映画 「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」


*ネタバレします。


映画 「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」


 大学生のギャッツビーとアシュレー。付き合ってまもないカップルだ。アシュレーは地方出身。学生新聞の取材で、憧れの映画監督に取材できることになった、マンハッタンで!と大喜び。ギャッツビーはマンハッタン育ちなので、じゃあ一緒に行って彼女が取材を済ませた後の週末は地元を案内して素敵なところ沢山案内してあげる、と、デートプランを練る。
 一緒に楽しい時間を過ごすつもりだった二人の、すれ違いの物語。


 主演ティモシー・シャラメってことで昨日の初日見に行ってきた。都会っ子で金持ちの家の次男でポーカーで気軽に大金儲けちゃうギャッツビー。頭よくて本沢山読んでて物知りで風変わりで若者らしくモラトリアム、鬱屈しながらも自負心は強くて、親に反発して、でも金持ちであることにはあぐらをかいてるギャッツビー。シャラメたんだもの、あの顔の良さでうっとり。ピアノを弾いてちょっとだけ下手くそに歌を歌って。凄くよくしゃべる。モノローグも喋る。ずーっとティモシー・シャラメの姿、声、演技を堪能できてステキすぎる。

 アシュレーを演じてるのはエル・ファニング。ジャーナリスト志望で、巡ってきたチャンスに浮かれてはしゃいで、美人だけどちょっと素朴さが心配になる危なっかしさもチャーミング。素晴らしく可愛い、んでも酔っ払って変顔も存分に披露する、あ~~~若くて可愛い子で心配、ああああ~~目が離せない、そりゃおっさんたちこういう子に側にいて欲しいってなるよねええって最高に名演技。

 ジュード・ロウ、最初わからなかった。妻が友人と浮気してる脚本家役ね。全然かっこよくない役で面白かった。ディエゴ・ルナが誰もがきゃーきゃーいうセクシー俳優役ってのも面白かった。
 そんなこんなで素敵なマンハッタンの街のあちこち~とか、舞台は現代のはずなのにクラシカルな雰囲気とか、楽しめるところは沢山あった。

 けど、なんか、うーむ。

 ウッディ・アレン監督、有名だし人気だなと名前は知ってても今まで私はちゃんと作品見たことがなかった。みた事ない、と思う。監督の名前とか普段あまり意識してないから自分でもよくわからないけど。多分自分の好みではないだろうなーと、なんとなく見てない気がする。そもそもヘテロの恋愛ものに興味ないのだ。


 で、今作は。me too運動のひとつで、監督の過去にちょっとなんか、どうにも私には判断つかないけどまあ、ごちゃごちゃあったんだなーと。主演の二人は出たこと後悔してるというかギャラは寄付したようなニュースを知ってしまってて。本国では公開見送られた作品なんだよなあ。日本でしれっと公開されて、見に行っていいのかなあ、と、結構悩んだりもして。
 でもやっぱり、見ると、キャストみんなステキで演技堪能できてすごくよかったんだけど。

 そんなこんなの先入観が私にあったせいとかもある、の、かもしれないけど。
 アシュレーがおっさんたちにあちこち連れまわされたり飲まされたり都合のいいミューズ扱いされたりするのを見るのが、すごく危なっかしくて辛いと思う。
 アシュレーが浮かれてはしゃいで、ギャッツビーの気持ちとか思いやれない愚かな女、って描かれてるように見えて、ひどいと思う。なんとなく、地方出身で浮かれてる可愛いだけの女、って描かれてるように見えて、意地悪だなーと思う。アシュレー本人が進んで連れまわされていったわけだけど、そういう描き方がね、意地悪~と思う。

 結局、ギャッツビーはアシュレーと別れて、地元の、元カノの妹にいっちゃう結末。都会の排ガスが僕にはお似合いさ、みたいに卑下してみせる風でありながら、自分のステキなデートプランがアシュレーのせいで全然うまくいかなくて許せなかった心の狭い男って感じ。まーアシュレーが映画スターの新たな恋人みたいにテレビに出ちゃったのを見たら傷つくっていうのもわかるけど。結局、地方の女より地元で、地元ってつまり大都会で金持ち仲間のお家柄で話が通じやすい、シニカルだけど実は自分に恋してたらしい女の子がいい、って感じ。
 アシュレーがもし自分の取材よりギャッツビーとのデート優先、ギャッツビーが案内してくれる場所にいってニコニコと、わあ凄い、あなたって素敵、こんな素敵なデートありがとう夢みたい! みたいに言ってくれてたら、別れなかったんじゃないかな~って思わせるのが、つまらない男って感じ。

 都会育ち、金持ちたちのスノッブさ、みたいなのがシニカルでおしゃれ、みたいなノリの作品に見えて、私には無理~と思った。もうそういうの楽しめる気分じゃないよ。私が田舎育ちで金持ちでもないから余計、ってこともあるだろうし、もともと好きでもなんでもない監督への先入観を持ってしまってから見たのもあるだろう。
 うーん。けどやっぱ、私が好きになれるような映画ではない気がするかなあ。軽やかな若い男女の恋のゆらめき、みたいなの、私は楽しくないからなあ。
 ウッディ・アレン監督ファンの方からは、これは上出来な方のウッディ・アレン監督作品、みたいな好評があるねえ、と、感想眺めたけれど、私にはわからなかった。やっぱ私には合わないタイプの監督なんだろう。

 でもほんと、ちょい役のキャストも主演二人の演技、姿もとってもとってもよかったので、登場人物として好きになったりはしなかったけど、見られたのはよかったよ。

 

 

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映画 「SKIN スキン」


*ネタバレします。


映画 「SKIN スキン」


 白人至上主義を訴える集会。そのイベントで、女の子三人が演奏する所で野次をとばす奴をボコるバブス。女の子たちの母、ジュリーと親しくなり、次第に今の自分に嫌気がさしてくる。

 1日に見に行った。
 ブライオン、バブスっ呼ばれて。実話ベースなんだな。
 少し前に、この映画のもと、というか、短編があって、それがサイトで公開されていたのを見たのでした。もっと小さい男の子のストーリー。一見優しい両親に育てられてて。けれどその親はレイシストで暴力的。そこから起きる悲劇。20分あまりの中ですごく衝撃があって、長編も見ようと決めた。
 長編撮る前のプロモーション的な短編だったのか、資金集めのためだったのかの短編で、短編映画賞みたいなの受賞したりしてるみたい。今作は、同じテーマではあるけれど、短編とはまた別。モチーフとかはあったけど。

 最初の所、選挙運動だーみたいに言ってたと思う。アメリカでもやっぱり、なんか謎の泡沫立候補とかあるものなのかな。よくわからないけど。レイシストというか、カルトというか。パパ、ママと呼ばせている人物たちは、一見優しい。行き場のない少年たちを拾って集めて、食事や住処を与えて、育てて。でも実際行っているのは支配。洗脳。レイシズム。自分たちをバイキングとかいってたから、北欧系なのかな。

 ブライオンは犬を飼ってて、名前はボス。最初はボスを撫でてもいい? って女の子と知り合って、そして母であるジュリーと恋に落ちる。あれはなんだかな~一目ぼれなのか。ジュリーは大柄な女性で、人間的に豊か、って感じがある。心が。健全に清く正しいって感じではないのだけれども、子どもを大事に思っているのは確か。そういうのにもひかれたのかなあ。

 描かれている世界は、貧しく閉塞感どんより。酒、ドラッグ。黒人たちを排除したいというのを鬱憤晴らしにしてるように見える。容赦なき暴力。どうしようもなく未来が見えない。
 
 そんな中、ブライオンはジュリーと出会って、娘たちとも親しくなって、束の間の幸せ、喜びの時間があった。でも、ファミリーへの裏切りとみなされて、彼女たちを傷つけるような脅しをうけて。ジュリーには、いつまでもレイシズムや暴力と縁を切れないことをせめられる。
 
 FBIへの協力と引き換えに安全を手に入れようとして。けれど怯えて。何もかもなくす覚悟になって数年。やっと入れ墨を消すことができて、ジュリーたちと再会する。
 レイシストからの転向を助ける人たちがいるんだなあというのも、また、すごい。ブライオンの入れ墨除去手術、レーザーで焼いていく感じ? の費用を出してくれる匿名の資産家がいたのね、とか。
 ボロボロに酷い相手にでも、更生のための手助けの道もあるのが、ほんと凄い。

 途中、新たに拾われた少年が悪い方向になってくとか、犬が殺されちゃうとか、ほんっとひどくて辛い。重い。厳しい。ブライオンがしてきたことも酷いし、されたことも酷い。そんな彼と愛し合って、でも絶対に娘を一番大事にするジュリーが強い。善良で素晴らしい母親ってわけじゃないけど、愛が深いんだなあ。

 最後に、本人の姿が出て、ほんとにあの入れ墨が少しずつ消されていったのかーとわかる。立ち直ったんだな。死ななくてよかったな。更生したからいい人なんだ、って単純にはとても思えないけれど、でも、生きていけばいろんな道がある。

 この頃ほんと、教育の大事さを思う。おかしな思考にしか触れることができなかったら、別のことが想像すらできない。知らないことは考えられない。何が正しいのか、は、一概には決められないし、正しさだって時代によって変わってしまったりもする。だからこそ、いろんな知識を、ものの見方を、考え方を、なるべく広く公正に知ることができる教育が必要。マジで、大人はさあ、子どもを守ろう……。

 重くて辛い映画だったけど、ちょっと笑っちゃうようなとこもあったし。ジェイミー・ベル、熱演だった。見に行けてよかったです。

 

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映画 「風の谷のナウシカ」


*ネタバレかな。って、ネタバレもなにも、ほとんどみんな多分大体は知ってるのでは。


映画 「風の谷のナウシカ」

 

 産業文明が火の七日間で焼き尽くされ滅びて1000年。わずかに残された人類は、瘴気を発する腐海と呼ぶ虫と胞子の森の浸食に追いやられながら暮らしていた。
 風の谷に棲む人々。王とその姫、ナウシカ。旅人であり剣士であるユパの訪れは外のニュースを知る機会でもある。
 ある夜、軍事大国トルメキアの巨大な船が谷に墜落した。その積み荷は、巨神兵という、掘り出された旧世界の兵器だった。


 そんなこんなで、再上映を見に行ってきました。1984年製作だって。36年前かな。うわー。時の流れ……。
 公開当時に映画館へ見に行ったかどうかもう記憶が、わからない。でもテレビでもう何度も何度も、何度目だか数えきれないほど見てるねえ。話の展開もなんならセリフの多くも、全部わかってるのに、またしても滂沱の涙。凄い面白い~~~。

 でも当然ながらCMで中断されることなく。大きなスクリーンで。音で。じっくり没入して見ることができて、ほんっとすっごく良かった。

 ナウシカがねー、ほんっと戦う主人公。戦う、というか、行動する。判断も命令も行動も的確で素早い。ひきこまれてぐいぐい進む。上映時間116分だって。そのコンパクトさでこの情報量たっぷりと、感動を見せていくんだものなあ。あまりにも上手い。
 こんな素晴らしい姫さまをみんなが愛して信じているのは当然~。というか、あの過酷な世界の中で、戸惑いや愚かさは命取りになるんだろうな。

 何度見ても泣いちゃうし、何度見ても、もうすっかりいい年になっても、ナウシカの子どもの頃の、オームの子を隠してる所を大人たちが引き離しに来る、手がいっぱいくるあのシーンがめちゃめちゃ怖い。絵の力だ。今日も心底怖かった……。結構残酷なこと描いているんだよなあ。それに巨神兵ちゃんな。ドロドロ。あれもほんと怖い。よくこんな絵的表現思いつくなあ。巨神兵が後のアニメに与えまくった影響って。ていうかエヴァですけど。はー。凄い絵だった。

 漫画をまた読みたくなる。うちにある。でもやめられないとまらないになっちゃうからちょっと。けど、AKIRA 共々、また読み返したい。名作は名作だなー。映画館で見せてくれてありがとう映画館~!

 

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映画「AKIRA」


*ネタバレします。


映画「AKIRA」

 1988年、東京に爆弾が落ちる。そして第三次世界大戦。それから31年後。2019年、復興しつつある東京は翌年にオリンピック開催を控えていた。
 バイクで抗争しているまだ学生のグループ。リーダーの金田、幼馴染の鉄雄。路上で追われていた、老人のような子どもを避けて事故った鉄雄は、追手である軍に謎の子どもと共に連れ去れてしまった。
 実験体として覚醒し始める鉄雄。助けようとする金田。鉄雄の超能力は強大なパワーで暴走し始める。


 1988年の作品が、4Kリマスター、音も新たに良くなってってことらしい。IMAXは見逃してしまったなあと思ってたんだけど、せっかくなので映画館で見ようと行ってきた。
 公開当時、見に行ったのかどうかわからない……。見たことはある。深夜テレビだったのかもしれない。んー。わからない。幻魔大戦とかあったよな。と、思うんだけど、それも深夜テレビでみたのかなあ。もうはるか昔すぎて記憶がダメすぎる。

 断片的に覚えてるのはあって。老人みたいな子どもとか、終盤のパワーの暴走でぐにょぐにょ巨大化していく鉄雄とか、ものっすごく怖かった気持ちを覚えてる。今見ると、恐怖感はそれほどでもなかった。年取ったもんな~。

 舞台が2019年で、翌年オリンピック、って、去年はアキラのとおりだ今日がアキラの中のあの日、とかいろいろざわついたりもしましたね。過去の未来が凄い。そして今年東京オリンピックは延期で開催されませんが。鉄雄の暴走のせいじゃなくてよかった。

 今だから、見ると、金田、鉄雄のことだけじゃなくて、大佐がクーデター起こしてんじゃん。とか、政治家たちがヒドイとかアキラくん周りの日本政権ダメダメすぎじゃねーか、とか思った。街があんなでも庶民は頑張って暮らしてるな~。あんな事態になって、警察も軍も大変すぎだな~~。デモ、テロやってる連中の主張はなんなんだろうな~とか。デモは酷い税反対みたいなこと言ってたような気がする。通行止めになって文句言ってる魚を運送してるらしきおじさんがいるなあ、とか。超能力対戦だけど、一般人もそれなりにいろいろいますね。

 ちょっと前に、「AKIRA」めっちゃBLだ、てなネット記事を読んだんだけど。改めて見ると、ほんっとめっちゃ、テンプレともいえる幼馴染BLだった。いつも助けてくれる金田に心を拗らせまくった鉄雄。金田も拒まれても拒まれても結局いっつも助けに行くんだもんな~~。鉄雄、あんなにパワー持っても、最後には金田助けてって言っちゃうんだもんな~~~っ。

 最後あれは、東京でまたビッグバン、ブラックホールが出来て消えた、くらいの勢いだったのかなあ。でもそれにしちゃ生き残ったりしてる人もいるわけで、そこまでではないのか。
 なんにせよ壮大だった。凄かった。

 映画館で見られて最高だったのはやっぱ音! かっこいいいいいい~~~~~っ!!!
 最初のバイクチェイスな。テールランプが残像の尾をひくやつな~~~。そこにかぶってくる たましいーっ らっせーらー~~。
 音楽というかほんと、作品と音と一体に作ってるのかあと思った。

 アニメの動き。バトルとかバイクとかはむっちゃかっこいいけど、普通に歩いてるような時の動きが不思議だった。主役たちの声もなんか朴訥な感じ。でもまあそれが似合ってる気もする。ほんとは主役なんかじゃない、ただの落ちこぼれ不良少年なのだ、みたいな感じ。子どもたちもさ。子どもだった。なのにあのビジュアル。こわい。やっぱ、子どもたちが一番怖かった。

 またあんなことになって、東京オリンピックは中止だね。タイヘン。けど、開催まであと147日、で、スタジアムまだあんな建設途中で大丈夫だったのかな。もともとやはり無理だったのでは。というかあの世界、無理だったのでは。
 今の現実の東京、とかも考えちゃったなあ。タイヘンすぎる……。

 改めてちゃんと映画館で見られてよかった。かっこよかった。漫画もまた読みたい。すっごいよなあ。

 

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映画 「ドクター・ドリトル」


*ネタバレします。


映画 「ドクター・ドリトル」


 ドリトル先生は動物と話せるお医者さん。冒険家の妻、リリーと素晴らしい冒険をしてきました。女王の覚えもめでたく、動物たちと一緒に暮らせる広い庭のある大きなお屋敷に住んでいます。どんな動物も治します、と、いつも患者でにぎわうおうち。
 妻は新たな冒険に旅立ち、ドリトル先生は彼女を見送ります。しかし嵐の海で、リリーは亡くなってしまいました。ドリトル先生は悲しみ、門を閉ざして誰にも会わなくなります。


 動物たちと静かに暮らすある日。
 森でリスを間違えて撃ってしまったスタビンス少年が、オウムのポリーに導かれてドリトル先生の所へやってきました。同じ時、女王の使いでレディ・ローズという女の子も、ドリトル先生の所へやってきました。
 リスの治療は引き受けて、けれど女王の使いには帰れとしか言わないドリトル先生。けれど、女王の命が危ない、つまりドリトル先生に与えられたこの屋敷も危ない、と、オウムのポリーやみんなにせきたてられて、ついに、ドリトル先生は女王のもとへ参上しました。

 始まりはアニメというか、絵画で紹介、みたいに始まって。これってディズニー映画からしらと思う。動物と喋れて動物と暮らしてるドリトル先生、ディズニープリンセスでしょ。
 それはともかく。ロバート・ダウニーJr のドリトル先生。可愛い~~~。

 物語は子どもと一緒に楽しめる感じに、細かい理屈とかなしにどんどん進む。おとぎ話でいいな~。冒険譚だ。
 女王を亡き者にしようとする悪い侯爵かなんか? がいたり、ドリトル先生のライバルみたいなのがいたり。マイケル・シーンが演じてた! この俳優、誰だっけ、知ってる気がする、と暫く悩んだよ。可愛い~。陰謀と、女王を助けようとかはちょっと三銃士っぽいかも。 
 ユーモアもたっぷり。動物たちの、見た目と内心のギャップもえみたいなのもたっぷり。みんな可愛い~。

 さらりと描かれているけれども、妻を亡くしたことで、自分を責めているドリトル先生始め、動物たちもみんなそれぞれに、悩みや悲しみ、傷を抱えているキャラばかりだった。
 弱くてもいいんだ、とか、話を聞くよ、とか、セラピー映画だ~。とっても優しい。

 ダチョウと白くまが張り合ってたけど仲良くなるとか、怖がりのゴリラががんばったり、けど、怖い~~ってなったり、それでもいい、とかね。助手になりたい、ってスタビンズくんも、おじさん所に引き取られてるっぽい、のは多分両親を亡くしてるかなんかなんだろうなあと思う。猟師の家にお世話になってるけども、動物を撃てない、という苦悩から、先生の助手になって医者になって、動物たちを治す人になりたい、って、一緒に行くんだよ。

 海賊の島みたいなとこに、リリーの残した日誌をとりにいくんだけど。リリーはその島の王、かな、の、娘だったのね。王に怒られちゃうドリトル先生。けど、同じ喪失の痛みを抱えてるんだよね。キレられたあとには、助けてくれた。

 冒険の旅で、みんなの成長がちょっぴりあったり、相変わらずだったり、そんなこんなで無事、女王の毒を消すエデンの果実を手に入れて、間に合った~。ハッピーエンド。
 終わりに、女王からメダルもらうみたいなシーンは、また絵になってて、それも可愛かった。スターウォーズのシーンも連想。動物たちもみんなメダルもらってたよ。よかったね。

 ダウニーは、なんか声の感じも違ってた気がする。当然ながらアイアンマンだとかシャーロックだとかの戦う男とは全然違う。ヘタレなドリトル先生だった。ヘタレだけど有能。動物たちを愛してる。妻を愛してる。やっと、先へ進めるようになった。優しい~~~。癒しの先生だった。楽しかった。満足^^

 

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映画 「エジソンズ・ゲーム」


*ネタバレします。


映画 「エジソンズ・ゲーム」


 発明家エジソン。実業家ウェスティングハウス。街に電気で明かりを灯すのは、直流か、交流か。

 と、電流バトルがあったんですね。電球だとかの発明そのものはエジソンで、人気者だけど、ビジネスはうまくなくて、アイデアを盗まれて怒ってばかりって感じのエジソンでした。ベネディクト・カンバーバッチ、キレものの天才、似合う~。
 家族思いな所もあって、でもいまいち大事にはしきれてない感じ。妻を亡くして落ち込んで、子どもたちとくっつくようにベッドに沈んでるシーンはとてもうつくしかった。
 子どもちゃん、モールス信号でパパと秘密の会話したりするのー。可愛かった。

 ウェスティングハウスが推す交流式の方が、コストが圧倒的に安い。けど安全性に問題がある!とエジソンは主張して、直流式にこだわる。その辺の理屈は私はいまいちピンと来ないんだけどまあ、そういうもんか、と思う。

 街に明かりを。その一方で、兵器開発をしろとか、死刑囚を殺すのに電気椅子がいいんじゃないかとか、文明は手放しに明るい~ってわけじゃないよというのも描かれていた。

 けど、正直私は、映画的おもしろさは、どうかと思う。ざっくりしてるな~~と思った。アメリカンとしては、あのエジソンとウェスティングハウスのバトルだなうんうん、って、よく知ってる出来事なのかな。わかってるでしょ、って感じの作りなのかもしれない。私が無知すぎてのり切れなかったのかなあ。ん~。

 ニコラ・テスラをニコラス・ホルトが演じてて、わくわく期待して見たんだけど、不遇な天才、って感じでこれもざっくり登場してざっくり消えた感じ。クラシカルな衣装お似合いでよかったけど。

 トム・ホランドがエジソンの助手くんで、ま~可愛い。助手って感じぴったり~。あれはなんかもう、可愛いで全部許すって思っちゃう。

 電流バトルではエジソンは負け。でもレコードや、映画のもとになる発明もしてるよ。ほら。って、家族、妻の声を聞いたりナイアガラだとか、娘ちゃん? の映像うつしてみたりする、優しい終りだったかな。

 これも公開されるのかどうかすら危うくて、どうなるかと思って待ってた。やっと公開になるって所で休業になっちゃって、延期でまた待ってた。無事見られて嬉しい。てことで、満足しました。

 

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映画 「コリーニ事件」


*ネタバレします。


映画 「コリーニ事件」


 ホテルのスイート。実業家のハンス・マイヤーは新聞記者の取材を受けるつもりで男を迎えた。しかし、男は銃をつきつける。
 ロビーへ降りてきた男の足跡は血の跡。その男コリーニはイタリア人。ドイツに住んで30年あまり。彼は何故、ハンス・マイヤーを殺したのか。黙秘を続けるコリーニの国選弁護人になったカスパー・ライネンは三か月前に弁護士になったばかりだった。

 これ原作がすっごく面白いと評判になっていたのを覚えてる。ドイツの弁護士で作家、というシーラッハの。面白いのかあ、面白いんだろうなあとは思っていたけど、読んだことなかった。でも、映画きたし面白いミステリらしいし一応見に行っておこうと思って行きました。
 凄い。
 すごく重い。辛い。ほんと面白かった。


 新人弁護士くんが頑張って、黙秘を続けるコリーニの動機を明かしていくミステリ。でもこれ、ドイツ、過去、ってなってきたら、ナチ絡みでなんかあるんだろうなーと察しはつくわけですが。イタリアもドイツに占領された? イタリアとドイツ同盟国だったのではとかよく知らなくて、ちょっとぐぐったら、イタリアが降伏した後に、イタリア戦線とかあったのね。歴史をあまり知らなくて申し訳ない。。。

 新人弁護士くんは、トルコ人、だっけ。移民の子ってことなんだろう。子どもの頃、父はいなくなって、母が苦労して育ててくれたって感じ。で、ハンス・マイヤーはご近所さんかなんかなのか? 最初は意地悪してきた子の祖父か。でも仲良くなっていって、ライネンくんの父のようなもの、とかで、多分学資とか支援してくれてたかなんかなんだと思う。
 恩人を殺した男の弁護を引き受けてしまった。被害者の名前が本名だったから気づかなくて。ハンスってのは通称ってことなのか。

 一度は断ろうとしたけれど、弁護士に私情は禁物と、刑法を習った教授、相手側の弁護士やる人に言われて、引き受けることになる。黙秘するばかりのコリーニに手を焼いて、もうてきとーに済ませちゃえ、みたいに思いかけてた所、凶器の銃がワルサーP38、だとかで。お?ルパン? とか思ったけど。それは古いタイプだかなんだかで、一般的ではない、みたいなことから、昔、友達がこっそり見せてくれた同じ銃のことを思い出す。ハンス・マイヤーの図書室の本の奥に隠されていた銃。

 何故そんな銃で殺したのか。

 で、過去を探ると、ハンス・マイヤーはナチ。しかも酷い行いをしてた事がわかってくる。ドイツ兵がテロにあった報復に、無関係な村で勝手に十倍の人数を殺したのだった。
 コリーニは一度はちゃんと訴えを起こしたことがあった、ということもわかってくる。戦争犯罪を告発したのに、マイヤーは起訴されなかった。何故だ、という、ついに喋ったコリーニはライネンに訴える。

 そこで、ライネンは不起訴になったわけを調べていくと、ドイツの法改正かなんかで、戦争犯罪をしれっと時効にしちゃうような条文があって、それを起草した会議に、相手側弁護士、恩師である教授が若い頃関わってて。

 ナチスの過ち。狂気。その犠牲を戦争が終わってから訴えてもそれをすり抜ける道が用意されているなんて。

 コリーニがまだほんの子どもだった頃。村にやってきて虐殺をしたマイヤーは、女、子どもには手を出さないけれど、わざわざ、コリーニの父を選んで、目の前で殺させた。コリーニにとっては地獄だったろう。パパ、とあの時自分が声をあげてしまったから、父親は選び出されて殺された。
 戦争、戦後の苦しみ。父の死をどれほどの思いで抱えて生きてきたのか。
 ハンス・マイヤーのやったことは戦時下とはいえ、酷い。戦争犯罪が、不起訴にされたことに納得なんてできない。
 かといって、私刑で殺したことは罪であると、コリーニだってわかっている。

 裁判の結果が出る日、コリーニが自殺したと知らされる。法廷で、ドイツの過ち、法律そのものがおかしい、と明かされたことに、コリーニはありがとうとライネンに言ったのだった。彼が求めた正義が、明かされて。

 これはフィクションで小説で、でもこの条文は現実らしい。この小説が出た後に、ドイツでは見直しが始まったりしたとかなんとからしい。実話ベースじゃなくても、フィクションの力って、あるなあ。

 ハンス・マイヤーは戦後、多分正気に返って、いいおじいちゃんになったのだろう。ライネンを支援する紳士だった。コリーニに銃をつきつけられた時、ひざまずき、うなだれて抵抗しなかったみたい。
 人は変わる。
 けれど、許せないのも当然。コリーニの自殺を知らされたシーンからエンドロール終わってもずっと涙が止まらなかった。
 コリーニが訴えた時にまともに裁かれていれば、この事件はなかっただろうに。

 過去を調べていくのに、膨大な文書、記録を調べていく。その、記録が緻密にいっぱいあってよかったねと思う。記録、大事だ。すごく大事だ。記録がちゃんとあるから、後世に伝わる。調べたり、考えたりすることができる。記録。
 時代が変わると、正義も変わる。正義というか、ね。
 戦争中なら仕方なかった。戦争直後なら仕方なかった。そういうことはあるだろう。
 でも、その記録を調べて、今、新たにちゃんと過ちをただすことができるように、していかなくては。

 つくづく、この頃の我が国は、公であっても記録しないとか消したとか捨てたとか、何かと酷い話になってるのを思って、マジ記録大事だからほんと頼むよ我が国。。。と、暗澹たる思いに陥った。

 過ちはある。人は過ちを犯す。それを認め、改善していけるのも、人。時代は変わる。社会は、よりよくなっていくはすだ。よくなっていけるはずだ。そう、信じるよ。


 ライネンくんが新人であることもあるけど、トルコ人のくせに弁護士、みたいな見られ方もある感じが、今も根深い差別問題みたいなのもはらんでいることがちらりと盛り込まれてうまいキャラだなあと思った。
 新人弁護士くん、可愛いね、といった感じもある。その軽くみられる感じが、ヤな感じ~でもある。
 マイヤーの過去を、ライネンに暴かれたくない、やんわり圧力かけてくる感じとか買収めいたことを持ちかけるとか、なかなかヤバイじわじわもよかった。

 ライネンくんのチームになる、友達や、たまたま知り合ったピザ屋の女の子や、父との和解めいた感じとか。その辺はあっさりだったなー。時間の都合なんだろうか。でもなんかちゃんと孤独じゃなく戦う感じ、よかったー。

 ラストシーンが、サッカーボールが転がってきて、ちびっこの頃のコリーニ親子の幻を、ライネンくんが見てほっとする、みたいな感じだったの、それはなんかちょっと~~。とってつけたような~~~。それいらないよー。と思ったけど、そういうちょっとホッとできる気分で終わりにするってのが、まあ、監督の親切なのかな。原作がそうだったのかしら。わからないけど。

 けどほんと、見応えずっしり。コリーニを演じてたフランコ・ネロ。「被告人コリーニを「続・荒野の用心棒」の名優フランコ・ネロが演じる」だとかで、私はちゃんと認識したことなかったけど、名優なのね。
 セリフほとんどなし。黙秘してるから。それでも、青い目がとても素敵で、ぐっと渋い、まさにいぶし銀て感じで、無言でいる佇まいだけですごく、迫力、説得力があった。かっこよかった;;

 とてもよくて、感動したので、本も読もうかなと思う。映画化でアレンジしたところもだいぶあるみたい。でもたぶんすごくいい、うまい映画化なんだと思う。見に行ってよかった。

 

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映画 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」

 

*ネタバレします。

映画 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」


 ジョーは雑誌社に友達の作品といって短編小説を売り込む。駄目出しはされたけれど、売れた! 
 走り出すジョー。下宿では家庭教師をしながら、作品を書き続けている。だが同じ下宿人からあえて厳しい評価をされると、ショックでカッとなって喧嘩別れ。
 故郷から、妹のベスの病気が良くなくて帰ってくるようメッセージが届く。ジョーは7年前、楽しかった少女時代の断片を思い出す。


 そんなこんなで、「若草物語」ですね。私は多分子どもの頃かなあ、読んだことある。けど、それは子供向け本だったのか。この、7年後のジョーたちのことは知らなくて、この辺もちゃんと原作通りなのかどうか、わからない。ローリーとジョーはどうなっちゃうのよ~~とか、ええええ結局エイミーと結婚すんの!? とか、そういうのってもともとのお話? 私が覚えてるのは7年前あたりとされている少女時代の事ばかりでした。

 この作品も、時間がぽんぽん飛ぶんだよね。基本は「若草物語」を書き始めるにいたるジョーの時点。で、書いた物語、ってことになるのか、楽しい少女時代だった頃、クリスマスの朝、とか、ローリーと出会った頃、とかが回想や夢の中みたいな感じで出てくる。
 
 とにかくマーチ家の四姉妹が! 可愛い!!!!!
 マーチ家は、お父さんが南北戦争に行ってる、のね。で、おうちには女性ばかり。姉妹と、ママと、女中さんかな。お隣のお金持ちんちは、おじいさんとローリーと、家庭教師の先生で、男ばかり。で。エイミーが学校でぶたれて、泣いてた所を助けたりして、交流が始まる。姉妹のきゃっきゃした感じで、お隣の重厚なおうちが華やぐ様がとっても可愛かった~! 

 ママと姉妹たちが、くっついてもたれあって父からの手紙を読むとか。仲良くきゃっきゃしてるのがたまらなく可愛い。きれい。それぞれの個性しっかりあるし、そういう風に生きている人たち~。でもとっても誠実に清らかな心を持ってる。決して聖人じゃないよね。だけど、人としての優しさを持ってるんだねえ。牧師さんちなんだっけ。優しい。でも、ベスはやっぱり、天使すぎる;;

 女の子が生きる道は結婚しかない。といわれる時代。ジョーはそんなのは嫌、作家になるべく書き続けている。姉妹それぞれに、才能があって夢があって。
 お金持ちの叔母様は、お金持ちだから独身でいられるのよ。ってことで、女が働いて生活していくなんて馬鹿げてると一蹴される時代。ジョーは、それでも、結婚しない道を探す。

 ローリーとジョーと仲良しで、一緒にいると楽しくて、とかがすっごくよくって最高だった。ティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンが仲良しでいいコンビっていうのがすっごく伝わる。で、ローリーはジョーにプロポーズしたい、してしまうけど、ジョーはそんなのダメ、台無し、って断る。
 ジョーにとっては、ローリーとはいつまでも友達でいたい、仲間でいたい、って感じ。女の子扱いしてほしくない。結婚、妻、という立場に置かれたら否応なく上下関係、ローリーがどんなにジョーを大事にしようとしてくれたとしても、社会では対等に見られることはない。

 それでも、孤独で、寂しくて、もう一度ローリー、テディがプロポーズしてくれたら今度は受けるわ、とか、その寂しさ、弱くなっちゃう時の感じのリアルがすっごく、わかる。

 ベスが天使すぎて、天に召されてしまって。大好きな家族、大好きな姉妹の一人が失われてしまって。
 メグが結婚するって時には、一緒に逃げようって真剣に口説いちゃうくらいジョーは姉妹、家族が大好きで、家族さえいればいいって思ってて。

 エイミーが叔母さんとパリへ、話し相手として行ってて。絵の勉強もしてて。絵の才能はある、けれど、画家として売れっ子になれるほどではないし、そもそも女性の画家なんて認められない。
 ジョーとの失恋でだらしなく放蕩してるローリーと再会。エイミーも気が強くて、ジョーと似てるからこそ喧嘩も派手にやってきてて。そしてエイミーは、ジョーの代わりなんて嫌、って、いつも姉妹の末っ子として子ども扱いされてるのも嫌、で。エイミーなりの屈折も激しくあるんだよねえ。

 そんでローリーはエイミーと結婚して帰国かよー。びっくり。
 エイミーとジョーと。二人への愛はそれぞれに全然違うよ、とローリーは言うけど。エイミーへの愛はちゃんと男女の愛ってことか~。ジョーとはまた友達に、と。
 ジョーはショックだけど。自分から離した手だから、もう。ローリーとは友達で。友達って、最高なんだけど、これはまたちょっとしばらく辛いな~。

 なんて思ってたら、ジョーのことをやっぱり好きだったのねの下宿人仲間のインテリさんがはるばる訪ねてきてさあ。ジョーが恋する相手はこっち!?

 叔母さんが残してくれた屋敷で、学校をやるという新たな夢を持ったジョー。幸せに結ばれる相手ができたジョー。
 って、この、ジョーも結婚するハッピーエンドは、小説を売るための交渉の結果、みたいなことで、小説の中だけのお話なのか、作者ジョーも結婚するのか、ちょっと曖昧で、見る側に委ねた感じだったな。
 
 私は、ジョーはアセクシャルっつーか、愛はあるけど恋愛しないタイプ、みたいな描き方なのかと、ローリーを断った時に思ったので、ジョーにも幸せな結婚相手がいました、というのは小説の中のお話、と思った。けどまあ、実際彼と結婚したとしても、まあそれはそれでいいのかなーと、思った。けどどうなんだろう。私がちゃんと見れてないのかもしれないけど。

 昔昔大昔に読んだお話を、映画を見て断片思い出せるのすごいなあと思う。確かにこれは「若草物語」。あーこういうところあったな、って、優しい気持ちを教えてくれる。
 でも確かにこれは今作られた今の映画で「若草物語」。一人一人違う、それぞれの生き方をしたい女の子の物語。女性であるというだけで奪われる可能性の数々を言う言葉が、現代でもまだ、まんま、ある、ってわかってしまう苦しさ。それでも、助け合い、愛し合って、生きる道があること。

 ジョーの本が、印刷されて、作られていくところが丁寧に映し出されていた。ああ。本って素敵だ。物語が生きる力になることを、本がとっても大切に抱きしめられるものであることを、物語を愛するすべての人と分かち合うシーン。

 あんまり期待せず、シャラメたんが見たい~くらいの気持ちで見に行ったんだけど。で、シャラメたんがああもおおお~~最高に可愛くてかっこよくって何から何までどのシーンでも最っ高ステキだったんですけどっ。あんなお隣さん仲良しさんが出来て、四姉妹で奪い合いにならないのがすごい。シャラメローリー、夢の幼馴染すぎる。素敵だった。うっとり……。

 と、それはそうなんだけど。シャラメ~って萌える以上に、マーチ家さいこうか、とか、お隣の一見気難しそうおじいさんも可愛いかよ、とか、も~全ての登場人物が素晴らしく素敵で、全員を愛してしまうよ。
 上手い。全員が上手い。豪華キャストよくそろえてたな~と思う。でもこれは俳優たちみんなもこの作品に出てよかったって思うんじゃないのかな~と想像しちゃうほどに、上手い映画って思った。

 ポリフォニー、って思った。作中作、思い出、作者、いくつもの重層性。って、ポリフォニーって思っていいんだっけ。ちゃんと言葉が把握できてないかな私。けど、ほんと。すごくうまい。監督、脚本グレタ・ガーウィグ。参りました。
 「レディ・バード」は、あんまりまあ、ん~、なるほどって思ったわけですが。この作品はまた新たな古典として残っていく名作だろうなーって。いい映画を見た。大満足です。

 

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映画 「ANNA アナ」(二回目)


*ネタバレします。


映画 「ANNA アナ」(二回目)


 二回目だし落ち着いて、安心してキャラもえ~ってなりながら見てきました。思いつくまま覚書メモ。
 時間の前後するのもよくわかる。でも初見でもかなりすぐよくわかったから、親切設計だなーと思う。

 繰り返されるモチーフがいくつかある。五分で。アナの最初のお試し任務の時。CIAに捕まって寝返るよう交渉するのも五分。お土産マトリョーシカ売りになっていたこと。最初にレナードに尋問されたときにもマトリョーシカっていうし、最後にレナードとアナとアレックス三人でテーブルに着いた時にもマトリョーシカの話をする。いくつもの姿の中に最後に残った小さな人形、私、は、何? という、わかりやすいテーマ提示。

 これはゲームだ、ということ。チェスが上手い、ということを最初にアレクセイに誘われた時にも言われたし、長官に接近できたのもチェスのゲームをするため。レナードがモードに尋問するときにも、イエスかノーだけで返事しろっていうゲーム、みたいに怒鳴ってた、かな。何度か挿入される子どもの頃のアナが父とチェスをしていたシーン。チェックメイトするのはいつなのか、決めるのはアナだったこと。
 
 結局最後に決める、得をしたのはオルガとアナ。ゲームの勝者。アレックスは使われただけだったなあ。ミラーはまだ主体的だったけど、アナの駆け引きに負けた。現場の人間に情が湧くタイプの上司、レナード・ミラー。スマート、ハンサムなのに優しくなっちゃうヘタレくんなのめっちゃ可愛い。
 キリアンがミラーだからもう当然思い入れしちゃうんだけど。始まりはレナードの部下がKGBに殺されて生首になって送られてきた所だから。あのシャツ腕まくり、サスペンダー姿でちょっと前髪ぱらり状態で登場の姿からしてまいった。生首にびっくりして後ずさってからの、ふぁっく! きゃ~最高の登場じゃーん(*ノωノ) 可愛い。めっちゃ可愛い。
 会話の進め方もおしゃれだった。さすがってとこか。
 何度もアナをディナーに誘うセリフ。けど、アナはそこすっとばしてとりあえず寝る、って襲いにいっちゃうのすごくいい。襲われちゃうミラーめっちゃ可愛い。


 気に入ったヒロインをめっちゃドアップで撮る監督だと思うんだけど、キリアンのアップもいっぱいあって、これは~なんか~ヒロインの撮り方じゃない? と思った。私の思い入れのせいかもだけど。

 キリアンは身長175なんだっけかな。一般的に見て小柄ってわけじゃないと思うけど、なんかやっぱ、小柄。に見えるように周りをでっかい男で囲んでたでしょー。アナ、サッシャ・ルスが流石元モデルで女性としては背が高い方、で、でもほっそりしてるからでっかいわけでもないけど、向き合ってすごく対等って感じがしていい見映えだった。立場、力関係はアナはいつも下にされるけど、実力で対等にねじ伏せていく感じがかっこいい。
 
 ミラーがCIAでロシア担当なのって、実力者ってことだよな。対ロシア、つか、ソ連の時代から、重要部署だったに違いない。で、KGB長官暗殺を成功させたミラーは時の人だね、って局内で褒められてるけど、アナを失ったと思ってて全然本人的には成功とはいえない、と思ってる感じのナイーブさ、とても良い。そこに、アナからのメッセージ。ポケベルだよねーあれ? ま~そっか~90年頃ってそうかーって思う。そのメッセージ見て、アナが生きているってわかった時の思わず一人笑顔になってしまったの、すっごく良い。嬉しそう。うつむいてて、顔が全部見えるわけじゃないけど、あの一瞬だけ笑った口元。嬉しそうだ~~~ってすっごく伝わるの、いい。好き。

 ミラーはハワイが故郷、ってのが一番笑ってしまった。アナが寝返る見返りに自由と保護を要求、住みたい所がハワイってことで。行ったことはないけど、昔両親が飾ってた絵葉書が楽園みたいだった、って。


 その楽園からきた男なのかよーミラー! 全然ハワイっぽさのない男なのにーっ。バカンスの南の島で、ぼっちで、あれ、白のワイシャツでごはん食べにきてたよね? 浮いてるよ。色白いままとか。アナがバカンスに行っちゃったから、心配でとにかくかけつけたのか、な? クローゼットでこそこそ話してて。ハワイはいいよ、スパムもサーフィンも最高、とか言うの、面白すぎた。なんかてきとーだなあ~。ほんとにハワイ出身? まあほんとかどうかわからない。けど、ホントなのかなあ。アナに心動かされてる感。二人で喋る距離が近い。ドアップ。画面はすごくドキドキシーンだけど。そしてキリアンの声は最高たまんないのでときめきまくりだけど。ハワイか~。

 アナが一目で人をひきつけて、惚れさせる。というのの説得力持つ美貌だしスタイルだしで、凄い。アナが魅力的であることありきの世界なんだけど、そうかそうなるかね、うん仕方ない、って思える、ほんと、サッシャ・ルス、きれいかっこいい。アクションもかっこよかった~。
 
 オルガが唯一冷たいわけだけど、それでもアナと共闘の道を選んだのも、すごくいい。アナが使える、ということを冷静に判断。オルガもまた自分の戦いを冷酷に冷静に進めていけるプレイヤー。寒がりのおばさんみたいであり、けど部下をこき使う上司である。指輪いっぱいつけてたの印象的。いいな~。私もあんなふうにガツガツ指輪つけたい。

 監視、盗撮のカメラのアングルが悪い! と怒るシーン。監視カメラで見てるぞ、というのも何度か繰り返されたモチーフ。カメラがあるのに、見えない、っていうもどかしさの盛り上げが上手いと思った。

 ラストの三人での会合の時、まずアレックスにキスするアナ。それを見てるレナードたちとか。その後アナがきてキスされる、やられちゃってる感のレナードめっちゃ可愛かった。男いっぱいいるのか、と皮肉言うレナードに、二人だけよ、と切実に言うアナ。家族だ、といったのは情をかきたてるための演技なのかどうか。わかんないけど。アナが自分を信じる、自分がゲームの勝者になるために、手ごまにした男二人ってことなんだろう。だから、大事、大事に思ったのは本当かなあ。

 便利ないっときの捨て駒だったのかしら、モードちゃんとのつきあいは。と、ちょっと悲しい。モード、すっごく可愛いからなあ。アナのこと大好きになっちゃうの、あれも一目ぼれなんだよねえ。まあ、一目ぼれされまくりのアナ。でも納得できるアナの魅力、凄い。
 
 二度目見ても、公園からレナードを離脱させるぞ、ってCIA関係のみなさんの保護っぷりが、レナードが姫って感じですっごくすっごくすっごく良かった(*ノωノ)
 銃をつきつけあうレナードとアレックスの姿最高~。おっさん集団っぽいKGBと姫を守る騎士っぽいCIAの対比も良い~。ほんと、見映え、見せ方がすっごく良くって、楽しんでしまうよー。
 リュック・ベッソン監督……。

 俳優が良くて、アクションも良くて、極上素材を使って、でもなんか雑~~~に、でもかっこよく仕上げた料理。高級品でジャンクフードみたいな。美味しいけど!!! みたいな。
 でも、こんな感じでどうだ! という雑さが、こっちが妄想読み込んじゃう余白たっぷりって感じになってるの、上手いんだかなんなんだか。やっぱ楽しんでしまう。好きだなーってなる。何回でも見たいって思う。ううー。好きです。

 

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映画 「ポップスター」


*ネタバレします。


映画 「ポップスター」


 セレステは、中学生の頃に歌手デビューした。詩を書き、姉と共に曲を作り、思いがけず注目されるようになった日々。
 やがて三十代になった彼女。久しぶりに復活のコンサートツアーの幕が上がる。

 ナタリー・ポートマン主演で、ジュード・ロウも出てる! と、楽しみに待ってました。
 けど、これ、全然いい評判を見かけなかった。なるべく事前に評判見ないようにしてるのだけど、なんとなくうっすらとは、これ、つまんないのかな~と思ってました。
 なるほど……。

 中学の時、新年あけの授業再開の日、同級生が学校に銃を持ってきて乱射。先生や同級生など大勢が亡くなった。セレステは怪我を負うものの、生き延びた。その事件の追悼式で、スピーチの代わりに姉と作った歌を歌ったことで、大注目を集め、デビューになった、というショッキングな始まり。

 ところでこれ、始まって早々にエンドロールか? ってのが映し出されるの。まあ、映画、始まる時に主要キャストとか出るのもあるけど、こんなじっくりいろいろ流れるのは不思議だった。

 で、まあ、まだ少女のセレステに、敏腕マネージャーってちょっと胡散臭げなジュード・ロウ演じる男がついて売り込む。姉も一緒について回って、レコーディングしたりダンスレッスンを受けたりして。
 デビューは、実際売れるかどうかわからない、話題性だけのもの、と思われて、自分たちも思ってたけど、結構売れた、らしい。
 深刻な歌じゃなくて、何も考えなくていいポップがいい、ってなことを言ったりするセレステ。
 姉がマネージャーと寝てたのにショック受けたりするセレステ。自分もバンドマンと寝てきたところなのに。
 
 なんだかんだあったらしいけどさっくりと17年後。三十代になったセレステを演じているのがナタリー・ポートマン。ヒステリックな情緒不安定。娘は姉に預けっぱなしみたい。久しぶりに再会かな。

 ポップスターってタイトルだけれども、あまり歌、曲作り、ってシーンがない。最初の時くらい。あと最後の、久しぶりにステージに立ちます!って時。
 途中に曲とかないものだから、せっかくのラストシーンのステージで、なんかとくに歌に感動もなく。ほー。って見るだけ。

 マスコミがひどいとか、銃乱射事件がまた起きて、セレステの衣装のマスクの真似した犯人がいて、とか、事件、実際起きたことあるような事件やマスコミ、大衆批判みたいなことを盛り込みつつ、なんか全然、上っ面だけそういう題材扱ってみた、って感じ。シリアスなことをみんなポップに消費していくの、みたいな皮肉、批判なのかもしれないけど、なんかバランス悪い感触しかない。
 
 最後のステージも、なんか歌と衣装やダンスがちぐはぐ。歌とかがなんだかまあ、10代の女の子が作ってみた、ってまんまな感じがしちゃった。それなのに、ギラギラのボディスーツみたいな衣装、ブラックスワンみたいなメイク。ダンスも、なんか、うーん、頑張ってるんだろうけど、あんまかっこよくなくって、微妙な気持ちになる。
 彼女は、トップスターじゃなくて、最初一発屋的に売れた、今はそこそこ、まあ、一応、くらいのもっさりしたポップスターってことなのかな。華やかに派手にステージやってるみたいだけど、なーんかチープでダサい……。トップじゃないよーぎりぎり二流くらい、って感じなのかなあ。
 
 娘と話したいのよ、とかいいつつ娘の話を聞いたり受け止めたりする状態じゃない。この不安定で心揺れるスター、みたいな悲哀なのかもしれないけど、ただヒステリックでダメな女に見える。

 消費されるスター。彼女の心は傷ついているのに。みたいな作品なのかなあ。けど、セレステに魅力を感じられなくて、うーん、なんか、がんばってるのかな、って、ただ眺めただけに終わってしまった。ごめん。

 最後、不安を乗り越えてステージで輝くスター、って終りなのかもしれないけど、ん~? と思ってるうちに終りかあ。ステージすらも空虚みたいな狙い? けど、それにしてもなんだか、冴えない。うーん。

 ま。いまいちなんだろうなあとは思っていたので、うんいまいちだったなあ、と、自分で見たのは満足です。どうすればちゃんとしっくりきたのかなあ。いろいろ豪華さはあるはず、題材も深くなりそうなのに、もったいない感じ。映画がちゃんと面白いのって、簡単じゃないんだなあと思った。残念な映画をたまに見るのもいいかな。

 

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