
の中から、検索の結果大分めくって、じゃないと、なかなかナマな情報には
たどり着けなかったりもして、なかなか、ぐぐれ、が万能じゃないよなあ。
でもなにはともあれ、そこに自分が検索ワードを打ち込むことからしか始まらない
わけで、旅に出たからこそこれまでぐぐろうと思ったことない、そもそも知らない
地名だのワードだのでぐぐってみよう、となるのはそうだよねえと思った。

でも旅とか行けないし。行きたいとも思わないし。
でも地元出てるし帰省だとかで移動はするし。引っ越しも今後もあると思うし。
ある程度ライフステージの変化で環境は変わってきたなあ。
観光旅行に、もう少し行けるといいかなあ。。。
この本の時点で、福島第一原発観光化の計画中なんだけど。まだそう簡単には
うまくいってないのかなあ。
チェルノブイリへのツアーは毎年? 続けてやってるみたいだけど。
それはやっぱり、行ってみる、というのはうちでテレビ見たりしてるのとは
全然違う体験であるだろう。

旅かあ。
今は無理だけどもう少し余裕が出来たらふらふらいけるといいなあ。
旅に行くだけじゃなくて、単なるマンネリひきこもりじゃなくて、時間と体を
使って、ちょっとずつでも変化を呼び込んでいこう。

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『容疑者』(ロバート・クレイス/創元推理文庫)


*ネタバレ、結末まで触れています。


『容疑者』(ロバート・クレイス/創元推理文庫)


マギーはジャーマン・シェパード。ミリタリー訓練を受けた海兵隊で爆発物を
察知する役割を持つ犬だ。ハンドラーであり仲間であるピートに何よりも忠実
で、愛し、共に喜び、守ることが一番大事だ。

スコットは警官。相棒のステファニーと巡回中、銃撃事件に遭遇する。

パートナーを失った犬と警官。一匹と一人とが相棒になる。

この文庫は2014年刊行。面白いって評判見てて、でも警察犬かあ。うるる、と、
読む前からなんかもう絶対きゅんきゅんしちゃうに決まってるだろーと思って
ました。
やっぱり、やっぱりぎゅんぎゅん可愛くていい子で最高だった。
共に心の傷を抱えた一匹と一人が、次第に信頼しあっていくようになるの。
でも描写はクールで、可愛いなんて書いてないけど最高可愛いんだよ。すごい。
マギー視点の章では、まあ本当に犬がこう考えるのかどうかっていうのは誰にも
わかんないことだけれども、でもでも、犬って最高いい子だよね、って思う。

最初は、犬のことあんまりわかってない感じのスコットがマギーと一緒にいて
マギーの前で泣くことができて、よりそってくれるマギーと一体となっていく
感じも理想的に素晴らしかった。

スコットとステファニーが巻き添えになり彼女が死んだ事件を、警察犬訓練中の
マギーと共に追い始めるスコットに、最初はハラハラしっぱなしで、マギーを
巻き込むんじゃないよーと物凄く心配してしまう。
ロサンゼルス市警で事件捜査をちゃんとしてるけど、そこに首突っ込みまくって
いくスコット、おいおいこらこら、と思うけど、どうやら警察内部に悪いヤツが
いて、当事者でありながら部外者であるスコットが動かなくては、となるんだね。
でもスコットの動きによって余計な窮地もくるし、巻き添えで死人も出るし、
いや~~辛い。ドキドキ。そのダイヤモンドさっさと出せよ預けろよ、心配よ。
ああ~~マギーにも危機が~っ。ドキドキーっ。

と、すごく面白く読みました。
マギーが死んじゃったらどうしようっ、って思ったけど、スコットも撃たれた
けども、助かってほんとよかった。
スコットとマギーは復帰して警察で働き続けるらしい。
さらっと爽やかな感じの終りでとてもよかった。犬最高!な警察犬訓練の上司、
リーランドが厳しくこわもてな雰囲気だけど最高よかったなあ。

新年一冊目の読書でした。いいスタートできた^^

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