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『特捜部Q -アサドの祈り-』


*ネタバレします。


『特捜部Q -アサドの祈り-』


 シリーズ8作目。サブタイトル通り、アサドの物語。

 ヨーロッパに渡ってくる難民、移民。不法に海からこっそり上陸してこようとする彼らはしかし、不慮の事故でなくなってしまうこともある。海辺に示される、難民の犠牲者の数。2117という数字になった老女の遺体をたまたま近くに居合わせたジャーナリスト、ジュアンが写真にとって新聞に大きく掲載された。
 しかしその老女は、事故死ではなく殺害されたのだとわかる。ジュアンはこの事件を追うことにした。

 デンマークでアサドはその記事、写真を見ると、号泣してしまった。すっかり引き籠りになっているローセの様子を見に行った時で、ローセに少しずつ話をする。
 アサドの隠してきた過去。アサドの本当の名前はサイード。語学に堪能な兵士だった。愛する妻子と離れたのは、かつてアフガニスタンへ派兵された時の事件のせい。捕虜となった仲間を助けた出来事だった。
 刑務所から逃げた時、怪我を負わせたカーリブが、アサドを深く恨み、復讐のために家族を奪ったのだった。


 これまでにもアサドには何か凄い過去があるんだろうなと思ってきたけれども、描かれて見ると、むちゃむちゃ過酷すぎて読むのが辛くて、一気読みなんてとてもできなくてちょっとずつ読みました。
 おー国際情勢。9.11の頃とか。イスラム世界との西側の対立とか。国連軍とか。そんな渦中に、ラース・ビャアンとその兄を助けることに協力したアサド。ラースの病死で過去の縛りがとける時でもあったのか。

 巻き込んだ責任としてラースはアサドをデンマーク警察内部に匿ってた、ってことかな。けどさー。あんまり酷いことに巻き込んだんじゃないか。酷い。
 妻と娘二人。大事な家族を奪われて、生死も不明なまま、アサドは作中で12年くらい? 特捜部の一員としてしっかり働いてきたわけか……。カールと、チームのみんなと仲良くなって。
 特捜部での日々は、命にかかわる事件もいくつもあったとはいえ、それでも、まだ穏やかだったのか。心の中は苦しみ悲しみでいっぱいだったとしても……。カールやローセと事件を追って解決して、というのは、アサドにも多少なりとも生きていける力になる日々だったのだと、思う……。今作では、ローセが復活になってアサドの力になるし。何よりアサドはカールがいることを信頼しているのがわかってよかった。カールももちろんアサドのために力を尽くす。

 あともう一つの事件として、ひきこもり青年アレクサンダが、なんだか犠牲者2117の写真に好きだったおばあちゃんの面影を見て、ブチ切れでゲームで2117のステージまで行ったら、日本刀もって外に出て無差別殺人してやる! と張り切っちゃう話も並行してあった。微妙に日本かぶれで、日本刀とか偽名にトシローって名乗ったりして。
 この引きこもりくんの話は何なんだ。父親は実際殺しちゃったし、母とご近所さんもあわやという所だったけど。特捜部のチームを二分割するため? なんか、アサドの方に集中するときつすぎるからちょっと緩い、といってもまあ重大事件になるとこだったけど、まあ、引きこもりくん事件も並行していくことに。でもそんな坊やの話なんか邪魔だー。
 
 邪魔だ―、ってのが狙いなのかなあ。犠牲者に勝手にわいわいやるはた迷惑な野次馬みたいなことなのか。んー。わからん。
 まあ、ともかく、ゴードンの見せ場ってことかな。ゴードンとローセががんばって、一応なんとか、犠牲は父だけという所で止められた。よかったよかった、かなあ。

 アサドに復讐したいカーリブがついでにベルリンで酷いテロを企んでいて。アサドの妻子を薬漬けにして車椅子に縛り付け、爆弾つけて、アサドの目の前で爆発を、ってたくらみで。酷い。その日まで、カウントダウンに描かれていってて、読むのが、ほんとしんどくなってしまう。
 最後まで、ダメなのかもしれない、目の前で殺されちゃうかも。と思いながら読んだ。
 かろうじて間に合って、助かったけれども。

 けれども、助かったのはよかった、けど。カーリブの息子なのかと思ってた子が本当はアサドの子だといったり。妻子は人質になっていた十年以上もの間、蹂躙されまくっていたみたいで。アサドと再会できて、家族がまた家族として、やっていけるのか。あまりにも辛い日々になるんじゃないのか。わからない。難しい。どうなっていくの。アサドに心の平安が来る日はくるの? どうなるの……。今すぐ続きを読ませてくれ;;

 カールはモーナとの間に赤ちゃんができるみたいだし。ハーディに、動けるようになるかもしれない希望とかあるみたいだけどやっぱりダメだったのかなとか、いよいよ一作目の最初、そもそもカールが特捜部に閉じ込められるきっかけともいう事件、仲間を失ってカール自身も怪我して、ハーディが動けなくなった事件のことが、動きがあるのかな。次、どうなるの。読ませてくれー。

 特捜部Qの翻訳出たのが2011年みたい。途中全部細々と覚えているわけじゃないけれども、長く付き合ってきた気分なので、登場人物たち、知り合い、って気分。カールたちが、どうなるのか。心配しちゃうよ……。
 全10作の予定だよね。無事に全部書いてくれ。読ませてくれー。みんな、生きててくれと願う。みんなを見届けたいと思う。早く次が書かれますように。読めますように。

 

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