« 映画 「ANNA アナ」(二回目) | Main | 映画 「コリーニ事件」 »

映画 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」

 

*ネタバレします。

映画 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」


 ジョーは雑誌社に友達の作品といって短編小説を売り込む。駄目出しはされたけれど、売れた! 
 走り出すジョー。下宿では家庭教師をしながら、作品を書き続けている。だが同じ下宿人からあえて厳しい評価をされると、ショックでカッとなって喧嘩別れ。
 故郷から、妹のベスの病気が良くなくて帰ってくるようメッセージが届く。ジョーは7年前、楽しかった少女時代の断片を思い出す。


 そんなこんなで、「若草物語」ですね。私は多分子どもの頃かなあ、読んだことある。けど、それは子供向け本だったのか。この、7年後のジョーたちのことは知らなくて、この辺もちゃんと原作通りなのかどうか、わからない。ローリーとジョーはどうなっちゃうのよ~~とか、ええええ結局エイミーと結婚すんの!? とか、そういうのってもともとのお話? 私が覚えてるのは7年前あたりとされている少女時代の事ばかりでした。

 この作品も、時間がぽんぽん飛ぶんだよね。基本は「若草物語」を書き始めるにいたるジョーの時点。で、書いた物語、ってことになるのか、楽しい少女時代だった頃、クリスマスの朝、とか、ローリーと出会った頃、とかが回想や夢の中みたいな感じで出てくる。
 
 とにかくマーチ家の四姉妹が! 可愛い!!!!!
 マーチ家は、お父さんが南北戦争に行ってる、のね。で、おうちには女性ばかり。姉妹と、ママと、女中さんかな。お隣のお金持ちんちは、おじいさんとローリーと、家庭教師の先生で、男ばかり。で。エイミーが学校でぶたれて、泣いてた所を助けたりして、交流が始まる。姉妹のきゃっきゃした感じで、お隣の重厚なおうちが華やぐ様がとっても可愛かった~! 

 ママと姉妹たちが、くっついてもたれあって父からの手紙を読むとか。仲良くきゃっきゃしてるのがたまらなく可愛い。きれい。それぞれの個性しっかりあるし、そういう風に生きている人たち~。でもとっても誠実に清らかな心を持ってる。決して聖人じゃないよね。だけど、人としての優しさを持ってるんだねえ。牧師さんちなんだっけ。優しい。でも、ベスはやっぱり、天使すぎる;;

 女の子が生きる道は結婚しかない。といわれる時代。ジョーはそんなのは嫌、作家になるべく書き続けている。姉妹それぞれに、才能があって夢があって。
 お金持ちの叔母様は、お金持ちだから独身でいられるのよ。ってことで、女が働いて生活していくなんて馬鹿げてると一蹴される時代。ジョーは、それでも、結婚しない道を探す。

 ローリーとジョーと仲良しで、一緒にいると楽しくて、とかがすっごくよくって最高だった。ティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンが仲良しでいいコンビっていうのがすっごく伝わる。で、ローリーはジョーにプロポーズしたい、してしまうけど、ジョーはそんなのダメ、台無し、って断る。
 ジョーにとっては、ローリーとはいつまでも友達でいたい、仲間でいたい、って感じ。女の子扱いしてほしくない。結婚、妻、という立場に置かれたら否応なく上下関係、ローリーがどんなにジョーを大事にしようとしてくれたとしても、社会では対等に見られることはない。

 それでも、孤独で、寂しくて、もう一度ローリー、テディがプロポーズしてくれたら今度は受けるわ、とか、その寂しさ、弱くなっちゃう時の感じのリアルがすっごく、わかる。

 ベスが天使すぎて、天に召されてしまって。大好きな家族、大好きな姉妹の一人が失われてしまって。
 メグが結婚するって時には、一緒に逃げようって真剣に口説いちゃうくらいジョーは姉妹、家族が大好きで、家族さえいればいいって思ってて。

 エイミーが叔母さんとパリへ、話し相手として行ってて。絵の勉強もしてて。絵の才能はある、けれど、画家として売れっ子になれるほどではないし、そもそも女性の画家なんて認められない。
 ジョーとの失恋でだらしなく放蕩してるローリーと再会。エイミーも気が強くて、ジョーと似てるからこそ喧嘩も派手にやってきてて。そしてエイミーは、ジョーの代わりなんて嫌、って、いつも姉妹の末っ子として子ども扱いされてるのも嫌、で。エイミーなりの屈折も激しくあるんだよねえ。

 そんでローリーはエイミーと結婚して帰国かよー。びっくり。
 エイミーとジョーと。二人への愛はそれぞれに全然違うよ、とローリーは言うけど。エイミーへの愛はちゃんと男女の愛ってことか~。ジョーとはまた友達に、と。
 ジョーはショックだけど。自分から離した手だから、もう。ローリーとは友達で。友達って、最高なんだけど、これはまたちょっとしばらく辛いな~。

 なんて思ってたら、ジョーのことをやっぱり好きだったのねの下宿人仲間のインテリさんがはるばる訪ねてきてさあ。ジョーが恋する相手はこっち!?

 叔母さんが残してくれた屋敷で、学校をやるという新たな夢を持ったジョー。幸せに結ばれる相手ができたジョー。
 って、この、ジョーも結婚するハッピーエンドは、小説を売るための交渉の結果、みたいなことで、小説の中だけのお話なのか、作者ジョーも結婚するのか、ちょっと曖昧で、見る側に委ねた感じだったな。
 
 私は、ジョーはアセクシャルっつーか、愛はあるけど恋愛しないタイプ、みたいな描き方なのかと、ローリーを断った時に思ったので、ジョーにも幸せな結婚相手がいました、というのは小説の中のお話、と思った。けどまあ、実際彼と結婚したとしても、まあそれはそれでいいのかなーと、思った。けどどうなんだろう。私がちゃんと見れてないのかもしれないけど。

 昔昔大昔に読んだお話を、映画を見て断片思い出せるのすごいなあと思う。確かにこれは「若草物語」。あーこういうところあったな、って、優しい気持ちを教えてくれる。
 でも確かにこれは今作られた今の映画で「若草物語」。一人一人違う、それぞれの生き方をしたい女の子の物語。女性であるというだけで奪われる可能性の数々を言う言葉が、現代でもまだ、まんま、ある、ってわかってしまう苦しさ。それでも、助け合い、愛し合って、生きる道があること。

 ジョーの本が、印刷されて、作られていくところが丁寧に映し出されていた。ああ。本って素敵だ。物語が生きる力になることを、本がとっても大切に抱きしめられるものであることを、物語を愛するすべての人と分かち合うシーン。

 あんまり期待せず、シャラメたんが見たい~くらいの気持ちで見に行ったんだけど。で、シャラメたんがああもおおお~~最高に可愛くてかっこよくって何から何までどのシーンでも最っ高ステキだったんですけどっ。あんなお隣さん仲良しさんが出来て、四姉妹で奪い合いにならないのがすごい。シャラメローリー、夢の幼馴染すぎる。素敵だった。うっとり……。

 と、それはそうなんだけど。シャラメ~って萌える以上に、マーチ家さいこうか、とか、お隣の一見気難しそうおじいさんも可愛いかよ、とか、も~全ての登場人物が素晴らしく素敵で、全員を愛してしまうよ。
 上手い。全員が上手い。豪華キャストよくそろえてたな~と思う。でもこれは俳優たちみんなもこの作品に出てよかったって思うんじゃないのかな~と想像しちゃうほどに、上手い映画って思った。

 ポリフォニー、って思った。作中作、思い出、作者、いくつもの重層性。って、ポリフォニーって思っていいんだっけ。ちゃんと言葉が把握できてないかな私。けど、ほんと。すごくうまい。監督、脚本グレタ・ガーウィグ。参りました。
 「レディ・バード」は、あんまりまあ、ん~、なるほどって思ったわけですが。この作品はまた新たな古典として残っていく名作だろうなーって。いい映画を見た。大満足です。

 

|

« 映画 「ANNA アナ」(二回目) | Main | 映画 「コリーニ事件」 »

映画・テレビ」カテゴリの記事