『カササギ殺人事件』上下(アンソニー・ホロヴィッツ/東京創元社)

*ネタバレしています。

『カササギ殺人事件』上下(アンソニー・ホロヴィッツ/東京創元社)

2018年9月刊。
 発売は去年ですね。凄い! 面白い! クリスティ好きならば間違いなく読むべきみたいな絶賛評判で煽られまくってて、表紙も鮮やかで目について気になってました。でも正直、私は別にそんなにクリスティ好きでもないし、クラシカルなミステリに思い入れあるわけでもなく。そんなに面白いのかなあ、と、手を出しかねていたのです。けど、帰省のおともになんか電子書籍買っとくか、と思って、読みました。

 始まりは八月の雨の夜。「わたし」は大ヒットシリーズ、アティカス・ピュント探偵の九作目の原稿のプリントアウトを読み始めた。「わたし」はこの作家、アラン・コンウェイの担当編集者。ミステリ、本が大好き。さて、と読み始めた「カササギ殺人事件」
 舞台は1955年。とある村での葬儀が始まる場面から、その犠牲者のこと、村の人々のこと、息子やその婚約者。たんなる事故死と思われた最初の死は、もう一つの死を生んだ。
 自身が死の病にあると知らされた探偵は、一度は依頼を断ったものの、二つ目の死の報道に、やはり解決へと乗り出していった。
 そして。いよいよ犯人は。
 というところで上巻が終わり、下巻を読み始めると、なんと解決、結末の原稿がない。紛失? 上司の意地悪? わたし、スーザン・ライランドは週明けに出社して問いただそうと、ひとまず自分の推理をメモしてみたりする。だが、ニュースで、作者、アラン・コンウェイが死んだと知る。

 てことで、ええええ~~~っ、と、犯人判明を焦らされること二つ分のお話。作中作の犯人と、この作中での現実、アラン・コンウェイは自殺なのか他殺なのか。失われた原稿は? そんなこんなの謎解きでした。
 アラン・コンウェイは、ほんとはミステリ作家として有名になるより、もっと深い文学を書きたいんだ、みたいなことで、シャーロックを殺したがったドイルみたいに、自分の人気シリーズをこっぴどくからかって終わりにしたかった。とんでもないアナグラムで、読者をコケにするように。それを許容できない上司が犯人だったんですねー。パイ屋敷の方は、息子が、婚約をダメにしたくなくて、過去を葬り去るように屋敷の主人を殺してしまった。暴力的傾向って、なんだか、んー。まあ、そういうものか。

 そんなこんなでお話は面白く読みました。けど、やっぱりまあ、私の好みって、キャラもえ読みというか、このキャラが好き、って肩入れして読むのが自分にとっては一番楽しいことなので、この本の中の誰の事も好きにはならず、ふむふむとストーリーは楽しんだけれども、大好きだった!って満足感はなかったなあ。

 で、この、作中作の作者、アラン・コンウェイが自分の作品に仕掛けたアナグラムっていうのが、探偵の名前そのものが、ばかげたカントってことで、なーーんだその下品~って思って。まーそれが殺されるきっかけになるものだからまあ生半可なおふざけじゃダメなんだろうけど、ほんとに嫌な気分、読後感が作品そのものを読んだ後にも残るので、なんだかな~。私はこれ嫌い、という気持ちが残る。それは作中作品の作者アラン・コンウェイのことなんだけれども、なんとなーく、この作者、アンソニー・ホロヴィッツへの嫌な気分になってしまうな。

 別に私は上品な人間ではありませんし、下ネタばりばりおっけーなんだけど。やっぱこの読者を馬鹿にするやり方、それが酷いからこそ事件になったって重々承知の上でも、やっぱやだなーって気持ちが残る。やだなー。で、ひいてはこの作者そのものを信用できない気持ち。それに登場人物誰も好きにならなかったのも、私がこの作者と合わないってことなんだろうなと思う。私の個人的好みの問題。もう手を出さないようにしよーって思った。

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『堆塵館』 『穢れの町』 『肺都』 

*ネタバレしています。

アイアマンガー三部作
『堆塵館』
『穢れの町』
『肺都』   エドワード・ケアリー(東京創元社)


 1作目翻訳が出たのが2016年9月。それから2017年5月、2017年12月と出てる。元のが出たのは2013年ですか。がっつり分厚い三部作、エドワード・ケアリーの新作がこんな分厚くたっぷり。と震えてすぐ買ってたのだけども、読んだら読み終わってしまう。どうせなら大事にじっくり読みたい。と、積んでました。しかしなんとなく、もう読んじゃおうかなと思って、今月、読み始めました。

 分厚い、けれども、一段組だし、漢字にはルビいっぱい。これって児童書だっけ? と不思議に思っていたら、もとは10代向けの作品ということらしい。主人公も少年少女だね。けどまあもちろん、どの年代の人が読んでもいい。これ10代で読んだらはまりっぷりがひどいことになりそう、と、思うけど、けど、今の自分が読んでもやっぱり面白くてやめられないとまらないで、1と2は一日くらいで読んでしまい。3はちょっと時間かかったけれども、それでも十日もかけずに読んでしまった。もったいない。読み終わりたくなかった。けど読んじゃった。すごい、エンタメしてる~って思った。望楼館のイメージが強烈だったので、というか、あれが好きすぎて他に手を出せなかったんだ。全部読破してなくてごめん、ああいうナイーヴさとは違ってきてるんだなあ、まあそっかーと。

 そしてけれどやっぱりこれも、膨大なモノたちに埋め尽くされていく話だった。凄い。

 ヴィクトリア朝時代のロンドン。少し離れたフィルチング。ゴミの海の中にある堆塵館に暮らす、アイアマンガー一族。純血のアイアマンガーたちは上の階にいて、下で働く召使いたちは、混血のアイアマンガー。ロンドンから集まるゴミの中で財を築き上げたアイアマンガー一族。奇妙なしきたりを守り、不思議な力を持つものもいる、一族。
 クロッドは15歳。まだ半ズボン。16歳になったら大人として、長ズボンをはいて、決められた結婚相手と逢瀬をする決まり。クロッドが持っている誕生の品は、栓。なんの変哲もない、お風呂とかのゴムの栓。アイアマンガーの一族は、生まれた時に、授けられた誕生の品を肌身離さずもっているしきたり。クロッドのそれは、栓なのだ。
 クロッドは、ものの声が聞こえる。誕生の品は、それぞれの名前を喋る。クロッドの栓はジェームズ・ヘンリー・ヘイワード。最初は名前しか聞こえなかったのに、クロッドは、だんだん、ものが文章を喋るのを聞くようになる。

 もう一人主人公といえるのは、ルーシー・ペナント。両親が亡くなって、アイアマンガーの遠い血縁がある、と、孤児院から堆塵館へひきとられた。召使い、暖炉掃除の役目をいいつけられる。召使いは名前を奪われる。けれど、ルーシーはなんとか名前を忘れなかった。たまたまクロッドと鉢合わせしてしまい、そしてひかれあう。
 しかしルーシーは孤児院で間違えられたのだ。本当のアイアマンガーの血筋はもう一人の赤毛の女の子。ルーシーは館を追い出されそうになる。

 と、そんなこんなが始まり。それから二人は引き裂かれたり巡り合ったり。堆塵館が崩壊しちゃうとかロンドンから焼かれ、逃げ出し、ロンドンに潜み、奇妙な病気で人はどんどんものに代わってしまったり、ごみがつきまとってきたり。
 登場人物もいっぱい、その人たちが持っている誕生の品にも名前があって。人がものに代わっていって、そのてんでバラバラなおびただしさとか。物としての本の分厚さ、そして物語の中でも膨大に物が襲いかかってきて、物と名前の洪水~~~。

 この前読んだ『クロストーク』もひたすらうるさい小説だったなあと思った。あれはあれですっきりしたけど。アイアマンガーの膨大さはまた格別でした。

 これは、なんていうんだろうなあ。ファンタジーかなあ。昔のロンドンが舞台、ではあるけれども、歴史ものってわけではないし。超能力でものを動かせるようになるクロッド。あれは、サイコキネシスって感じ? けど、ものに命があるから、って感じで、SFって雰囲気ではない。寓話的? わかんないけど。

 ごみの山、海の世界、そしてロンドンの町へ行っても、下町とかはどろどろのべたべた。物語の中にはごみいっぱいで悪臭酷そう。なのに、どっぷり浸って読まされてしまう。面白い。基本的にはごくシンプルに王道で、男の子と女の子が出会って、世界が変わって、必死にサバイバルして成長していくもの。
 けれどそれを彩る世界の奇妙さ、独特さ。そして物。ものが溢れかえり、名前が繰り返されるし増えまくっていく。最初はわけがわからなかった一族たちも、三部の頃にはすっかりおなじみの、って気分。
 表紙も挿絵も、エドワード・ケアリーが描いたものだそうで、この、これも、すごい癖のある絵。不健康に不機嫌に、憂鬱な人物ばかり。どんよりとした空。闇。
 エドワード・ケアリーの世界。全然綺麗なこと書いてないのにうっとりさせられるの凄い。映画化の権利はとられてるそうだけど、けどな~。映画じゃなくていいよ。本が最高だと思うなあ。永遠に読んでいたい……。
 けど、最後の方の派手なカタルシスは、もし本当に凄くうまく映像化されたら、圧巻だろうなあ。
 幸せな読書しました。エドワード・ケアリー、なんなんだろう。あんまり私の好みって感じのものじゃないのに大好きの中毒にさせられてしまう。こわい。すごい。お風呂の栓が愛しくなっちゃうじゃん……。私の誕生の品が欲しくなる……。面白かった~。

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『重吉』 (江田浩司/現代短歌社)

『重吉』 (江田浩司/現代短歌社)


 詩と短歌の一冊。八木重吉にの御霊に捧ぐ、とのこと。2019年6月刊。
 恥ずかしながら、八木重吉、えーと、詩人? ってくらいしか知らないのでこの本の読者としてダメダメだと思う申し訳ない。ちらっとググったところ、クリスチャンで英語教師で詩人、という感じか。

 冒頭に、重吉「断章」短い詩が引用してある。「わたしは弱い」という4行の詩。
 章の初めに詩、そして短歌という構成。重吉の詩のような感じ、なのだろうか。ひらがなが多く、やわらかく丁寧に畏れをもって世界を歌っている。春、夏、秋、冬、季節の順番に詩歌が並ぶ。優しい一冊という読後の印象が残った。

 短歌に、一字あけとかなくて、ひらがな多いし、ちょっと読みづらくもあった。一冊のトーンがほぼ変わらない、淡い水彩、色を一色しか使わないで描いているみたい。すうっと読める、読めるのは読める、けど、一冊まるっとこれなのはどうかなあ。まあそういうテーマで一冊作りましたということでしょうか。ボリュームが多いわけではないので、んー。けどやっぱりちょっと、納得しかねる気はした。

 好きな歌いくつか。でも私、詩も重吉もわかりません~という中での、勝手な好み。

  手にそつとふれてゐるのはきのふから消えずに残る夕日だらうか (p16)

 多分ほんとはこの前の詩と合わせて読む、べき、かなあと思いつつ一首鑑賞。昨日から夕日の感触が手にずっと消えずにある、という感覚がとても素敵だと思った。何か寂しい、本当は何かに触れていたい、のに、なにもない手にふれるものが、ある、あってほしい、きっと夕日。というイメージ。うつくしいです。

  よわいこころいつもあなたの名をよんで手をふりながらあびるゆふやけ (p22)

 最初にひいた歌と通じるように思う。でもこの時には呼ぶ「あなた」の名があってよかった、という気持ち。弱いこころの支えになる「あなた」なのだろう。あるいはこうして手をふってあびた夕日がまたあしたまで、消えずに残る寂しさになるのだろうか。

  絵のなかにゆれる日がありわたしから弱さをとればひだまりの肉 (p28)

 わたしには弱さしかない、ということなのだろうか。なんて弱いの、と心ひかれた一首でした。自分の肉体、肉、が、その絵の中に入っているみたいに読めた。弱い心だけが漂って、あやうい。弱さがとりだされた肉は、なんだか確かな物体となってごろっと転がっている気がする。ひだまりの中で、肉の塊が穏やかにいるのかな。もう弱いわたしがいなくなった、肉。私の読みの勝手なイメージが広がって面白かった。

 もうそろそろわたしを透きとほらせてくれをんなの顔があかるくうかぶ (p54)

 あまり意味はわからない。なんとなく、透き通りたい、という訴えはわかる気がする。うかぶのは好きな女の顔なのだろうか。透き通る存在になりたい、という願いと、けれどそうはいかない、現世の煩悩につかまって逃れられない、という風に思った。わからないのに目が留まってなんかいいなあと掴まれた歌。

  にんげんが嫌ひな人はまずだれをゆるすのだらう雨のふる日に (p91)

 誰も許さないんじゃないの、と思った。「にんげんが嫌ひな人」という始まりにひきこまれた。私だ、と思う。人間が好きな人はそんな日に誰かを許しているのだろうか? と不思議に思う。しっとりと優しい雨なのだろう。人が人を許せるのだろうか。まあ、許すも許さないも人間の気持ちなので、人間が行うしかないのだけれども。なんとなく、ゆるす、というのをもう少し大きなことのように読んでしまう。キリスト教的気配をなんとなく、なんでかなあなんとなく、思うのかもしれない。

  もうそこに道はないのよふるさとは胸いたきまでいちやうをちらす (p101)

 かつてあった道に銀杏の黄色がたっぷり降り積もって、もう道かどうかもわからなくなるほどに無限に銀杏の葉が散っている景色が見える気がした。思い入れのある大事な場所、道だったのか。「胸いたきまで」という直截な言い方が切実な気がした。

  ざん酷なやさしさのいろおりてくるなにもまじへぬふゆの空から

 「ざん酷」という表記に参った。端的に言えば雪が降ってきたという歌かと思う。冬の空気の冷たさ、それを残酷というのか、けれそれは優しさの色、という。綺麗だ。

 この本の良い読者ではないなあと思うけれども、私なりに、詩歌を楽しませてもらった。綺麗な一冊でした。

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『クロストーク』 (コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

*ネタバレしてます。


『クロストーク』 (コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 2018年12月刊。
 ブリディはコムスパン、携帯電話メーカーに勤めているアイルランド系の女性。親族の過干渉に悩まされる日々。会社はアップルとは違うさほど大きくはない所。新規アイデアが勝負。噂好きの社員たちに、トレントと付き合ってるの? 婚約? そしてEEDを受けるの? と詮索されまくる。
 EEDとは、ちょっとした脳手術で、恋人同士が互いの感情をダイレクトに伝え合う画期的な技術。言葉を介することなく感情がつながるので、不信、不安とは無縁になる。セレブの間で流行って人気のドクターの予約は何か月も待たないと取れない。家族やなぜか仕事の同僚である変人CBにまでEED手術なんてとんでもないと言われまくるブリディ。
 けれど、トレントの運なのか、キャンセルが出て奇跡的にすぐ手術が受けられることになった。トレントは会社の女子誰もがうらやむような理想的恋人。ブリディはすべての邪魔をかいくぐって、手術を受けた。
 だが、肝心のトレントとの接続を得るより先に、CBの声が聞こえるようになってしまった。一体何故?

 と、そんなこんなの、ロマンティックコメディSF。CBとブリディの間にテレパシーでの会話ができるようになってしまって、そんな馬鹿な!? 恋人はトレントなのに。一緒に手術を受けたのに。何故CBと?? そしてひっきりなしに家族から、電話、テキストメッセージ、直接の押しかけ、などなどのごたごた。会社では噂を避けてなくてはならない。どうして? どうすればいい??

 ってもう、1ページ目からうるさいことこの上ない。も~~~ずーーーっとうるさい。邪魔ばっかり。邪魔ばっかり。何一つスムーズにいかないし、ゆっくり落ち着く暇が全然ない。全くない。ずううううう~~~~~~っとうるさい~~~~~あああああ~~~。

 ってことで物凄くイライラするんだけど、面白くて一気読みしそうになる。おそろしいわコニー・ウィリス。二段組で705頁あるのに。二日ほどで読み終わりました。
 まあ、一時も早く読み終わってしまって、このうるささから解放されたかったってのもある。それでもぐいぐい読めちゃう面白さ。ほんとすごい。
 ブリディの心情言葉ひたすら全部、全部全部、一時の休みもなしに書き綴られている。ううううううるさい。そして邪魔が入りまくり。そして人の話し聞かないし、話も聞いてもらえないし。隠し事はいろいろあるし。何なの!?? 何なの~~っと読んでるこっちもすっかりブリディに同調してしまって、あ~ほんと疲れる。イライラ~。

 私はどの登場人物も好きになれず。まあ、そもそもヘテロな恋バナ、ロマコメ好んで読まない……。それに正直、序盤の、何故だかCBとテレパシーが繋がってしまった!って心に入ってこられる感じが、心底気持ち悪くて、コメディって気分では読めなかったし。
 読み進めると、あ~CBがんばってくれてるんだね、ってなるし、まあ、ねえ。ブリディは恋しちゃったんでしょ好きになったんでしょ、お互い好きなんでしょ、はいはい、って思って、認めてないのはお互いだけ、みたいなね~。そういう茶番は全然好きじゃない。
 なのにぐいぐい読まされてしまう、おそろしいわコニー・ウィリス。大森望 訳。

 でもこれって、あれじゃない、映画「スピード」でいってた、危機的状況で協力しあったドキドキが恋愛という錯覚に、って、吊り橋効果って、そんなやつ~。けどまあ、二人がめくるめくラブ&セックスして幸福~ってとけあってめでたしめでたしってことになるんですね~という雰囲気で終わるので、その後はまあ、お好みで、ってことですねー。私だったらテレパシーで互いの思考が繋がるなんて絶対絶対絶対に嫌! ほんとにそんな風に人とつながって幸せ感じるものなの?? ラブラブカップルならそうなの?? いやあ無理~。

 ってまあ、ロマコメSFだから、まあ。そういうものなんですねと。

 ずーっとうるさいし、みんなにイライラするし、んも~~なんだよ~~と思うし、好きな所ないなあって思うけど、面白く読めてしまう。面白かった。おそろしいわコニー・ウィリス~。

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『IQ 2』 (ジョー・イデ/早川文庫)

*ネタバレしてます。


『IQ 2』 (ジョー・イデ/早川文庫)

 アイゼイアは、兄がひき逃げ事故ではなく、狙われて殺されたのだ、と犯人捜しを続けている。ある日、兄の恋人だったサリタから電話がかかってくる。アイゼイアもひそかに恋していた彼女から会って欲しいと言われ、頼まれたのは妹ジャニーンのこと。ギャンブルにはまり、恋人ベニー共々借金を抱えて大変なことになっているらしい。あちこちのギャングスタ、中国系のヤバイやつら。複雑な状況の中、アイゼイアはドッドソンに協力を頼み、ジャニーンたちを助け出すため奔走する。

 1の時に、ロスのホームズ、みたいな煽り文句だとかいろいろに釣られて読んで、結構好きだったな、てことで2も楽しみに読み始めました。今作ではちょっと大人になりつつあるアイゼイアたち。ドッドソンはシェリースという恋人ができて、赤ちゃんももうすぐ生まれるという。フードトラックで地味に真面目に働く中、アイゼイアに誘われてヤバイ事態に踏み込んでいく。

 サリタへの憧れ、恋。アイゼイアはお兄ちゃん大好きっこだから、兄が恋人にとられそうになるなんてむかつくーって感じだったのか、いざ会って見るところっと好きになっちゃう、そんな子どもな感じとか可愛いけどな。
 なんか、そんなこんなの過去と、現在の事件進行が描かれるのが、どうにもぎくしゃくしてて、読みづらい、あんまり面白く思えない。ドッドソンは子持ちになるのか~とか、アイゼイアも恋愛か~とか、そういうの別に私にとっては楽しい話しじゃない~。ジャニーンとベニーは似た者同士ダメダメカップルで、まあ、お似合いなんでしょうが、なんでそうまでギャンブル狂いでアホダメになれるのか、なってしまったから仕方ないのか、どーにもそんなに頑張って助けなくてもいいのでは、って思っちゃう。

 どのキャラにも、なんだかな~という感じのまま読み進むので、ほんとつまんない、もうシリーズ読みつづけようとも思わないかな~。って、思ってた。

 終盤になって、サリタから会いたいという電話がかかってくるシーンがもう一度描かれて。あ、あれ? この時系列、は、どう? えっと~。とちょっと思い直してみて、考えさせられた。場面切り替わりのたびに、これは、何?どうしてるの?なんで今そういう話し? とうまく呑み込めなくて、わからん、つまらん、って思ってたのが、ちょっとすっとした。

 その後はだいぶすんなりわかって、ぐっと面白かった。サリタはもう新しいふさわしい恋人がいて、アイゼイアはなんも言わない、言えないままに失恋。セブという男がマーカスを、サリタとつきあってるなんて許せないとばかりに殺したのだ、と断罪して、アイゼイアは、殺さなかったけど、心を殺すように踏みにじって、また怒り恨みをかってた。どうするの。またなんか後々絡まれるだろうなあ。
 サリタはこれで退場なんだろうか。セブ絡みでなんかあるのかなあ。

 ドッドソンとまた事件解決のために動いてる時、アイゼイアはそっけないながらもやっぱりドッドソンと一緒にいるのが心強いのかも、という感じをちらっと思ったりして、やっとちょっと人間らしさを持ってきたのかなあ。寂しく凍った心がちょっとはゆるんできているのかも。
 ドッドソンも、恋人と赤ちゃんを絶対に愛してる守るっていう信念ありながら、アイゼイアと組んでもっとでかい仕事したい、みたいな申し出をしていた。今後二人で組むのかなあ。どうするアイゼイア。

 一応の解決はあったものの、なんだかアイゼイアはやっぱり面倒な事態にすぐなりそうで心配。でもスクラップ置き場で出会ったグレイスという芸術家な女の子と、進展するのかなあ。
 3冊目も本国では出てるらしいので、続きがまた出れば読む、かなあ。んー。

 話しの筋を丁寧に描写、ってタイプの作家ではなく、シーンの断片、切り替えをしまくる感じ。ちょっと私がうまくついていけないのか……。どーかなあ。あと私はキャラ萌えしながら読むのが好きなんだな~と思う。あんまりこのキャラに思い入れ持てない。アイゼイアとドッドソンが今後うまくコンビになっていったら楽しくなるかなあ。どうなるのかわかんないけど。
 とにかく、がんばって読んだ。個人的満足感は最後まで読み切ってよかった、まあまあ、でした。
 


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『三体』 (劉慈欣/早川書房)

*ネタバレしてます。


『三体』 (劉慈欣/早川書房)


 中国のSF、ついに日本上陸! みたいなことで、発売前からめちゃくちゃすごい、すっごいぞすごいすごい、と、ツイッターですっかりあおられまくっていたので、なんだか、もう、乗るしかないなこのビッグウェーブ、と思って、まんまと発売日に買いに行きました。7月4日だったかな。しかし一番近所の書店には入荷がないとのことで。うっ。早川。あんなに煽っておきながら配本行き渡らないとかどういうことだよ。と思いつつ仕方ないので翌日もうちょっと大きな駅近くへ行くついでに買いました。その後バンバン刷ったようで、今はけっこうどっかんと積み上げられてるみたい。けど小さい本屋にも回してよ……もう回ったのかな……。7/14日に読み終わり。


 それはともかく。
 凄い凄いと煽られまくっていて、本編の中の短編というか掌編(?)「円」がネットで丸ごとアップされたりもしていて、この掌編がSF作品の中にどう、本編として入っているのか?? とそんなこんなも気になって、読みました。本当に私も面白いって思えるかなあどうかなあと思いつつ。私、あまりSFに詳しいわけではないし、ハイテクとかこんぴゅーたーとかわかりませんし~。

 始まりは1967年、中国。文革の嵐の中、大学教授で理論物理学者のである葉の父は、つるし上げられた挙句死亡。それを目の当たりにしていた娘、葉文潔もまた、囚われ、辺境での労働につくことになった。
 やがて、彼女自身の天体物理学者としての見込みが認められ、紅岸基地へ赴任を命じられる。周囲と隔絶し、巨大なアンテナを空に向けたその基地は、宇宙との交信をはかる基地だった。

 と、そんなこんなの過去の所と、現在、であるところは2000年代ってことかな。ナノテク研究している王淼の目に謎のカウントダウンの数字が見え始める。秘密裡に軍事会議らしき所へ呼ばれ、不可知の戦争が進んでいるらしいことを知る。
 そして謎のゲーム、「三体」へのログイン。人類の太古からの歴史、文明の興亡を見つつ、その世界の謎の気候、世界のありようを探るゲームだった。人類の、とはいえ、ひどい気候の頃には人々は脱水、といって、すっかり水のぬけた皮の巻物のようになって保存され、その世界の王だけが巨大なピラミッドや地中深くで、天体観測をしたりしている。王淼はここには三つの太陽がある、その引力、接近によって世界は極寒から灼熱、あけない夜などの乱期と比較的温厚な恒期があるのだと見抜く。
 そして、三体の謎を知ったものだけが集められ、人類はもう駄目だ、三体世界から、高度な文明を持つ彼らを招き入れ、地球を守ろう、みたいな組織を知る。

 ん~~と。話し壮大なので、あらすじ書ききれない。あちこち、あれこれ展開していく。けどまあ筋がわからないってことはない。主役的なのは、葉文潔、現代だとおばあちゃんになっている彼女と、王淼かな。学者であり行動する人である。お気に入りキャラとしては、史強かなあ。警察官で上からはうとまれているけど現場に強い直感とか根性とかある、したたかおっさんキャラ。
 けどまあ、いろいろいっぱい話広がるし、人物も多いですし。ちゃんと把握できているかどうか自分でわかんないなあ。多分一応、ちゃんと読めた、気はする。どんどん広がる話に、えっ、そう?? とびっくりしながら。

 葉が、太陽を反射板に宇宙へメッセージを送ってみた、そして返事がきた。人類への警告だったのに、人類に絶望しちゃってる葉は、人類を滅ぼしにきて!って返信を一人勝手にすぐさま送ってしまう。

 文革とか、過激過酷な時、人生を生きてきたとは思うけど、おおお~~~お前の一存で人類滅亡ですか????? って、すごくびっくりした。世界に、未来に、良いものも幸せなこともあるだろうに。葉の知らない世界があるだろうに。考慮ゼロ??????????????
 そんだけ彼女の絶望が深かった、と思わなくちゃいけないのかもだけれども、あまりにも視野狭窄。一応その時彼女は中国以外の世界もあるとか、それなりに知識教養深めているはずなのに。怖い……。まあ私は中国の事をほとんどわかっていない。けど。映画なんかで見てる感じの感触しかわからない、けど。

 連想したのが「ゴジラ キング・オブ・モンスター」で、あれもさー。息子失った母の暴走で、古代の怪獣呼び起こす、みたいな感じだったなーと。人類なんてもう駄目よ、みたいな。いやいやあなたの一存で。あなたが子どもを失った悲しみ苦しみを世界中に広げていいわけ? 同じ苦しみを人類全体が味わえってわけ?? と、思ったり。まあ彼女は人類滅亡させるつもりじゃないって感じだけどさあ。
 どいつもこいつもサノスかよ!?? なんで自分の一存で。嗚呼。と、つい、マーベル世界まで思いが広がって泣いてしまうぜ。

 ともあれ。なんかいつの間にか地球は三体世界に侵略されるかもね、ってことになってる。大変だ。人類は虫けらだ。だが、虫けらを絶滅させるなんてことは、簡単じゃない。
 てな感じの、一応生き残る希望を抱く感じで一巻、終わり。三部作だそうなので、続きがもっとすごいとかまたもう煽られまくってますが、続き、早く~。2020年に出るらしい。早く……。

 いろんなテクノロジーのお話は、まあ私は多分ちっとも理解はできてないです。なんかそういう理屈があるのですか、へぇ……ってくらいで読みました。わかる人が読んだらもっと面白いのかなあ。
 この壮大な広げっぷりがどうなっていくのか、どう決着するのか、楽しみです。

 

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『追いつめられた天使』(ロバート・クレイス/新潮文庫)

*ネタバレしてます。


『追いつめられた天使』(ロバート・クレイス/新潮文庫)

 ロスの探偵エルヴィス・コール
 というシリーズものの二作目らしい。1992年刊。『モンキーズ・レインコート』というのが一作目かな。なかったので、ひとまずこれから読みました。主人公はロスの私立探偵、エルヴィス・コール。相棒はジョー・パイク。元警官。かなり強い。なんか問題起こしたりしたことがあったりしたのかな。一作目でなんか二人コンビになることになったとかいう話とかあったのだろうか。わかんないけど。

 ともあれ今作から読んでも別に、事件そのものは単発なので大丈夫だったと思う。

 とある大富豪、ブラドリー・ウォーレンが秘書ジリアン・ベッカーと仕事の依頼にやってきた。自宅の金庫から盗まれた貴重な日本の本、「ハガクレ」を取り戻して欲しいと。
 警察では時間がかかりすぎる。その本は大事な日本の取引先から借りたものだ、早急に取り戻さなくては信頼を損なう。
 コールはそういう本を扱いそうな美術商方面をあたり始めた。

 そんなこんなで、ずいぶん日本アイテムがいっぱいだった。ブラドリーの娘、ミミが最初読んでいたのは三島由紀夫の「午後の曳航」だったよ。ステキ。ヤクザは当然悪い奴ら。殺人事件が起こり、ミミが誘拐され、コールは解雇される。
 本の行方は。ミミを取り戻せるのか。

 ロスの私立探偵ってこういう感じだ~って思う。皮肉、ユーモア。偉そうに命令されると反発する。権力や金とは距離を置き、綺麗な女性がいればダメもとという風に軽く口説いてみようとしたり。ふらふらふざけているようでいて、子どもが誘拐されたとなればクビになっていても引き下がらない。相棒のパイクは頼りになるたくましさ、強さ。格闘も銃もばっちり。
 てことで、なんとなく懐かしいというかレトロなというか。あれだ。シティーハンターの感じだな~。そしてロスでは私立探偵のライセンスが役に立つみたいな。いいキャラ。

 ミミの誘拐事件が、実は狂言だったということがわかる。本を盗んだのもミミ。コールが見つけ出しても家には帰りたくないという。単純な反抗期だとか家出ではない。父から性的虐待を受けていたというのだ。
 
 そう聞いてからのコールの対応が、全面的にミミの味方につくもので、感動ものだった。彼女の意思でそこにいること、そこで安全だということを確認して。児童相談、カウンセリングをする知人に連絡をとって。親たちにも治療、カウンセリングが必要だ、と説得と脅しをして。
 子どもへの虐待がしっかり問題視されケアされていくようになった時代だっけかなあ。27年前の本の中。ハードボイルドというか、探偵ものの本の中。でもこれ今現在でもこんな風にちゃんとケアの方針持ってるかどうか、だなあと思っちゃった。でも、思春期の子供の訴え、難しい。

 そしてミミがコールの提言を聞かず、父を呼び出して撃ち殺してしまう。また行方不明になった彼女を探し出すコールたち。
ヤクザに騙されてつきあうフリをされていると思っていたのに、本当にミミと恋して、ともに逃げようとしていたエディ。ミミもほっといて!っていう。

 難しい。ほんとに愛し合ってるならいいじゃない? って思いそう。だけどミミは16歳だし。殺人を犯したまま逃亡なんて未来はない。治療を受けよう、逃げるのはダメだ。
 こんな風に展開していくとは。面白かった。

コールは秘書ちゃんとしばし付き合うってことになるし。一応、事件は解決。でもほろ苦さは残る。ハードボイルドかあ。

 コールはネコを飼っていて。猫ちゃん可愛いでしゅね~って感じではなくて、なんだけど、でも、ああ、いいよね、ネコ。クールな猫でした。
 シリーズ他にも読んでみようかなあ。どうしようか悩む。ちょっと前に新刊が出てるようなので、それ読んでみるかなあ。でもすごい。30年近くにわたって、の、シリーズなんだよな? 新刊、たまーに出る、みたいな感じか。著者があまり多作な人ではないようなので、ファンはじっくり気長につきあっていくのかなあ。
 訳者のあとがきにもあったけど、名詞で止める文体のくせみたいなのもあって、はまるとすごく好きになるのかもしれない。時々読んでみようと思う。

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『モーリス』(E.M.フォースター/光文社古典新訳文庫)

*ネタバレしてます。


『モーリス』(E.M.フォースター/光文社古典新訳文庫)


 モーリスは父を早くに亡くしたものの、母、妹たちと穏やかに暮らしていた。パブリック・スクールへの進学。その後は仕事につく。教養ある紳士として家族の中心となるべく学びに行った。ラグビーも楽しんだ。
 クライヴ・ダラムという一つ上の学生との出会いが、モーリスの心に押し込めていた感情を目覚めさせた。ギリシア的な愛。互いを高めあう精神的なつながり。議論を戦わせ、あるいはただぼんやりと一緒にいる。
 幸せな学生生活が終わると、やがてクライヴは地主として、政界入りを目指して、そして女性を愛するようになり、結婚する。
 モーリスをもう愛していない。
 一人苦しみの中に残されたモーリスが新たに出会ったのは、森番のスカダーだった。


 映画はずいぶん前に見て勿論大好きですが、本を読むのは初めて。去年の6月刊行。その時買ったまま積読でした。やっと読んでみた。読み始めると、すごく読みやすくわかりやすくて、ときめく。さすが新訳。

 書かれたのは1913年ごろのようで、その後改稿はしつつ、出版はなされなかった。イギリスの同性愛は罪、の厳しさの中ではとてもそんなことは出来ないということだったらしい。作者の死後、1971に出版されたそう。そんなこんなの、作者自身のはしがきがあったり、解説も丁寧で背景わかりやすくて面白かった。

 モーリスが、魅力的な、だけどちょっと素朴で自分の気持ちにさえ気が付くことがなかなかできない、そんな戸惑いや苦悩の様が映画よりもよくわかって、本を読んでみてよかったなあ。
 クライヴのほうは、映画の印象よりだいぶ酷い気がする。同性愛者ではなかった、ってことかなあ。青年期だけの思いだった、ってことで、結婚とかモーリスと別れるとか、別にあんまり悩んでない。モーリス可哀相……。
 モーリスもまた、年を重ねれば同性愛傾向が消えるのでは? と希望を持ってみたり、それでも治らない、と、医者に相談したり、でも全然あてにならなかったり、催眠術で治療を試みるとか、滑稽なほど悲しい。同性愛は罪。同性愛は汚らわしい。ありえない。異常な病気だ。そんな背景が辛い。

 森番、アレックス・スカダーと会って、多分お互い一夜だけの勢い、だけど、忘れられなくて、でも会えない、怖い。そんなすれ違いから、スカダーのほうはモーリスを脅迫するような追い詰め方をしようとしたりして。辛い。でも、本当は互いの気持ちは一つなんだ、という、ハッピーエンドになるのは素晴らしい。同性愛は罪。そもそも階級が違う、みたいな、当時の社会を超えて、愛の物語として終わる。

 今は、同性愛者がいることは当たり前で、もう罪ではない。結婚だってある。それでも、差別も偏見もまだまだあるだろう。けれど、ハッピーエンドが、ありだ、という世界のさきがけとして、『モーリス』はあったんだなあ。

 また映画見よう。切なく。けれど、ハッピーエンドな世界を。

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『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)

*ネタバレしてます。

『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)


 ぬばたまおろち、しらたまおろち のシリーズ3作目。

 ディアーヌ学園は夏至祭の準備で大忙し。生徒会の副会長になってしまった綾乃は会長のマロさんたち一同と準備に追われている。それが終われば試験。それが終われば夏休み!
 夏至祭の夜、ミフミフこと三船先生を訪ねてきた人がいた。子供のころ英国へ渡った妹、妃早子・ミラー。一ふさ赤い髪が印象的なその人も魔女だ。

 群馬にある五郎丸湖に、謎の生物の噂があった。ネッシーのようなそれはゴッシーと呼ばれる。昔、綾乃を狙った首長竜とは違うはず。だが、その竜をめぐって過激な生き物保護団体と、もともとの所有者から依頼を受けた小人のミハイルさんが対立することになり。五郎丸湖の近くに別荘を持つマロさんの所へ遊びにいった綾乃たちも巻き込まれていく。

 今度は英国からきた魔女!? ってなわけで、綾乃ちゃんたちの学園生活と、ドラゴンと、過去の因縁とか生物保護とか、閉じた生態系での先細りの問題とか、またしてもものっすごいいろいろ盛沢山。すごいよなあ。毎回、よくこんなに山盛り要素詰め込んで、でもしっかり話が作り上げられまとまって畳まれるの、やるなあ。

 綾乃ちゃんと雪くんのらぶらぶも深まっちゃって~。って思ってたら、大蛇の姿から戻れないとか、最後には記憶をなくす! だなんて、かなりドラマチックだった。アロウの人格、蛇格? との融合というか混乱というかの不思議。綾乃ちゃんとしては二人相手にラブラブってことでこのままいくのだろうか。それ、双子といっぺんにつきあうみたいなダブルラバーって感じにはならないのか? 体一つだからいいのか? まあ二人と、ってことでもまあ、まあいっか^^ 
 最後の所で、記憶をなくした雪くんに読ませる物語として、「ぬばたまおろち、しらたまおろち」って綾乃ちゃんが書いてみたよ、ってなってて、わ~、と思う。

 これで一区切り? でも英国勢とか敵対しそうな感じ~で、まだまだこれから世界が広がるのかなあって感じ。第一部ここまで、で、また第二部、みたいになっていったりするのかなあ。綾乃ちゃんたちが卒業するまではやる? やるよね? やってほしい。

 ゴッシーを箒代わりに、代わりっていうか、またがれるものなら飛ばせられるのかー魔女すごーい、っていう飛行の旅の力も面白かった。
 けどその前の、豊くんと綾乃ちゃんが誘拐!?っていうのは心臓に悪い;; 子どもをさらうなんて絶対ダメ;; RSPES 英国希少生物保護協会ってゆーの、一部の暴走とかっていっても、も~~~絶対悪い組織って思っちゃう;;

 あ。しかし英国で魔法生物と連想すると、ファンタジックビーストのニュート先生の教科書とか使ってるのでは~。なんて勝手に妄想するのも楽しい。

 いろんな問題がそれなりにうまく収まって。ゴッシーたちも今後幸せに暮らしてくれるといいなあ。綾乃ちゃんとのことを雪くんらは思い出すだろうか。でも思い出さなくてもまた恋するんだろうなあ。しかし大蛇の恋人で婚約者って、つくづくえろいっすね。もえるぜ。
綾乃ちゃん竜に変身しちゃうかも、どうなのかな、今大丈夫なんだからもう大丈夫って思っていいのかなあ。あの首長竜の過去の因縁はもう大丈夫なのかな。心配。とかも楽しみ。
 
 シリーズをリアルタイムに追っかけて読む楽しみを味わっててしあわせだ~。過去作の細部は忘れてるな……と思うけど~。話が進んでから、えっ、って振り返る感じも楽しい。ディアーヌの生徒たちみんなの幸せを願いながら待ってます。

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『償いの雪が降る』(アレン・エスケンス/創元推理文庫)

*ネタバレしてます。


『償いの雪が降る』(アレン・エスケンス/創元推理文庫)


 ジョー・タルバートは大学生。英語の課題で、年長者にインタビューをして、その伝記を書かなくてはならない。あいにくジョーは母子家庭。祖父母はもういない。ろくでもない母の話を聞くなんて考えられない。そして老人ホーム、シニア・センターとかそういう所で、話を聞かせてくれる人を見つけようと考えた。
 そして、知り合ったのは殺人犯。14歳の少女をレイプし殺し死体を放置した小屋に火をつけた罪に問われた男。カール・アイヴァソンというその男は癌で余命数か月となり、刑務所を出て施設で死を待っていた。

 カールが話してくれたのはジョーの心の奥のトラウマ的な告白のあと。ジョーは11歳の頃、祖父と釣りにいった川で、誤って転落した祖父を助けることができず、ただ見ていたことを悔やんでいた。その死は自分のせいだと。
 カールはジョーの真摯さに応えるように、ベトナム戦争での経験を語る。
 話を聞くほどに、カールが犯人ではないという思いを強めていくジョー。

 そんなこんなの、若者の探偵ごっこ、まあ、ごっこってわけでもないのだけれども、カールの無実を信じ、行動していくジョーのピュアさと無謀さにハラハラひきこまれていく。危ないよ~~~ちゃんともっと警察を頼るとか~~してくれ~~。

 ジョーにはジェレミーという弟がいる。自閉症かな。18歳だけどまるで子どもで、環境の変化が嫌いだし独自のこだわりが強い。母はだらしない。その家を出て、大学生としてやっていこうとしているのに、なにかと足をひっぱられるの。ジェレミーのことは好きで大事にしてやりたいけど、重荷にも感じていて、ジェレミーを引き受けることなんてできないと思っている。けど、その思いが変わっていくのもよかったな。感動……。お兄ちゃんだなあ。いいお兄ちゃん。ジェレミーの特性に合わせてうまく話をしたり、カッとなるのを抑えたり。お兄ちゃん、大変だよなあ。それでも弟を守るお兄ちゃん;;ジェレミーもお兄ちゃんが好きなんだよねー。幸せになってくれ。

 ジョーのお隣さんとして、同じ大学生のライラがいる。なんとか彼女の気を引きたいと思っていたところ、ジェレミーとのつながりで、ライラと夕食をするまでにこぎつける。そして英語の課題の話、殺人犯にインタビューの是非についてとか、意見を交わして仲良くなっていく。
 ライラにも辛い過去があった。男の子たちといちゃいちゃするのが好き、というふわふわした日々でいた所、次第にただ簡単にやれる女扱いになり、レイプ被害にあう。そのカウンセリングで一年の休学があったという。
 そういう、傷ついた心を誰もが持っている。

 ちょっとさ、キャラクター作りとか、話の筋道づくりの作者の手つきが見えるような気がするな~。うまくまとまってて、都合よく甘い気が、しないでもない。ストーリー作りのお手本とかキャラの肉付けのポイントとかマメにおさえて書き上げられたのでは。って気がする。素直でわかりやすくて、ドキドキハラハラもあって、ピンチ、脱出、とか、実は最後に頼りになったかっこいい刑事とか、カールの死に間に合うように現在の大事件が過去を明らかに、そして救済、みたいなのも。ほんときれいにまとまってるんだよねえ。

 殺された少女の日記にはシンプルな暗号が記されている。それこそが本当の犯人を示す手がかりなんだけど、カールが捕まった時には暗号は解読されてなくて、カールもむしろ逮捕されることを願っているかのようで、すでに状況証拠は十分ってことで見過ごされてきた。
 しかし、ジェレミーの他愛ないおしゃべりがきっかけで、タイピングに使う例文がキーだ、と気づくと、犯人は義父だとわかる。
 でも本当はその息子、義理の兄だった、と、さらにわかる。おおー、ヤバイ。と、読みながら緊張しちゃった。だからさ、もう~~さっさと警察に行こうよーー。

 ともあれなんとか無事事件終了。カールは大雪のうつくしさを眺めることができて。そして無罪になった知らせを聞くことができて、逝った。
 カールの葬儀の日に、犯人が他にも犯行を重ねていて、別の被害者に懸賞金がかかっていて、ジョーたちは10ドル、さらにもうちょっと、受け取ることができるという。
 ジェレミーを引き取り、学生生活を続けることができる。そんな救いもあった。めでたしめでたし。ドキドキハラハラも、しんみりしみじみも、たっぷり堪能できて、良かったなあ。

 これは作者デビュー作だそうで、いろいろ賞もとってるみたい。本国2014年の作品なんですね。その後、この中のキャラでの話とか、今作の続編とかも書かれているみたい。読んでみたいかも。ルパート刑事の話特に読みたいよー。翻訳されるのかなあ? でもこの続編はきっと翻訳くるよね? わかんないけど、お待ちしたい。出ればまた読みたい。もっと洗練されていってるのか、なんかもっと深くなってるのか。読みたいな。

 

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