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『今昔百鬼拾遺 月』 (京極夏彦/講談社文庫)


*ネタバレします。


『今昔百鬼拾遺 月』 (京極夏彦/講談社文庫)

 鬼
 河童
 天狗

 三つのお話が一冊になっている、分厚いやつ。ちょっと前に読み終わり。

 それぞれに単独で文庫出てたみたい。講談社、角川、新潮の文庫で、それをまとめて一冊にしたのがこれ、ですか。なんとなく、以前講談社ともめて手を切ったみたいな感じだった気がするんだけど、あれはどうだったんだろうなあ。帯の京極堂のシリーズのタイトルずらりの最後に近日刊行予定で ヌエの碑 って出てるけど。(ヌエが環境依存文字で出せぬ)

 ともあれ。三つのお話。探偵役、というか、事件を解き明かす側が、中禅寺敦子と呉美由紀。呉さんて、絡新婦の事件の時の学園にいた女の子、ね。正直あんまりちゃんともう覚えてない。記憶が曖昧でごめん。一時はほんっとドはまりして分厚くても何回も読み返したけど、あれ、出たのが1996年? 二十年以上昔かあ……。

 で。まあ。正直私は中禅寺敦子というキャラにあまり興味がなくて、そーいえばそれぞれが単独の本で出てた時にちょっと手に取ってはみたものの、うーん。と思って読んでなかったのでした。今回、分厚いやつ~ってなって出て、やっぱ読もうかなと。

 「鬼」は、昭和の辻斬りに連続して切り殺される事件が美由紀の編入先の学校のそばで起きる。そして美由紀の友達だったハル子が殺されてしまった。また、友人を亡くした美由紀が、古本屋か探偵に頼りたかったところ、他の事件で不在のため、敦子が話を聞くことになった。
 で、なんだかんだの因縁を辿った果て、実は犯人はハル子で、ハル子をとめたかった母が誤って殺してしまった、という顛末。
 なるほど。たいへんだ。

 そして、女学生の美由紀と記者である敦子は年の離れているなりに友達になった。

 「河童」は、男の尻をのぞき見する不審者がいるらしい。美由紀の友達同士の会話から河童のことが語られ、美由紀が夏休みに親戚の所へ遊びにいってたところに、死体があがって。研究にきていた多々良先生も発見者になって。担当の敦子もやってきた。
 とかなんとかで、偽造宝石とかも絡みーの、戦後の混乱の闇みたいなのがありましたねという感じ。

 「天狗」は、お嬢様登場。探偵たちが強姦魔のぼんぼんの縁談ぶっ壊した事件あったなあ。その時の婚約者だったお嬢様、美弥子さんが、探偵事務所を訪ねていて、たまたま美由紀も挨拶しようかなと寄ってみたけど探偵は留守で。美弥子さんのお友達が高尾山で行方不明になったのを見つけたいとかなんとかで。
 身代わり殺人かな? 娘を逃がしたい父親が死体を用意したみたいな、無茶苦茶でした。ひどいな。

 事件やストーリーは凝ってて面白かった。いっときハマりまくったせいもあって、分厚くても読み始めれば面白いしするするするーっと読める。
 ただまあ、やっぱ、これ、一応舞台は昭和中期? 戦後間もないところであるものの、語られているのは完全に2010年代の我々読者への言葉で、またしても随分たっぷりと、演説を読みました。
 言葉。価値観。思い込みの解体。
 そういうのに痺れていたものの、私もすっかり年をとり、延々語られてる言葉に新鮮味もありがたみもあんまり、まあ。まあそうだなという感じに読むので、ふむー、と読んで終り。

 キャラが京極堂や榎木津さんだったら、もうちょっともえもえして読むかなあ。どうだろう。今になるとそうでもなくなるのか。んー。古本屋と探偵がちゃんと出てくる話を読みたい~読ませてくれ~と思っているけど、実際新作出たらどうなんだろうなあ。やっぱり面白いと思えるのかどうか。わからない。わからないから読みたい。新刊、お待ちしてます……。

 

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