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映画 「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」

*ネタバレします。

 

 

映画 「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」

 

 

 世界的ベストセラーミステリー作家であるハーラン・スロンビー。85歳の誕生日に家族が集まってパーティーをした。が、その翌朝、看護師のマルタが朝食を部屋へ運ぶと、首から血を流し死体となった姿を発見する。

 ハーランの遺産を巡る家族の諍い。自殺と処理されたものの、その死から一週間、改めて話を聞きたいと刑事に家族たちは集められた。刑事と一緒に、私立探偵である男、ブノワ・ブランも家族の話を聞き、質問する。

 探偵を雇ったのは誰なのか。自殺なのか、殺人なのか。弁護士によって、死の一週間前に書き換えられていたという遺言書の詳細が知らされる。ハーランの遺産は、家族ではなく、友達のように、看護師としてよく仕えてくれたマルタに、すべて遺されるということで、家族は逆上する。

 

 

 現代が舞台なんだけど、いったんは自殺として処理されている、田舎(郊外、くらいかな?)であること、の感じで、科学捜査バリバリではなくして、うまく名探偵登場って感じ。

 大きなお屋敷、大富豪、ってことでちょっと前見たばかりの「ダウントン・アビー」を連想したけど、まあそもそも時代も国も違うし、お貴族様とは違うし、お屋敷の感じとか全然違うわ~というのも面白かった。

 

 遺産が当然自分たちのものになると思っているワケアリ家族。中でも孫にあたるランサムは、一家のやっかいもの駄目息子って感じで、パーティの日に自分は遺産相続から外されたと告げられていた。これがクリス・エヴァンスで、清く正しい正義の人キャプテン・アメリカとは全然違う役なわけで、よかったねー。

 

 実は看護師マルタちゃんは移民の娘で、母は不法入国してて、って弱みがあった。それでも、素直で優しくて優秀な彼女はすっかりハーランに気に入られる。けれどパーティの夜、ふざけたはずみで夜のいつもの注射の薬液を、モルヒネと間違えてしまったミス、で、ハーランは死んでしまうことになる。けれど、ハーランは彼女を守るために自殺する。その後の彼女のアリバイづくりのアドバイスを与えて。

 

 この、マルタのミスによる過失致死、で遺産を受け取れなくするか、じーさんの意思を尊重してミスを隠し通すか、ってことと、そうはいってもまだ謎が。そもそもブノワを雇ってこの死に目をむけさせたのは、とかあって。

 じーさんと、ランサムのミステリトリック合戦、ガチで、みたいなことだったのねー。

 

 ランサム、一度はマルタの味方だよ、みたいな感じで、ちょっといいやつ、っぽく思わせてからの真犯人でした。とっさにその犯行思いついて実行しちゃうなんて、ほんとは実は鋭い? とか思わせる、クリエヴァのきれいな見た目。だけど、まあ、なにかとごてごてになっちゃうし、荒っぽすぎるし予定通りにいかないこといっぱいで、まあそりゃそうか。だめっぷりがかっこよくも可愛いけどやっぱお前はクズだな、ってなるの面白かった。マルタにげろぶっかけられちゃう。

 

 マルタちゃんが、嘘をつくとマジで吐く、という体質、体質?? なのが、最もばかばかしいほどの設定、ではあるんだけれども、そしてそれがわりとキーポイントになったりして、それはまあ、あんまりリアル路線ではないのかなあ。けど、見てるとなんか、そうかそういうものか、と慣れるので、私はまあそれはそうなんだなってことで納得。映画だもの。

 マルタが、追い込まれちゃって勢いに流されて、とか、けれどやっぱり人を助けようとする善良さというか、看護師だよな、ハーランに気に入られるいい子だな、って納得できるナチュラルさがとってもよかった。

 彼女が移民の子であること。金持ち一家に家族同然に仲良くしたでしょう、って言われても、どこか内心見下している感じ、あったんだろうなあって思うし。この、表面上とりつくろいながらの移民差別感情なんかを描いてるのは、まさに今の映画なんだなあと思う。

 

 マルタちゃんは結局医療ミスでもなかったし、ちょこっとカーチェイスしちゃったとか軽犯罪しかないしで、遺産は受け取る、のね。けど、あの家族を見捨てたりもしない、ことにするみたいだった。いい子だなあ。いい子っていうか、まあそりゃ一切全部もらうあんたたちなんか知らん、ってしたりしない子だろうなという感じで、見込まれたりしたのかなあ。でも厄介を背負わせる感じになっちゃうよ。ハーランじーさん、罪作りなのでは。まあ、あの日に死ぬとも思ってなかっただろうけど。

 

 で。ダニクレですよ。直前には007の予告がある。けど、この作品の中では、いい感じにすっとぼけのある、ちょっとドジっ子的な可愛さのある、おっさん探偵、けど名探偵っていうの、すっごいよかった。ほんと直前にボンドのスタイルちらっと見てるわけで、この作中だと絶妙にダサいというかもっさり感が~。別人なのすごい。うまいなあ。それでもどうにも隠し切れないかっこよさも滲むわけで、すーごく素敵~好き~~~!

 

 ブノワ・ブラン、って変わった名前な気がする。というか、発音もうちょっと違う感じで呼ばれてたよな? 日本でカタカナ表記するとブノワ・ブランてこと? なんか、はっきりわかんないけど、字幕で出てくるのと違和感が。気になった。まあいいか。

 一応軽めのカーチェイスや、とっさの格闘、するのかどうか、みたいなとこ、007ならどれほどド派手に決めるだろうかーと見ながら勝手に思っちゃっておかしかった。

 

 紳士探偵、ってあだ名らしいけど。南部訛りでむかつくやつ!みたいに言われてて、アメリカ人ではあるのか。けど、予告だとなんかもっとねちねち嫌なタイプの探偵なのかなーと思ってたけど、それほどでもなくて、抑制きいててよかったな~。私は好きなバランスだった。

 私がもっと英語聞き取れたらよかったのにっ。訛りとかよくわかんないし。名前もー。

 

 名探偵さんが、推理というか、事件の真相がだんだんわかってきたぞ! と一人しゃべりまくろうとすると、刑事さんが、のってきてるとこ悪いけど、って冷静につっこみはいるのが面白かった。刑事さん、落ち着いてて素敵。部下(?)の若者が、ミステリ好きの子らしくて、ミステリ作家の殺人、にちょっとわくわくしちゃってるのとか、可愛かった~。

 細々したとこのちょっとした、丁寧な描きこみが上手くて、好感持てたなあ。飾ってた野球のボールが巡って結局ハーランの意思実現の手紙につながってくのとか。

 みんないいキャラで面白かったなって思えるの、登場人物多いのに見せ方が上手いのかねえ。すごい。

 

 クラシカルなミステリだ謎解きだ、っていう面白さ、キャラクター濃いけどやりすぎになる手前って感じに抑制きいてるの、緊張とユーモアのバランス、よかったなあ。ビジュアルもみんな強い。かっこいい。可愛い。うまかった。

 予告や宣伝ビジュアルですごく期待して楽しみに待ってて、実際すごく満足できてよかったー。ダニクレ、ボンドのあとはこっちで3作くらいシリーズ撮るといいのでは~。けどこのクオリティで続編、ってうまくできるだろうか。やってほしいけどな。原作小説があるわけでなく、オリジナルらしいの、すごい。小説みたいなのに。もっと見たい読みたいって気分になる。楽しめる映画、ありがとうー!

 

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