映画 「聖なる犯罪者」
19日(火曜日)に見に行ったのでした。
*ネタバレしてます。
映画 「聖なる犯罪者」
少年院にいるダニエル。所内で行われるミサの手伝いをよくしている。神父に、神学校へ行きたいと相談はしたが、犯罪歴のあるものには無理なのだった。
仮釈放。雇ってもらう予定の製材所へ向かうものの、通り過ぎてその街の教会へ行ってみた。司祭なんだ。と、意味なくついた嘘が信じられてしまい、そのままその教会の司祭の代わりを務めることになる。
ぎこちなく型破りながらも、トマシュと名乗ったダニエルは司祭として行動し、街の人々との交流を深めていく。
2019年製作、ポーランド・フランス合作。ポーランド語なのでしょうか。私にはまったくわからない言葉で素敵だった。
実話ベースらしい。
そんなことってある??
とはいえ、もちろん映画なので映画ならではの脚色は多いいにされているのだろう。でも、ダニエルは偽者とわかって、そして、その後あの街の人たちはどうしたんだろう、と、つくづく思ってしまった。あの教区の人達にとって、ダニエルの存在は深く大きなものになっていたから。
若すぎるわね、みたいに見られていて、でもだんだんダニエルの言葉、祈りの真摯さは人の心をうつものになっていた。
その街で、一年ほど前に起きた悲しい事故。若者たち6人が乗っていた車、衝突事故で、相手側1人と、7人が亡くなる事故が起きていたこと。
若い子どもたちを失った遺族は哀しみをいやすことができずにいて。でも事故った相手も街の人で、その運転手は同じ墓地に入れられず、葬儀も行われず、という状況だった。
ダニエルはその問題に取り組む。積極的に遺族の悲しみに向き合い、ともに乗り越えようとし。運転手側も同じく亡くなったのだし、憎みあうのではなく、ともに、葬り、祈り、癒すことをめざしていく。
それは、正しい。正しいと思う。だが子どもを失った親が受け入れがたいのもわかる。わかる。でも。
聖職につきたいと願うダニエルの思いは真剣。だけど、外に出たら躊躇なく酒、ドラッグ、セックス、ってガンガンやって。製材所で真面目に働くのはなんか嫌そうで、狙ったわけではないにせよ嘘のまま教会に入り込んで、なんとかしようとしちゃうの、きみは一体なんなんだと思う。
街の若者たちと仲良くなってダメだけど、と控えめに笑ったりもしながら酒飲んでタバコ吸うしヘヴィな音楽でノリノリにもなっちゃう。
ダニエル。
きみは何なんだ。
それでも、祈り、より良い方へと導きたいような真摯な思い、嘘ではない切実さがあって、それが教区の人にも通じて、受け入れられて。でも事故のことをなんとかしようとするのは反感かって。でも。でも。でも、ほんとは受け入れるべき? その迷い苦しみ、いろんなことが、ダニエルがあの時あの場所で、神の代理人だったのかもと思えて、凄かった。
映画見ながら、何故? どうすればいい? 神よ。と、祈り、問いかけたい気持ちになる。
少年院をやはり仮出所して製材所で働きにきた子にバレて脅されたりして。少年院でお世話になった本当のトマシュ神父にバレて連れ戻される。
神父は、教区にいるダニエルを、ひそかに連れ出そうとするの、あれは、バレて教会の立場が悪くなるとまずい、みたいなことなのか。あの教会で、確かに司祭であるダニエルの姿を尊重したのか……。ダニエルを信頼してたみたいだし、裏切られた気持ちになって辛いよねえトマシュ神父も。複雑。
少年院に戻ったダニエルはなんか因縁ありげな囚人たちに囲まれて、なんか決闘みたいになって。喧嘩して血まみれになって。走り出す。
逃亡するのかなあ。したのかなあ。
ダニエルの嘘は。神を求めた姿は、嘘ではなかった、はず、だけど。……わからない。
前科があっても神学校に行ければ、もっとまっとうになったのだろうか。でも無理だったかも。ほんとわからない。ダニエルの複雑さがすごく魅力的だった。
主演の俳優さん、バルトシュ・ビィエレニア、という、ポーランドで若く活躍してる人らしい。とても良かった。青い目が印象的だったし、なんか危うい姿が、佇まいだけで訴えかけてくる。
ポーランドかあ。信仰深いところらしい。私、ほとんど何も知らない。何もわからないなりにも凄く考えちゃった。この映画見られてほんとよかった。見に行ってよかった。
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