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『月蝕の夜の子守歌』(白鷺あおい/創元推理文庫)


*ネタバレします。


『月蝕の夜の子守歌』(白鷺あおい/創元推理文庫)

 大正浪漫 横濱魔女学校2

 

 シリーズ2作目。横濱女子仏語塾に通う女学生たち。けれどそこは本当は、魔女学校。
 てことで前作の続きでありつつ、これ単発でも迷子の女の子事件があったりして面白かった。人さらいの天狗団に妖魅を混ぜて話成立するなんてすごい~。姑獲鳥が出てきて、わ~~~京極堂!なんて目次でもえたけど、勿論全然違う風味で切ない。
 幽霊と妖魅はまた違うんだよねえ。けどお話というか心通じることはできる。霊感ある人間がいるようなもんで妖魅であれば霊感的なものもただの人間よりはある感じかな。
 楽しい学園もの、として読んでて、あっ、そういえば妖魅でしたね魔女でしたね、ってなるの、わかってるのに読みながら毎度新鮮に驚けて面白い。

 千秋くんが、通ってきてるの、楽しい。女学校だし、魔女学校だし、だけどすごくフラットな世界で心地いいなあ。意地悪というか嫌味な登場人物がいなくてすごく読みやすい。いらんストレスなく読めるのすごく嬉しい。ファンタジーだもの。夢をありがとう;;

 大正浪漫~で、横濱~で、異国情緒なのもあり、って感じも面白い。インターナショナル~。世界が広々としていて風通しが良い感じも心地よい。舞台は日本で横濱で、ちょっとご近所気分で読めるんだけど、異国とかなんなら時空を超えて絵の中の秘密まで広がるの。今作では、絵の由来が少しわかる。千秋くんの祖父のいとこのエステバンおじさんが描いたものなんだって。エル・ドラドへ行ってきたという、ほら吹きおじさん呼ばわりされてた人がいたそうだ。
 エル・ドラド~!? 黄金郷~!三作目で絵の秘密とか黄金世界みたいなことが描かれたりする?? すごい楽しみ。

 学校生活も楽しく描かれていて、寮でみんなで月蝕を見ましょう、ってお夕飯にお稲荷とか巻きずし作るのとか、飛べたらお祝いにマドレエヌを焼くのとか、そういうのもいちいち美味しそうで楽しい。

 ぬばたまおろち の頃からそうだけど、妖魅たちの少年少女たち、それを見守り導く先生たち、みんなはぐれ者な世界ですね。魔法でファンタジーで、優しい人々がたくさんいて、楽しいこともいっぱいに描かれているから元気が出る。登場人物みんなが自分なりに頑張ってる。守ってやってくれ、と、読みながら思う。今作でも、頭飛んじゃう小さな女の子を小春ちゃんたちはじめ精一杯みんなが守るの、良かったなあ。遠い異国からはるばるやってきてくれる叔父さんもおじーちゃん。いつだって正しくいられるわけないけど、優しくなれるんだな。
 
 千秋くん視点の話も増えて、千秋くんが攫われそうになったりで、ハラハラする~。このシリーズのヒロインというか、概念としてお姫様なのは千秋くんだ。歩けないけど、ちょっと飛べるようになってきたし、豹になれるからダイジョウブなんだけど、なんかもう、ドキドキハラハラする。黄金郷にほんとに行ったりするのかなあ。千秋くんのことがもっとわかるのかなあ。続きもすごく楽しみです。

 

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