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映画 「グッドライアー 偽りのゲーム」

*ネタバレしてます。

 

 

映画 「グッドライアー 偽りのゲーム」

 

 12日の水曜日に見に行きました。

 イアン・マッケランと、ヘレン・ミレン、二人の名優、老人の愉快なコン・ゲーム、みたいな感じかな~と、なんとなく思っていたのです、が。

 

 冷酷な詐欺師、ロイは、マッチングアプリ(?)で、夫を亡くしたばかりらしいベティと知り合う。最初はうまくいけばちょっとした財産を巻き上げられるかも? というものだったが、ベティとの仲が深まると、彼女の資産が思っていたより莫大のようだ、と気づく。

 投資話でカモをつっていたが、今度はベティにターゲットを定め、二人の資産を合わせて共同高座とし、確実な投資をして配当で優雅に暮らそうと誘う。

 ベティの孫に多少疑われつつも、それでも話は進む。旅先で、思いがけず過去を暴かれるが、それでも、ベティとの絆は深まったと、ロイは信じた。しかし。

 

 

 イアン・マッケランがとにかくチャーミングなので、なんか老人たちの楽しい化かしあい、みたいな知的クール楽しい映画のイメージを持っていた。

 けど、暴かれる過去とは、戦争時の話。ロイもベティも、ドイツの生まれだったのね。ロイは、戦後英国情報部のために働いていて、不慮の事故で英国のエージェントが亡くなった時、入れ替わってすべての過去を捨てて、英国人として生きていた、と。

 一度は、それはその時やむにやまれぬ同情すべき苦しみの選択だった、と思わせておいて、けれどもう一段階あって、ロイはかつてベティの英語の家庭教師をしてたことがある、と。

 その時、裕福な一家、その娘たちに逆上したかのような性暴力のふるまいをしたことがあった、と。ベティは幼心にあこがれていた先生である彼に、レイプされたことがあった、と。

 そして一家を密告したロイ。ベティの一家は崩壊。多くは語られなかったものの、彼女の一家、彼女の半生は苦しみのどん底であったろう。

 ベティがロイと出会い、慎重に、でも急激に仲を深めたのは、復讐のためだったのね。

 

 前半は確かに、なんか裏がありそうな中をドキドキを探りあって進む感じが楽しかった。けど、う、思ってた以上にロイの詐欺っぷりは冷酷。騙したなーって被害者をさっくり殺したりする。

 そして、ナチス時代、まだ少年だったロイは犠牲者だった、かのように一度は見せながら、いやそもそもロイってクズじゃねーか、という方向に見せてくる。

 ポスターにあった「冷酷な詐欺師」というのは、ほんと、文字通り「冷酷」だったんだなあと思い知る。

 そしてベティも、本当はもっとしたたかでもっと強くもっと賢かった。危ない賭けをやってのける行動力。

 けどまあそんなうまくいくかなあ、というのは、まあ、映画だからいいか。

 

 最後には、自業自得的にロイへ復讐の制裁を果たし。ロイは殴られまくったあげくのショックだかなんだかで、施設で虚無みたいになってた。ただ、生きているだけ、みたいな。老いの哀れ、けど、自業自得、みたいな。

 ベティは大きなお屋敷で、子どもや孫が沢山いて、親しい友人たちもいて、という様子。孫娘たちを心配はする、不穏さをのぞかせつつ、それでも、多くの人と明るい陽光に囲まれたベティは、大丈夫なんだろう。

 

 あんまり、楽しい映画じゃなかったなー。けど、すごく、見ごたえはあった。

 イアン・マッケラン、じーさんだけどほんっとチャーミング。そしてやっぱどうしたってかっこいい。旅行前のおめかしの買い物シーンとか、ほれぼれ見惚れました。すてきだなあ。

 ロイは、でもやっぱ、時代の被害者ってところもある、という、気はする、けども。けどなー。ロイ本来の人間性がダメって感じもするよなあ。なかなか、ツライ人物像でした。

 

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