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映画 「ポルトガル、夏の終り」


*ネタバレします。


映画 「ポルトガル、夏の終り」


 女優のフランキー。家族旅行といって、シントラにみんなを呼ぶ。息子、現夫の娘、つまり義理の娘、とその娘。前夫、前夫の現恋人も一緒。友人のアイリーン。ヘアメイクの仕事をしている彼女をフランキーは気に入っている。できれば息子と結婚することにならないかと、思って呼んだ。
 美しい自然。ゆっくりした時間。フランキーは余命宣告を受けていた。


 ポルトガルのシントラって、町そのものが世界遺産らしい。きれいだった。緑の山も。海も。街並みも。フランキーは有名女優みたいで、あなたのビッグファンです、っていう人が何人もいる。街を歩けば、もしよかったら姉の誕生日パーティに、乾杯だけでも、と誘われたりする。80歳の姉の誕生日パーティ。
 そこの会話の感じからするに、フランキーは癌で、一度は克服したものの、今、再発していてステージがあがって、余命わずかってところなんだろうなとわかる。

 自分の死後、家族に幸せに生きて行って欲しい。そのためのおぜん立てをするつもりのフランキー。でも、それぞれいろんな事情があって、そううまくはいかない。
 だってみんな大人だもの~。それぞれの事情を、ママに言われたからってハイめでたしめでたしにはできないよねー。
 
 きれいな景色。そこにいる普通の人々。まあ、女優とかその家族って普通とはちょっと違うかもだけど、まあ、でも、彼らの普通。死が近いということは劇的なことかもしれないけど、でも、どんな人にも必ずあることで、まあ、普通のこと。
 殊更なドラマチックさはなくて、静かで、つい、寝てしまう……。映画館涼しくてこのごろぐったりしてるからさあ。
 とはいえ、すうっと一瞬寝てしまう気持ちよさって最高。
 そして映画の穏やかさも最高。みんな大人だ。大人だから、ちゃんとして、でもちゃんとしてなくて、なんだかんだみんなうまくいかなかったり、それでも思いやりをもったり。

 大袈裟なところがなくて、ナチュラル~。ふわーっと引き込まれる。
 フランキー、結局なんもうまくもいかなったかな。でも、最後、山にいって、夕日を見て。少しだけ微笑む彼女はとてもきれいだった。

 この最後のシーン、ずーっと遠景で撮ってるんだよね。山のぼり、海と夕日の光になっていく景色。人は小さく遠くて、家族がそろってなんか喋ったりしてるのかどうかとか、あんまりはっきりわからない。
 下手なドラマだったら、キャストそれぞれのアップとか会話とかなんなら和解とかで涙を流すみたいなシーンだと思うんだけど。こんな引きで撮ってただただ景色の中の人々、で、終わるんだなあ。とても素敵だった。

 主演、イザベル・ユペール。きれいだった。可愛かった。
 監督、アイラ・サックス。「人生は小説よりも奇なり」の人なんだーと気づいて見に行った。あの映画もとてもよかった気がするし。熟年ゲイカップルがついに結婚を、ってところで起きるドラマの映画だったよね。

 人生、という感じを見せてくれる監督なのかな。人生、って思った。人生は終わるなあ、と思った。終わる時まで、人生は続くんだな。
 特にこの夏、死を近く思う時だったから。
 人生って。
 自分がもういい年になってるから。死が近く、近しい人を亡くしていくばかりになるんだろうなと思うから。そして多分私も随分死が近くなってきているんだと思う。
 そんなことをしみじみ思ったりした。そう思わせてくれる、いい映画だったな。見に行ってよかった。

 

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