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『コールド・コールド・グラウンド』 (エイドリアン・マッキンティ/ハヤカワ文庫)

*ネタバレする。

 

 

『コールド・コールド・グラウンド』 (エイドリアン・マッキンティ/ハヤカワ文庫)

 

 

 ショーン・ダフィは王立アルスター警察隊巡査部長。カソリック教徒。30歳。1980年現在、ベルファストで暴動が起きている中、殺人事件の捜査に乗り出した。手首を切り取られた死体が発見され、それはおそらくタレコミ屋の末路。単純な事件に思われたそれは、別人の手首と発覚してもう一つの死体が発見されたことにより、連続殺人事件とみなされた。

 この辺でそんな事件は珍しい。連続殺人をしたいようなサイコパスはIRAに入ってどんどん人殺しをすればいいから。

 ショーンはさらに同じ頃、自殺とされた女の事件とも関連を感じて、やみくもな捜査を続ける。

 

 2018年刊行の文庫。シリーズになっててもう6作目まで出てるらしい。翻訳されてるのは3作目までなのかな。で、これが一作目。

 

 ショーンは、大学出のインテリ、ではあるけど、まだ若くて、キャリックファーガス署に配属されて間もない。早く手柄をあげたくてうずうずしてる。で、いろいろ無鉄砲をするんだけど、なかなか捜査進まないし、事件解決のめどがたたないし、ショーンはローラという監察医と仲良くもしたいし、けっこうずっと、話進まないなあってうだうだしてて読むのに時間がかかりまくりだった。

 

 それに、街が。暴動が起きていて聞き込みに行くにも命がけ、みたいな感じ。なんか、この街、どういう状況? とか、カソリックとプロテスタントの対立? とか、私が、アイルランドのことを何も知らなくて、いちいち、ええと、これは、どうなってる?? と、認識に時間がかかりまくった。

 1980年代。ショーンはテープかけたりレコード聞いたり、音楽がいっぱい出てくる。事件の謎でもオペラの楽譜の断片が尻の穴に突っ込まれてるのが発見されたり。

 そんなこんなの音楽の感じも私はいまいちわからなくって、んーと、って思ったり。1980年代。私は生きててそこそこ物心ついてるとはいえ、世界情勢がわかるわけじゃない、にしても。一応。サッチャーとか名前は知ってる。けど、でも本当に、私、アイルランドの事を何も知らないんだなあとつくづく実感した。これまでにも映画だとかなんとなく少しは見聞きしたことがあるけれども、認識できてないなあ。せっかくなのでこのシリーズを読んでもう少しはいろいろわかるようになりたい。

 

 この事件も、IRAだとかなんかこう、組織のこととか、捜査が進まない感じの事情が私にとってなんだそれは? と思うことが多くて。読んでいけばなんとなくまあ、なんとなーくは、わかる。けど、わかったとも言えない。北アイルランド、どうなってるの……。

 訳者あとがき で、この時の事件、人物の映画「ハンガー」というのがあるよって知ったので近々見てみたい。あまぷらにあるみたい。

 

 ローラとも無事仲良くなってよかったね。そして事件の関連性を見出した、と思ったけど、捜査に進展がないって、ショーンは担当を外されてしまう。

 脅しが入ったり。事件担当から外されてからの急展開の勢いが面白かった。

 英国のスパイかよ!

 

 途中、同性愛嫌悪が共通点か、と探っていく。アイルランドでも同性愛は罪だったんだね。1980年代のこの当時でも。この少し後に法改正が進むのかな。

 捜査の途中、話聞くだけのつもりの男娼にあれこれされちゃって戸惑うショーン、可愛かった~。

 

 結局、連続殺人に見せかけて、自分に都合悪いことを知られた相手を消したのはMI5のスパイだったやつで。ショーンは守秘義務負わされて黙ってるしかなく。同性愛関係をバラされるのを恐れたビリーとシェーンってのに襲われて銃撃戦、酷い怪我を負うも撃退、回復。で、それで手柄たてたってことで、リハビリ、復帰後に昇進した、のかな。

 

 ひそかに訪ねてきたMI5の人間に、スパイをやっちゃってもいいぞ、という匂わせを受けて、ショーンはイタリアへ。密かに、始末つけた。

 一応、殺人犯したやつらはすべて報いをうけた。けど、逮捕して裁判、みたいな結末じゃないんだなあ。ハードボイルド……。警官なのに。

 けど、その、どうなるんだろ。ショーン、MI5に誘われるってこと? テロ組織の方に誘われるってこと?? そういうわけでもない?? シリーズの続きも是非読みたい。面白かった。

 

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