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『シトロン坂を登ったら』 (白鷺あおい/創元推理文庫)

*ネタバレします。

 

『シトロン坂を登ったら』 (白鷺あおい/創元推理文庫)

 

 大正浪漫横濱魔女学校Ⅰ

 

 横濱女子仏語塾の三年生、花見堂小春ちゃんが語り手。時は大正、海老茶の袴姿の乙女たちが学ぶ塾は語学のみならず、女学校の教養一般、薬草学や特別なダンスの授業もある。ダンス、とは箒にまたがって空を飛ぶこと。魔女の卵が学ぶ学校なのだ。

 

 てことで、これは『ぬばたまおろち、しらたまおろち』のディアーヌ学院の、始まりの頃のお話ってことですね。主な舞台となるのが魔女として学んでいる妖魅や人間たちの学園というのは共通しているものの、時代も人物もお話も違うわけで、新シリーズ、三部作の予定とのこと。

 

 最初は、楽し気な学園生活。で、小春ちゃんは抜け首、という妖魅で、ひょいっと頭だけ飛んだりするのね~。普通に学生さんの日常を読んでるつもりが、お、ってなるのがすごい楽しい。前のシリーズ読んでるから舞台設定わかってるつもりなんだけど、やっぱまた新鮮にちょっとびっくりして、面白い。

 

 舞台が横濱、元町とか坂を登ってとか、想像するに港の見える丘公園のあたり? もっと山手ってことかなあ。勿論ファンタジィなんだから明確にどこってことではないのだろうけれども、なんとなーく、あの辺の感じなのかなあと思いながら読みました。まあ私もお散歩程度にしか知らないのでわからないんだけど。

 

 坂があって、大きなお屋敷があって、お庭は南国風、大きな温室もあるとか。そこに越してきた奥様は塾ともつきあいがあって、お招きされていくと素敵な絵のコレクションがあり。車椅子のちょっと偉そうな少年、千秋くんがいたり。いいね~。

 南米、南国の密林の緑濃い絵の中には動物の姿があって、その絵は、動く、とか。

 これは、ルソーの絵を私は思い浮かべながら読みました。

 絵が、動く?

 

 それとなんだか胡散臭いうわさ話として、虎だか豹だかに襲われたとかそいつは言葉を喋る、とか。妖魅なのか?

 その噂話をおっかけるのがゴシップ新聞の記者、小春ちゃんより年上の甥っこである修太朗さん。

 この、豹の妖魅がいるのかどうか、いた、んたけれどもその正体は?

 小春たちはある時、動く絵の中に引きずり込まれて、その世界で魔女呼ばわりで追い詰められたり。魔女呼ばわり、というか、魔女であり妖魅なのでそうなんだけど。といって火あぶりにされかけるなんてひどい、たいへん。

 「グリーンマンション」『緑の館』という小説、映画? の引用があるようで、けど私はそれ知らなかったな。実際ある小説なんだ。いつか読むかなあ。

 

 乙女たちの学園の日々にミステリ風味から冒険小説的と、今作でももりもり盛沢山の要素で面白い。キャラクターたちみんな強くて素敵。基本がポジティブ思考っていうかなー。凄く大変なことが起きるけど、へこたれそうだけどともあれなんとか! って頑張るの、すごくいい。無茶苦茶な超展開じゃなくて、あー、いやまあファンタジィなので超展開だけど、でも、彼女たちの学びや思考がしっかり描かれているので、ドキドキハラハラしながら展開にしっかりついていけるんだよね。窮地からの脱出も、あーなるほど、こうきたかーって思う。うまい。

 

 三部作とのことで、今度は千秋くんが自分のルーツをたどる、みたいなことになるのかな? どうなっていくんだろう。舞台は横濱ってだけじゃなくて、南米まで広がるのかしら。壮大だなあ。楽しみ~!

 

 

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