映画 「ウィンター・ブラザーズ」

*ネタバレしています。


映画 「ウィンター・ブラザーズ」

(監督:フリーヌル・パルマソン Hlynur Pálmason / 2017年 / デンマーク、アイスランド / デンマーク語(Danish)、英語(English) / 93min / 字幕:日本語・英語)

 トーキョー ノーザンライツフェスティバル2019 に13日行きました。
 今年はマッツの映画はなかったので心穏やかに。ラース・ミケルセンが出てるのね、と思ってこれを見に行きました。登場の時、おっさすがマッツと声が似てる、と思った。けどマッツがお兄ちゃんに似てる、だよね。


 真っ暗闇から始まる。機械の轟音が響く。ヘッドライトのわずかなひかり。採石場なのか。掘っている。作業員たちが喋ったり、隠し持った酒を飲んだり。やがて仕事を終えて地上へ戻る。外は雪景色。巨大な機械。工場? 石灰工場だそうです。
 兄、ヨハン。弟エミール。二人だけの家族らしい。工場の化学薬品を盗み、粗悪な密造酒を作って周りに売っているエミール。
 老人に、金の代わりにライフルを貰うエミール。
 雪。石灰の白い汚れ。寒さ。唸り続ける機械音。なにもかもが鬱屈した閉塞感。

 工場主、経営者? 監督者? に、薬品泥棒がバレる。酒を売っていた中の一人が体調崩し、倒れた。恋人は兄と寝た。散々な目にあうエミールだけど、自分がしでかしたことのツケでもある。あ、寝とられたことだけはちょっと可哀想か。


 ずっとうるさい映画だった。機械の音。音楽というか効果音? それもうるさい。ずっと苛立ちをつのらされるような映画。寒そうだし。この不快感の中にどっぷりなのが、エミールたちということかと思う。
 けど、な、なんだよなんだよ。何故私はこんなにも不快に耐えながらこの映画を見ているんだ、と、あまりのうるささに眠くなりかけたりしながら、じっと見続けた。
 
 エミールたちは仕事場と家との往復だけの毎日。辺鄙な田舎みたい。何もない。気晴らしや楽しみにすることが何もなさそう。粗悪な密造酒、明らかに体に悪そうというか酒でもなさそうな気がするそれを、飲むしかないような。
 そんな中でも、エミールは恋人がいて、この先もずっとこんな風に暮らすんだろう、って受け入れていて、けどやり場のない鬱屈はあるようで、なんだか奇行に走ったりしているような。兄との関わりは淡々としているようでいて、けれども、二人だけ、という密室感もある。お兄ちゃんさあ、弟を困った奴と思ったりしててもやっぱ大事で可愛いんだろう、なあ。そりゃやっぱり。
 恋人とられた、ってキレた兄弟喧嘩のシーンは、兄は全裸、弟もパンツひとつで、いろいろもろ見えで、アクションシーンみたいなことじゃなくて、ほんとただ喧嘩してるって感じのリアルがすごかった。あげくに、あやうく弟が死んじゃうかも、ってなって焦る兄。必死に蘇生を試みる姿はやっぱり大事なんだなあとすごく伝わる。
 男の子兄弟ってあんなだったりするのかも、と、思ったり。わからないけれども。

 ライフルを持って、ビデオかなんかで射撃練習を重ねて、また全裸で部屋で銃を構えたり体勢練習したりするエミール、全裸で。
 あんなに寒そうなのに、きみたち平気なのか……。まあもちろん家の中は暖房してるだろう、けれども、隙間風だらけって感じのボロ家だったりするのに。そこで暮らして慣れているってことなのか。こわい。

 エミールのささやかな仕返しも。酒のせいかどうかはっきりしないまでも死んじゃったらしい仕事仲間も。なんだか何も決着はつかない感じ。
 エミールはクビになった。けど。恋人にマジック見せてちょっと仲直り、って感じとかで、終盤ではちょっと笑顔見られた。けど。けど。どうなの。そこに未来はあるの? なさそうなんですけど。
 終りは、また真っ暗な地下。掘ってるのはお兄ちゃんか。真っ暗。暗い。そして、終わった。
 ……え? 終わった?????
 と、どう受け止めていいのかわからないままに、終わった……。
 エミールの妄想だか幻覚だかも混じったりして、おお??? と、なんだか本当に、どう受け止めていいのかわからない。この、やるせないどうしようもない、ずっとうるさい、ずっと不快、ずっと闇の中てさぐりにすすむような、この感じ、っていうのを味わう映画だったのかなあ。

 ラース・ミケルセンはさすがの迫力。かっこいいし。いい声。一見物静か。クールに優し気にしていながら容赦ない感じ、すごい。出番はほんとちょっとだけど、あーこの上司に睨まれたらダメだ、という強い印象ありました。
 エミールのささやかな仕返し、で、窓ガラス割れてびっくり、のシーンはちょっと可愛げがあってほっこり。素敵だ。
 映画は、ぐったり疲れてしまったけれど、ともあれラースを見たかったので満足。
 ノーザンライツフェスティバルはほんと他で見られない映画があって、ステキです。そしてやっぱり、寒いよー。さすが北欧。映画の中と、見終わってからも、感じる北欧。ま、もちろん全然違う寒さなんだろうけど。
 久しぶりに渋谷で散歩したりもして、いい一日でした。

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映画 「ファースト・マン」

*ネタバレしています。


映画 「ファースト・マン」


 IMAXで見てきた。
 デイミアン・チャゼル監督とライアン・ゴズリング主演のコンビ。「ラ・ラ・ランド」と同じく、ということで、正直そんなに好きってわけでもないよなあと思いつつ。

 1960年代。アメリカといソ連の宇宙開発競争。ソ連に負け続き、なんとしても月へ、という圧力と、でもそこに大金つぎこんでなんになるのか、という風潮もあり、みたいな中。
 ニール・アームストロングは、テストパイロットだったのかな。妻と、子ども。カレンという小さな娘が病におかされ、亡くなってしまう。不意に、ジェミニ計画のパイロットに応募して、受かる。
 訓練は続き、計画は進み、実験は続き、ついに、アポロ計画。月への着陸への挑戦の時がくる。

 ニールはあまり感情を表に出さない人物、ということらしい。以前「ドリーム」で、裏方スタッフとして働く地上クルーもすっごく大変、みたいなのを垣間見た気分だったので(あれはアポロ計画ではないやつだけど)今度は宇宙飛行士の側の世界を垣間見た気分になるの面白かった。
 ニールがNASAに入ってからの数年、物凄い技術開発しまくりなんだなあって、素人目にもなんかすごい、すごく、すごい感じになってる気がする、って、思う。

 それでも、飛行士が乗り込むコックピットは毎度柩のようだ。死ぬ。閉じ込められて、死ぬ、という気配が満ち満ちている。こわい。
 月面着陸までには、いろいろ大変だったんだろうなあとは思っていたけど、それにしても物凄く大変だ。
 犠牲も、あんなに出ていたんだと、知らなかった。
 特に、もう出発、みたいになってる所で、火災発生、あっというまに爆発、あれ、物凄く怖かった。あんまりだ。辛い……。


 宇宙飛行士の、月へ向かっての、チャレンジ、という、華やかにわくわくの脚色もできそうなものだけれども、この映画はニールの物語だった。極めて個人的な。一人の男、独りぼっちの男、ニール。陽気なジョークかますアメリカンだったり俺にまかせとけ!な頼れるリーダー!って感じでは全然なくて、訓練、実験を淡々とこなし、学び、トラブルに向き合う男。ヒューストンとの交信とかもさー、もうちょっとどんどん喋ってあげてよーと思った。

 ニールが選ばれたのって、トラブルに強いから、という感じ。宇宙飛行、月へゆくロケット、あまりにも、頼りない;; もちろん、当時の技術の最高峰であるに違いないんだけれども、でもなんか、なんか、ええ~~~なんかそんなんで宇宙行くの??? って、すごい、無骨だしとにかく作った!って感じが、物凄い。怖いよ;;

 そして実際、事故で飛行士が犠牲にもなり。大事な友達、同士を失い。毎回死ぬかも、って感じで訓練繰り返していたのではないのか。超人だ……。家庭でなんかぎこちなくなっちゃうのもわかる。けど。けど。
 妻が結構厳しいね~と思ったけど。しかし妻も、毎度、毎日、文字通り夫は今日死ぬかも、みたいな気持ちになったりしてたんではないかと、思う。辛い。安定した生活がよかったのに、って思うの当然だよね。

 ニールとか、同僚パイロットとか、地上クルーとか、なんかえらいさんとか、仕事だ、日常だ、という風に月へ向かう夢に取り組んでいってる、淡々とした様がすごくよかった。
 ニールはもちろん、誰も、悲劇に際して激高して泣き叫んだりなんだか感動的な演説ぶったりしないの。ただただ押し黙るしかない。ぐっさり効くわ。

 ついに月へ到達して、月面に降りる、ってなった時。一切の音が消えて、宇宙にむき出しになる。着陸して一歩踏み出す。その時の会話とか、もしかして本物? って思っちゃった。なんだかライアン・ゴズリングのセリフだとは思えなかった。
 「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」という名言もね。
 ニールは少し一人で離れていって、亡くなった娘、カレンの、ブレスレットかな、大事にとっていた思い出の品を月に落とす。天に帰すという感じかなあ。カレンを失ってからのニールの長い旅の到達、か。

 ニールという人が、内にこもりがちで、家庭ではどうにも不器用な父だったりもして、でも同僚とビール飲んだり家族同士の付き合いしてたり、息子と遊んだり叱ったり、妻のご機嫌損ねたり、それでも愛がある感じとか、当たり前に一人の男としての姿であるの、とてもよかった。超人だけど、彼はそういう人なんだなという、等身大の感じ。

 IMAXで見たわけで、巨大スクリーンなのね。この映画、ものっすごい人物に寄って撮ってる。アップもアップ、巨大スクリーンに人間の顔ドアップでガンガンくる、寄り過ぎなのではって気持ち悪いくらい。それでも美しかったよ。俳優たちよ。素晴らしい。
 狭いコックピットだとかのシーンもいっぱい、そしてギイギイキイキイ不安になる機体の音、激しい揺れ、やべえ、酔うかもって感じ。大気圏離れるのって、すっごいタイヘンだ……。電車やバスの揺れでも酔うことになる私には無理だな。まー宇宙へ行く機会なんてないけどな。それにしても人間には向いてないんだよ大気圏から離れるの……。月とか無理でしょ……。ほんと、よく行って帰ってきたよねえ。凄い。

 でも人間には宇宙は向いてないっしょ、と、思う。ガンダム世紀のニュータイプ登場を待たねばならないでしょう……。人の描写はとても静かで、機体やエンジン音は物凄く激しくて、面白かったな。宇宙飛行士、本当に凄いです。


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映画 「アクアマン」

*ネタバレしています。


映画 「アクアマン」


 2018年製作、ジェームズ・ワン監督。
 ジェームズ・ワン監督~ってよく聞くなあ、と改めて見ると、ホラー作品が多いのね、で、「ソウ」の監督なのか!あれ、見に行ったぜ震えたぜ。と、ようやくいろいろ認識。つまり、監督を確認したくなるほどに、すっごい!すっごい面白かった!!!!!


 「ジャスティス・リーズ」バットマン筆頭にDCヒーローが終結!ってのにアクアマンも誘われてたなーという程度の理解しかない私ですが、これがヒーロー誕生譚なわけで、よく知らなくても大丈夫すごく、すっごくすっごく面白かった! ドーン!ガーン!バシャーン!次々にどっかんどっかんくる~!しかも超絶パワフルでかっこいいの塊がっ!

 始まりは、嵐の夜。アトランティスの女王であるアトランナが打ち上げられている所を、灯台守のトムが助けた。そして恋におち、子どもが生まれる。海の女王を母にもち、灯台守の息子、アーサーと名づけられたその少年は、逞しく成長し、海で海賊と戦ったりする謎のフィッシュマンとして噂されていた。
 ある日、メラという女王がまた陸へやってくる。アーサーの弟にあたる王が、海底の7つの王国をまとめ、陸へ戦いを仕掛けようとしているのだと。アトランティスの王になるのはあなただ、弟をとめるべきだ、と頼まれるが、アーサーはとりあおうとしない。
 不意に、津波が沿岸を襲う。巻き込まれ、危うく父が死にそうになる所だった。津波の被害は甚大。打ち上げられたのは沈んでいた軍艦や大量のゴミ。このまま海と陸との戦争になってしまえば、大勢の犠牲が出る。
 アーサーはメラにつれられて海底深く、アトランティスへ向かった。


 そんなこんな。貴種流離譚っていうか、王が自分の王座を取り戻す話、が、基本。元々興味などなかった王座だけれども、陸と海、二つの世界の橋渡しとなる、真の王であるという運命を担うことになるアーサー。
 でもさ! 苦悩する王じゃなくて、おっしゃーやるならやるか! ってな勢いで、なんかとにかく行動あるのみ! という勢いが凄い!

 なんかもう、すっごい、あらゆる楽しい映画要素全部盛りもりにして、すごい!おもしろい!かっこいい!!!!わああ~みんな~どのキャラも全部全部かっこいい!!!!!って、スクリーンから面白さかっこよさをどっかんどっかんぶつけられてくるんだよー。すっごい。
 ツイッターで見かけた、「海のバーフバリ」という言葉に深く納得。ああこの塊でかっこいいがやってくるすっごいパワー、バーフバリ的だ~。

 まずラブロマンス的な始まりでしょう。そして運命の子どもが、師匠に鍛えられて強く成長する。潜水艦に海賊で、それをぶっとばす超人誕生。んで、またスーパー有能強くて謎の美女がやってきて冒険の旅に連れ出される。弟との対面。王座をかけた戦い。隠された伝説の武器、最初のアトランティス王の墓を探せ、ってインディ・ジョーンズ的な砂漠への旅に始まってヒントを追ってイタリア、恋のときめきらしきところからさらに海の彼方へ。海底の試練、秘密の入口から別世界へ。そして、母との再会! そして、恐ろしい怪物が守る宝を手にする試練。試練、っていうか、もうあの武器手にした時には王だ、って決まってたようなもんだなあ。誰にも引き抜けたことのない武器、って、まさにアーサー王伝説なんだけど、あっさりとゲット。そして、海の覇者として、弟たちが7つの王国を従えようとしていた戦いの場へ登場! 海の生き物たちを従え、弟、オームとの戦いに勝利して海の英雄、王に、守護者になる! とゆー。

 途中の要素要素でそれぞれ一本映画できますね、という贅沢盛り沢山なぎゅぎゅっと詰め映画。次々舞台は変わっていくけれど、話がわからないとかはない。キャラしっかりたってるし、次あっちいくぞ、ていう説明、説明じゃないけど、メラとアーサーと短いやりとりでちゃんとわかって動く。基本的には二つの世界の戦争防ぐために俺が王になる、っていうシンプルストーリーだからね。
 
 敵役として、最初は、海賊の一味の、父と息子がいて、潜水艦を襲ってた所をアーサーが助けにきて、その海賊父子は自業自得として見捨てていく。だけど、そこで悪いやつなんだし自業自得だろって見捨て見殺しにしたことで、恨みをかって、ブラックマンタってヴィラン誕生となってしまう。アーサーはあとで、あんな風に見捨てたりしたからだ、とちょっと反省。超人だったけど、まだヒーローじゃなかった、ということなんだね。

 そして弟王、オーム。元々、アトランナは王国同士の政略結婚が嫌で逃げ出してトムと出会い、ってことだったんだけど、結局トムとアーサーを守るためには自分が王国に戻るしかない、と帰っていったんだよね。で、その政略結婚でオームを産んだ感じ。息子のことは愛してる。けれど、まーわかんないけど結局陸に子どもがいるなんて、ってことで追われて生贄として海溝の奥へ捧げられ、死んだ、ってことになった母を慕っていたオームは、陸の兄上のせいだって多分恨みつのらせて成長し、自分こそがアトランティスの王だ、と示したくて、海の王国まとめて海の覇者になりたいよー、そのために地上から攻めてきたってことにしようって多分自作自演仕組んだり。なんでだか知らんが父王の代から仕えている有能な参謀バルコが兄に期待をかけて密かに鍛えてるとか気に入らん、で、満を持してバルコを投獄、とかしたり。

 結構、オームくんは、大変だなというか、始まりとしては可哀想な次男って感じと思う。母を奪われ、頼りにする参謀は密かに兄のほうが大事らしいとか、彼なりに多分がんばって立派になろうとしてるのにいろいろ酷い目にあってしまっているのでは、と、背景を想像しちゃうなあ。クールビューティーなハンサム~。
 演じているパトリック・ウィルソンて、「オペラ座の怪人」のラウル役でブレイク、ってあって、あああああ~~~あの! と納得してしまった。年を重ねて渋く、でもいっそうクールに美形じゃないですか~。素晴らしい。いろんな映画で活躍してるらしいけどあんまり私は見たことなかった。や~~。素敵ね。

 ブラックマンタくんは海の藻屑、にならずに、なんか海の神秘だか陰謀だか探りたいようなちょっとクレイジーそうな博士に助けられていて、今後もアクアマンへの恨みつのらせていくんでしょうか。続編あったらまたヴィランとして登場する? 宿敵みたな感じ? なかなか辛いところだなあ。あの感じは父の仇、って憤ってるのもわかる気はするし。ん~。

 メラ女王も強かったし、アトランナももちろん強かった。アトランティスじゃ王族は誰よりも強いからこそ王って感じなんだなあ。
 で。
 アーサー、アクアマンを演じる、ジェイソン・モモア。モモアマン~^^ 私はアクアマンとしてしか知らないのだけれども、いろんなレッドカーペットだとかなんか、ほんと、チャーミングな人~って感じがすごく可愛いんだよね~~。もっちろん素晴らしくかっこいい!ナイス筋肉!ナイスガイ! 目が金に光るとか、最後の金と緑の王者スタイルのかっこいいことかっこいいこと! すっごいです。かっこいい~~。
 アーサーのキャラにはモモアさんのキャラが入ってるんだろうなあという、ちょっとこう、大変な所でもひょうひょうとしてて、ユーモア、余裕感じられるの、すごく魅力的だった。
 アトランティスの伝説とか神話、そんなの大昔のただのお話だろ? とかアーサーがちゃかすのがうんうんって観客のせていってくれるし、そうであってもそれがリアル、っていう、いやまあもちろんそもそもアーサーの存在がミラクルでしょってことなんだけど、でも、ああ本当だったんだ!みたいな力技を楽しく成立させていて、すっごいわ。

 これでもかー!と目にゴージャス! 大体水の中なわけで、あ~すごいCGというか、映像技術としてもなんかもうすごいことになってるな~~~って感動するし。なんも考えずに、わ~~綺麗~~凄い~~!って楽しいし。
 アクションはもちろんめっちゃ凄いですし。イタリアの街、屋根走って逃げまくるメラとか、一般人のおうちを壊さないでよ~ってあるあるな、壁とか窓とかぶっ壊し逃げる戦うみたいなのもある、で、海中での、海の生き物勢ぞろい~!の戦いもある。
 かつて三国志だとか指輪物語なんかでも、こう、ばーん!わーっと広大な中勢ぞろいする馬や軍隊、って感じが、海中で。サメVSタツノオトシゴ!みたいだったり。海のものらしいメカメカしい船だったりの、宇宙戦争みたいな感じとかねー。海中って3Dだよね~。上からも下からもどっかんどっかんですわ。

 すごい、何でもありかよ!って突っ込みつつ、めっちゃ楽しかったほんっと楽しませてもらった。素晴らしいわ~~~。こんなに何でもありで盛り沢山で、ちゃんとブレずに、王の、英雄の誕生を骨太に描き切ってるのすごい。背後に妄想できるそれぞれのここまでの物語がいっぱいちゃんとあるって感じがするのもすごい。キャスティングもキャラも素晴らしい。

 嘘やん~とかアホな~~とかいいながら、でも最高かっこいいーっ!って飲んで騒ぎたい映画!みんな可愛くてかっこよくて最高でした^^

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映画 「ジュリアン」

*ネタバレしています。


 映画 「ジュリアン」 (2017年、フランス)


 離婚調停。アントワーヌと離婚したいミリアム。二人の子供のうち、姉はもう18歳なので対象外、だが息子ジュリアンは11歳。ジュリアンの供述が読み上げられて、あの男が怖い、会いたくないという訴えがなされるが、共同親権ということになり、ジュリアンは週末に父であるアントワーヌに会うことになる。
 離婚に納得いかないアントワーヌは、ジュリアンを問い詰め、ミリアムの電話番号や住所をつきとめようとする。
 ママはいないよ。とか、家は3階、とか、必死の嘘をつくジュリアン。ママを殴らないで、というジュリアン。それでも、子どもであるジュリアンにそれ以上なすすべはない。
 面会の時には、アントワーヌの実家へ一緒にいって、祖父母に守られるかに見えたが、キレやすいアントワーヌに祖父もまたキレる。
 ジュリアンは逃げられずに、今の住所をアントワーヌにあかすことになる。もうモメたりしない、と言ったアントワーヌだったが、ミリアムにも娘にも歓迎されないことに苛立ちはつのり、ついに深夜、銃をもってジュリアンたちの家に押しかけてくる。


 暴力ストーカー元夫であり父親であるアントワーヌ。彼が、怖いのなんの。すっごい緊迫感いっぱいで見てる間ずっと緊張してしまって、映画のあとぐったり疲れた……。
 ジュリアンに寄り添うカメラ。父との面会で、車で送り迎えされるんだけど、その車に乗らなきゃいけない。シートベルトしなくちゃいけない。怯えながらもママを守らなくちゃいけないから詰問されることに無言だったり嘘ついたりしなきゃいけないジュリアン。

 ポスターで、金髪のきれいな男の子が車のシートベルトしてて、怯え泣きそうな、でも耐える強さを奮い立たせているような、その写真に惹かれて見に行くことにした。美少年くん~ってくらいで、あんまり内容知らないままに見て、ぐったり……。
 車のシートベルトをしてくださいのアラームとか呼び鈴のブザーとか電話とか、鳴る音。小さな電子音。なんでもないはずのその音に緊迫感高まって、すっごい。責められ、追い立てられているように感じでめちゃめちゃこわい。嫌だ。


 まさに今、日本で、子どもが親の虐待で死亡したニュースが流れている。
 子供は、社会の中であまりにも無力で、大人の言う事きかなきゃいけない。どんなにあの男がこわいといってもそれが親で、親がクソである場合、子どもが逃れる術はほとんどない。
 ジュリアンはママが必死で守ってくれた。
 アントワーヌが押し入ってくるっていうあの恐怖を一緒に体験する映画で、本当に、こわい。ホラーというか。話の通じない人間こわすぎる。

 一応、アントワーヌって、俺は誰からも何処にも歓迎されない男だ、って、寂しさのあまりの苛立ち暴走みたいな感じだったけど。あんたが暴力ふるうような男だからだよ。こわい。彼の中では俺を愛してくれないお前が悪い、って、自分が被害者気分なんだよなあ。こわい。猟銃みたいなの持ち出して発砲し、ドアを壊し、警察呼ばれて捕まっても、家族に会いにきただけだ、ミリアム、やめさせてくれって元妻の名前を叫ぶ。こわい。自分が悪いとは思わない思考回路か。こわい。

 ジュリアンも、妻も、一応かつて家族だった、という感じで、かたくなになりながらも、アントワーヌがキレてないような感じの時には簡単には拒絶できない。下手に拒絶して怒らせるのが怖いってなってるってことかなあ。ほんと、暴力夫から、父から、逃げるのって難しい。こわい。

 警察が間に合って、助かって本当によかった。
 ジュリアン役の子、撮影後にちゃんとケアしてもらってるかなあ。本当に、子どもはちゃんと守られてて欲しいよ。あったかくして美味しいもの食べてね、って、願ってしまった。思ったとおり美少年だった~。あ~子供だなあというひょろっとか細い感じ、不安になっちゃうよ。すごい。名演だった。
 
 助けが必要な声をちゃんと聴くこと。子どもや弱いものを暴力から守ること。簡単なことじゃないけど、ほんとうに、子どもはちゃんと守られてほしいよ。考えなくては。

 映画館ハシゴで一日二本見ちゃった。肉体的にも疲れるし、精神的にも疲れる二本を見てしまった。やれやれ……。でも見ておいてよかった。

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映画 「フロントランナー」

*ネタバレしてます。


 映画 「フロントランナー」


 1988年、次期大統領に最も近い男と言われたゲイリー・ハート。社会を、国家をよりよくする政策、理想を持ち、幅広い支持者に支えられて順調に選挙運動を進めていた。
 だが、妻以外の女性との密会を報じるゴシップ記事をきっかけに、マスコミが家族にまで殺到。ついに彼は立候補を断念した。

 ヒュー・ジャックマン演じるゲイリー・ハートは、ハンサムでリーダーシップ溢れ、若者や弱者に寄り添う政策を掲げ、理想に燃えて素晴らしい政治家。でも考え方は、政治家は仕事をしっかりやっておけばいい、パパラッチに追いかけられる映画俳優のようなものとは違うのだから、プライベートは関係ないだろ、ってこと。妻と離婚はしてないけど別居してるみたい。でも娘とも妻とも、それなりに穏やかな家族関係ではあるみたいな感じだった。

 そして、離婚していないままに、恋人? 愛人? プライベートな付き合いを持つ女性がこれまでにも何人かいたような感じ。そして、大統領候補として大注目の中、親しくなったドナ。彼女はただの尻がる女じゃないわ、ということで、選挙活動に参加したい、というところから、優秀だからこそ地元のその辺の男とは全然違う、ゲイリーに惹かれ付き合ったって感じ。

 ワシントン・ポストの若い記者がちょっと気に入られて優遇されていた、のか。勿論ワシントン・ポストだから、ってことで。そしてその彼のプライベートに踏み込む質問に怒ったりしちゃうゲイリー。
 そしてちょっとないがしろにされた、って感じのマイアミヘラルド紙、だっけ。そこの記者は政治記事なんて売れない、重要視されない社内の雰囲気と、なんでワシントン・ポストと扱い違うんだよって憤りとから、という風に描かれていたと思うけど、ともあれ、ゲイリーのゴシップをつかもうとする。

 最初はドナの友達が新聞にタレこみ、って感じの電話かけて。お金くれ、という感じだったけど、それはそっけなく断られていた。
 まだ、政治家の不倫ネタでどうこうしようっていうのはくだらない、と新聞は思っていたってことなんだなあ。
 けれど、実際そのネタを掴み、スクープとして売りたい!という熱狂で記事をあげる。すると、テレビが騒ぎ、他の新聞も騒ぎ、ゲイリーのみならず、彼の家族のところにもマスコミがおしかけ大騒ぎになる。

 最初は、なんでこんなことで騒がれる? プライベートはプライベートだ。政治家は政治手腕、政治の実績で評価されるものだ、ととりあおうとしないゲイリー。けれど、マスコミの大騒ぎは、彼の政治実績より不倫スキャンダルばかりに質問が集中する。

 世論としては、マスコミがいきすぎ、といってるのが64%だとか、本当にスキャンダルを求めていたってわけでもない、というような感じだったけれど。
 政治家のスキャンダル、スターの私生活をおうパパラッチのような真似を大手新聞もニューステレビもやるようになった、というのは、この件からであった、みたいなことらしい。
 娘までマスコミに追われたことに参って、ゲイリーは立候補をやめる。
 報道とはなんだ。政治家のプライベートとは。大統領選挙がただのゴシップ騒ぎになるこの仕組みはおかしい、と述べてゲイリーは去る。

 一応、おっかけるマスコミとしては、女性記者が彼がなんだか信用できない、といってたり、まあ、ドナとのことはお互い合意ってことだけど下手するとパワハラ、ま、当時はパワハラとは言わなかったのかな、わかんないけど、女性に手を出す男が次期大統領でいいのか、よくない、みたいな倫理観っていうのは、そうかもなあという気も、しないでもない。

 けど今、今、トランプ政権は、どうなんだか。
 この映画は、当時のスキャンダルの扱い方を問い直し、そして今の政治、大統領、選挙、報道、ニュースとは、っていうのを問い直したいという映画なんだと思う。

 ゴシップばかりに時間を割くマスコミとか。今だとネット炎上のこととか。すごく、メディアの在り方が誰にもどうしようもないほどで、みんなが振り回されているような感じがするよ。
 選挙スタッフ、長年やってきたんだってあのおっさんが、結局なんでこうなったかわからん、みたいな、時代の変化の目まぐるしさとかがあり。
 しかしあのおっさん、実は女性スタッフに指示してドナを生贄的に放り出すように指示してたのかなあ。どうなんだろう。彼女の葛藤みたいなのもあり、あんまり私にははっきりわからなかったけれども。

 ゲイリー・ハートご本人も妻もまだいて、で、スキャンダルなわけで、映画つくるの難しかっただろうなーと思う。面白かった。考え込まされる。マスコミの酷さとか。どうかなあ。今、今のメディアとか、政治とか。どうなのかなあ。考えなくてはと思う。

 で。
 まあそんなこんなでともかく、ヒュー・ジャックマンめっちゃかっこよかった^^やっぱさすが~素敵~~^^好き。政治家としてもだし、妻としんみり語ったりする感じも、すごいよかった。妻も素敵だったなあ。
 選挙スタッフたちとか、記者たちとか、そのわちゃわちゃしてる感じも好きだった。面白かったよ~。

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映画 「メリー・ポピンズ リターンズ」

 映画 「メリー・ポピンズ リターンズ」


 IMAX、字幕2Dで見ました。
 1964年の映画、から20年後という設定らしい。もとの映画は見ていないので、何か機会あれば見たいなあ。傘に掴まって下りてくる、魔法使いのナニー、というメリー・ポピンズの姿は知ってる、かな、くらい。
 
 舞台は1930年くらい、ロンドン。世界恐慌の頃。かつてメリー・ポピンズに教育してもらってたマイケル、ジェーンの姉弟はすっかり大人になり、マイケルには3人の子どもがいる。妻を亡くして一年。景気が悪く、妻の病気のためになのかな、借金をしていて、その返済が遅れて家を抵当としてとられることになる警告を受ける。
 父も務めていた銀行で、臨時出納係りとして働いているマイケル。本当は画家なんだ、って。ともあれ、父は銀行の株主でもあったはず、と、マイケルは荒れた家の中を探し回るけれど証券を見つけられない。
 妻を亡くし、家までなくしてしまうのか。混乱の中のバンクス家に、メリー・ポピンズが凧につかまってやってきた。マイケルの子供たちの世話が必要でしょう、と、かつてと変わりない厳しく優雅な彼女の助けで、子供たちは沢山の夢で楽しみ、家族の危機に立ち向かう。


 パパになったマイケルを演じているのがベン・ウィショーくんでさあ。めっちゃ可愛いっ。妻に家の事は任せていたらしく、彼女がいてくれれば、という風に思わず涙ぐんでしまったりする、可愛げのあるパパ。子供たちを愛してる家族が大事だからこそ、しかりつけたり心配のあまり大声を出してしまったりする。でも子供たちに慰められちゃったりしてさー。可愛い。こんな可愛いパパと、可愛い可愛い子どもたちを残して亡くなったなんて、妻の心残りが偲ばれる;;

 姉のジェーンが労働者のための集会を頑張るぞ!みたいな活動家だったりするのね。不況だし家がとられちゃいそうとかエレン、家政婦さん、が年とっていてちょっと心配なんだ、とか、楽しいミュージカルだよ~とはいえ、背景はかなり厳しくて辛い。
 でも、そんな中だからこそ、メリー・ポピンズがやってきて、毎日の生活の中で楽しみましょう!って夢を見せてくれるのが救いなんだなあ。お風呂に入りましょうっていうのが眩しい海への大冒険になってたり。ママが大事にしていた陶器の絵の中に入り込んだらミュージックショーが繰り広げられたり。霧の街で迷子になったら、ガス灯点火人があかりをともして助けてくれるとか。

 ガス灯の灯りつけたり消したりする人、点火人、ね。ジャックという、マイケルたちと同じくらいの年で。子どもの頃やっぱりメリー・ポピンズに会っていて、戻ってきた彼女に当たり前のように、やあ、って迎え入れる最初の人。ジェーンのことが好き、って仲良くなっていくちょっぴりのロマンスも可愛かった。歌って踊って、自転車で子供たち送ってくれるとか、時間を戻すわよ!っていうのに協力してくれたり。メリー・ポピンズは魔法使いって感じだけど、ジャックは普通にロンドンの住人なのでは?? けど子供たちとメリー・ポピンズと一緒に夢の世界に紛れたりもする。彼もトリックスター的な感じか。

 普通の大人、である所のマイケルは寂しいしあんま生活能力もないしで、しょんぼりなんだけど、最後には愛する家族がいるんだ、ってことで子供たちをぎゅっと抱きしめる。そして問題解決~で、風船を持って空を飛べる、歌えるの。ウィショーくんの歌も~すっごくよかった。

 夢の中の悪い狼だった、銀行家ウィリー。不況理由に、担保、抵当取り立てまくりで、むしろ儲けていますという悪い奴。叔父さんがぼけてるから、って感じで銀行経営を好き勝手にしている。コリン・ファースが演じていて、ま~もちろんとってもジェントルマンな見た目で一見いい人そうにしてたりするの、最高です~~。素敵うっとり。
 でも叔父さんにクビにされちゃって、最後、彼だけは風船を持っても風船浮かばない。空を飛べない、残念な男。君の人生それでいいのか寂しい男だねえ、と、ほろりとしてしまう、だってコリン・ファースだから。素敵すぎるから~。

 借金返済をぎりぎりまで待ってやろう、という期限のビックベンの鐘の時を遅らせる、本当の正しい時間に戻す? の時、ジャックたちが懸命に梯子かけてなんとか鐘の所にたどり着いて。時計の針を戻そうとするのね。んでも手が届かないよー。ってなったら、メリー・ポピンズ、傘を開いてふわふわと飛んでいって、時計の針を動かして戻す。
 ちょっと。それ、最初からメリー・ポピンズが飛んでいけば、ジャックたちあんな危険そうなことしなくてもよかったんじゃん! とツッコミたい~。けどまあ、うーん、人間たちが助け合って頑張らないとねってことなのか。ま~~~見せ場の盛り上がりシーンではあるけれども~~。

 ダンス、点火人たちの、自転車や梯子使っての群舞すっごいかっこよかった。ああいうのはちょっと現代的な気がする。まあもちろん今現在作られてる映画なわけですから。今最高にかっこいい~っていうのを見せてくれてすごくよかった。
 歌も楽しいし。
 衣装もね、すっごくカラフルで可愛い。クラシカルなスタイルだけど、アニメで描いたみたいになってたりもあって、すっごくすっごく可愛い。みんな素敵だった~!
 アニメとの共演も、おお~なんかディズニーって感じ~~って思わせてくれて楽しい。すごい楽しい。
 大変で辛い中ではあるけれど、最後には桜が咲き、春の公園のしあわせな空で、すごくハッピーエンドだった。風船もったみんなが空にふわふわいくの、なんだっけ、絵のような。マグリットか。空にたくさんの人が浮かんでる感じ、あれを連想したなあ。あの絵よりもっとカラフルで楽しそうなんだけどね。

 メリル・ストリープも出てるってよ。メリー・ポピンズの従弟だって。トプシーといって、第二水曜日は世界があべこべになっちゃうの、というなんでも修理できる人。水曜日はダメなんだーって歌、世界があべこべの亀みたいになっちゃう、っていうシーンもとっても楽しかった。へろへろになる心がダメになる日のことはひっくりかえったカメ、っていうことにしたい。見方を変えるんだ。

 元のファンだったらどうなのかなあというのはわからないけれども、私としてはこれ初見で、それでもとってもとっても楽しく見られて、あ~夢~楽しい~という気分をたっぷり味わえて、見に行けてよかったです。メリー・ポピンズがしっかりちゃっかり、私はすべて完璧、みたいに自己肯定してる感じも、クール^^ 社会背景なんかもあって、ちゃんと、楽しい夢物語でありそれでも今作られてよかったなって感じがあって、すごく好きになった。メリー・ポピンズは最後には空の彼方へ帰っていくけど、大事なこと、ちゃんと楽しむことを教えていくんだよね。ほーんとカラフルでビューティフルで楽しめた~!^^

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映画 「サスペリア」

*ネタバレ、結末まで触れています。

 映画 「サスペリア」

2018年製作、ルカ・グァダニーノ監督。

 1977年の「サスペリア」はGYAOの配信で昨日一応見ました。ありがたい~。
 なんかすごい怖そうな感じで怖いの嫌なんだけど、見てみると、あんまり嫌な怖いものではなかった。アメリカからドイツへ、バレエを学ぶためにやってきたスージー。だがそこでは恐ろしい殺人や不可解な失踪が相次いでいた。
 てな感じで、実は魔女の館なのか、とか。三部作なのー? ってウィキを見て知り、でも多分三部作見て理解しようとかまでは、思わないかな、って所で。赤い館とかいかにも絵具の血糊とか、クラシカルなお嬢さんスタイルとか、インテリアとか、画面がすごいスタイリッシュって感じの映画だった。ホラーめいた所はあるけれども、怖くて見られないってことはなく。

 さてリメイク版って、どうなんだろう。もっと怖くなっているのかなと怯えつつ。予告や、見た人々の賛否両論とかオリジナルからの大胆なアレンジだとかがどういうものなのか気になって見ておくことにした。ティルダ様が出てるし。監督、「君の名前で僕を呼んで」の人じゃない~。まあ全然違うだろうけどやっぱ見ようと思った。


 舞台は1977年、ベルリン。スージーがアメリカからダンスのためにやってきた、というのはオリジナルと同じかな。バレエじゃなくて舞踏団。かっこいいお屋敷って感じではなくて薄暗く寒々とした街にある舞踏団のビル。寮に空き部屋ができたわ、と、スージーはそこで暮らし始める。
 正式なレッスンを受けたこともないらしいスージーだったが、頼み込んでのオーディションで見事入団を勝ち取った。そして、次の公演の主役を踊ることにもなる。
 プログラムを作ったマダム・ブランにもダンスの解釈で議論するほどのスージー。彼女の力強い踊りが死を招く。

 って、一応、ストーリーは、ある、あるのかな。あるんだけど。スージーは実は魔女だったのだーとか。
 不穏な気配。理屈はわからないながらもダンスによって死や生命が動く感じ。少女たちは操られているのか。舞踏団の大人たちは魔女を崇拝して守ろうとしている感じ。彼女たちも魔女なのか。
 精神の不安を訴えていた少女のかかりつけ精神医は、舞踏団に秘密があるだろうと探り始める。ラジオからはハイジャック事件のニュースが流れてくる。社会そのものの不安。現代の魔女狩り。少女たちは生贄なのか?

 オリジナルのようにスタイリッシュでステキ!って感じはなくて、街も部屋も寒々しく、まがまがしい気配や、よくわからない過去や、不気味な死体が短いカットで現れる。けれど、意味はわかんない……。これも三部作構想みたいなのがあるらしく、また作られるのかなあ? その場合前日譚にしたいとか監督には考えがあるみたい。
 けど、けどなー。何なんだろう。
 見終わってから、なんもわかったとは言えない……と途方にくれる感じ。場面のインパクトはすっごいある。特に赤い紐だけみたいな衣装、衣装っていえないような衣装で踊るプログラムとかさ。あれって、暗黒舞踏って感じ? この映画そのものが暗黒舞踏って感じ。暗黒舞踏についてとかよく知らないけれど。
 肉体のエネルギーみたいなのはすごくある。と、思った。舞踏団が舞台っていう迫力。

 ティルダ・スウィントンがマダム・ブランで、存在感ある。うつくしい、って単純には言えない、ティルダ様の人間離れした感じは相変わらずさすがすぎる。
 特殊メイクで、じつは精神科医も演じていたと。そして地下で肉体滅びそうなマルコスも特殊メイクのティルダ様だそうだ。マジかー。一人三役。それぞれ対立するような人物を、一人で演じるのって、それぞれがなんかメタというか超自我とかなんか、読み解くヒントなんでしょうか。わからない……。

 終盤、クライマックスとしては、地下での血祭。スージーこそが実は魔女で、舞踏団を支配しにきた、って感じ、かなあ。支配というか、なんだろう。新しい家族?
 
 魔女は記憶を消せるらしく、殺さなかった女の子たちは昨夜のことを覚えていない。精神科医を殺すことはせず、関わった女の記憶を消してしまう
 スージーが新たな魔女として、舞踏団で女の子たちの生命力というか精気みたいなのを吸って生きるみたいな感じなのかなあ。わからないけど。

 不安、不安定、魔女。恐怖に襲われるのではなく、彼女自身が恐怖をつかさどるものになるって感じ。強い女、なのか。どうなんだろうなあ。
 ともあれ、気になっていたのを見ることができて満足。楽しんだ。怖かったのは、そこそこかな。嫌な怖さではなかった。大丈夫だったよかった。不思議だったなあ。

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 映画 「ミスター・ガラス」

*ネタバレしてます。


 映画 「ミスター・ガラス」


 かつて列車事故から一人だけ生き残った男、ダンは不死身であるという特性を持ち、悪人には触れたらわかる能力をもって密かに街の悪人を罰していた。
 いくつもの人格をもつケヴィンはまた生贄を誘拐監禁している。ケヴィンを見つけたダンが対決しようとしていた時、警官に取り囲まれ、二人とも拘束、精神病院に監禁される。
 そこには、かつてダンに、ヒーローには悪役が必要だ、と語った自称ミスター・ガラスも拘束されていた。
 自分がヒーローだと思い込む精神病理を研究しているという医師ステイプルは、三人に自分が超人的だというのは単なる思い込みだと気付かせようとする。その思い込みにはきっかけがあったのでは? 辛い経験からの逃避なのでは?
 逃走を図り、コミックブックのヒーロー対決のように、決着をつけようとするミスター・ガラス。自分たちは超人なのか。


 「アンブレイカブル」と「スプリット」と三部作のシャマラン監督のヒーローもの、ってことで。「スプリット」を見に行った時には、「アンブレイカブル」を見てなくて、最後にブルース・ウィリスが出てきて、何??? と思ったものでした。その後テレビでやってたのを見て、一応話は把握。で、「スプリット」の後に、実は三部作です! なんだってー!? というびっくりがあったのだった。
 「スプリット」はまあ単独で見ても最後以外は大丈夫だと思ったけれども、今作は、前二つを見ていないとよくわからないものだろうなあと私は思った。しかし「アンブレイカブル」は2000年公開なんですよね。19年を経ての三部作、息子は子役くんが育ったまんまなんだろうか。いや~そんな構想ある?ってまずびっくりした。

 で、今回は、前作で超人だと描いてきた彼らを、本当は違うのでは? 妄想よ、と治療しようとするわけで。見ているこちらも、んんん?? ってなる。
 けれども、シャマラン監督だからな~~って思うので、そうはいっても騙されないぞ? とか、いややっぱ違うってことでアンチヒーロー的な??? って見ながら翻弄される。ステイプルに惑わされる三人まんまな気分を味わって面白かった。
 けれどやはりさらにどんでん返しのどんでん返し~~。

 タイトル、「ミスター・ガラス」なわけで、まんまと脱走成功する黒幕、で、ニューオープンのタワービルで対決だ、ヒーローものらしくな、ってことで、おお? ダイ・ハード的なことになるんですかー? と含みもたせておいて。そこには行かないーーっ。
 結局病院の敷地内庭先で、こじんまりと決着ついたか、と。医者が実は謎の組織~~っ。って、そっかーそういう感じ、と、思ったらまだ、やっぱりミスター・ガラスが上手だった!という。ミスター・ガラス、ヴィランを装っていながら、これ、まんまヒーローの名前がタイトルになってる、スーパーマンみたいなことだったのね。
 ヒーローといってもダークヒーローというか。ミスター・ガラス、ダンとケヴィンの超人性を引き出すために一般人殺しまくりだったりなわけで、やはりヒーローではない……。

 自分が超人的能力があると思いこむなんて馬鹿げてる、と封じ込めにくる謎の組織。これってヒーローものっぽくしつつ、可能性の物語なのかなと思う。自分に力があると、信じられるかどうか。そんなの馬鹿げてるという理解ない他人の声に惑わされるな、ということか。
 そして、彼ら超人がいる、と目にした世界からは、さらにヒーローが、自分の力を自分で認めることができるヒーローが、超人たちの目覚めが始まるのかなあ。
 彼ら三人は殺されてしまったけれど。

 殺されてしまったけれど、ケヴィンは、ケイシーと心を通わせることができて、自分になれた。ミスター・ガラスはママに自分の価値があったよ、って言えた。ダンは、えーと、どうだっけ。ダンは、息子に自分は本当に超人だって見せられたのがよかったのかな。それぞれに、ただ不幸な結末ではない感じがあって、ちょっと、救いかなあ。そして彼らの姿が世界を変えるきっかけになるかもしれないという未来への希望かなあ。

 ジェームズ・マカヴォイが「スプリット」につづいて24の人格があるキャラを熱演! ほんっとに、すごい、人格交代されてるように演技力だけで見せるのすごい。エンドロールの時に、その人格キャラの役名がそこそこずらっと出てて、キャスト名マカヴォイ一人で、ふふって思っちゃった。

 ともあれ、三部作見られてよかった。よくこんなに展開させられるなあって感心しました。

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映画 「特捜部Q ―カルテ番号64―」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画 「特捜部Q ―カルテ番号64―」


 特捜部Qからアサドがもうじき移動になるという時。とあるアパートで管理人が住人不在の部屋を改めると、間取りがおかしいと気付く。あってはならないはずの壁を取り壊すと、そこには食卓を囲む三体のミイラ化した遺体があった。
 1961年、島にある女子収容所。そこでに入れられたニーデは脱走しようとしたことをとがめられ、強制不妊手術の犠牲になった。やがて、収容所は廃止になるのだが。


 そんなこんなで、原作は読んだことあるけど忘れてる、と思いつつ。
先月のシリーズ3本立てに続いて、キネカ大森で 体験ゾーン2019 出張版みたいなことらしく、張り切って見に行きました。
 優生学の信者、狂信者、って感じかなあ。医者が、誰にも言えない中絶手術にきた女の子に勝手に不妊手術してしまうという、あまりにもえがつなくむごい事件。発端は1961年の頃から、というものか。クアト・ヴァズという医者が密かに寒い一族だっけ、なんかそういう秘密組織みたいなのをつくっていて、賛同している医者とか政府や警察にも信奉者がいて、移民排斥みたいなことをやっていると。

 これ、私自分が原作の本を読んだ時の感想見直してみたけど、本の方がもっとえげつないキツイ感じがあったのかなーと思った。映画化は、本の時よりさらに数年たっている今、で、移民問題とかたぶんなんかいろいろある今、2018年(製作年)ということを描き出しているのだと思うし、原作からのアレンジもうまくやっているのだと思う。

 なんにせよ、女を、モノのように子宮というモノのように、人としての人格、思い、何もかも無視した強引で最低最悪な下劣な思考とそれに賛同し実行していく仲間がいるという、ほんっとうに酷い話で、めちゃめちゃ、キツイ。辛い。すごい辛い……。

 このシリーズ、毎度事件側での女性がいろいろタイヘンなんだけれども、女優さんが、すっごい凄まじくて素晴らしく演じて見せてくれている。今回も、凄かった。とてもあどけないほどに可愛い女の子な一面と、性に翻弄されるむごさとか、酷い目にあうとか、そしてあれから数十年、という老いた姿とか。すっごい。すごくよかった。

 で。アサドが移動になる、昇進だ、ってことで、特捜部Qにいるよりいいだろうと思っての事かどうか、カールはアサドにあまりにもそっけない。アサドは、長年一緒にやってきたのに! と、カールの態度に苛立つばかり。
 アサドがよくいく店の女の子が、中絶手術からの、本人に知らされぬままの強制不妊手術された被害者、ってことで、カッとなるアサド。移民排斥差別みたいなのには敏感だものなあ。本当に酷い。一人病院へ乗り込んでいって、殺されかける。危機一髪駆けつけるカール。で、死ぬな、ダメだ、ってなるカール~~~。こんなじゃないと素直になれない男~~っ。ああ~~。
 病院で目覚めたアサドに、やっと、ローセにきみが必要だから移動するな、っていう。そして自分にも、ってさ。も~~~。はあ。可愛かった。

 しかしほんとローセのキャラというか、扱いというか、なんかあれでいいのか、どうにもやっぱり気になる。今後の話も映画化になるのかな。どうなんだろう。んで、もし映画化していくんだったらローセについてどうするんだろうか~。
 今作のラストでは、カールがちょっと人としてまともになろうとしている感じみたいなのがあったし(カフェで女に声かけてる感じだった。恋人作ろうとしている??)アサドともちゃんと友達になろうとしている感じ、で、ちょっと一段落って感じなのかもしれない。
 でももっと映画化見たい気がするなあ。どうなんだろう。


 デンマークの、というに限らないけれども、北欧の人は背が高く美男美女だらけ、みたいなところ、ひょっとしてもしかしてかつて優生学を信じていた影響が、ってふと思ってしまったりして。いやいやフィクション小説だし。けど、もしかして、って思わせる、思えてしまいそうな、そういう人間の一面、みたいなことをちょっと思って暗澹たる気持ち……。
 ほんとキツイ事件だった。辛い。見に行ってよかった。すごいよかった。面白かった。

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映画 「蜘蛛の巣を払う女」

*ネタバレ、結末まで触れています。

映画 「蜘蛛の巣を払う女」


 まだ子どもの頃のリスベット。カミラと姉妹仲良くチェスをしている。二人とも天才的に見える。そして、父に呼ばれた。父は、二人を見てもう十分大人だね、と微笑む。ゲームをしよう、と、誘う。カミラは頷くが、リスベットは拒否した。カミラにも逃げようというが、カミラはこない。窓から落ちるように逃亡したリスベット。
 女を傷つける男を個人的に罰して女性を助けているリスベット。ハッキングの仕事の依頼がくる。世界の核兵器にアクセスできてしまうプログラムを盗み出して欲しい、と。


 結局原作を読んでないままです。こういうお話になってくのかあ。ミステリものと思い込んでいたけれども、かなりアクション映画っていう感じ。リスベット超人的に強いっす。ハッキングもばばっと天才的。ハッキングバトルかと思いきや、銃撃戦肉弾戦でしたね。激しく面白かった。

 前作「ドラゴンタトゥーの女」が、すっごく強烈で好きで。ルーニー・マーラーのリスベットと、ダニエル・クレイグのミカエルのコンビがとってもよくって、大好きだった。なので、キャスト変わっての続編って、うーん、と思っていたのだけれども。
 見るとだいぶ違うテイストだなあと思い。ミカエルなんて出番少なくて、あんまり役にも立ってなくて、というかむしろ攫われて人質にされてっていう方の役割。まあ、ミカエルはいまいちダメ感のあるジャーナリスト、普通の男、というキャラなのだろうから、このくらいの、感じなんだろう。ダニクレだったら、お前~無能かよボンド~~~と突っ込みたくなったと思うので、キャスト変わったのは仕方ないというかよかったというか、まあ、まあ、いっか、と納得しました。

 で、メインキャスト交代しておきながら、ミカエルとリスベットの関係は基本的に前作の話知ってますよね、という感じで説明最小限。まー、ん~まあ、いいのか。こっちが初見だったらどうなんだろう。まあ、ミカエルの出番少ないから、なんか昔なじみかな、くらいでいっか。わかんないけど。
 けど、なんか、リスベットがミカエルのこと大好きでミカエルも未練ありますみたいな風情だったのか、なんかな~~~。なんか。そうかなあ、と、違う気がしてしまった。前作、リスベットはちょっと好きになってきたのに、って感じで、でもどうにもならなくてって感じだった気がする。ミカエルはリスベットのこと好きとかじゃないよねえ??? 記事書くネタとして今も未練たらたらって感じなのか?? 原作だとこれ4作目なんだっけ。間になんかあったのかなあ。うーん。まあ。まあいっか。まあいいけどなんか、な~。あの二人の感じに関してはなんだかなあと思った。

 やはりリスベットの物語なんだなあ。
 実は父親はロシアマフィアのサイコパス。強引なSMプレイとかしてるみたい。相手に容赦ない、多分殺したりもしてるんだろう。そんな父の元で、双子の姉妹? カミラは大人になった。リスベットと共に逃げなかったから。リスベットは彼女は3年前に死んだと思っていたけれど、実は父亡きあとを継いで、スパイダーズって組織作ってたりして。リスベットに、何故助けにきてくれなかったの、と、泣く姿の哀切さよ。
 一緒に逃げようっていったのにあなたは父を選んだ、とリスベットは言うけれど、まだ処女であった頃の判断ミスを、誰が責められるだろう……。
 そしてリスベットも、助けに行くにはあの家が、怖すぎたのだろう。辛い……。超人的に強い彼女の中の恐怖。

 リスベットがアメリカから奪い、次にスパイダーズに奪われた、核兵器にアクセスできるファイル。それを開発したパパ、お前が一番、アホかというかなんていうか。なんでそんなもの開発したんだよー。しかもそのシステムの元にしたのが、天才息子の思考方法ってさ。アウグストくん。とても可愛い美少年だった。パパは命を落としたけど、最後にはちゃんとママが迎えにきてくれててよかった。唯一の救い……。

 舞台はスウェーデンだっけ。さすがもうめっちゃ寒そうで、見てるだけで震える。カーチェイス、バイクチェイスするんだけど、ああああ~路面凍ってるんじゃないのおおお~~~怖いっ、と、凍結に一番に怯えてしまうわ。すっごいなあ。

 肉弾戦も、銃撃戦もかっこよかった。リスベットの悲哀みたいなのもよかった。
 登場はほんのわずかの、リスベットたちの父をやってたの、ミカエル・パーシュブラント、だっけ、だよね? ちょっと自信ないけど。けど、あれはミカ様なのでは。素敵。ロシアマフィアでサイコパスドSとかすごいたまらん。なんてのも参りました。あんまりいい評判きかない気がしてるけど、見に行ってよかった。

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