映画 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

*ネタバレしています。


映画 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」


 1969年、ハリウッド。リック・ダルトンはかつてテレビスターとして主役をはっていたが、今は落ち目。若手の人気俳優にやられる悪役として単発ゲスト扱いの仕事をしている。映画俳優に転身しようとしていたがうまくいかなかった。
 スタントマンとして長年相棒のように一緒にいるクリフ。仕事はほとんどなく、リックの運転手や雑用をこなしている。リックを励まし、支えながら自分はトレーラーハウス暮らし。犬と仲良し。
 リックの隣の家に、ロマン・ポランスキーが引っ越してきていた。その妻、若き新鋭女優シャロン・テートも。
 街にはヒッピーがうろつき、ハリウッドが変化しつつある時。
 全盛期の夢の中に取り残されているようなリックとクリフ。それでも彼らはなんとかこの街で生き抜いていく。

 8/30公開で見たい映画多すぎ問題だったのだけど、やっとこれで私の中では一段落。公開前から、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの共演ってんですごく宣伝されてたし、タランティーノ監督だし、どんな二人の共演なわけ?? と、すごく楽しみに待ってた。
 二人は、冴えない中年として、かつての栄光から遠くなった今をあがいたり諦めたりやっぱりあがいたりして一心同体になってる相棒だった。
 リックの方が精神的に弱いというかぐずぐずにアルコールに溺れたりしてて、泣いちゃうぞ、ってクリフの肩に顔埋めたりしちゃうんだ。しっかりしろよ、ってクリフはいつもリックを励ます。運転手になったり、倒れたテレビアンテナ直しといて、って便利屋みたいに頼まれることにも慣れてる風なクリフ。安定した人格かなあと思うけど、喧嘩早いとこもあるんだよなあ。ブルース・リーとやりあったり。

 ヒッピームーブメントみたいなのがいまいち私はわかってないんだけれども、ヤバイ集団という感じは、やっぱこの事件のせいか? まあそうでなくても、フリーセックスみたいなのとか、ドラッグとかやばそうな感じはすごくあるけれども。
 クリフがヒッチハイク探してる女の子を拾って送っていって、そこでまともな大人っぽいふるまいするのを若者たちが嫌悪の目で見る、とかの感じ、すごいひりひりする。
 けど逆にクリフにボコボコにされちゃったりするのな。
 クリフと絡むヒッピーの女の子やってる子がすごくきれいで表情豊かでよかったなあ。

 リックが必死で演技がんばったり、最初は馬鹿にしてたイタリア映画で金稼ぎにいったり、ついでに女優と結婚したり。リック・ダルトンは架空の人物だっけ? と疑問に思っちゃうほど、キャラクタとしてというか、生きて、そんな男がいたのかもという感じがすごい良くって。さっすがディカプリオ、上手いですし。
 そんな風に生きてる彼、彼ら。そしてシャロン。そういう日常、もちろん俳優たちなのでちょっと特殊な、でも彼らにはそうであるところの日常が、切なくもキラキラとたっぷり描かれていた。
 監督が、この時のハリウッドという夢の世界を、物凄く大好きで憧れていて、原点にしているんだろうなあというのがずっしり伝わってくる。

 リックに、10歳くらいの子役の女の子が、今まで生きてきた中で最高の演技だった、って耳打ちするシーン。予告で見た時には、そんなちびっこの生きてきた中でなんて、クソが、って感じかと思ってたんだけど、あれは結構、よし俺様はリック・ダルトンがよくやったぞ、と、女の子にも褒められ自分でも自分を褒める、的な あいむふぁっきんりっくだるとん、だったなあと思う。
 あの前に、女の子が意識高い俳優としてクールな様とそこで読んでる本に絡めて自分が悲しくなる感じのやりとりがあって。セリフ忘れちゃったりの後で、自分を奮い立たせての演技シーンだった。ディカプリオの、おっさんになってからのああいう迫力というかテンションの突き抜け方すっごいよね。好き。

 でかい高級車の運転するクリフことブラピ。薄汚れたしょぼめの車運転するクリフことブラピ。屋根でアンテナ修理の時上半身裸サービスくれるブラピ。犬をしっかりしつけていて、ドッグフードをなんだかまずそうに、でもぺろっと味見したりして出すクリフことブラピ。喧嘩強いクリフことブラピ。トリップして押し入ってきたヒッピーの若者たちを返り討ちにしちゃうクリフことブラピ。いろんなブラピ、かっこよくてだるそうで、けど可愛くもあり、渋い大人の男でもあるブラピ。夢のようなブラピも詰まっていた。ほんっとあのだるそう~なへらっとした感じ最高だよねー。

 そう。ヒッピーたちが押し入ってきちゃうのが、ポランスキー邸じゃなくて、リックんちだった。びっくり。
 なんとなく、シャロン・テート事件、有名監督の妻であり妊婦である若い女優がカルト集団に殺されたというのは知っていて。で、シャロンが可愛くきれいに素敵に、嬉しそうに、妻として女優として、暮らしているのを見てはハラハラして、いつくる? いつ殺されてしまうことに?? と思っていたんだけれども、最後まで、彼女は殺されなくて。
 ああ、これは夢の映画なんだなってすごく納得した。

 映画は夢を見せてくれる。
 もしもあんな不幸な事件が起きなければ。シャロンが無事に生きて、わけのわからないひっぴー集団をお隣さんが撃退、なんと火炎放射器で丸焼きにしちゃったりしたりもして、死ぬのは犯人の方、ってことだったら。
 この、若者たちをボコボコにやっちまうのはさすがタランティーノ監督~て感じで酷いバイオレンスだったけど、まあ、今回そういうのはそこだけだったな。
 そしてつまり、シャロンという被害者を被害者にしなかったという、夢の映画だったんだなあ。

 もしも。もしも。もしかして。あんな悲惨な事件がなかったら。そんな風な願いのある映画だった。
 リックは悲惨に落ち目になっていくばかりじゃなくて、今度はポランスキー監督作品に出るかも。スタントマンが必要になるかもしれなくて、クリフは怪我から早々に回復してまた一緒に仕事をするかも。
 夢の世界がまだまだ続くかも。

 切ないなあ。
 人も街も変化する。子どものころ憧れた世界は大人になってみれば全然違う見え方になるかも。それでも、あの頃の夢をこうして映画の中に閉じ込めて作り上げることもできるんだなあ。

 リックが出演してるドラマや映画が、なんかいかにもな大仰さとかかっこつけまくりとか、すごく懐かし面白そうですごくよかったし~。
 「俺のFBI見るか?」ってクリフとリック一緒にテレビ見てるのとか、素敵幸せ楽しそうですーっごい、いい。
 なんだかだらだらと長いなあ、とちょっと途中思わなくもなかったけど、見終わってみると、ああ、なんだかだらだらと長い日常をこそ、撮る映画だったんだ、あったかもしれない日常を。救われるかもしれない日常を、と思って、すごくよかったなと思う。
 タランティーノ監督、映画大好きだよねえ。愛があるってすごくいい。私も映画大好きだな。

|

映画 「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」

*ネタバレしています。


映画 「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」


 1990年ころの朝鮮半島。北が核兵器開発を進めているのではないかとの疑惑を確かめる潜入のため、パクは軍から離れ、一度は自己破産するまでの転落の暮らしを経て、事業家としての顔を作る。商売人として北とのつなぎをつけ、入り込んで核開発施設へ近づくこと。
 北は外貨を欲している。資本主義経済に明るいリ所長との会見にこぎつけ、共同事業を持ちかける。少しずつ信頼を勝ち得たパクは、ついに金正日に面会できるまでになった。
 しかし、南での大統領選挙の情勢で、政権が覆るかもしれない不安がある。保身を図る上司たちは、北に働きかけて軍事的緊張を高めるような工作を仕掛ける。自分が南北融和を願って働いてきたはずなのに、不審に襲われるパク。悩み、上司に背いてでも、南北のために働くことを選ぶ。

 スパイもの、ということになるのかなあ。実際の工作員、コードネームは黒金星ってかっこいい~。けれども、銃を持つことはあっても、実際それでドンパチやるようなものではなくて、あくまでひそかに、慎重に、相手の懐深くに入り込んで情報を探る、じっとり重い、痺れる緊迫感いっぱいの映画だった。渋い。
 
 90年代の半島情勢ねえ。なんとなくはニュースなんかで知ってる感じはあるけれども、実際どうなのかとかわからないし知らない。これは、まあ、実在の黒金星、ということだけれども、映画は映画、フィクション、ということ。
 振り回される現場の人間同士、ということなのか、リ所長と二人で、南の仕掛けにのってはいけない、と金正日に訴えるシーンのひりひりした緊張感ったらもおお。しぬ。独裁者に意見することの凄味って、まーたぶんわかんないけどしぬよねえ。
 無事、生き延びたけれども。むしろ南からバラされて逃げる羽目になるとか、現場の使い捨てされちゃう工作員タイヘンすぎる。

 大統領選挙に北が絡むとか、南からの思惑で動かされるとか、まあ、ええとまあフィクションなのでしょうけれども、なんか、凄い。どうなのこれ。すごい。

 そんなこんなの、スパイものながら、リ所長とパクさんとの、友情、友情っていうかなあ、信頼、あんなぎりぎりの命がけの場に臨むほどの信頼を築く物語でもありました。信じてしまうんだ、って感じのリ所長可愛かった。贈り物をしあって、そして10年後、再会して示しあう、何そのおっさんたちの熱い絆―っ。とてもよかったです。ぐっときた。つられて涙ぐんでしまった。

 しかし、あんな、工作員がーってニュースが流れたりしたあとにも、ほんとに事業続いたんだ? とか、リ所長ほんとに殺されなかったんだ、すごいよかったね、とか。多分ちょろまかしした課長たちは殺されたのか、とか、なんかそんなこんなの裏側が、不思議でびっくりしたりもした。
 わからない……。政治。スパイの世界……。

 偉そうでクール意地悪の公安だか軍部だかの、課長をやってたのがチェ・ジフンですね。神と共に のヘウォンメクだね? さすがのスタイルの良さ~で、軍服がお似合いでしたし、悪い役の感じもかっこよかった。
 パクさんを演じてたのがファン・ジョンミンね。なんとなく、眼鏡コートくたびれたカバンのリーマンスタイルな感じが、孤高のグルメの松重さんぽい、と思ったりした。
 韓国俳優さんたち、覚えられないし名前も覚えられないし、誰だっけとわからなくなるんだけど。それでも見てるとぐいぐいひきこまれて、凄い。面白かったなあ。見逃さなくてよかった。満足。

|

映画 「トールキン 旅のはじまり」

*ネタバレしています。


映画 「トールキン 旅のはじまり」


 トールキンは幼い頃に父を亡くし、母と弟と貧しい暮らしをしていた。夜には母親が読み聞かせを熱演しながらしてくれるのが兄弟の楽しみ。だがその母も突然亡くなってしまう。
 神父の助けを得て、成績優秀な兄弟は裕福な家に住まわせてもらい、一流の学校に通うようになる。その家にはエディスという女の子も世話になっており、彼女は夫人のそばでピアノを弾いたり、細々とした用を手伝ったりしていた。
 トールキンは最初こそいじめにあいかけるが、彼の優秀への嫉妬だ、と、いさめる友人がいて、四人のグループで深い友情を築く。
 エディスとの恋。だがまだ大人ではない彼らに自由はなかった。

 オックスフォードへの進学。しかし成績がかんばしくなく、酔っ払ってふざけたことの処分もあいまって奨学金を打ち切られることになる。学費を用意できない彼には退学も同然の処分だった。
 だが、酔った挙句に、自分が作り出した言語でわめいているのを聞いた教授が翌日話しかけてきた。言語学の教授の下で学びたい、と食い下がって、トールキンはそこでの奨学金を頼み、本当に学びたかったのはこっちだとわかる。
 そして、戦争が始まる。第一次世界大戦。戦場で行方知れずの友を探すトールキン。泥にまみれ、体はふらふら。忠実な従者に助けられて、生き延びる。
 気が付くと病院で、エディスがずっと看病してくれていた。
 やがて、大学の教授となり、エディスと結婚して子どももできた。トールキンは長い物語を書き始める。冒険、愛、魔法も出てくる、そして何より、友情の、仲間の物語を。


 私はファンタジーにあまり親しみもってこなかったし、『ホビット』や『指輪物語』も読んでこなかった。映画を見てから知って、読みましたけど。面白かった。
 そしてトールキンについても、その作者としてとか、自分でオリジナルの言語作って世界観作り上げたらしいとかそんな感じのことしかイメージなかったです。
 ほぼ、孤児でありながら、機会を得て、学び、成長していったんだなあっていうの、この映画の通りなのかどうかはわかんないですが、まあ、ざっくりとは多分正確でしょうから、そういう育ち、半生で、凄い作家になったんだなあと、面白かった。
 弟くんと仲悪いわけじゃないんだろうけど、ほとんど触れてなかったなあ。恋と友情の方に焦点あててのことだからなのか? 
 やはり何より、学校時代が素敵だった~。あ~~英国男子~~って感じ。反発からの友情。そしてお茶を飲もうよ、という仲良くなっていく感じ。お気に入りの店があって、町一番の紅茶だ、とか、子どもたちが~~生意気言って~~。
 でもエリート教育の感じってこうなんだろうなあって雰囲気がすごく、うう、英国男子様、もえる。子役くんたちもすごくよかったし、育ってからのニコラス・ホルトも可愛かった。みんな若きジェントルマン、だけど生意気盛り、勉強もするアホ男子な感じも最高。
 
 仲間で絆深め合おうぜ~ってクラブ作ったり、目的は世界を変えること! とか勢いあるのも、あーっ10代! ってキラキラしてる~。
 
 しかし戦争が起きる。
 若き彼らは戦場へ行き、泥の中を這うように進む。
 戦場でさまようシーンと、回想的なその前の時と、ポリフォニックに描かれていて。でも戦場のシーン、生々しくどろどろで、それはそれでリアルかと思ってたけど、なんか、友達探すとかフラフラしまくりで、戦闘中にそんな自分勝手なことしてていいの?? と不思議だったけれど、あれ、幻想というか病気、熱で気を失ってる中での妄想というかなんだなあ。悪魔のような鬼のような影とか火を吐くドラゴンとか幻視しちゃうの。
 後の、トールキンが書くことになる世界がオーバーラップしている。

 トールキンの半生、伝記的ではあるものの、物語を重ねていて、ファンタジックでもある映画だった。
 
 オックスフォード退学になりかけたりしたの、古典では成績が悪かったそーで、けど言語学の世界こそがトールキンにとっては興味あるし才能もあるってことだったんだろう。ああいうトップクラスな世界だと、学ぶにも向き不向きっていうのが致命的になっちゃうのかなあ。まあ特に奨学金をもらって、となると厳しいんだろうな。
 でもほんとにやりたいことはこっちだった、って言語学の教授のクラスに行けるようになった時の生き生き嬉しそうな感じ、すごくよかったねって思う。

 バーミンガムとか戦争だとかで、ピーキー・美ブラインダーズも連想しちゃったけど。戦争で人生に、心に、大きな傷を負う、大事な人をなくす、というのは本当に残酷なことで。失った人、その才能は取り返しがつかない。生き延びたほうはそれを背負っていくんだなあ。

 世界を変えよう!っていう若き日の勢いの目標。トールキンは物語の中に世界を作って、そして、愛と友情が勝つと、書き記した。
 あの、戦場でずっと付き添ってくれた従者、彼が、フロドの従者のサムなんだろうか。トールキン、ちゃんとたくさんみんなに愛されてるように描かれていて、よかった。亡くなった友人の残した詩を、出版するように尽力するのもよかった。
 美しい映画でした。

|

映画 「やっぱり契約破棄していいですか」

*ネタバレしています。


昨日、映画の日なので2本見に行った、二本目。

映画 「やっぱり契約破棄していいですか」

 橋から飛び込み自殺をしようとしている青年。なかなか飛び降りられずにいるところに、声をかけた老人。自殺をとめるでもなく、ただ手伝ってほしかったら連絡を、と名刺を渡して去る。やがてついに決心して飛び降りたものの、ちょうどその下を通りかかったクルーズ船に着地してしまい、ちょっとした骨折程度ですんでしまった青年。ウィリアム。
 何度も未遂も含めて10回自殺しようとして助かってしまうウィリアム。作家目指して原稿を送るも、返却されてばかり。プールの監視員の仕事もクビになったところで、コートのポケットからあの時の名刺が出てきて、見ると、暗殺者の肩書。連絡して、自分を殺すよう依頼する。
 だが、一週間以内に殺されるはずのところ、原稿に興味を示してくれた編集者と会うことに。エミリーという若い女性編集者は、手首に傷はあるし両親を亡くしている。共感し、人生捨てたもんじゃないと思い始めたウィリアムは殺害の取り消しを頼むが、殺し屋もまた、殺しのノルマ達成に切羽詰まっていて、あと一人殺さなくては引退させられてしまう瀬戸際だった。

 イギリスらしいブラックコメディって感じかな~。90分、さくっと仕上がったすごく上手い映画だった。楽しい。
 ぽいぽい人は死ぬし結構残酷、ぐっちゃ~ってなったりもするんだけど、まあ、まあまあそれは私は大丈夫。それよりクスって笑えるのいっぱいで、二本目に見たのがこっちでよかったってすごく満足して映画館を出ることができた。

 アイナリン・バーナードがウィリアムで、死ねない自殺者のおかしさ繊細さすごくよかった。
 殺し屋の方は、淡々とした一見まったく普通にいいおじいちゃん。妻は手芸、刺繍クッションのコンテストに燃えている。そして引退したら一緒に世界一周クルーズ旅行をしましょう、と楽しみにしている。仲良し老夫婦。殺し屋であることは生きがい。妻もそれは了解。
 で、暗殺者組合? にはノルマがあって、そのノルマ達成できないんじゃ引退してもらうしかないね、もうあんたもいい年だ、とかボスに言われてるの。
 引退記念に素敵な置時計をくれようとしたり。

 自殺志願者と殺し屋、というちょうどいい組み合わせ。しかし人生次の瞬間には何が起こるかわからないという映画。
 何もかもわかってる妻が実は一番凄いな~とか、機転きく彼女すごいな~とか。なんか丸め込まれて、でもお互い納得でうまく収まる、と思った所で、ラスト、車にひかれそうだった子どもを助けて身代わりに跳ね飛ばされるウィリアム。
 彼女に涙ながらにすがられて、見ていた人たちからは立派な行いに拍手が起きて、救急車のサイレンが。暗殺頼んだ時に、英雄的死のオプションとして憧れた状況。料金が高すぎて諦めたはずの状況。ついに彼は、死んでしまう?? かどうかははっきりとは描かれなくて、まあ、せっかく生きることに前向きになったここで死んだーというブラックさでもあるし、やっぱり救急車がちゃんと間に合って助かった、って想像してもいいような。
 
 妻が刺繍してたクッションとか、念のための包丁とか。自殺のための関係のはずが次の作品のアイデアになったりとか。
 小道具というか、話の見せ方、効果、伏線とか、そういうのすごくうまくて、可笑しい面白い。大作じゃなくてちょっとヘンな小さな世界の話、すごくいいバランス。登場人物みんないいキャラだな~って思った。つまりとても好き。うまいなあ、好きだなあって思えるのはしあわせだな~。見に行ってよかった。


|

映画 「ブルー・ダイヤモンド」

*ネタバレしています。


昨日、映画の日なので2本見に行きました。一つ目。

映画 「ブルー・ダイヤモンド」

 アメリカ人、ルーカス・ヒルはロシアへ商談に飛ぶ。希少で高価なブルー・ダイヤモンドを売るらしい。相手はマフィアらしい。多分マネーロンダリング。ヒルは宝石商なのかな。
 ダイヤモンドを持つピョートルという相棒が、待ち合わせのはずのホテルから姿を消している。彼の伝言を追ってさらに地方へ。しかしそのホテルにもピョートルはいなかった。
 連絡を待つしかないヒル。近くのカフェをやっているカティアと親しくなる。
 マフィアとなんとか話をつけ、見本のダイヤは見つけて渡した。しかし、高品質の偽造ダイヤを売りつけるよう当局の組織?にはめられて、カティアも巻き込まれて、ヒルは追い詰められていく。

 キアヌ・リーブス主演! 予告の感じだと、ロシアマフィアとトラブルになった男が、凍てつく大地でなんとかドンパチやって切り抜けていく、っていう話かと思って、かっこよさそう~と期待しちゃった。
 しかし。銃撃ドンパチやるジョン・ウィック的な爽快さはほとんどなくて、なんか、トラブルに陥ってどうにもならなくて最後にライフル一つでせめて敵を数名は倒した、けど、自分も撃たれて終わり。……(゜o゜) え。終わり。

 ロシアでハードボイルドなかっこよさげな雰囲気はたっぷりで、まあ、かっこよかったけど。実はロシア語わかるんだせっていうキアヌかっこよかったけど。
 まあ、超人的に強いわけでもない、すごく有能ってわけでもない、ちょっとダークな取引請け負うよ~という宝石売人のMrヒルとしては、そういうものなのかねえと思うしかないか。撃たれて終わり。マフィアとやりあって逃げられるわけないという。

 で、本当は、旅先のロシア美女、積極的にせまられてしまう俺、みたいなクラシカルな男のロマンみたいな映画だったのかなあ。カティアと最初こそはジェントルに、いやちょっと今すぐ寝るとかはね、苦笑、まんざらでもない、っていう所から、長年連れ添った仲良し、だけどお互い無関心でいるのが長続きの秘訣みたいな妻とスカイプ(?)したりしたあとに、やっぱりせっかくなので据え膳は食いましょう、ってやりにいっちゃうMrヒル。

 ま。まあ、まあまあ、まあいっか。そういうのもいいものですね。と、思ったものの、旅先での一夜の遊びじゃなくなって、何回も何回も、何回もやるのね。
 ヒルさんさあ、あんた今ダイヤモンドなくて非常にまずいことになってんじゃないの? 女とやってる場合か? お兄ちゃんとなんとなく仲良くなって仲間と熊ハンティングに行ってる場合か?? もっかいカティアを呼び出すことになったのはともかく、妻のように抱いて、って言われて、妻の名前呼びながらやるとか、そういうプレイを見せられてもさー。えええ?? と困惑。
 ヒルさんは51歳らしいですが。絶倫でもいいですけど~。ほんとマジそんなことやってる場合か??

 で、カティアもさ~。ゆきずりの男ってわかりきってるのに、浮かれてだか調子乗ってだか、商談の場にキメキメにお着換えして乗り込んじゃって、マフィアに兄弟の証にお互いの女にしゃぶらせようぜ、ってなって、やるはめになって、傷ついてしまうと。ヤバイ男だってわかるでしょーーー。呼ばれてもないのに行っちゃってもーー。みんな馬鹿なのか……。

 マフィアくんもさ~、偽物鑑定のためにつれてった奴がちょっともたもたしたからって、ヒルを信じるよ兄弟、とかいってんじゃねーよ。あの場で鑑定して偽物ってわかれば、ちゃんとすぐ始末つけられただろうに。

 ヒルに協力求めた、なんか、何? なんの組織かよくわからなかった。警察ってわけじゃないんだっけ。偽物売りつけて金引き出してマフィア弱体化? 取引の証拠つかむとかなのかな?? ニセモノダイヤをヒルにうりつけさせようとしてどうなったのかがいまいちよくわからなかったです……。私がもの知らずで理解力がなかったのか。

 で、も~さっさとしっぽ巻いて帰国しちゃえばいいのに、ヒルさんはカティアの所へ戻ります。ピョートルの隠れ家がわかった、とかって兄弟だか従弟だったからの連絡が入って。で、またとりあえずやるのね。なんなんだ。体の相性が最高にいい、とかってことなのか。そんなことやってる場合か??? と、ほんと見てて困惑する。うーん。キアヌはベッドシーンより銃を持ってるシーンのほうがセクシーでそそるのになあ。わかってないなあ。

 そんなこんなで、なんか何も解決しないというか、解決しようがないというかで。ピョートルは死体になってるし、ヒルさんもただ死ぬのねえ。
 かっこよさげな雰囲気はとってもあったけれども、全員無能か……。感想としてはただただ、愚か者ばっかだったなってこと。もうちょっとかっこいいのを見たかった……。映画作ってる途中でなんか破綻しちゃったのかなあ。バランスもテンポも悪すぎるだろ。キアヌ、しっかり脚本読んで仕事選んでね……。まあいっか。ジョン・ウィック3に期待だ。

|

映画 「ロケットマン」

*ネタバレしています。


映画 「ロケットマン」

 エルトン・ジョン。その半生の映画化。ミュージカルだった。ド派手で! とても切ない物語。

 エルトン・ジョンの名前は知っている。けども、いまいち私はちゃんとは知らなくて、多分絶頂期をすぎて後の、同性婚をしたとかそんなニュースのの方が印象にある。曲も、有名なのはちょっと知ってた、けども、あんまりは知らなくて。映画を見て、作詞する人がいての曲作り、歌、がエルトンってことなのかあ、と初めて知った。なんとなく、作詞作曲全部やってるものかと思ってた、ロックスターって。
 
 始まりは、ばーん! と、エルトンがド派手なステージ衣装で扉開いてきて、けれどそこは、更生集会みたいなところで。いろんな中毒で薬物もやりまくって、って自己紹介しながら、少年時代の話を始める。
 タロン・エジャトンがエルトンを演じてて、「キングスマン」で知った彼ね~。歌もうまいってのはわかってたけども、ほんっとよかった。勿論動ける。ダンスも素敵だし歌も素敵だし、薄毛の家計の呪いもおかしかったし、らりってハイテンションなのも、孤独で切なくて苦しいのも、ほんっとすごくよかった~。

 少年時代。厳格な父、子どもより浮気熱心な母、一人で抱え込んじゃう感じの祖母、という家庭。父にハグしてほしかった、レジー少年。
 ピアノの才能があるのでは、と、習いに行くようになって、王立音楽学校だかの奨学生に推薦されて。クラシックよりロックンロールに出会ってしまい、バックバンドをやりながらさらにプロを目指し。
 たまたま、レコード会社かな、で、売り込み中に、詩の売り込みに曲つけてみてよ、って渡された詩の作者が、その後もずーっとつきあうことになるバーニーだった。
 二人が最初に会って、カフェで打ち合わせっぽい話から、音楽の話、延々ずーーーーーーーっと喋り続けてた感じ、すごくよかった~。気が合う、ってそういうことな~~。

 二人で楽曲づくり。バーニーは、エルトンがゲイだと自覚しててカミングアウトしても、友達で兄弟みたいな愛のままで仲は変わらなかった。エルトンはほんとはちょっと恋愛感情あったんだろうねえ。そして大ヒットが生まれて、アメリカツアーでも大成功。たっぷり金を稼ぐと、生活も一変。
 最初は、アメリカでのステージにびびってたのに。金持ちになると悪い男もよってきますね。若いエルトンくんはすっかりメロメロに。
 この、マネージャー買って出る男、わるいおとこ、ジョン・リードを演じてるのがリチャード・マッデン。
 まともに見たことあるの、私はドラマの「ボディーガード」だけなんだけど、あれもとてもよかったんだけれども。この~~~悪い男~~~っ。うぶなゲイの金づるをがっつりつかんでいくのたまんねえな。すっごいよかった。わるいおとこだよね~~嗚呼~それなのに~~~。ウインクがめっちゃ決まってて参った。すごいな。
 なんか公開前にはレーディングがどーのこーの、ゲイである二人のラブシーンがどのくらいかとかなんだかんだあったらしいけれども、別に普通に、とっても素敵めろめろらぶらぶシーンでよかったね。一瞬の幻惑の愛~~。はあ。エルトン辛かったね。わるいおとこは魅力的だからな。嗚呼~~。よかった。

 親との確執とか、結局薬や酒におぼれまくってぼろぼろだ、と自覚して、自分から更生施設に行った、ってことなのね。
 子どもだった頃、ハグして、と父にねだってかなえられなかった、愛されたいという思いは、自分で自分の子供時代ごと愛する、自分を愛する、自分をハグして、自分を大事にする、という所から始めなくちゃならない。それからやっと、愛がわかるんだなあ。
 バーニーはずっと友達だったのに。
 音楽はずっと彼の中からあふれてくる。

 終りに、禁酒は今も続けられてて、けど今も買い物依存症! とか、劇中のド派手衣装やスタイルは実際やってましたこんなでした! の写真とかあって、この映画の後、パートナーと出会って、子育てのためにツアーからは引退、とか、今はハッピーなんだろうなって〆でほっとできる。
 音楽はもっちろんすごく素晴らしい。かっこいい。
 ミュージカルだね~。歌いながらどんどん場面変わっていくとかシーンが進むとか、見せ場満載で楽しかった。けれども、ロックスターが大ヒット絶好調!って頃にあんな切ない日々だったのかとか、悲しくなっちゃうね。スターの栄光と孤独。それはまあよくあるというかイメージ通りな所でもあるけれども。みんなみんなが幸せになってほしいよ。
 大事な人を、大事にしよう。映画って、音楽っていいね。

 

|

映画 「永遠に僕のもの」

*ネタバレしています。

昨日21日水曜日に見に行きました。二本目。勝手に美少年映画二本立ての幸せ。

映画 「永遠に僕のもの」

 2018年、アルゼンチン・スペイン合作。スペイン語なんだね。

 舞台は1971年。ブエノスアイレス。12人以上殺害を重ねた犯人は少年だった、それをモデルにした映画。
 カルリートスは、目についた屋敷に侵入し、気ままに盗みを働く。酒を飲んだり踊ったり。犯罪を犯しているといううしろめたさはゼロ。目についたものを手にいれ、だが執着はなく、人にプレゼントしたりする。
 前の学校でトラブルがあったらしく、新しい学校へ転入する。そこで、カルリートスはラモンという同級生に惹かれる。工業学校の実習中、バーナーでラモンの髪を焼きかけて、殴られて。ともに校長室に呼ばれるがカルリートスはさっさと逃げ去る。外でラモンを待っていて、そのまま仲良くなる二人。
 ラモンの家族に銃を撃ってみるようすすめられて気に行ったり、一緒に盗みを働くようになる。計画なんて気にせず、盗みを重ねるカルリートス。邪魔ものがいれば撃ち殺してしまう。
 盗みも殺人も平気。ブロンドの巻き毛、見た目は天使のカルリートス。自分の親には大事にされて可愛がられてきた様子。ピアノを弾いて、両親を喜ばせたりもする。
 ラモンと一緒に、宝石を盗み、そんな日々を重ねていくつもりだったのか。けれど、ラモンは絵を売り払うことをきっかけにゲイの金持ちと知り合い、その男に取り入って、テレビに出て有名人になりたい、という夢を抱く。
 金とか、有名人になりたいとか、そんなラモンにカルリートスは複雑な思いを抱く。

 宣伝のころから大注目美少年!みたいな感じで、しかしそーいって宣伝されても、期待外れかもしれないし~、と思いつつ、やっぱ美少年で連続殺人犯とかすごく気になるので公開待ってましたっ。
 サイコパスって感じでもないんだよなあ。すごい。すごく、めちゃめちゃで、天使だった。凄い。憎しみも怒りも何もなく、あ、邪魔。ってことで銃を撃つ。最初こそ撃ってしまったことにちょっとびっくり、な感じはあったけれども、どんどん気軽に殺していく。
 盗みにもためらいはゼロ。みんなもっと自由に生きられるのに、と、人間社会のルールを全く気にしないで、まさに踊るように生きてるみたいだった。天使……。

 写真で見るより、ほんっと、ほんっっとに、映画の中でカルリートスは美少年だった……。映画の神様ありがとう;; オーディションにきてくれてありがとう;; この作品の中に彼の姿をとどめてくれてありがとう;; ロレンソ・フェロ、ほぼ新人らしい。綺麗だったけど、普段の時には普通に素敵だなーという感じで。映画の中では天使で悪魔だった、あの、あんな、あんな風になれる、撮られる、撮っていくの、すっごい。映画ってほんとうに、凄い~~~。

 宝石泥棒してる時に、大きな真珠(かな)のイヤリングをつけてみるカルリートス。それ一つで、ぐっと色気が増す。マリリン・モンローみたいだな、なんて、ラモンも一緒に鏡をのぞきこみ、かっこつけるポーズをしてみたり。
 ラモンは、ゲイじゃない、というかホモなんてキモイ、って感じだけど、金持ちに取り入るためには舐めさせたりもしてて、絶対拒否って感じでもなく。カルリートスとの距離が近くなっていく感じは、とてもドキドキする関係で、そっとラモンの肩に頭をのせる一瞬、くらいのわずかなふれあいしかないんだけれども、時代が違えば、それは恋、だったかもしれない。
 けれど、恋となることはなく。ただただ、カルリートスのピュアさは、人間としては残酷すぎるんだろう。今のままでいたいカルリートスと、もっと金が欲しい、そして将来の夢とかに浮かれ始めるラモンはうまくいかない。
 検問にひっかかり身分証明書を持ってなかったラモンを警察で見捨てたりもしてた。

 隣にラモンをのせて。夜のドライブするカルリートス。眠るラモンを何度も見ながら、不意にためらいなくハンドルを切る。対向車と正面衝突。ラモンは死亡。カルリートスは生き残った。

 あの事故のシーンの衝撃もすごかった。一緒に死ぬ気だったのか。生き残ってしまったのはたまたまか。「永遠に僕のもの」って、カルリートスがラモンを、ってことなんだろうなあ。凄い。自分の命さえ殺すことになんのためらいもない、黒い天使……。
 これは、なんか、何この感じ。いうなればJUNEの香り、って思った。たまらなく美しい、狂おしく切ない。自分たちにも愛だとわからない、愛。
 単純にセックスでもやっちゃえばシンプルな話なのに、そうはいかない。カルリートスの彼女の双子と付き合い始めたりしてたラモン。その女とっぱらって愛し合えばいいのに、そうはならないのなー。

 ゲイの金持ちはラモンつれてっちゃうんだけど、ちょっとびっくり。カルリートスが、あんな美少年がいるのに、そっち!?? って思っちゃった。ラモンの男くさい感じの方がモテるってことなのか……。

 とにかく、カルリートスのうつくしさに魅せられまくりで、ほんっとこの映画を撮ってくれてありがとうだった。
 唇のアップが、何度もあり。唇、赤いの。口紅とかではなく。そしてよく手入れされたぷぷるぷる~とかじゃなくて、ちょっと荒れた感じもあったりする、だけどたまらなく赤い、柔らかそうな唇。水を飲んで濡れた唇。最高すぎる;; 巻き毛くるくるも天使だし。半裸でうろうろしたりもする、その体も、若くてあやうくて、鍛えたりしてない普通に男の子の感じで、もおおお~~~~。たまんねえな。
 赤が似合う。赤いシャツ。赤いパンツ。赤い唇。踊る姿も素晴らしかった。
 大きな瞳。涙を零すシーンがあったのだけれども、涙って、涙が、あんなにも大粒に透明にうつくしくたまってぽろっとこぼれるものなんだ;; 凄かった。どんな絵よりも完璧にうつくしい涙のこぼれ方だった。凄い。

 ラモンの家庭は、犯罪一家ってことなんだろう。彼らと知り合ってしまったばっかりに、という気もちょっとするけど、うーん。彼らと盗みをはじめなければ、カルリートスは、空き巣とかはしてたろうけど、殺人まではしなかったのか。けど時間の問題だったのかなあ。
 カルリートスの家庭は、まともにいい家庭って感じだったのにな。大事に育てられてきたのだろうに。カルリートスはああなってしまった。
 ママの作ってくれるビーフカツレツ(かな)。それが好きで美味しそうに食べるカルリートス。両親にとっては可愛い息子でしかないんだ。ママに、普通の人はそんなに人殺ししない、みたいに言われて、いや別に普通だし? と、まったく当たり前みたいにしてるのが、ほんと……。天使;; 人間の世界とは別の感性で生きてる……。

 脱獄? 逃走? して、ママに電話したら、ママは何事もないかのように電話受けてるけど、その周り部屋いっぱいに警官、とか、逃亡先に向かう警官たち銃いっぱい、とかの画面は笑っちゃった。
 盗んだジュエリーをベッドに広げ、シャワーからもどったラモンの裸の股間に宝飾品盛って眺めてみるカルリートスとか。
 ちょこちょこなんか笑っちゃうシーンもあって、しかし、これは、ええと?? 笑うところ? と悩んだ。ブエノスアイレスの感性がわからない……。殴られた頬を冷やすのに牛肉使うのは普通のことなのか???

 思い出そうとしてもなんだか夢かな、と思ってしまうような、凄い、最高大好きな映画だった。よかった。大好き。映画ってほんとうにいいものですね……。


|

映画 「HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ」

*ネタバレしています。

昨日21日水曜日に見に行きました。今月、初めて映画~。しばらく映画見に行けてなかったよ。

映画 「HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ」

 2017年製作。ティモシー・シャラメを見に行ったのだ。

 舞台は1991年。ダニエルは父を亡くした。母もショックを受けている。持て余されたダニエルは、その夏、海辺の町、ケープコッドの叔母の家に預けられる。そこは夏のバカンスにやってくる金持ちたちと、金持ちとは言えない地元のものと二つの階層に分かれる。どっちつかずのダニエルは居場所がない。だがある日、ドラッグの売人であるハンターと知り合い、仲間になる。ハンターはヤバイ奴として町の有名人でもある。ハンターと共に売人としてさらに商売を広げ、金持ちになり、派手な車を買って勢いづくダニエル。
 ドライブシアターでたまたま町一番の美人と憧れのまとであるマッケイラと知り合い、恋してしまう。しかし彼女はハンターの妹だった。妹に手を出すなと釘をさされ、しかし秘密のまま会い続けるダニエル。彼女にもハンターにも隠し事をしてしまう。
 やがて嵐のくる日、もっとでっかい商売をしたい、と、コカインの売人に接触したものの、ただ騙されただけに終わる。
 ハンターは殺され、マッケイ町を出る。ダニエルもまた二度とその町に姿を現さなかった。


 そんなこんなの青春物語。語り手が、ダニエルたちよりもっと子ども、13歳くらいの子か? なんか、町のティーンがあの夏こんな風だったんだ、ってモノローグしてくれる。
 ま~薬の売人やっちゃお~ってんで案の定の転落ですね。悪ガキはもっと悪い大人に食い物にされてしまう。
 マッケイラが町一番の美人!ってだけあって、すごくきれいな子だった。クールビューティ。ティモシー・シャラメはイケてない男子として登場するわけだけど、彼女とのキスシーンとか最高綺麗な二人で、眼福だった。素敵。二人ともなんて綺麗な若者なんだ。

 ダニエルが棒つきキャンディをなめてると、そのキャンディをマッケイラがとって、ひとなめしてからまた返すんだよ。エロティシズム~~~~! すごくよかった。可愛かった~セクシーだった~~~!^^

 ハンターくんの家庭事情の大変そうさとか、兄と妹の感じとかも素敵そうな気配。けどまあ、青春物語だなーってところで、胸キュンのうっとり映画でした。若者たちが、ほんっと若者で危うくて。細い体で、もーっ。ほんと、おばちゃん心配になっちゃうって思っちゃうよ。この中でも半裸のシャラメたんを見られて、あ~も~ひょろっとしちゃって~~と、ハラハラしました。若者たち、体つきからしてもうほんと危うい。
 ダニエルはどうなったんだろうね。マッケイラには幸せになって欲しいな。ほんと、ひと夏の嵐の青春映画でした。


|

映画 「天気の子」

*ネタバレしてます。

 

 

映画 「天気の子」

 

 IMAXで見てきました。せっかくなら色鮮やかに見たい。
 
 とはいえ、正直あまり思い入れもなく。「君の名は。」がすっごく流行った時につられて見に行った。けど、まあ、そりゃあ綺麗だと思ったけれども、大好きってわけでもないなあ、と思った、そのくらいのテンションのままで今作も見に行きました。予告やCMにつられまくって。
 タイアップCM、すごく多いよね? 特にカップヌードルは耳につくので、本編で出てきた時笑っちゃって困る。まあいろいろ、商品名とかなんだかんだ、出てくるのは、んー、いっぱいタイアップできてよかったねと思うんだけど、んー。ああいうのを見て、現実の自分が手にしてるものたちがアニメの中に!って感動するのがよい見方なのだろうか。ん~。
 まあ私も好きな作品見てる時に目についたものとか現実のものであると喜んで買っちゃったりするかなあと思うので、まあ、うん。たくさん物品があるのもリアルな小道具と思うかな。

 そして梅雨が長くて雨降りの多い関東地方。今年の天気でこの映画公開になったの、すごく重なって感じられる。運だなあ。

 

 少年のモノローグで始まる。あの時、と彼は語る。僕たちは世界の在り方を変えてしまった、と。
 女の子が、病室で誰かの手をとっている。雨続きの外を眺めると、一筋の晴れ間が、ビルの屋上の鳥居を照らしているのが見えた。その光を目指して外へ出る女の子。そこは廃ビル。屋上の小さな神社。強く、強く願いながらその鳥居をくぐって、彼女は、願えば晴れになる力を得たのだ。

 

 フェリーに乗って東京へ家出してきた少年、帆高。16歳。大雨の注意を聞かず甲板に出ていた所、大きく船が揺れて、危うく転落しそうだった所をくたびれた感じの男に助けられた。命の恩人、といって子供に飯をたかるダメ男、須賀圭介。胡散臭げな名刺を渡して少年とは別れる。
 家出してきたものの、身元不明の16歳を簡単に雇ってくれる所はない。マックで飲み物一杯で夜を過ごす帆高に、ハンバーガーを一つくれた店員。そのバイト店員が、陽菜、晴れ女の力を持つ女の子。
 
 街をさまよい、野宿の場所も見つけられず、ごみ箱から銃を拾ってしまったりしながら帆高は捨ててなかった名刺の場所を訪ねる。結局バイトは見つからず、圭介の編集事務所、とは名ばかりの半地下の部屋へ、住み込み、雑用、記事書きの手伝いとして落ち着いた。ムーだとか、オカルト系雑誌の記事のネタを集めたり。そこには、夏美さんというきれいなお姉さんもいて、一緒に仕事をする。

 

 そんなこんなで人物は出そろい。あ。陽菜の弟、凪も。小学生なのにモテモテで彼女っぽい子が二人もいて仲良くしてる。恋愛の先輩、と帆高は呼ぶことになる。

 

 雨が降り続く中、晴れ女の力でお金かせげるんじゃない? とネットで売り込んでみたら、依頼がきて、稼げるようになって。大きなイベントにも呼ばれちゃったりして。
 帆高と陽菜と凪。街の片隅で身を寄せ合う子どもたち。

 

 しかし、天気の子、巫女の定めとして、天気をあやつる代償にいずれ消えることになるとか。そんな占い師や言い伝えの注意がありながら、晴れ女として自分の役割、人を笑顔にできてうれしい、と陽菜は言う。

 

 で、まあ幸せな時間は長くは続かず。家出少年として、また、うっかり銃を発砲しちゃったことで、帆高は警察に追われる身。誘拐犯になりたくない圭介には首にされる。姉弟、未成年二人だけで暮らしていた陽菜たちも、いよいよ保護されるかも、そしたら引き離されちゃう、嫌だ。というわけで三人で逃げ出す。
 子どもたち。
 子どもだけでもなんとかやっていける! とか、大人の助言が全部自分たちの邪魔にしか思えないとか。ああ~子どもだ。理屈も正論もない。ただただ、自分たちの感情の爆発に自分が振り回されていく。

 

 まあ、大人たちの方も素敵な良い人ってことじゃないけれども、まあ一応、それなりに大人のふるまい、でもある。職務とか立場とか、大人ってというか人ってやっぱ自分が大事でしょ、というのは当然。
 それでも、つまらない日常の中、ピュアな帆高や陽菜たちの姿は眩しくて、つい、力を貸してしまうのも、ほろ苦いぜ。正論はわかる。けど、それより大事なものと信じる方へ、走り出せ、と見送ってしまう。
 圭介さんが、実にダメな大人で、ダメさがかっこいい、というやさぐれ感ステキだったよー。小栗旬が声やってました。かっこいい。
 圭介さんもかつて、東京へ家出、かなんかで出てきて、妻となる人と出会い大恋愛、娘がいる、けど、妻は死んでしまった、喘息のある娘はあちらの実家に引き取られていて、父である自分は疎外されている。という、ヨワヨワな感じで、ほろっといっちゃうんだよねえ。

 

 晴れの巫女のように願えば天気を変えられる。少しの時間、狭い範囲だけど。そんなファンタジー。ボーイミーツガールの王道のキラキラな恋。貧しくて、食事はカップラーメンでも。ポテトチップスで味付け? で、チャーハン作るとか、豆苗を水につけてて二回目の収穫してんなーとか。そんな節約生活みたいな中、けれど、心から美味しい~、いただきまーす、ってする。若くて、恋、の自覚の一歩手前の何よりもだれよりも仲間だ、という嬉しさいっぱいの二人。
 青春が眩しいぜ……。

 

 ファンタジーだけれども新宿あたり、東京の街はリアルに描きこまれていて、あーあの辺、ってすぐわかるような背景。ただただ雨が降り続け、水が跳ね、晴れが広がる瞬間は最高に輝く。水の塊の中に魚がいるとか、謎は、天には別の世界がある、という証だろうか。

 

 相変わらず少年がお姉さんの胸の谷間みてドキドキ、とかやってますが。その感じで繰り返された「どこ見てんのよ」が、終盤の、陽菜の体が透明になりかけてる、という所で言われると、どうしようもなく切ない言葉で。これはうまかった。
 東京に降り続く雨。異常気象。けれど、陽菜が人柱として天にめされれば、きっといつもの夏がくるよ、と、いう。そして陽菜が消えたあと、確かに晴れて夏がきて。
 
 けれど、帆高はあきらめない。本当は陽菜のほうが年下で、今月18歳っていうのは嘘で。帆高と陽菜と凪と、三人でいるだけで幸せだった時にも、本当は自分が一番年上だったんだ、って知る。そして無茶苦茶をしまくって、天の陽菜を迎えにいった。天気なんかどうでもいい、晴れなくてもいい、と、陽菜と共に地上へ戻る。帆高の方が竜神的なものなんじゃないのか―? とちょっと思った。冒頭、わざわざ大雨になるっていう時に大喜びで甲板に出て行ったじゃん。あれなんで。特に説明なかったような。ん~。

 

 三年後、ってことで、帆高は実家に戻って高校卒業で、進学のために東京へ。あの日から、雨はやまず、東京は水没している地域がいくつも。それでもなんとか、人々は暮らしているし、大昔は海だったりしたし、天気なんてもともと狂っていたんだ、お前たちのせいじゃない、と、行ってくれる圭介。会社が結構まともにちょっと大きくなっていた。猫ちゃんも大きくなっていた。
 三年、保護観察の身だった帆高は、あれから陽菜に会ってなくて。でも、やっとまた、会いに行って。坂道の上で陽菜は小さく祈っていた。駆け寄る帆高。僕たちは、大丈夫だ!

 

 ってことでめでたしめでたし。ですかねえ。
 本当に綺麗な映画で、汚いところさえ綺麗で、ダメなことも綺麗で、素晴らしくきれいに作り上げられていた。若者の無鉄砲さや閉塞感、その中での希望、絶望、未来。大人のやるせなさやつまんなさも責任も、あった。世界を変えてしまうけれど、恋にひたむきな爽やかさの力がすべてを突破していく。
 感動的だし面白かった。けど、ん~。私はやっぱまあ、あんまり好きにはならない。若者たちの素直な恋が眩しすぎるよ……。
 というかまあ、私が、ヘテロな恋バナに根本的に興味が持てないので、ああそうね、よかったね、と、100歩下がって見てしまうからなー。そうじゃなかったら好きになって感動するだろうか。わからない……。

 

 世界より君が大事!っていうのは、とてもよくって、子どもに運命背負わせるんじゃねーよ、と思うので、帆高くんたちのせいではないよ、っていうのはその通りで、そういってあげてよかった。

 

 しかしまあ子どもだからこそ、陽菜ちゃんちに警察とか児童相談所かなんかの人? 状況把握してたっぽいのに、母が亡くなってから何か月? 二人だけのままにしてたんだか。実は15歳とかって、義務教育のうちってわかってるのに、何故。登校拒否とか扱い? 父がかえってきますとかなんとか嘘ついてたりしたのかなあ。
 子どもだけの世界のキラキラは、とっても良いんだけれども、なまじ現実的背景みっしりだったりするので、そんな根本的なとこが気になったよ……。
 東京、あんなに水没してタイヘンすぎるだろ、とか。まあ、勿論天気のせいなんで、人為で気候を変えることはできないでしょーから、仕方ない、仕方ない、かねえ。けどハリウッド映画ばかり見て地球がしょっちゅう滅亡しそうな世界観に慣れてる私は、まあすごいタイヘンだ、と考えちゃうけど、同時に、ま、関東地方だけのことなら規模は小さい、とか思っちゃったり。いやいやタイヘンなことだよ。

 

 あと「君の名は。」キャラが出てた? ちょっと、ん? と思ったけどまあ、それはまあいっか。他にも多分なんかオタク的サービスがあるのかな? よくわからない。
 映画始まる前のCMで、白い犬お父さんが出てるぞ、探してね、みたいなのが流れたのも笑った。探さなかったけどw
 ともかくあの「君の名は。」の新海監督の新作です!!!みたいな世の中の期待があるんだろうなあと思った。大変ですね監督。けどほんとよくきれいに作り上げてるなあと。見に行ってよかったです。見たぞ、と安心できるから。
 

 

|

映画 「アダムズ・アップル」(カリコレ2019にて)

*ネタバレしてます。


映画 「アダムズ・アップル」

 15日(月・祝)に、カリコレ2019で先行プレミアだという上映に行きました。ノーザンライツ・フェスティバルで見てる。2017年かあ。(その時の日記↓)
映画「アダムズ・アップル」
 二回目なので少しは落ち着いて。と思ったけど、やっぱりすごく混乱するし、最後にはやっぱ泣いたわ。話しの展開はわかってるのに。わかっているからよけいに早めに心配だし、やっぱなんか嘘やろお~アホか~~~みたいなのも、すごく。

 仮出所してきたアダムを預かって、更生するよう手助けするイヴァン。教会の仕事を手伝う、そして自分で目標をみつけて。ってことで、アダムはすごく適当に、庭のリンゴでケーキを焼くのが俺の目標だ、と決める。

 ブラック・コメディというか、やはりなんだか、きちんとしてるとはいいがたい映画って感じなんだけど、その無茶苦茶さを最後には愛さずにはいられないってなるの、ほんとうにすごい。なんなんだろうこの、奇跡。

 マッツ・ミケルセンが大好きなので。マッツの半ズボン~ってもう何もかも好きなわけですが。イヴァンの、クレイジーなポジティブと、それに苛立ち、追い詰めてぼこぼこにしちゃうアダムとの関係が、本当にたまらなく好きだ~。
 人生の困難を、悪魔の試練だ、として、まともに考え直さず、ただただ退けることしかしないイヴァン。神を信じ、神の愛を信じてる。
 
 アダムがやってこなかったら、イヴァンはあの現実逃避のポジティブさのまま、脳腫瘍だかで突然死亡する、みたいなことになっていたんだろうか。アダムが現れたのは、神の愛?
 いやその前に、イヴァンにそんな過酷な人生背負わせてんじゃねーよ神様、と思うけどな~。けどアダムとってもあそこへいってイヴァンとやりあう、やり直す、のが、必要だったのか。うーん。神の御心ははかり知れない……。

 イヴァンがアダムと車に乗るシーンが何度かあり、「How Deep Is Your Love」のテープ(かな)をかけるんだけど。ラブソングだよねえ。アダムに何度も途中で切られてしまう。それが最後にはちゃんと歌詞も出て聞く、と、ほんっとラブソングだよねえ。神の愛って思うべきなのか。けど、隣にいる二人の、愛、と、思うよねえ。明るく爽やかに、ちょっと切なく。
 過激で過酷なテーマを抱えながら、なんか変な人ばっかりひどい、おかしい、わけわからん、という映画で。どうしようもなく素敵で大好き。愛の映画だ。うつくしい。

 上映後にトークショーというのがちょこっとありました。デンマークの人はこれでげらげら笑えるらしく、あ~デンマーク語がわかって、そういうナチュラルな笑いの感覚がわかったらいいのにな~~~と思う。私は、変なの~ってちょいちょい笑わせてもらったけど、デンマーク語のなまりとかまあそもそもデンマーク語わかりませんし。げらげらは笑えなーい。全然わからない言語でしゃべってる映画、素敵だよ(*ノωノ)

 10月に公開になるとのこと。すごいよなあ。2005年の映画が今公開。また見に行く。公開規模がどのくらいなのか、近くでやってくれーと思うけど。そして、ぜひぜひ、円盤出して。お待ちしてます……。

 

|

より以前の記事一覧