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映画 「リトル・ジョー」


*ネタバレします。


映画 「リトル・ジョー」


 新種の花を作っているアリス。同僚のクリス。話しかけて愛情かけて、手間暇かけて育てる花は、しあわせな気分になれる香りがする。新種として発表するため博覧会に間に合わせなくてはならない。
 息子のジョーと二人暮らしのアリス。こっそり持ち出した新種、リトル・ジョーと名付けているそれを、息子のジョーにプレゼントする。
 リトル・ジョーは香りに特化し品種コントロールをするため、子孫を残せない設計にしている。同僚のベラは不自然だと批判的だ。花が咲き、花粉が飛ぶと、その花粉がアレルゲンになるのかどうかチェックが必要。うかつにリトル・ジョーの香り、花粉を吸ってしまったクリスやジョーは、どこか少し、違った人になったのかもしれなかった。


 ホラーっていうほどでもなく、じわじわとなんかおかしい、という感じ。世にも奇妙な物語 でありそうな。「ブラック・ミラー」でありそうな。
 リトル・ジョーの花粉のせいで、脳に悪い影響があるのか。悪い? しあわせな気分になる影響? しあわせとはなんなのか、とわからなくなる。

 人が変化する。息子は成長して母親になんでもかんでも話さなくなる。父と暮らすことを選ぶのは悪い? しあわせ? どっちがまともなのか、何が本当にいいことなのか、わからなくなる。

 リトル・ジョーは子孫を残せないように設計された人工の花。その反動で、花粉を吸った人間を操って、リトル・ジョーの事を最優先に考えて、育て広げていくように仕向ける。そんな作用を起こすウィルスなんてあるだろうか?

 これ、製作は2019年なんだけど、今見ると、温室で厳重管理の花のために、消毒、手洗いをマメにやってたり、花粉の安全性が不明だからマスクをしろ、だとか、コロナ禍のニューライフだなあ今だなあと思ってしまう。マスク隙間なくちゃんとしなさいよ、ってハラハラしちゃう。花粉避けたいんじゃないのかよー。

 主演のエミリー・ビーチャムはカンヌの主演女優賞をとったそうで。ほんとこの、周りが変わってしまった、という疑いや不安定さとか、けれど結局リトル・ジョーのせいだったなんて馬鹿げてたわ、なんて開き直ったり。激情の熱演! みたいなことではなく、静かで、でもなんだか少しずつ変、という感じ素敵だった。

 ベン・ウィショーくん目当てで待ってたんだ。クリス、アリスと同じく優秀な研究者ではあるけど、これといってかっこいいでもなくすごくいい男でもなく。ふつーの男やってるのもステキだった~。けど、リトル・ジョーの花粉吸って、なんかこいつ実は? みたいなつかめない感じもすごく好き。さすが。
 実はこいつ、というかクリスはやっぱリトル・ジョー大事で勢いでアリス殴ってしまったりもして。あーやっぱお前は~~~ってなった。

 アリスが、カウンセリングかなんかに通ってて、途中、アリスの方が変なのか? とも思うんだよね。人は変化する。子離れできないアリスの問題なのでは? と。
 ベラの疑いは、彼女がかつてメンタルがダメになって一年くらい休職してたからなーって目で見られて、あんまりまともにとりあってもらえない。ベラの疑いに引きずられてアリスも、ってなるけど。ベラは追い詰められて転落事故。その辺はちょっとホラーだったかなあ。

 結局、クリスに殴られて気絶したアリスのマスクをクリスがとってしまって、アリスもリトル・ジョーの花粉を吸って。みんなリトル・ジョーの花粉を吸って、みんな、リトル・ジョーを大事に育てます、という世界になっていくよ、って感じの終り。
 そ、そうか~。リトル・ジョーに負けたのね人類。

 最後、アリスがおやすみ、と花に話しかけると、「おやすみママ」 と囁きが答えて、終わった。リトル・ジョーの意志、リトル・ジョーは会話もできるようになっていくのかな。人類は花の下僕に……。でもそれで花を大事にしながら他はまあ普通に人生やってって幸せな香りって感じてハッピーでいられるなら。それは、それで。いいの、かなあ。
 じわじわと。なんだかわからなくなる。

 カラフルで、パステルカラーがあざやかな世界。リトル・ジョーの赤がひと際、あざやか。鮮明で、キツい。
 音楽が、雅楽とか入ってた? オリエンタリズムってゆーかエキゾチックっていうかの感じなのだろうか。ああいう音の感じって。アリスがテイクアウトしてくるのも多分寿司だな? とか、ベトナム料理とか、アジアンな感じだった。ミステリアス~って感じなのかなあ。

 上映館が少なめで、見に行けるかどうか心配だったけど、行けてよかった。満足しました。

 

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