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映画 「風の谷のナウシカ」


*ネタバレかな。って、ネタバレもなにも、ほとんどみんな多分大体は知ってるのでは。


映画 「風の谷のナウシカ」

 

 産業文明が火の七日間で焼き尽くされ滅びて1000年。わずかに残された人類は、瘴気を発する腐海と呼ぶ虫と胞子の森の浸食に追いやられながら暮らしていた。
 風の谷に棲む人々。王とその姫、ナウシカ。旅人であり剣士であるユパの訪れは外のニュースを知る機会でもある。
 ある夜、軍事大国トルメキアの巨大な船が谷に墜落した。その積み荷は、巨神兵という、掘り出された旧世界の兵器だった。


 そんなこんなで、再上映を見に行ってきました。1984年製作だって。36年前かな。うわー。時の流れ……。
 公開当時に映画館へ見に行ったかどうかもう記憶が、わからない。でもテレビでもう何度も何度も、何度目だか数えきれないほど見てるねえ。話の展開もなんならセリフの多くも、全部わかってるのに、またしても滂沱の涙。凄い面白い~~~。

 でも当然ながらCMで中断されることなく。大きなスクリーンで。音で。じっくり没入して見ることができて、ほんっとすっごく良かった。

 ナウシカがねー、ほんっと戦う主人公。戦う、というか、行動する。判断も命令も行動も的確で素早い。ひきこまれてぐいぐい進む。上映時間116分だって。そのコンパクトさでこの情報量たっぷりと、感動を見せていくんだものなあ。あまりにも上手い。
 こんな素晴らしい姫さまをみんなが愛して信じているのは当然~。というか、あの過酷な世界の中で、戸惑いや愚かさは命取りになるんだろうな。

 何度見ても泣いちゃうし、何度見ても、もうすっかりいい年になっても、ナウシカの子どもの頃の、オームの子を隠してる所を大人たちが引き離しに来る、手がいっぱいくるあのシーンがめちゃめちゃ怖い。絵の力だ。今日も心底怖かった……。結構残酷なこと描いているんだよなあ。それに巨神兵ちゃんな。ドロドロ。あれもほんと怖い。よくこんな絵的表現思いつくなあ。巨神兵が後のアニメに与えまくった影響って。ていうかエヴァですけど。はー。凄い絵だった。

 漫画をまた読みたくなる。うちにある。でもやめられないとまらないになっちゃうからちょっと。けど、AKIRA 共々、また読み返したい。名作は名作だなー。映画館で見せてくれてありがとう映画館~!

 

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『コリーニ事件』(フェルディナンド・フォン・シーラッハ/東京創元社)

 

*ネタバレします。


『コリーニ事件』(フェルディナンド・フォン・シーラッハ/東京創元社)


 ファブリツィオ・コリーニは記者のふりをして男を訪ねた。快適なホテルのスイートルーム。ニ十分後、男は死んだ。コリーニは血のついた足跡を残しながらロビーへ降りて、警察を呼んでくれと頼んだ。

 先日映画を見てすごく面白かったので、本も読む。
 これ、翻訳出た時に、すごく評判良くて面白いらしいとはずっと思っていたものの、なんとなく小難しいんじゃないかなと思って手を出してなかった。ドイツの現役弁護士の書いた小説、初の長編ってふれこみで。
 でもすごく読みやすかった。そっけないほどのクールな文体。翻訳が上手いんだろうか。でも多分原文もこういう雰囲気なのかなあと思う。

 基本的にお話は映画と同じ。けど、映画よりずっとさっぱりしてる。ライネンくんは女の子と出会ってないしイタリアにも行ってない。イタリアから証人呼んでないし、父や友達とチームでがんばったぞって感じでもない。黙々と淡々と記録を読み込んで調査をものにしている。移民の子ってわけでもなく、父よりもハンス・マイヤーに懐いて世話になってたけど、原作での父は蒸発して疎遠になってるわけじゃない。敵対することになる教授が抜け道作った法の成立に関わったのでもなかった。
 
 コリーニの過去においても、映画みたいに父が目の前で殺されたのではなかった。姉がレイプされ家が燃やされてた。どっちが酷いでもなくなんにせよとてつもなく酷い。少年のコリーニくんに降りかかった途方もない暴力だった。直接自分が殴られたわけではなくても、本当に本当に、酷い傷を残しただろう。それが、戦争で、戦争行為として罪の度合いが云々であったとしても。許せるわけない。
 それでも、私的報復の人殺しは人殺し。殺人は犯罪。辛い……。

 とてもわかりやすく読めたのは映画を見てるせいかなあ。けど、多分本を先に読んでいても全然小難しくはなかったと思う。
 映画化は、いろいろとドラマチックにアレンジしていたんだなとよくわかって、読んでみてよかった。映画化だから、今日的な要素も入れながらって感じなんだと思う。原作の基本を忠実に、けれどドラマチックな盛り上げとか見せ場とか。すごく、私はうまくてよかったと思った。
 これ本国で出たのは2011年か2012年くらいかな。この小説きっかけで政府にナチの過去再検討委員会ができたとかなんとか。時効を認める法の再検討とかしたのかしら。ドイツ、ナチスの負の遺産は巨大すぎるよね……。

 「訳者あとがき」で、モデルとなる人物がいたと知る。そして作者の祖父はナチスの高官だったそうで。私、勝手に作者はライネンくん的な立場かと思ってたけど、ヨハナ・マイヤーの側だったのかと知って、またいっそう、どっと重く感じた。
 作者の学校の同級生にはそういう、ナチ政治下のあれこれの人物の孫たちがいたそうで、そうかーそりゃそうか……と……。
 勿論、子孫に祖父たちがしたことの責任があるわけじゃない。おじいちゃんになった彼らは、ハンス・マイヤーのようにいいおじいちゃんだったかもしれない。孫が知るのはそういう姿で、けれど、その祖父が「誰」だったのか知る時がくる。そして。

 そして、けれど、どうにもどうしようもない。自分はじぶんとして生きるしかない。
 そしてこういう作品を書いたりしたんだなあ。いやまあ、わからないですけれども。
 ……面白かった。

 

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映画「AKIRA」


*ネタバレします。


映画「AKIRA」

 1988年、東京に爆弾が落ちる。そして第三次世界大戦。それから31年後。2019年、復興しつつある東京は翌年にオリンピック開催を控えていた。
 バイクで抗争しているまだ学生のグループ。リーダーの金田、幼馴染の鉄雄。路上で追われていた、老人のような子どもを避けて事故った鉄雄は、追手である軍に謎の子どもと共に連れ去れてしまった。
 実験体として覚醒し始める鉄雄。助けようとする金田。鉄雄の超能力は強大なパワーで暴走し始める。


 1988年の作品が、4Kリマスター、音も新たに良くなってってことらしい。IMAXは見逃してしまったなあと思ってたんだけど、せっかくなので映画館で見ようと行ってきた。
 公開当時、見に行ったのかどうかわからない……。見たことはある。深夜テレビだったのかもしれない。んー。わからない。幻魔大戦とかあったよな。と、思うんだけど、それも深夜テレビでみたのかなあ。もうはるか昔すぎて記憶がダメすぎる。

 断片的に覚えてるのはあって。老人みたいな子どもとか、終盤のパワーの暴走でぐにょぐにょ巨大化していく鉄雄とか、ものっすごく怖かった気持ちを覚えてる。今見ると、恐怖感はそれほどでもなかった。年取ったもんな~。

 舞台が2019年で、翌年オリンピック、って、去年はアキラのとおりだ今日がアキラの中のあの日、とかいろいろざわついたりもしましたね。過去の未来が凄い。そして今年東京オリンピックは延期で開催されませんが。鉄雄の暴走のせいじゃなくてよかった。

 今だから、見ると、金田、鉄雄のことだけじゃなくて、大佐がクーデター起こしてんじゃん。とか、政治家たちがヒドイとかアキラくん周りの日本政権ダメダメすぎじゃねーか、とか思った。街があんなでも庶民は頑張って暮らしてるな~。あんな事態になって、警察も軍も大変すぎだな~~。デモ、テロやってる連中の主張はなんなんだろうな~とか。デモは酷い税反対みたいなこと言ってたような気がする。通行止めになって文句言ってる魚を運送してるらしきおじさんがいるなあ、とか。超能力対戦だけど、一般人もそれなりにいろいろいますね。

 ちょっと前に、「AKIRA」めっちゃBLだ、てなネット記事を読んだんだけど。改めて見ると、ほんっとめっちゃ、テンプレともいえる幼馴染BLだった。いつも助けてくれる金田に心を拗らせまくった鉄雄。金田も拒まれても拒まれても結局いっつも助けに行くんだもんな~~。鉄雄、あんなにパワー持っても、最後には金田助けてって言っちゃうんだもんな~~~っ。

 最後あれは、東京でまたビッグバン、ブラックホールが出来て消えた、くらいの勢いだったのかなあ。でもそれにしちゃ生き残ったりしてる人もいるわけで、そこまでではないのか。
 なんにせよ壮大だった。凄かった。

 映画館で見られて最高だったのはやっぱ音! かっこいいいいいい~~~~~っ!!!
 最初のバイクチェイスな。テールランプが残像の尾をひくやつな~~~。そこにかぶってくる たましいーっ らっせーらー~~。
 音楽というかほんと、作品と音と一体に作ってるのかあと思った。

 アニメの動き。バトルとかバイクとかはむっちゃかっこいいけど、普通に歩いてるような時の動きが不思議だった。主役たちの声もなんか朴訥な感じ。でもまあそれが似合ってる気もする。ほんとは主役なんかじゃない、ただの落ちこぼれ不良少年なのだ、みたいな感じ。子どもたちもさ。子どもだった。なのにあのビジュアル。こわい。やっぱ、子どもたちが一番怖かった。

 またあんなことになって、東京オリンピックは中止だね。タイヘン。けど、開催まであと147日、で、スタジアムまだあんな建設途中で大丈夫だったのかな。もともとやはり無理だったのでは。というかあの世界、無理だったのでは。
 今の現実の東京、とかも考えちゃったなあ。タイヘンすぎる……。

 改めてちゃんと映画館で見られてよかった。かっこよかった。漫画もまた読みたい。すっごいよなあ。

 

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映画 「ドクター・ドリトル」


*ネタバレします。


映画 「ドクター・ドリトル」


 ドリトル先生は動物と話せるお医者さん。冒険家の妻、リリーと素晴らしい冒険をしてきました。女王の覚えもめでたく、動物たちと一緒に暮らせる広い庭のある大きなお屋敷に住んでいます。どんな動物も治します、と、いつも患者でにぎわうおうち。
 妻は新たな冒険に旅立ち、ドリトル先生は彼女を見送ります。しかし嵐の海で、リリーは亡くなってしまいました。ドリトル先生は悲しみ、門を閉ざして誰にも会わなくなります。


 動物たちと静かに暮らすある日。
 森でリスを間違えて撃ってしまったスタビンス少年が、オウムのポリーに導かれてドリトル先生の所へやってきました。同じ時、女王の使いでレディ・ローズという女の子も、ドリトル先生の所へやってきました。
 リスの治療は引き受けて、けれど女王の使いには帰れとしか言わないドリトル先生。けれど、女王の命が危ない、つまりドリトル先生に与えられたこの屋敷も危ない、と、オウムのポリーやみんなにせきたてられて、ついに、ドリトル先生は女王のもとへ参上しました。

 始まりはアニメというか、絵画で紹介、みたいに始まって。これってディズニー映画からしらと思う。動物と喋れて動物と暮らしてるドリトル先生、ディズニープリンセスでしょ。
 それはともかく。ロバート・ダウニーJr のドリトル先生。可愛い~~~。

 物語は子どもと一緒に楽しめる感じに、細かい理屈とかなしにどんどん進む。おとぎ話でいいな~。冒険譚だ。
 女王を亡き者にしようとする悪い侯爵かなんか? がいたり、ドリトル先生のライバルみたいなのがいたり。マイケル・シーンが演じてた! この俳優、誰だっけ、知ってる気がする、と暫く悩んだよ。可愛い~。陰謀と、女王を助けようとかはちょっと三銃士っぽいかも。 
 ユーモアもたっぷり。動物たちの、見た目と内心のギャップもえみたいなのもたっぷり。みんな可愛い~。

 さらりと描かれているけれども、妻を亡くしたことで、自分を責めているドリトル先生始め、動物たちもみんなそれぞれに、悩みや悲しみ、傷を抱えているキャラばかりだった。
 弱くてもいいんだ、とか、話を聞くよ、とか、セラピー映画だ~。とっても優しい。

 ダチョウと白くまが張り合ってたけど仲良くなるとか、怖がりのゴリラががんばったり、けど、怖い~~ってなったり、それでもいい、とかね。助手になりたい、ってスタビンズくんも、おじさん所に引き取られてるっぽい、のは多分両親を亡くしてるかなんかなんだろうなあと思う。猟師の家にお世話になってるけども、動物を撃てない、という苦悩から、先生の助手になって医者になって、動物たちを治す人になりたい、って、一緒に行くんだよ。

 海賊の島みたいなとこに、リリーの残した日誌をとりにいくんだけど。リリーはその島の王、かな、の、娘だったのね。王に怒られちゃうドリトル先生。けど、同じ喪失の痛みを抱えてるんだよね。キレられたあとには、助けてくれた。

 冒険の旅で、みんなの成長がちょっぴりあったり、相変わらずだったり、そんなこんなで無事、女王の毒を消すエデンの果実を手に入れて、間に合った~。ハッピーエンド。
 終わりに、女王からメダルもらうみたいなシーンは、また絵になってて、それも可愛かった。スターウォーズのシーンも連想。動物たちもみんなメダルもらってたよ。よかったね。

 ダウニーは、なんか声の感じも違ってた気がする。当然ながらアイアンマンだとかシャーロックだとかの戦う男とは全然違う。ヘタレなドリトル先生だった。ヘタレだけど有能。動物たちを愛してる。妻を愛してる。やっと、先へ進めるようになった。優しい~~~。癒しの先生だった。楽しかった。満足^^

 

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『三体 Ⅱ 黒暗森林』上下(劉慈欣/早川書房)


*ネタバレします。

 

『三体 Ⅱ 黒暗森林』上下(劉慈欣/早川書房)

 三体世界からの攻撃がくる。と知った人類は、何とか対抗手段を探る。
 あらゆる情報が筒抜けの中、三体人には人間の心が読めない。世界は、面壁者という、誰にも何も言わずただその人の頭の中でだけ作戦を立てる四人の人間を選ぶ。彼らは人類を救えるのか。

 て感じで、三体からの艦隊がやってくる四百年の間に、なんとか、人類が勝利して生き延びる道を探るべく、面壁人があれこれがんばる話、かなーこの第二部は。

 正直、第一部のことをあんまり覚えていなくて。冒頭の葉文潔、あの文革を生き延びて宇宙にメッセージおくっちゃった彼女のこと、は、覚えてる。けど。あと、大史だーしー、史強ね、タフな刑事。だーしーは今回もわりと出番あって、好きなキャラで認識してる。
 けどな~。
 
 すっごく壮大な思考シミュレーション、もしも他の文明がせめてきたらどうする、というのは、すっごい、凄いなあとは思うけど、登場人物に思い入れがまったく持てず。
 まー正直私の記憶力がダメすぎて、誰が誰とかなんだっけとかすんなり読めなかったりしたせいでしょう

 特に、一応多分メイン、主役の羅ジー(漢字が出せないごめんなさい)の思考が気持ち悪くて。以前作家の彼女がいたとかで、自分でキャラクター生み出してみなさいよ、みたいにすすめられて、理想の彼女を考えだしていくんだけど。で、面壁者に選ばれた特権で、夢の彼女そっくりさんを探してだしてもらって、一緒に暮らすし結婚して娘もできちゃうと。

 ……。いやまあ、作家個人の妄想ですしフィクションですし、いいんだけど。ラオジーくん、一応大学で教えてるとかだから、まあ、いい歳じゃん。いくら若手だとしても30代かな。んで、理想の彼女、学校でたばかり、って、まー二十代前半でしょ、そういう夢の女の子連れてきてもらって、幸せになりなさい、とかって、見つめあって恋に落ちて。って。そういう過程がかなり丁寧に描写されてて、そ、それ大事なとこ????? って、どうにも気持ち悪かった。
 まあ、いいんですけどね。。。

 でも一応、途中お手軽に冬眠とかしちゃってるし、二百年とか過ぎてる未来、結局かいまみえる社会において、女性っていうのが、ぼくのさいこうのりそうの彼女。とか、父の娘。あたりの主体性しかなさそーな社会でしかないなんて。人類滅びちゃえば? と思う。
 今の時点で見てもこの社会80年代くらいの感じ~と思うのに未来って感じに描かれてもなあ。まあ。個人の妄想でしょうからいいけどね。女の主体性とかありえないんですよこの未来では。という世界であっても別にまあ。そうなんですねというしかない。
 途中文明崩壊に近いような、暗黒時代もあったりしたようですし。人類、人口半分になってるらしいし。また原初な社会からやりなおしたのだーってことかもしれないし。と、思ってみても、やっぱ全然この世界にいい意味見られない。私の好みの問題かね。

 それに主眼は三体人が攻めて来る、どうする!? って話だからまあ、まあね。ラオジーくんに理想の彼女がいて娘までできちゃったからこそ、生きる希望、執着になるでしょー。ってことかなあ。けどなー。まあ。私個人的にはドン引き。

 宇宙艦隊が、三体からの探索機一機、水滴と呼ぶ、小さな一機でまたたくまに壊滅状態に追い込まれ、とかの終盤は面白かった。
 そして、人類は負ける。地球は終わりだ、と思って、宇宙艦船に今いる自分たちこそが人類の最後の希望、と、宇宙の彼方へ新天地求めて旅へ、というのも面白かった。ひとまずの目的地までにでも、燃料が足りない、と、5隻残ってたうちで、行動を起こして自分たち一隻だけでも、と、他の艦船を攻撃してエネルギーと予備パーツ、って奪還していく、暗黒の選択もよかった。
 三部ではこの星の戦艦の話も出てくるのかな。どうなるんだろう彼らは。

 ラオジーくんが、ついに三体人を欺ききって、交渉に持ち込んで、人類は攻撃されなくなった。
 宇宙の資源には限りがあるから。文明がある星は自分たちの存在を隠す。他の文明を見つけると先制攻撃以外にはありえない、という説も面白かった。

 壮大だな~。三部では人類と三体世界はどうなってるんだろうな~。と。一応、三部も出たら読むつもりではある。

 でもなんか。これ、ひょっとしてもしかして、リング的なオチだったらヤダな、という気持ち。この小説丸ごとコンピューターシミュレーションなんだよ、異星人が攻めて来たら困るね怖いね、みたいになったりしませんように……。
 お気軽に冬眠に入っちゃうし、夢の女がそっくりそのまま見つかって、見つめあうだけで恋におちて、とか、なんか、てきとうに都合よく進みすぎなんだよなあ。三体人もラオジーくんとの交渉がやけにあっさりしてるし。
 三体人はすべて心の裡を隠さず読みあう人たちらしく。『混沌の叫び』的なモノかなと想像。それかテレパシー全員あるのがあたりまえみたいな? だから人類が陰謀とか隠し事とかするのが理解できない。怖い。みたいな朴訥さがあるよ、ってことだけど。そーなの~~???

 ま、読んじゃってるので三部も楽しみにお待ちします。けど、なー。期待はしないでおこう。期待が裏切られることを期待……。

 

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映画 「エジソンズ・ゲーム」


*ネタバレします。


映画 「エジソンズ・ゲーム」


 発明家エジソン。実業家ウェスティングハウス。街に電気で明かりを灯すのは、直流か、交流か。

 と、電流バトルがあったんですね。電球だとかの発明そのものはエジソンで、人気者だけど、ビジネスはうまくなくて、アイデアを盗まれて怒ってばかりって感じのエジソンでした。ベネディクト・カンバーバッチ、キレものの天才、似合う~。
 家族思いな所もあって、でもいまいち大事にはしきれてない感じ。妻を亡くして落ち込んで、子どもたちとくっつくようにベッドに沈んでるシーンはとてもうつくしかった。
 子どもちゃん、モールス信号でパパと秘密の会話したりするのー。可愛かった。

 ウェスティングハウスが推す交流式の方が、コストが圧倒的に安い。けど安全性に問題がある!とエジソンは主張して、直流式にこだわる。その辺の理屈は私はいまいちピンと来ないんだけどまあ、そういうもんか、と思う。

 街に明かりを。その一方で、兵器開発をしろとか、死刑囚を殺すのに電気椅子がいいんじゃないかとか、文明は手放しに明るい~ってわけじゃないよというのも描かれていた。

 けど、正直私は、映画的おもしろさは、どうかと思う。ざっくりしてるな~~と思った。アメリカンとしては、あのエジソンとウェスティングハウスのバトルだなうんうん、って、よく知ってる出来事なのかな。わかってるでしょ、って感じの作りなのかもしれない。私が無知すぎてのり切れなかったのかなあ。ん~。

 ニコラ・テスラをニコラス・ホルトが演じてて、わくわく期待して見たんだけど、不遇な天才、って感じでこれもざっくり登場してざっくり消えた感じ。クラシカルな衣装お似合いでよかったけど。

 トム・ホランドがエジソンの助手くんで、ま~可愛い。助手って感じぴったり~。あれはなんかもう、可愛いで全部許すって思っちゃう。

 電流バトルではエジソンは負け。でもレコードや、映画のもとになる発明もしてるよ。ほら。って、家族、妻の声を聞いたりナイアガラだとか、娘ちゃん? の映像うつしてみたりする、優しい終りだったかな。

 これも公開されるのかどうかすら危うくて、どうなるかと思って待ってた。やっと公開になるって所で休業になっちゃって、延期でまた待ってた。無事見られて嬉しい。てことで、満足しました。

 

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『約束』(ロバート・クレイス/創元推理文庫)


*ネタバレします。

『約束』(ロバート・クレイス/創元推理文庫)


 ロスの私立探偵であるエルヴィス・コールは、メリル・ローレンスという女性から、同僚、というか部下だったかな、エイミー・ブレスリンを探して欲しいと依頼を受ける。エイミーは息子ジェイコブをテロで亡くしていた。メリルから得た情報をもとに、コールはまずトマス・ラーナーというジェイコブの友人らしい男の家を訪ねてみた。

 その家は、ロリンズ氏という偽名を使う男が、犯罪組織との取引に使う家だった。エイミーは爆弾を作る材料をロリンズ氏を介してアルカイダに売ろうとしていた。ロリンズ氏の家に、チンピラが使いっぱしりにやってくる。警察に追われながら。
 ロリンズは厄介を避けてパシリの男を殺した。そこへ、警察犬マギーをつれたスコット・ジェイムズが来る。いったんはごまかしたものの、スコットに顔を見られたロリンズ氏は、彼を始末しなければならない。ロリンズ氏は、自分のルールを守って慎重にずっと隠れてうまくやってきたのだから。


 そんなこんなで、私立探偵のエルヴィス・コールと相棒ジョー・パイクのシリーズ、に、『容疑者』でコンビになったスコットと警察犬マギーが登場してきて、成り行き上コールに協力することになって、警察組織との板挟みでたいへんだったりする話。スコットとマギーはシリーズってほどではなく、これは一応、『容疑者』の続編ってことかな。2017年、刊。本国では2015年か。
 相変わらず、マギーの内心描写が可愛くて美しくて参る。犬よ。純粋に賢く仲間への愛情あふれる犬よ。今回もマギーは素晴らしい能力発揮してスコットを守っていてとってもとっても可愛かった。

 やはり前半は、コールは手掛かりを求めてあちこちうろうろしたり電話したりでエミリーのあとをおう。今回びっくりなのは、依頼人メリルがメリルじゃなくて実は国土安全保障省の主任捜査官なんだ、ってわかったあたり。ジャネット・ヘスがホントの名前。最後にはコールと仲良くなっていくのかな~ってとこ。
 『指名手配』はこのあと。らしく。コールってヘスと付き合ってたっけ。女の名前まで覚えてないわ……。

 コールとジョー・パイクだけじゃなくて、ジョン・ストーンという傭兵、凄腕の傭兵が出てきた。一見チャラそうな感じみたい。だけど有能で忍耐強く、兵士としての心意気が強くある感じ。かっこよかった。ジョー・パイクとは仲間って感じ。コールのことは、何だあいつ、くらいに思ってるけど、しっかり協力してた。

 エイミー。息子をテロで亡くした母親。傭兵であるジョン・ストーンは彼女の悲しみが誰よりもよくわかる。
 息子の敵を、なんとか知りたい、殺してやりたい。と、願い狂気し、粘り強く自分でやり遂げようとする能力のある母親。コールたちは途中からエイリーを助ける、という方に舵を切って、協力していく。

 スコットくんは、たまたま犯人の顔を見てしまった男、で、警察には当然協力するけれども、ロリンズ氏に狙われることになって、マギーの命まで狙われて静かにキレる。自分が狙われるのは勿論許せないし、大事な大事な大事なパートナーであるマギーを殺そうとするなんて、絶対に絶対に許せない。犬とパートナーな絆が今作でもほんっとよかった。

 メリルになりすましていたヘスは、内部犯がいるんじゃないかと思ってて、組織と無関係のコールに依頼という捜査を行った。案の定、ミッチェルという捜査官がロリンズ氏と繋がってて、エイミーの爆薬を、エイミーの願いどおりのアルカイダじゃなくて、犯罪者に売り渡す手はずだった。
 
 エイミーがしっかりした母ですごくよかった。ジョン・ストーンとどんな話をしたのかとか書かれてないんだけど、なんかそれもすごくよかった。安易な心情吐露とかより深いと思う。最後、ジョン・ストーンは彼女の願いを叶えたのかもしれない。

 スコットはまた狙われたけどロリンズ氏を返り討ちにしたし。マギーはスコットを守ろうとしてかっこよかった。

 

 主要人物が多いな~~~てなるけど、随時、中心人物の名前でエピソードが重なっていくので、まあ、混乱はしなかった。
 これって、一応シリーズもの人物の話だけど、事件はそれぞれに解決していってるから、ほぼ単発で読んでもいける感じだったかな。前後の小説の細かい内容とか覚えてないけど、十分楽しかった。

 『指名手配』(2019年)の時に、『容疑者』とつづく三部作!みたいにしてたけど、そんな三部作っていうほど深くつながってはいないよね? 登場人物それぞれの続きみたいなことはあるけど。三部作とか言わないでほしいなあ。気になっちゃう。というか気になるように煽りでやってんだろうけど。出版社への不信感。。。

 コールの猫と、マギーとちょっとご対面だったの面白かったな。可愛いな~。
 終盤は面白くなってきてぐっと一気読みだった。作品、人物に私が読み馴染んできたのかな。でもやっぱ、話のひっぱり、人物の魅力、読者の焦らし方が上手いんだと思う。満足した。

 

 

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映画 「コリーニ事件」


*ネタバレします。


映画 「コリーニ事件」


 ホテルのスイート。実業家のハンス・マイヤーは新聞記者の取材を受けるつもりで男を迎えた。しかし、男は銃をつきつける。
 ロビーへ降りてきた男の足跡は血の跡。その男コリーニはイタリア人。ドイツに住んで30年あまり。彼は何故、ハンス・マイヤーを殺したのか。黙秘を続けるコリーニの国選弁護人になったカスパー・ライネンは三か月前に弁護士になったばかりだった。

 これ原作がすっごく面白いと評判になっていたのを覚えてる。ドイツの弁護士で作家、というシーラッハの。面白いのかあ、面白いんだろうなあとは思っていたけど、読んだことなかった。でも、映画きたし面白いミステリらしいし一応見に行っておこうと思って行きました。
 凄い。
 すごく重い。辛い。ほんと面白かった。


 新人弁護士くんが頑張って、黙秘を続けるコリーニの動機を明かしていくミステリ。でもこれ、ドイツ、過去、ってなってきたら、ナチ絡みでなんかあるんだろうなーと察しはつくわけですが。イタリアもドイツに占領された? イタリアとドイツ同盟国だったのではとかよく知らなくて、ちょっとぐぐったら、イタリアが降伏した後に、イタリア戦線とかあったのね。歴史をあまり知らなくて申し訳ない。。。

 新人弁護士くんは、トルコ人、だっけ。移民の子ってことなんだろう。子どもの頃、父はいなくなって、母が苦労して育ててくれたって感じ。で、ハンス・マイヤーはご近所さんかなんかなのか? 最初は意地悪してきた子の祖父か。でも仲良くなっていって、ライネンくんの父のようなもの、とかで、多分学資とか支援してくれてたかなんかなんだと思う。
 恩人を殺した男の弁護を引き受けてしまった。被害者の名前が本名だったから気づかなくて。ハンスってのは通称ってことなのか。

 一度は断ろうとしたけれど、弁護士に私情は禁物と、刑法を習った教授、相手側の弁護士やる人に言われて、引き受けることになる。黙秘するばかりのコリーニに手を焼いて、もうてきとーに済ませちゃえ、みたいに思いかけてた所、凶器の銃がワルサーP38、だとかで。お?ルパン? とか思ったけど。それは古いタイプだかなんだかで、一般的ではない、みたいなことから、昔、友達がこっそり見せてくれた同じ銃のことを思い出す。ハンス・マイヤーの図書室の本の奥に隠されていた銃。

 何故そんな銃で殺したのか。

 で、過去を探ると、ハンス・マイヤーはナチ。しかも酷い行いをしてた事がわかってくる。ドイツ兵がテロにあった報復に、無関係な村で勝手に十倍の人数を殺したのだった。
 コリーニは一度はちゃんと訴えを起こしたことがあった、ということもわかってくる。戦争犯罪を告発したのに、マイヤーは起訴されなかった。何故だ、という、ついに喋ったコリーニはライネンに訴える。

 そこで、ライネンは不起訴になったわけを調べていくと、ドイツの法改正かなんかで、戦争犯罪をしれっと時効にしちゃうような条文があって、それを起草した会議に、相手側弁護士、恩師である教授が若い頃関わってて。

 ナチスの過ち。狂気。その犠牲を戦争が終わってから訴えてもそれをすり抜ける道が用意されているなんて。

 コリーニがまだほんの子どもだった頃。村にやってきて虐殺をしたマイヤーは、女、子どもには手を出さないけれど、わざわざ、コリーニの父を選んで、目の前で殺させた。コリーニにとっては地獄だったろう。パパ、とあの時自分が声をあげてしまったから、父親は選び出されて殺された。
 戦争、戦後の苦しみ。父の死をどれほどの思いで抱えて生きてきたのか。
 ハンス・マイヤーのやったことは戦時下とはいえ、酷い。戦争犯罪が、不起訴にされたことに納得なんてできない。
 かといって、私刑で殺したことは罪であると、コリーニだってわかっている。

 裁判の結果が出る日、コリーニが自殺したと知らされる。法廷で、ドイツの過ち、法律そのものがおかしい、と明かされたことに、コリーニはありがとうとライネンに言ったのだった。彼が求めた正義が、明かされて。

 これはフィクションで小説で、でもこの条文は現実らしい。この小説が出た後に、ドイツでは見直しが始まったりしたとかなんとからしい。実話ベースじゃなくても、フィクションの力って、あるなあ。

 ハンス・マイヤーは戦後、多分正気に返って、いいおじいちゃんになったのだろう。ライネンを支援する紳士だった。コリーニに銃をつきつけられた時、ひざまずき、うなだれて抵抗しなかったみたい。
 人は変わる。
 けれど、許せないのも当然。コリーニの自殺を知らされたシーンからエンドロール終わってもずっと涙が止まらなかった。
 コリーニが訴えた時にまともに裁かれていれば、この事件はなかっただろうに。

 過去を調べていくのに、膨大な文書、記録を調べていく。その、記録が緻密にいっぱいあってよかったねと思う。記録、大事だ。すごく大事だ。記録がちゃんとあるから、後世に伝わる。調べたり、考えたりすることができる。記録。
 時代が変わると、正義も変わる。正義というか、ね。
 戦争中なら仕方なかった。戦争直後なら仕方なかった。そういうことはあるだろう。
 でも、その記録を調べて、今、新たにちゃんと過ちをただすことができるように、していかなくては。

 つくづく、この頃の我が国は、公であっても記録しないとか消したとか捨てたとか、何かと酷い話になってるのを思って、マジ記録大事だからほんと頼むよ我が国。。。と、暗澹たる思いに陥った。

 過ちはある。人は過ちを犯す。それを認め、改善していけるのも、人。時代は変わる。社会は、よりよくなっていくはすだ。よくなっていけるはずだ。そう、信じるよ。


 ライネンくんが新人であることもあるけど、トルコ人のくせに弁護士、みたいな見られ方もある感じが、今も根深い差別問題みたいなのもはらんでいることがちらりと盛り込まれてうまいキャラだなあと思った。
 新人弁護士くん、可愛いね、といった感じもある。その軽くみられる感じが、ヤな感じ~でもある。
 マイヤーの過去を、ライネンに暴かれたくない、やんわり圧力かけてくる感じとか買収めいたことを持ちかけるとか、なかなかヤバイじわじわもよかった。

 ライネンくんのチームになる、友達や、たまたま知り合ったピザ屋の女の子や、父との和解めいた感じとか。その辺はあっさりだったなー。時間の都合なんだろうか。でもなんかちゃんと孤独じゃなく戦う感じ、よかったー。

 ラストシーンが、サッカーボールが転がってきて、ちびっこの頃のコリーニ親子の幻を、ライネンくんが見てほっとする、みたいな感じだったの、それはなんかちょっと~~。とってつけたような~~~。それいらないよー。と思ったけど、そういうちょっとホッとできる気分で終わりにするってのが、まあ、監督の親切なのかな。原作がそうだったのかしら。わからないけど。

 けどほんと、見応えずっしり。コリーニを演じてたフランコ・ネロ。「被告人コリーニを「続・荒野の用心棒」の名優フランコ・ネロが演じる」だとかで、私はちゃんと認識したことなかったけど、名優なのね。
 セリフほとんどなし。黙秘してるから。それでも、青い目がとても素敵で、ぐっと渋い、まさにいぶし銀て感じで、無言でいる佇まいだけですごく、迫力、説得力があった。かっこよかった;;

 とてもよくて、感動したので、本も読もうかなと思う。映画化でアレンジしたところもだいぶあるみたい。でもたぶんすごくいい、うまい映画化なんだと思う。見に行ってよかった。

 

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映画 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」

 

*ネタバレします。

映画 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」


 ジョーは雑誌社に友達の作品といって短編小説を売り込む。駄目出しはされたけれど、売れた! 
 走り出すジョー。下宿では家庭教師をしながら、作品を書き続けている。だが同じ下宿人からあえて厳しい評価をされると、ショックでカッとなって喧嘩別れ。
 故郷から、妹のベスの病気が良くなくて帰ってくるようメッセージが届く。ジョーは7年前、楽しかった少女時代の断片を思い出す。


 そんなこんなで、「若草物語」ですね。私は多分子どもの頃かなあ、読んだことある。けど、それは子供向け本だったのか。この、7年後のジョーたちのことは知らなくて、この辺もちゃんと原作通りなのかどうか、わからない。ローリーとジョーはどうなっちゃうのよ~~とか、ええええ結局エイミーと結婚すんの!? とか、そういうのってもともとのお話? 私が覚えてるのは7年前あたりとされている少女時代の事ばかりでした。

 この作品も、時間がぽんぽん飛ぶんだよね。基本は「若草物語」を書き始めるにいたるジョーの時点。で、書いた物語、ってことになるのか、楽しい少女時代だった頃、クリスマスの朝、とか、ローリーと出会った頃、とかが回想や夢の中みたいな感じで出てくる。
 
 とにかくマーチ家の四姉妹が! 可愛い!!!!!
 マーチ家は、お父さんが南北戦争に行ってる、のね。で、おうちには女性ばかり。姉妹と、ママと、女中さんかな。お隣のお金持ちんちは、おじいさんとローリーと、家庭教師の先生で、男ばかり。で。エイミーが学校でぶたれて、泣いてた所を助けたりして、交流が始まる。姉妹のきゃっきゃした感じで、お隣の重厚なおうちが華やぐ様がとっても可愛かった~! 

 ママと姉妹たちが、くっついてもたれあって父からの手紙を読むとか。仲良くきゃっきゃしてるのがたまらなく可愛い。きれい。それぞれの個性しっかりあるし、そういう風に生きている人たち~。でもとっても誠実に清らかな心を持ってる。決して聖人じゃないよね。だけど、人としての優しさを持ってるんだねえ。牧師さんちなんだっけ。優しい。でも、ベスはやっぱり、天使すぎる;;

 女の子が生きる道は結婚しかない。といわれる時代。ジョーはそんなのは嫌、作家になるべく書き続けている。姉妹それぞれに、才能があって夢があって。
 お金持ちの叔母様は、お金持ちだから独身でいられるのよ。ってことで、女が働いて生活していくなんて馬鹿げてると一蹴される時代。ジョーは、それでも、結婚しない道を探す。

 ローリーとジョーと仲良しで、一緒にいると楽しくて、とかがすっごくよくって最高だった。ティモシー・シャラメとシアーシャ・ローナンが仲良しでいいコンビっていうのがすっごく伝わる。で、ローリーはジョーにプロポーズしたい、してしまうけど、ジョーはそんなのダメ、台無し、って断る。
 ジョーにとっては、ローリーとはいつまでも友達でいたい、仲間でいたい、って感じ。女の子扱いしてほしくない。結婚、妻、という立場に置かれたら否応なく上下関係、ローリーがどんなにジョーを大事にしようとしてくれたとしても、社会では対等に見られることはない。

 それでも、孤独で、寂しくて、もう一度ローリー、テディがプロポーズしてくれたら今度は受けるわ、とか、その寂しさ、弱くなっちゃう時の感じのリアルがすっごく、わかる。

 ベスが天使すぎて、天に召されてしまって。大好きな家族、大好きな姉妹の一人が失われてしまって。
 メグが結婚するって時には、一緒に逃げようって真剣に口説いちゃうくらいジョーは姉妹、家族が大好きで、家族さえいればいいって思ってて。

 エイミーが叔母さんとパリへ、話し相手として行ってて。絵の勉強もしてて。絵の才能はある、けれど、画家として売れっ子になれるほどではないし、そもそも女性の画家なんて認められない。
 ジョーとの失恋でだらしなく放蕩してるローリーと再会。エイミーも気が強くて、ジョーと似てるからこそ喧嘩も派手にやってきてて。そしてエイミーは、ジョーの代わりなんて嫌、って、いつも姉妹の末っ子として子ども扱いされてるのも嫌、で。エイミーなりの屈折も激しくあるんだよねえ。

 そんでローリーはエイミーと結婚して帰国かよー。びっくり。
 エイミーとジョーと。二人への愛はそれぞれに全然違うよ、とローリーは言うけど。エイミーへの愛はちゃんと男女の愛ってことか~。ジョーとはまた友達に、と。
 ジョーはショックだけど。自分から離した手だから、もう。ローリーとは友達で。友達って、最高なんだけど、これはまたちょっとしばらく辛いな~。

 なんて思ってたら、ジョーのことをやっぱり好きだったのねの下宿人仲間のインテリさんがはるばる訪ねてきてさあ。ジョーが恋する相手はこっち!?

 叔母さんが残してくれた屋敷で、学校をやるという新たな夢を持ったジョー。幸せに結ばれる相手ができたジョー。
 って、この、ジョーも結婚するハッピーエンドは、小説を売るための交渉の結果、みたいなことで、小説の中だけのお話なのか、作者ジョーも結婚するのか、ちょっと曖昧で、見る側に委ねた感じだったな。
 
 私は、ジョーはアセクシャルっつーか、愛はあるけど恋愛しないタイプ、みたいな描き方なのかと、ローリーを断った時に思ったので、ジョーにも幸せな結婚相手がいました、というのは小説の中のお話、と思った。けどまあ、実際彼と結婚したとしても、まあそれはそれでいいのかなーと、思った。けどどうなんだろう。私がちゃんと見れてないのかもしれないけど。

 昔昔大昔に読んだお話を、映画を見て断片思い出せるのすごいなあと思う。確かにこれは「若草物語」。あーこういうところあったな、って、優しい気持ちを教えてくれる。
 でも確かにこれは今作られた今の映画で「若草物語」。一人一人違う、それぞれの生き方をしたい女の子の物語。女性であるというだけで奪われる可能性の数々を言う言葉が、現代でもまだ、まんま、ある、ってわかってしまう苦しさ。それでも、助け合い、愛し合って、生きる道があること。

 ジョーの本が、印刷されて、作られていくところが丁寧に映し出されていた。ああ。本って素敵だ。物語が生きる力になることを、本がとっても大切に抱きしめられるものであることを、物語を愛するすべての人と分かち合うシーン。

 あんまり期待せず、シャラメたんが見たい~くらいの気持ちで見に行ったんだけど。で、シャラメたんがああもおおお~~最高に可愛くてかっこよくって何から何までどのシーンでも最っ高ステキだったんですけどっ。あんなお隣さん仲良しさんが出来て、四姉妹で奪い合いにならないのがすごい。シャラメローリー、夢の幼馴染すぎる。素敵だった。うっとり……。

 と、それはそうなんだけど。シャラメ~って萌える以上に、マーチ家さいこうか、とか、お隣の一見気難しそうおじいさんも可愛いかよ、とか、も~全ての登場人物が素晴らしく素敵で、全員を愛してしまうよ。
 上手い。全員が上手い。豪華キャストよくそろえてたな~と思う。でもこれは俳優たちみんなもこの作品に出てよかったって思うんじゃないのかな~と想像しちゃうほどに、上手い映画って思った。

 ポリフォニー、って思った。作中作、思い出、作者、いくつもの重層性。って、ポリフォニーって思っていいんだっけ。ちゃんと言葉が把握できてないかな私。けど、ほんと。すごくうまい。監督、脚本グレタ・ガーウィグ。参りました。
 「レディ・バード」は、あんまりまあ、ん~、なるほどって思ったわけですが。この作品はまた新たな古典として残っていく名作だろうなーって。いい映画を見た。大満足です。

 

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映画 「ANNA アナ」(二回目)


*ネタバレします。


映画 「ANNA アナ」(二回目)


 二回目だし落ち着いて、安心してキャラもえ~ってなりながら見てきました。思いつくまま覚書メモ。
 時間の前後するのもよくわかる。でも初見でもかなりすぐよくわかったから、親切設計だなーと思う。

 繰り返されるモチーフがいくつかある。五分で。アナの最初のお試し任務の時。CIAに捕まって寝返るよう交渉するのも五分。お土産マトリョーシカ売りになっていたこと。最初にレナードに尋問されたときにもマトリョーシカっていうし、最後にレナードとアナとアレックス三人でテーブルに着いた時にもマトリョーシカの話をする。いくつもの姿の中に最後に残った小さな人形、私、は、何? という、わかりやすいテーマ提示。

 これはゲームだ、ということ。チェスが上手い、ということを最初にアレクセイに誘われた時にも言われたし、長官に接近できたのもチェスのゲームをするため。レナードがモードに尋問するときにも、イエスかノーだけで返事しろっていうゲーム、みたいに怒鳴ってた、かな。何度か挿入される子どもの頃のアナが父とチェスをしていたシーン。チェックメイトするのはいつなのか、決めるのはアナだったこと。
 
 結局最後に決める、得をしたのはオルガとアナ。ゲームの勝者。アレックスは使われただけだったなあ。ミラーはまだ主体的だったけど、アナの駆け引きに負けた。現場の人間に情が湧くタイプの上司、レナード・ミラー。スマート、ハンサムなのに優しくなっちゃうヘタレくんなのめっちゃ可愛い。
 キリアンがミラーだからもう当然思い入れしちゃうんだけど。始まりはレナードの部下がKGBに殺されて生首になって送られてきた所だから。あのシャツ腕まくり、サスペンダー姿でちょっと前髪ぱらり状態で登場の姿からしてまいった。生首にびっくりして後ずさってからの、ふぁっく! きゃ~最高の登場じゃーん(*ノωノ) 可愛い。めっちゃ可愛い。
 会話の進め方もおしゃれだった。さすがってとこか。
 何度もアナをディナーに誘うセリフ。けど、アナはそこすっとばしてとりあえず寝る、って襲いにいっちゃうのすごくいい。襲われちゃうミラーめっちゃ可愛い。


 気に入ったヒロインをめっちゃドアップで撮る監督だと思うんだけど、キリアンのアップもいっぱいあって、これは~なんか~ヒロインの撮り方じゃない? と思った。私の思い入れのせいかもだけど。

 キリアンは身長175なんだっけかな。一般的に見て小柄ってわけじゃないと思うけど、なんかやっぱ、小柄。に見えるように周りをでっかい男で囲んでたでしょー。アナ、サッシャ・ルスが流石元モデルで女性としては背が高い方、で、でもほっそりしてるからでっかいわけでもないけど、向き合ってすごく対等って感じがしていい見映えだった。立場、力関係はアナはいつも下にされるけど、実力で対等にねじ伏せていく感じがかっこいい。
 
 ミラーがCIAでロシア担当なのって、実力者ってことだよな。対ロシア、つか、ソ連の時代から、重要部署だったに違いない。で、KGB長官暗殺を成功させたミラーは時の人だね、って局内で褒められてるけど、アナを失ったと思ってて全然本人的には成功とはいえない、と思ってる感じのナイーブさ、とても良い。そこに、アナからのメッセージ。ポケベルだよねーあれ? ま~そっか~90年頃ってそうかーって思う。そのメッセージ見て、アナが生きているってわかった時の思わず一人笑顔になってしまったの、すっごく良い。嬉しそう。うつむいてて、顔が全部見えるわけじゃないけど、あの一瞬だけ笑った口元。嬉しそうだ~~~ってすっごく伝わるの、いい。好き。

 ミラーはハワイが故郷、ってのが一番笑ってしまった。アナが寝返る見返りに自由と保護を要求、住みたい所がハワイってことで。行ったことはないけど、昔両親が飾ってた絵葉書が楽園みたいだった、って。


 その楽園からきた男なのかよーミラー! 全然ハワイっぽさのない男なのにーっ。バカンスの南の島で、ぼっちで、あれ、白のワイシャツでごはん食べにきてたよね? 浮いてるよ。色白いままとか。アナがバカンスに行っちゃったから、心配でとにかくかけつけたのか、な? クローゼットでこそこそ話してて。ハワイはいいよ、スパムもサーフィンも最高、とか言うの、面白すぎた。なんかてきとーだなあ~。ほんとにハワイ出身? まあほんとかどうかわからない。けど、ホントなのかなあ。アナに心動かされてる感。二人で喋る距離が近い。ドアップ。画面はすごくドキドキシーンだけど。そしてキリアンの声は最高たまんないのでときめきまくりだけど。ハワイか~。

 アナが一目で人をひきつけて、惚れさせる。というのの説得力持つ美貌だしスタイルだしで、凄い。アナが魅力的であることありきの世界なんだけど、そうかそうなるかね、うん仕方ない、って思える、ほんと、サッシャ・ルス、きれいかっこいい。アクションもかっこよかった~。
 
 オルガが唯一冷たいわけだけど、それでもアナと共闘の道を選んだのも、すごくいい。アナが使える、ということを冷静に判断。オルガもまた自分の戦いを冷酷に冷静に進めていけるプレイヤー。寒がりのおばさんみたいであり、けど部下をこき使う上司である。指輪いっぱいつけてたの印象的。いいな~。私もあんなふうにガツガツ指輪つけたい。

 監視、盗撮のカメラのアングルが悪い! と怒るシーン。監視カメラで見てるぞ、というのも何度か繰り返されたモチーフ。カメラがあるのに、見えない、っていうもどかしさの盛り上げが上手いと思った。

 ラストの三人での会合の時、まずアレックスにキスするアナ。それを見てるレナードたちとか。その後アナがきてキスされる、やられちゃってる感のレナードめっちゃ可愛かった。男いっぱいいるのか、と皮肉言うレナードに、二人だけよ、と切実に言うアナ。家族だ、といったのは情をかきたてるための演技なのかどうか。わかんないけど。アナが自分を信じる、自分がゲームの勝者になるために、手ごまにした男二人ってことなんだろう。だから、大事、大事に思ったのは本当かなあ。

 便利ないっときの捨て駒だったのかしら、モードちゃんとのつきあいは。と、ちょっと悲しい。モード、すっごく可愛いからなあ。アナのこと大好きになっちゃうの、あれも一目ぼれなんだよねえ。まあ、一目ぼれされまくりのアナ。でも納得できるアナの魅力、凄い。
 
 二度目見ても、公園からレナードを離脱させるぞ、ってCIA関係のみなさんの保護っぷりが、レナードが姫って感じですっごくすっごくすっごく良かった(*ノωノ)
 銃をつきつけあうレナードとアレックスの姿最高~。おっさん集団っぽいKGBと姫を守る騎士っぽいCIAの対比も良い~。ほんと、見映え、見せ方がすっごく良くって、楽しんでしまうよー。
 リュック・ベッソン監督……。

 俳優が良くて、アクションも良くて、極上素材を使って、でもなんか雑~~~に、でもかっこよく仕上げた料理。高級品でジャンクフードみたいな。美味しいけど!!! みたいな。
 でも、こんな感じでどうだ! という雑さが、こっちが妄想読み込んじゃう余白たっぷりって感じになってるの、上手いんだかなんなんだか。やっぱ楽しんでしまう。好きだなーってなる。何回でも見たいって思う。ううー。好きです。

 

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映画 「ポップスター」


*ネタバレします。


映画 「ポップスター」


 セレステは、中学生の頃に歌手デビューした。詩を書き、姉と共に曲を作り、思いがけず注目されるようになった日々。
 やがて三十代になった彼女。久しぶりに復活のコンサートツアーの幕が上がる。

 ナタリー・ポートマン主演で、ジュード・ロウも出てる! と、楽しみに待ってました。
 けど、これ、全然いい評判を見かけなかった。なるべく事前に評判見ないようにしてるのだけど、なんとなくうっすらとは、これ、つまんないのかな~と思ってました。
 なるほど……。

 中学の時、新年あけの授業再開の日、同級生が学校に銃を持ってきて乱射。先生や同級生など大勢が亡くなった。セレステは怪我を負うものの、生き延びた。その事件の追悼式で、スピーチの代わりに姉と作った歌を歌ったことで、大注目を集め、デビューになった、というショッキングな始まり。

 ところでこれ、始まって早々にエンドロールか? ってのが映し出されるの。まあ、映画、始まる時に主要キャストとか出るのもあるけど、こんなじっくりいろいろ流れるのは不思議だった。

 で、まあ、まだ少女のセレステに、敏腕マネージャーってちょっと胡散臭げなジュード・ロウ演じる男がついて売り込む。姉も一緒について回って、レコーディングしたりダンスレッスンを受けたりして。
 デビューは、実際売れるかどうかわからない、話題性だけのもの、と思われて、自分たちも思ってたけど、結構売れた、らしい。
 深刻な歌じゃなくて、何も考えなくていいポップがいい、ってなことを言ったりするセレステ。
 姉がマネージャーと寝てたのにショック受けたりするセレステ。自分もバンドマンと寝てきたところなのに。
 
 なんだかんだあったらしいけどさっくりと17年後。三十代になったセレステを演じているのがナタリー・ポートマン。ヒステリックな情緒不安定。娘は姉に預けっぱなしみたい。久しぶりに再会かな。

 ポップスターってタイトルだけれども、あまり歌、曲作り、ってシーンがない。最初の時くらい。あと最後の、久しぶりにステージに立ちます!って時。
 途中に曲とかないものだから、せっかくのラストシーンのステージで、なんかとくに歌に感動もなく。ほー。って見るだけ。

 マスコミがひどいとか、銃乱射事件がまた起きて、セレステの衣装のマスクの真似した犯人がいて、とか、事件、実際起きたことあるような事件やマスコミ、大衆批判みたいなことを盛り込みつつ、なんか全然、上っ面だけそういう題材扱ってみた、って感じ。シリアスなことをみんなポップに消費していくの、みたいな皮肉、批判なのかもしれないけど、なんかバランス悪い感触しかない。
 
 最後のステージも、なんか歌と衣装やダンスがちぐはぐ。歌とかがなんだかまあ、10代の女の子が作ってみた、ってまんまな感じがしちゃった。それなのに、ギラギラのボディスーツみたいな衣装、ブラックスワンみたいなメイク。ダンスも、なんか、うーん、頑張ってるんだろうけど、あんまかっこよくなくって、微妙な気持ちになる。
 彼女は、トップスターじゃなくて、最初一発屋的に売れた、今はそこそこ、まあ、一応、くらいのもっさりしたポップスターってことなのかな。華やかに派手にステージやってるみたいだけど、なーんかチープでダサい……。トップじゃないよーぎりぎり二流くらい、って感じなのかなあ。
 
 娘と話したいのよ、とかいいつつ娘の話を聞いたり受け止めたりする状態じゃない。この不安定で心揺れるスター、みたいな悲哀なのかもしれないけど、ただヒステリックでダメな女に見える。

 消費されるスター。彼女の心は傷ついているのに。みたいな作品なのかなあ。けど、セレステに魅力を感じられなくて、うーん、なんか、がんばってるのかな、って、ただ眺めただけに終わってしまった。ごめん。

 最後、不安を乗り越えてステージで輝くスター、って終りなのかもしれないけど、ん~? と思ってるうちに終りかあ。ステージすらも空虚みたいな狙い? けど、それにしてもなんだか、冴えない。うーん。

 ま。いまいちなんだろうなあとは思っていたので、うんいまいちだったなあ、と、自分で見たのは満足です。どうすればちゃんとしっくりきたのかなあ。いろいろ豪華さはあるはず、題材も深くなりそうなのに、もったいない感じ。映画がちゃんと面白いのって、簡単じゃないんだなあと思った。残念な映画をたまに見るのもいいかな。

 

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映画 「デッド・ドント・ダイ」


*ネタバレします。


映画 「デッド・ドント・ダイ」


 センターヴィルという小さな町。警察署には三人。署長のクリフ・ロバートソン。ロニー・ピーターソン巡査。ミンディ・モリソン巡査。
 ニワトリが盗まれた、という知らせで森で世捨て人のように暮らしているボブに注意しにいったクリフとロニー。かといって逮捕するでもなく、ただちょっと話して、ちょっと銃を向けあって、じゃあな、と別れる。その帰り、なんだか日が長くなりすぎているような、世界が奇妙だというクリフとロニー。ラジオからは「デッド・ドント・ダイ」という曲が流れる。
 ニュースでは、北極(だったかな?)でなんだかの開発工事かなんかの影響で、地軸が歪んでいるという話。
 森で、ボブは異変に気付いていた。虫が動物の様子が変だ。そして、墓地から死者が蘇り町へ彷徨いだした。


 ゾンビ映画です。ですが、テンション低い~~~。なんかゆるゆるしてる~。一応、ミンディだけは、ゾンビや死体を見て、きゃー!ぐへー、みたいな反応するけど、クリフやロニーは、お、困ったな。どうする。どうする……、うーん。みたいな感じ。ゆるい。
 町の葬儀屋さんを引き継いだゼルダは、ヘンに日本趣味。仏像飾ってて畳の部屋があって、日本刀を持ってる。遺体をひきとりましょうか、と警察署に訪ねてきたりする。字幕がやけにかしこまったようなきっちりきっちりの言葉で、英語、イギリス英語のかしこまったような言い方してるのかな~。ま~私は英語わからないのでなんとなくそう思ってみる。

 で、まあ。まずはダイナーが襲われて。野生動物かな? っていってたり。けれど、ロニーは、ゾンビだと思う、なんていう。
 ロニーは、わりと最初のほうから、この曲はテーマ曲ですよ、とか、「まずい結末になるぞ」とか、ちらほらメタなセリフ言うんだよね。ヘン。だっていきなりゾンビって言う? この世界軸は何? と不思議に思いながら見ました。

 ゾンビ映画のパロディみたいな感じかなあ。田舎町に都会(?)からきたイカす女の子と男の子とかいたり。けどさっくり殺されたわ。ゾンビたちは生きていた頃に執着してたものに引き寄せられる、てなことで、まずはコーヒー大好きゾンビとか。あれがイギー・ポップか。Wi-Fi求めてるゾンビとか酒やファッションとか、ゆらゆら~と、そういうのを呟いてうごめくゾンビたち。
 これは消費社会への皮肉?
 地軸が歪み、みたいなのも、環境破壊や資本主義への皮肉?

 しかしまあ、なんとなくゆる~っとしてて、クス、とちょっと笑ったり、それなりにそこそこグロいシーンもあって、お、と思ったり。
 ゾンビと戦う、結構ガツガツドカドカバッサバッサ首を斬り落としたり撃って吹っ飛ばしたりしていくんだけど。それでもテンション低い~。ゾンビ映画って思ってたドキドキが、なんか、ほー、と落ち着いて庭でお茶を飲むみたいなテンションになるの。ヘンでよかった。

 ロニー、アダム・ドライバーは、監督に台本もらって読んだから、「まずい結末になるぞ」って知ってる、って言う。
 けど途中、ゼルダ、ティルダ様が飛んできた宇宙船に吸い込まれて去っていくのは知らなかった、びっくりした、って言う。
 作中人物がこれ映画なんで、ってわかってる風で、けど、それはまあそれで、淡々としたままなのも、すごく変。

 そして、どう決着つくのかなあと思ってたら、まさに「まずい結末」で、ロニーもクリフもゾンビを退治しきれなくて食い殺されてフェイドアウト。
 これ、地軸のゆがみのせいで地球のあちこちで多分似たようなことが起きていて、みたいな感じだったので、この世界はゾンビに覆いつくされて終り~なのかなあ。やれやれ。

 なかなかのふざけっぷり。予告をさんざん見ていて、これはどういう映画になるの? と不思議に思って楽しみに待っていたの。見終わっても、んー。これはどういう映画なのか、言い切れない感じ。ヘンだった。でもアダム・ドライバーやティルダ・スウィントン、こんな感じでどう? と見せられて、いいです~~~~と満足してしまうからなあ。楽しませてもらった。
 これも日本で公開されるのを待ってて、さらに公開延期になってて、ずーーーっと待ってました~~~って作品です。見られてよかった。
 

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映画「ANNA アナ」


*ネタバレします。

 

映画「ANNA アナ」


 始まりは1985年。ロシアに潜入していたCIAのエージェントが見つかり、首だけになってCIAへ送られてきた。
 それから五年。
 市場でマトリョーシカの売店の店番をしていたアナは、フランスのモデル事務所のスカウトを受ける。パリへ渡った彼女は事務所の寮でモデル仲間のモードと付き合い、忙しく仕事をこなし、事務所の共同経営者の誘いに付き合っていた。貿易商でもある彼が、ひそかに武器輸出にもかかわっていることを聞き出すと、アナは男を撃ち殺した。
 三年前、アナはホームレス生活から拾われて、どうしようもない男と付き合っていた。儲け話、といって犯罪に手を出す男に巻き込まれボロボロになっていた所、KGBのスカウトを受けた。五年働けば、自由を得られるはずだった。


 公開、待ってましたっ。ほんとは5/8に、クワイエットプレイス2と同じ時で、勝手にキリアン祭りと楽しみにしていたのに;;でも無事公開されてよかった。待ってましたすごく待ってましたっ。世界じゃ2019年にとっくに公開になってたのにね。見たかったよー。

 リュック・ベッソン監督。「ニキータ」や「レオン」と同じく、きれいな女が殺し屋になってバンバン殺す、それを支える男というスタイル。おなじみの、って感じの世界で、でも、今の映画だな~とアップデートされてる感はあった。雑だなーとも思ったけどさ。

 時間が前後しまくり。二回目は、ん? どこ起点で半年前ってこと? とちょっとだけ戸惑ったけど、まあ、わりとすぐなれる。ノーラン監督ほど複雑な感じはない。アナがモデルやっててつきあう相手が女の子だったり。同性愛要素も入れましたよ、って感じか。「ニキータ」だと普通に出会った男とラブラブしてたもんね。アナは、KGBの男、CIAの男とさっくり寝るし、最初付き合ってたダメ男とのセックスはひどそうだったけど、その後はほどほどセックスも楽しんでた。「ニキータ」の頃の、泣き虫な殺し屋、という風情ではなく、自分の自由のためにしたたかに立ち回ることのできる女だったー。

 キリアン・マーフィとルーク・エヴァンスが出てるんだよー。なんてゴージャス。ヘレン・ミレンも。

 ルクエヴァがアナをKGBにスカウトして、多分教育係もしたのかな、そして恋人、恋人かなあ、まあ、仲良くなるアレックス。アレクセイ、と字幕出るんだけどアレックスっていってたよねえ。あれなんで。アレクセイのほうがロシアっぽくてわかりやすいでしょうという親切字幕なんだろうか。けど聞こえてくるのと読むのが違って混乱するっちゅーねん。

 キリアンはCIA。レナード・ミラー。ロシア担当で、五年前に部下を殺された報復を狙っているって感じ。アナをダブルスパイに勧誘。勢いでというか、流れでというか、アナと寝るようになる。恋愛というほどの甘さはないけど、たぶんたっぷり情はわいてて、アナを自由にしようという約束は本気だったんだろう。

 ヘレン・ミレンはKGBの、アレックスより上の人、オルガ。アナの最初の実践投入の時に、弾の入ってない銃を渡しちゃう人。ひっど~。けど、アナの二重スパイのことを知った後、さらにそれを利用して、自分がKGB長官になっちゃう人。強い。したたか。つかKGB長官、CIAはもとより、内部でも人望なかったんだろうな~。オルガが脚のこと、って話したエピソードは何なんだ。訓練の時、オオカミの罠にはまっても三日歩き続けてサバイバル、みたいな感じの話。それだけ私はタフに生き抜いてきたのだ、みたいなことなのかな。わからん。一見もっさりした寒がりのおばさん、て感じだけど、KGBでしっかり昇進して生き延びてきてる、てことは、キレキレに違いないんだよねえ。オルガはオルガなりに、あの場で自分の自由を手に入れたんだと思う。自由、権力の頂点にいくこと、かな。

 結局最後にアナが信じて賭けたのはオルガのカードで、女たちの共闘にちょっとアナに恋しちゃったピュアさ甘さのある男は翻弄されちゃうんだよね。ベッソン監督の好みの様式なんだろうねえ。いい。いいです。

 主役のアナは元モデルのサッシャ・ルス。しっかりトレーニング積んだそうで、まあもちろんスタントダブルなんだろうけど、でもアクションすっごくよかった。かっこいいー! 銃は当然ながら、手あたり次第なんでも使ってバンバン戦う。かっこいい。当然スタイル抜群で、昼はモデル、夜は殺し屋っていう役、似合いまくり。モデルやるので衣装もメイクもたっぷりあれこれあれこれ変わってすっごく綺麗。殺し屋スタイルも、変装したりでいろんな姿を見せてくれる。いい。すごくいい。見た目がいいって素晴らしい。変装の時、「レオン」のマチルダ風なのもあったなあ。監督、好きなスタイルがブレないのねえ。

 殺伐と殺しばかりでもなく、ユーモア~って思う所もあった。時間がどんどん変わるので、まったく飽きずに、お、お? おお、お。なんてぐいぐい引き込まれました。

 KGBの殺し屋、スパイとして働き、けれどある時CIAに先回りされて捕まり、二重スパイになれば自由と保護を約束する、と言われて、アナは情報を流すようになる。そして、ついにはKGBの長官を殺せば、すぐに自由を約束すると言われた。
 KGBの長官とのチェス対戦もするアナだから、接近できる。
 でも、なんかすごく計画練った、ってミラーは言ってたけど、そうか? アナに頑張ってこいってだけじゃないのか? 武器隠しておいたこと?? まあ、ま、いっか。

 で、アナはなんとか長官殺して逃げ延びました。
 アレックスとミラーと呼び出して、もう私にかまわないでね、って約束させて、去る。オルガは許さないわ、とかいって殺す。けど、それは打ち合わせ済みの事で。死体入れ替わり。あの入れ替わりの死体はどこから調達してきたの。オルガが手をまわした? でもそれKGBにバレないのかなあ。まあいくらでも伝手はあるのかなあ。

 ともあれ。アナは死んだ。てことで、自由を手にいれたんだ。
 死体入れ替わりして、また変装して地下道? 下水道か? から、ひかりさす表に出ていくとき。「レオン」を連想した。あの、レオンの最期。あと数歩、もう少しで出ていけるはずだったひかりの道。レオンはあの時死んだけれど、アナは、出ていけたんだね。うるっとしてしまった。ベッソン監督。ついに殺し屋を運命からひかりへ、解放してあげたのか;;

 アナは、モードと付き合うけど、一緒にバケーション行くけど、全然一言も話を聞いてない、とか。モードちゃん、すごく可愛くてアナと付き合って浮かれてるのに可哀相。巻き込まれてというか、ミラーにちょっと尋問されたりの時の反応も可愛かった。ベリーショートの髪、似合ってて。アナ~。もっとモードちゃんを大事にすればいいのに。けどまあ、ほんとにシリアスに付き合うと巻き込んで不幸にしちゃうかなあ。難しい。
 アナは情に溺れない。アレックスのこともミラーのことも、家族よ、とかいっちゃってたけど、そんな風でもなかったじゃん?? どっちかというとアレックスとはまあラブラブだったのかなあ。まあ、ま、いっか。

 
 ルクエヴァはワイルド系、キリアンはクールビューティ。と、タイプの違うハンサムとの接近、セックス、で。乙女ゲーですかっ、きゃ~っ。いい男も堪能できて素晴らしい。かっこいいな~。二人とも、それぞれの組織でちゃんと有能そうで凄く良かった。
 最後に二人対峙するシーン、予告でもちらっと見てたけど。私の好きな二人の共演。きゃ~。かっこいい~ステキー!

 二人とも、勿論背後には部下っつーか同僚っつーか、まあ、組織ですから、バックアップがいるわけで。それでアナが去ったあとのじりじりした対峙がすっごくよかった。仲間に囲まれて離脱していくの。も~~~特にミラーが、特殊部隊? がっつり装備の黒づくめに囲まれて隠されて撤退していくのがまさに甲冑の兵士に守られていくお姫様みたいでさーーっ。ああ~。好き。キリアン素敵すぎる。可愛い。すごい。いい。もえました。

 ミラーはアナに接近して、バカンス先にもこっそりついてって。あれは一応、急に遠出したから、なんだろ、逃げるか? って一応心配してきたのかな?? わかんないけど、けどまあ。接近して二人の横顔ドアップでの会話シーンが結構長くてドキドキした~。二人とも、綺麗。サッシャ・ルスもきれいな青い目してるんだよねえ。あーあのシーンはほぼシルエットだったけど、二人の目の色をもっとうつしてほしかったな~。
 ディナーの約束をさ~。何度か言うミラー。結局果たされないけど。ベッドにはアナのほうから襲う感じで、ミラー受けかよ~~~。と、それももえました。可愛い。

 ミラーはしょっぱなの、生首送られてきた箱をあけて、ビビッてしまうのもめっちゃよかった。サスペンダー姿をいきなり見せてもらってありがとう(*ノωノ) 有能、優秀、だけどちょっとヘタレだったり。ちょっと優しかったりするミラー。好き。いい。
 映画館音響でキリアンの声を聞けて幸せだった。好き。最高~~~(*ノωノ)

 少なくとももう一回は見に行こう。時間前後がもっとわかるから、フックになるシーンがもっとわかってもっと楽しめる気がする。スパイもの、裏切り、駆け引き。まーやっぱ漫画みたい~と思うけど、だからこそわかりやすくて面白くて、見せるシーンのかっこよさは最高ですし。私がこれまで読み込んだスパイ小説のどろどろを勝手に背後に妄想して楽しめますし。
 また似たような映画ですか、と、ちょっと思ってしまってたけど、キャストの良さに期待、と思って見に行って、でも話も十分面白かったです。満足。

 正直、ベッソン監督もMe tooの時に、なんかすぐ女優に手を出す系かとか、なんかちょっとヤバイかもって、うーん、でもあんまりよくわかんないんだけど、素直に好きって言えなくなってる。けど、やっぱり。「レオン」は私にとって生涯のベストに絶対入る映画で、監督、やっぱ好きかも、と、思ってしまう。わからない。どうしたもんだか。うーん。でも好きをやめることはできないな……。
 ともあれ、今作、思った以上に楽しんでしまいました。好きです。

 

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『アイル・ビー・ゴーン』(エイドリアン・マッキンティ/ハヤカワ文庫)


*ネタバレします。

『アイル・ビー・ゴーン』(エイドリアン・マッキンティ/ハヤカワ文庫)


 ショーン・ダフィのシリーズ三作目。


 前作で刑事からただの制服警官に降格させられていたダフィ。地方で地道な警備をしていた。ある日、同僚と飲んで車で帰る時、何かにぶつかったような物音がした。運転していたのはダフィではない。けれど、濡れ衣を着せられ、警察を放逐されてしまった。
 あてのない日々に、ケイトが訪れてくる。刑務所から脱獄したIRAのメンバー。その中の一人、大物のダーモットとダフィは同じ学校だった。なんとか、ダーモットを捕まえる手がかりをつかんでほしい。MI5の仕事をするために警察に復帰することになったダフィ。
 まずはダーモットの元妻アニーに聞き込み。だが最初に対応したのはアニーの母、メアリー。最初追い返されたダフィだったが、数年前に、その家の三女リジ―が事故でなくなった話を聞かされる。事故だとみなされて捜査は終わっている。だが、検視官は不審死としていた。メアリーは娘の死の真相を知りたい。そうすれば、かつての義理息子、ダーモットの居場所を教えてもいいと言う。
 完全に密室で起きた死。他にダーモットの手がかりを見つけられないダフィは過去の謎を解くべく捜査を始めた。


 解説を島田荘司が書いていて、作者やシリーズについてよく知らないのだが、みたいに始まって、なんだそれ? と思ったら。『占星術殺人事件』が英訳されて、それを読んだエイドリアン・マッキンティがすごく褒めてベストミステリにあげていて、とかの関りがあったらしい。てゆーか占星術何年前のよ。凄いな。今翻訳されて、さらに人気集めたのかあ。すごい~。

 で、そっかーその影響ありで、今回密室殺人事件だったのね。これまでのシリーズの雰囲気壊すことなく過去の事件捜査ってことでうまく取り入れてる。IRAの一員捜しのための密室解決。で、情報得てのさらにたくらみ阻止のためのうんざりするような張り込み。からの、爆破テロ。

 相変わらずなかなか捜査が進まないなあ。ダフィたいへんねえ。って半ばまでの地道さから、一転、後の終盤の激しさ面白くて後半はほぼ一気読みした。
 密室事件の犯人は、リジーの事を心配し、事故じゃない事件だと言い張っていた恋人のハーパーだった。閂を閉めて密室を成立させたのは、リジーを探してて、警官が扉ぶち破った時、一緒に現場に最初に入っていた恋人ねー。解決してみればあまりにもシンプル。でも見つけていく途中面白かったしがっかりってことはない。そして証拠はなくて、ダフィはただその真実をメアリーに話すだけ。それで、ダーモットの情報を得る。
 ハーパーは後に多分メアリーに、ひっそり殺されたのねえ。ダフィはそうなることをわかっていて任せた。ほんとこのシリーズ、警察、警官小説だけど、私刑を許すよなあ。アイルランドではありなのか。というか、この時代、やっぱほんと物騒すぎる……。

 警察署にもテロがあって、ダフィも巻き込まれる。大丈夫だったけれど、マティが亡くなってしまってショック……。一冊目の時にはどーにもダメダメ鑑識、チャラ男~って感じだったけどさあ。マティ。アイルランドを出て、別の所で人生やってこうってしていた所だったのに。ダフィのチームの一員ってなんだかんだいつの間にか親しみ持ってたよ。確かに、しょっちゅうテロで、危ない毎日、だけど、主要キャラだったじゃん。死ぬか……。そうか……。

 ダーモットに襲われて、けどかろうじて返り討ち。サッチャー首相狙いの爆破テロをギリギリ回避。回避っつーか爆発して巻き込まれたけどサッチャーは無事だったからよし。で。
 サッチャー直々にお見舞いに来てもらってたダフィ。これで、また警察に正式に復帰するのか。どうするのか本人も決められない、というところで終り。

 サッチャーが1984年の保守党大会の時、泊まっていたホテルが爆破テロにあった、というのは史実でいいのか。たいへんすぎる。あ~私がもっとアイルランドと英国の歴史をよく知ってれば、もっともっと面白く読めるのかなあ。まーいいけど。でも。アイルランドをもっと知りたい。

 シリーズはもう6作くらい出てるのかな。続きも翻訳してくれー。この翻訳が2019年3月刊なんですね。次出るのはいつかなあ。出るよね? 待ってる~。

 

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映画 「暗数殺人」

 

 やっと、映画館へ映画を見に行ける日がきた;;
 
*ネタバレします。

映画 「暗数殺人」

 刑事であるキムは情報屋の紹介で、死体を運んだことがあるという男の話を聞いていた。
 しかしそこに他の刑事が踏み込んできて、その男カン・テオは恋人殺しの容疑で逮捕された。
 しばらく後、キムにテオから電話がかかってくる。警察の証拠は捏造だ。本当の証拠は別の場所にあるから、という話を聞かされて、キムが言われた場所に行くと、殺された女の服などを発見する。
 警察仲間からは嫌がられながら、キムはテオが7人殺したと自白した話の捜査を進める。実際、切断された人体の白骨を掘り出したが、テオは供述を強要されたものだといい、容疑を否定する。
 テオは何故キム刑事に話続けるのか。告白を引き出すために差し入れや金を渡してまで捜査を続けるキム。過去の事件を追うにも決め手となる証拠はなく、テオに翻弄されるばかり。キムはそれでも、諦めなかった。

 これは4/3日が公開日だった。映画館に行くの、いいのかなどうしようかなと思ってると緊急事態宣言になって、見逃してしまったーと思っていたんだよね。やってくれてよかった。

 刑事さん、実家が金持ちで、刑事として必死っていう感じがなくて、淡々としてるのが良い。評価や昇進求めないからこそこの事件にのめり込んでいけた、というのはなんとなく皮肉。金持ちだから目をつけられて、話と交換に金銭要求しちゃおーってされたんだろう。しかし犯人も殺された人たちも、貧しい暮らしをしてる層。あまり交わることのないはずの二人が、殺人事件によって出会う。
 テオは多分最悪な家庭に生まれ育ち、ある時たぶん父を殺した。それが最初の殺人で、その後も逃げ延びてしまった。賢くしたたかなサイコパス。一般的な倫理観ゼロ。
 これ、実際の事件がベースとのこと。2017年に捕まったとからしく。それって韓国ではあの事件の映画だ!ってすぐわかる感じなんだろう。そんなすぐ映画化しちゃう??? 
 犯人は、獄中自殺したそうだ。だから映画化できたのかな。けれど、キム刑事はまだ、テオの告白した事件の被害者の捜査を諦めていない、らしい。重い……。

 犯人やってるのがチェ・ジフン。「神と共に」のヘウォンメクだよね。黒金星も見たぞ。あの人が。こんなにも本当に本当に厭な奴、こわい奴になってるー。と、演技力に参る。背が高いのねー。ヘウォンメクの時にはいかにもすらりとかっこよくって最高のコート姿だったな! この作中ではその背の高さが厭な迫力で威圧感で、もっさりしてるけど強烈で。頭よくてけど思いやりとかゼロで話通じない。人を弄び、人の運命を変える男だった。こわい。
 刑事に話したい感じとか、刑事をコントロールしようとしてたのが逆に過去、犯行を暴かれていくのを聞かされてる時の冷え切ったひかりのない目が凄かった。
 
 最初は翻弄されるばかりだった刑事さんが、地道な捜査続けて、なんとか主導権とろうとするのとか、一見正義感とかなさそうで、やる気もそんなにあるわけじゃなさそうなのに、じりじりと粘り強くあるのが凄い。テオとのやりとり、駆け引きも凄く面白かった。
 実話ベースってことで、簡単に面白かったとか言っちゃいけないなと苦しいんだけど。でも凄い、面白い映画だよ。
 
 子犬一匹いなくなっただけでも大騒ぎする人がたくさんいる世の中で、人知れず殺され、埋められ朽ち果てていく被害者がいることを見過ごせない、って語ったキム刑事の静かな深い怒り。
 行方不明のままの人。事件と認識されないこと。迷宮入り。殺人事件にカウントされない暗数。多分韓国だけじゃなく、どこの社会にもあるんだろう。テオの本当っていうのはわからない。殺したのが7人というのが本当なのか嘘なのか。何故殺したのか。わからない。それでも、こうして声を探そうとする刑事がいるのは、救いが少しは、あるのかもしれない。


 久しぶりに映画館で映画をみられてよかった。しかも面白かった。見たかった映画をちゃんと映画館で見られるしあわせ。ありがとう映画館。
 コロナ対策で、入り口で検温とか、チケット発券にも人との距離とってとか、入場するまでにこれまでよりずっと時間がかかる。あちこちに消毒液置いてて。座席も市松模様状態の制限。でも隣に人がこないんだなって思えるのは安心快適。でも映画館的には席数半減だからツライですよね。ごめんなさいありがとうございます。
 なるべく当分は定価払って行こうかなと思う。けど。やっぱサービスデーも利用させてください~。ごめんなさいありがとうございます。今月はやっぱり見たい映画の公開日が重なる、嬉しいけど、ちょっと困る。でもでも、見に行くー。まずは自分自身の体調管理、健康に十分気を付けていこう。もうコロナ感染広がりませんように……。

 

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