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映画 「エレファント・マン」


*ネタバレします。


映画 「エレファント・マン」


 19世紀末のロンドン。エレファント・マンとして見世物になっている青年がいた。医者のトリーヴスは異様な姿の彼を医学的に調べ、学会で発表する。
 酷い扱いを受けていた彼をロンドン病院の一室に住まわせ、保護するトリーヴス。最初、話すこともままならず、知能は低いと思っていたが、ジョン・メリックという名の彼は、聖書を読み込んでいて暗誦することもできるのだった。
 恐ろしい見た目でも、落ち着いて話しができるようになると、ジョン・メリックの事が新聞記事になり、人々の興味をひく。女優や、上流階級の人々もジョンに面会にやってくる。病院の下働きの男は酒場で金をとって、酔客をジョンの部屋へ案内して見世物にした。
 一度はまたサーカスに連れ戻されたジョン。だが、あまりにひどい扱いに、同じく見世物になっていた仲間がジョンを逃がしてくれる。
 心ない人々に追い詰められながらも、ロンドンへ戻ってこられたジョン。またトリーヴスや女優にに友人として劇場へ案内され、素晴らしい舞台に感激して。しあわせを感じながらしずかに眠りにつくジョン・メリック。横になって眠ると、多分命を落とす。穏やかな自殺を選んだラストだったのだと思う。


 1980年製作で、40周年記念、リマスター版? 4K修復版? とのことで、リバイバル上映になっている。昨日見に行けた。
 デビッド・リンチ監督。見たかったんだよー。
 実話ベースの物語ですが、やっぱなんかリンチ監督。工場、煙、機械音が鳴り響く。「イレイザーヘッド」を連想した。
 リンチ監督、フリークス好きだよね。
 
 エレファント・マンことジョン・メリックを演じていたのはジョン・ハート。特殊メイクなので顔とかあまりわからないけど。うまく喋れないなりに、ジョンはちゃんとジェントルマン、という感じが素敵で。
 でも複雑だ。知性があって、聖書を読み込んでいて、詩や美しいものを愛して窓から見える教会のミニチュア模型を作ってみたりする、芸術的な人物だったから大事にされて、愛される、のか。彼がもしもっと知性がない、紳士なふるまいができなかったら? 大事にはされないのか。また放置されてしまうのか。見た目のグロテスクさを、上品に見つめる人々は、でもサーカスで見世物にされてた頃の観客と何が違うというのか。

 医者に看護婦長が、先生も見世物にしてます、って忠告したり、医者自身もそのことに悩んだりもあったけど。でもサーカスで見世物になってる時よりはジョンはずっと幸せそうで。上品ぶった人に会うのも、医者を友と呼ぶのも嬉しそうで。それはそれでよかったんだろうなあ。殴られて檻に入れられてるよりずっといいのは確か。でも。

 医者を演じていたのはアンソニー・ホプキンスでした。若い。ま、そりゃそうか。四十年前。四十代なのかな。モノクロ映画だけれども、医者の瞳は綺麗な青に違いないって思ってひきこまれる。当たり前ですが名優。ジェントルマン~。
 最初の方は、ジョンの姿をなかなか映さない。ジョンを見る医者の顔のアップとかが綺麗ですごい。アンソニー・ホプキンスってかっこいいんだよなあって改めて思ったなあ。

 ステキな医者と向き合う、大きなこぶや歪にひきつった顔のジョン。でも、友情なのだ、と。
 でも、どーなの。それは本当に友情? ただの利用でただの同情?
 ジョンが素直に喜ぶたびに、見ていて、ああ、見ていていいのかな私、と考えてしまう。けれど、友情であるのも本当だな、とも思えた。医者もジョンのこと結構好きになった感じあった。

 ジョンを見世物にしてた親方さあ。父親だったのかな。ジョンのこと酷い扱いしてるのに、宝物、と詠んで執着がすごかった。見世物にして金儲けだ、ってことだろうけど、でも、それ以上に執着があった感じがして。どうなのかなあ。わからないけど。

 実話ベース、ってことでなんか記録とかあるのかな。ちょっと気になる。けど。うーん。難しい。人権とは。とか難しいよなあ。殴られたり檻に入れられたりは論外に酷いとして、けど、見世物、という手段で金を稼ぐしかないっていうのは、それは、うーん。
 今見ても凄いし、多分今後も凄い。リンチ監督だなーってのもあるし、深いヒューマンドラマでもある。見に行けてよかった。とてもよかった。
 

 

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