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『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』 (エイドリアン・マッキンティ/ハヤカワ文庫)

*ネタバレします。

 

 

『サイレンズ・イン・ザ・ストリート』 (エイドリアン・マッキンティ/ハヤカワ文庫)

 

 

 警察小説第二弾。ショーン・ダフィ刑事シリーズ。ってシリーズ名でいいのかな?

 最初の所に「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の引用があった。マーティとか、デロリアンとか、インスパイアですよってこと? テイストは全然違うけどまあ。デロリアンって実際の車なのか。そっかー。そしてジョン・デロリアンって人は実在で。去年映画が公開されてるのね。そのうち見たいな。

 

 

 ショーンは警部補に昇進している。かといって現場で駆けずり回ることに変わりはなく、工場の外のゴミ捨て場で見つかった血痕をたどってゴミのコンテナを漁る。そしてスーツケースに詰められていた、首、手足の切り落とされた男の死体を見つける。

 

 てことで今作でも北アイルランドって世界が物凄くないですか。この街の警察過酷すぎじゃないっすか。背景にはフォークランド紛争勃発があったり。1982年か。そんでイギリスがそっちに手がかかりアイルランドは手薄になりますとかなんとか。世界史……。フォークランド紛争って名前くらいは知ってるけど、そのものについては知らないし、その動きで周辺にあれこれ影響がでるとか、まあそりゃ出るよねえとは思うけど、そっかーと改めて思った。私は世界の事を何も知らない……。

 

 けれどそんこんなの社会の不安定はありつつ、ショーンたちは事件の捜査を地味に続けていく。被害者の身元をさぐる。スーツケースの持ち主を探る。

 ほんとに地味に手探りで、捜査が進まなくて、事件のファイルはやがて未決の場所に積まれるまま、って感じになっていくのも面白かった。捜査の停滞みたいなのをすごく感じる。こういうストーリーのテンポも面白かった。

 

 合間に、ショーンの住んでる所での黒人差別みたいなトラブルがあったり。前作で、付き合うことになったのかなって女医とは、彼女が海を渡っていって切れたのかなとか、それも仕方ないなとか、別にまた女とさっくりやってみるとか、上司がなんか家庭トラブルで家から追い出されてるみたいだけどよくわからないとか。なんだかんだあるの、事件は~話が進んでない~と思うんだけれども、ショーンに同化していく気分になって、うんざりクサクサしていくの。無駄ではないと思う。けど今、私のこの現実、新型コロナで世界崩壊しそうなのかもっていう憂鬱気分も相まって、深くため息をつくしかない気持ちが高まる。楽しい読書ではないな~。けど、なんか好きだなあ。

 

 スーツケースを追って、夫をIRAに殺されたエマにたどり着く。関係はなさそうな事件だが、エマの義理兄にあたる、そのあたりの地主マッカルパイン卿にいろいろと裏があるとわかってくる。

 エマとショーンは次第に仲良しになり。マッカルパイン卿ともちょっと打ち解けたりもした。死体で発見されたオロークは実はアメリカの情報調査員だったりしたのがわかり。謎のメッセージ、情報提供するいかにも偽名のアリス・スミスって女がいたり。

ショーンはいったん打ち切り、もう関わるなと言われた事件なのに、休暇使って手掛かりを追ってアメリカに渡ったり。またひどい目にあって、けど助かってアイルランドに帰ってこられたけど、マッカルパイン卿とジョン・デロリアンにつながりがあることがわかり。エマと仲良しするつもりが、偶然にもオロークの遺体が暫く保存されていたのであろう冷凍庫で証拠を見つけてしまい。

 マッカルパイン卿に撃ち殺されそうになるショーン。またひどい目にあってるよ。大変。この辺りで警察なんて誰も頼らない。それより地主の命令に従っちゃう近所の人々とかこわすぎる。これ作中年代1982年頃でしょ。中世じゃないだろ。けど、そんなことに、なっちゃうのー。こわい。けど、なんか、ローカル的には、なんか、そうなのかもって思っちゃうの怖い。

 追い詰められ、巻き添えでエマは死亡。まあ、エマも少しはオローク死亡、隠蔽に加担はしていたとはいえ。酷い。

 

 ショーンは生き残った。助けが間に合ったんだよー。よかったよー。だけど、ボロボロだし、規律命令違反の数々の責任を問われて、降格処分に。刑事ですらなくなって、ただのヒラ警官になってしまった。ショーンが掴んだ事件の真相は隠蔽され、適当なつじつま合わせの話になってしまう。

 警察なんか辞めてやる! ってなってたショーンだけど、それでも最後はまだ警察で下っ端の仕事をしていた。ショーンのこと、どうやら何かどこか、上層部? 情報部? どこかが目をかけているらしいだとかなんとかの気配。どうなるのこれから。次も早く読みたい。

 

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