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映画 「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」

*ネタバレします。

 昨日、18日の水曜日に見てきました。

 

 

映画 「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」

 

 若きスター、ジョン・F・ドノヴァン。主演のドラマが大人気。次に大作ヒーロームービーの主演がほぼ決まりだろうと噂されていた。だが、突然の死亡のニュース。11歳の少年、ルパートはテレビでそのニュースを知った。ママにも内緒で、ルパートはジョンと文通をしていたのに。その秘密。その交流。10年の後、ルパートは文通していた手紙をまとめて一冊の本にした。俳優であり、作家。インタビューを受けて少年時代のこと、ジョンのことを語る。

 

 

 グザビエ・ドラン監督の新作だ。と、待ってました。29歳の若さで、薬を飲みすぎてしまった事故で亡くなった若きスター。リバー・フェニックスがモデルなのかな? とか、監督が実際8歳の時にレオナルド・ディカプリオにファンレターを送ったことをもとに作った、とか、そういうのはあれども、やっぱりこれはグザビエ・ドランの作品なんだなあと思った。

 スターの孤独。両親は離婚、転校した少年の孤独。10年の時を隔てた二つの物語があり、少年とスターとの文通、という軸があり、だけど強く印象に残ったのは母と息子の物語でもある。相変わらず、母と息子の、濃密で苦しい、けれど強烈な愛の世界があるわあ。

 

 この作品、10年前が2007年で、わりと最近じゃーん、と思ってしまうワタクシ……。けれど、11歳の子どもが、21歳の作家で俳優って成長するような時間なんだよねえ。

 

 最初は、売り出そうとしてる若手俳優作家にインタビューなんてうんざり、って感じだった記者? ライター? のオードリー。どうやら彼女は本来社会派って感じみたいで、ルパートの子どもの頃の思い出だとかジョンがどんなスターだったかなんて芸能問題みたいな事には興味がなく、なんとなく仕方なく引き受けさせられた仕事みたい。けれど、ちゃんとインタビューを聞いて、大きな社会問題じゃなくて、ほんとうにパーソナルな出来事だって同じように大事って、少し考えの変化がある。

 

 社会って個人の集まりだもの。一人一人のしあわせを大事にできなきゃダメなんだよ。テレビスターとしてファンに大騒ぎされてみんなに愛されていても、大事な人と素直に愛してるって、愛し合ってるって言えないと、辛い。

 まだ子どもだから。親の都合に振り回されて、でも子どもなりに精一杯に生きる。そういう一人一人の人生。

 

 家族との愛。ルパートくんのママは女優、だったのか卵だったのか、けれどもう今はダメになってて、代わりにルパートが子役として小さな仕事をしたりオーディションを受けたりしている。いつかジョンと共演したい! という夢がある。

 けど、口にはしてない思いは、ママが頑張ってた仕事を僕もやっていけたら、ママが喜んでくれるんじゃないかって、いうこと。ママには見せずに提出した作文の宿題に書いてあって、先生がママに見せてくれるんだよー。泣かせるじゃん。

 

 ジョンと文通してるっていうのがちょっとした騒ぎになってしまって、けれどジョンは冗談みたいにテレビのトークショーで否定する。ショックを受けるルパート。これは泣いちゃう。

 なんで秘密に? と思ったんだけど、ひそかに文通してるというのはよりスキャンダルなのかなあ。子ども相手にってこと? 男娼と歩いてたみたいなゴシップを書かれたところだったみたいだから、ついでにペドフェリアみたいな疑いになっちゃったらヤバすぎる? むしろ他のファンの攻撃とか防ぐため? 否定しなくてもいいじゃん、って思ったんだけれども、んー、否定するかなあ。

 

 この、文通してるんだというのがホントの事なのかどうか、わりと最後まで疑いながら見てしまった。ルパートの心の中の出来事なのでは、とか。実はママが代筆してた?? とか。けどまあ、実際あったことという映画の中のリアルだった、らしい。のかな。

 手紙の内容なんて、子どもにもわかるような、他愛のないちょっとした日々の事しか書いてないよ、とのことだけど。

 じゃあジョンのあの日々、気になる相手ができちゃったり、お兄ちゃんとこにうだうだしにいったり、ジョンのママのなかなかの強烈さだったり、おじさんとか微妙なぎこちなさのある、けど家族―っだったりの、ああいうジョンの日々は、まあ、そういうものってことなのか。

 映画の視点というか、最初、青年ジョンが語るストーリーかと思ったんだけど、ジョンの事は、ルパートが知りようのない生活、で、それは想像なのか、別にルパート視点のってことはなく単に映画として描いているのか、ちょっと、悩んでしまう。気にせず二つの物語って思えばいいか。んー。

 

 子どもルパートくんが、ママと喧嘩するとき、もうほんっとママが最も傷つくような事を言う。パパからも女優の夢からも逃げて英国にきたんじゃないか、だとか。辛い。息子にそんなこと言われなきゃならないほど悪いママじゃないよー。けどなー。けどちゃんと愛があるんだよなー。ほんと、ドラン監督の描く母と息子って、凄い。

 

 ジョンはホントはゲイだけどカムアウトは出来なくて、悩む。こっそりうまくやればいいってことは出来ないのな……。2007年って、そこそこ開けてきてはいると思うけど、けどやっぱりオープンにすることは簡単じゃないよなあ。ジョン、すでに異性のパートナーがいたわけで。難しい。家族の中ではお兄ちゃんは理解者。けど、多分ママとかにとってはタブーな感じ。

 隠し事をする人生。それは不誠実な人生。大事なものを失ってしまう。

 そして、彼の死は事故なのか自殺なのか。本当のところなんてわからない。ただ、彼は死んでしまった。世界中のファンがショックだったろうし、ルパートの心にもどれほどのショックだったか。

 けれど、10年を経て、ルパートは本を出す。自分の中で何か区切りつけたんだろう。インタビューを終えて、迎えにきた、って席を立つ。迎えにきた相手、あの親密さは恋人なんだろう。同性の。ゲイであることは今もマイノリティで差別もあってまだまだ簡単に誰にでもオープンってわけでもないだろうけれども、それでも、10年前よりさらにひらけてはきているんだと思う。ルパートは隠さずに生きる道を選んでいる。

 世界は、少しずつでも変化してきて、少しずつでもよくなってきているんだと思う。願う。信じたい。愛を信じたいと、強く思わせてくれる映画でした。ドラン監督の中ではエンタメっぷりが増してる作品なんじゃないかなあ。どのキャストも魅力的で、見ごたえって、面白かった。

 

 ところで、ジョンがプレミアだかレッドカーペットに登場してファンサービスしてたり、写真撮られまくったり、トークショー出てたり、あんなそんながすごく、わ~~~私が日々ツイッターで好きな人追っかけてる感じ~これ~~わかる~~~ってなった。私のスターよ、カメラのフラッシュの前に現れる前や、裏で、なんか人知れぬ苦悩やうんざりを抱えてたりするんだろうか。わかんないし、勿論いろいろあるんだろうけれども。でも、どうか、健やかに幸せに生きてて欲しい;; ファンでごめんなさい……。いやごめんなさいってことないか。でもほんと、お仕事でカメラの前に出てきてくれる時には、きゃーって言わせてください;; でも本当に本当に、プライベートはただただあなたの人生のしあわせのための日々でありますように;; 推しのお仕事が見たいのであって、推しの人生はただただ幸せで生きて、ってことだけ。ほんと、みんな。しあわせに生きろ……。

 

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