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映画 「フォード VS フェラーリ」

*ネタバレしています。

 

 

映画 「フォード VS フェラーリ」

 

 

 これこそIMAXで見るべきだったのでは。けど普通のスクリーンで見ました。けどそれでもやっぱ家庭ではない音響なので、見に行って本当によかった。

 

 1966年の、ル・マン。絶対王者だったフェラーリに挑んだフォードチームの戦い。という実話ベースだそうですが、私はその辺全く知らないしわからないんだけれども、それで、だから、え、どういう結末になるんだ??? と、すっごくドキドキハラハラすべてを面白く見ました! 面白い。すごい面白かった。すっごい上手い映画だった。

 

 ル・マン。そのレースの名前は聞いたことある。F1とは違うんだっけ。24時間耐久レースだから。そんな程度の私が見ても、うううわあああああ~~~~すっごい~~車かっこいいいい~~あ~~レース見たい! って思わせる魅力満点。凄い。すっごいかっこいい。本当に本当の夢とロマンが詰まってる。映画って夢だ。映画って、理想だ。映画って、人を魅了するものだ、って。つくづくこの中の世界が素晴らしくて、美しくてかっこよくて、おかしくて面白くて切なくて崇高だった。素晴らしい夢を見た。上映時間153分? ニ時間半ちょっとかあ。長いけど全然長くない。一緒に夢を見た時間だった。どの人物も、どの車も、最高にかっこよかった。

 

 

 キャロル・シェルビーは、かつてル・マンのレースで勝利したただ一人のアメリカ人。しかし、心臓に病があるとわかり、レーサーとしての道は断たれる。そして、ドライバーとしてではなく、車を作って、売って、ローカルなレースを戦ったりしている。

 ケン・マイルズ。自動車整備の仕事をしながら、レーサーとして活躍してる英国人。性格に問題あり。こだわりと妥協できない短気っぷりで、腕はいいけど扱いづらい問題児で、シェルビーの車でレースに勝つことはあっても、なかなか商売はうまく出来ない。

 整備工場を税務署に差し押さえされ。妻のモリーを嘆かせ、息子ピーターのためにもレースを諦めようとしている。

 フォード社。営業不振続きとはいえ莫大な生産量を持つ自動車メーカー。創業者の孫である二世は会社を立て直ししなくてはいけない。

 誰もが憧れる、スポーツカー、ル・マンで連覇しているフェラーリ社が破産、で、フォードが買収を申し出た。けれど、フェラーリはフォードは車も工場も醜い、社長はしょせん二世だ、と、侮辱的な言葉を投げて別の会社と買収契約を結ぶ。フォードは当て馬にされたのだった。

 フェラーリをル・マンで負かす。そのためのチームが作られることになり、シェルビーに声がかかって、シェルビーはマイルズも引き込んだ。

 

 最高に美しく速い車を作るフェラーリ。けど、敵はそれではない。シェルビーや、企業イメージにあわないマイルズを排除しようとするフォードの偉いさん、副社長の様々な横やり。シェルビーはドライバーを守り、けど守れなかったり、そして自分の車を作り、レースに向かう。一度目のチャレンジは惜しい所。二度目、今度こそ、マイルズをドライバーにして守り、フェラーリに勝つレースに挑んだ。

 

 

 主演の二人。シェルビーのマット・デイモン。ケン・マイルズのクリスチャン・ベイル。二人とも言うまでもなく名優。凄い。すっごいよかったかっこよかったし、ほんっとうまくて、とても演技とは思えないっつーか、もう、なんか、二人長年の友達同士で、お互いがお互いだけわかりあう世界を持ってて、仲良く喧嘩しなって感じだし、二人がなんてことない会話するのも、黙ってるのもぎゃんぎゃんやりあうのも、もうほんっと、すっごく二人はそういう人そのもの、って感じだった。演じてるとは思えない。キャロル・シェルビーとケン・マイルズだった、って、何も知らないのにそう思わせて納得させる素晴らしさだった。

 

 結構ファミリームービーって感じもあって。シェルビーの私生活はほぼなかったけれども、マイルズの方は、理解ある愛する最高にステキな妻がいて、息子ピーターくんはパパがレースで活躍するのが大好き。けど、パパがレースの事故で死ぬのをひそかに畏れてもいて。という、そこはかとない不安が、わりと序盤からあったんだなあ、と、見終わってみると思う。大事な家族。愛する家族。息子との時間、父として男として、かっこいい車に、ビクトリーランの車に、息子を乗せてやるパパ。

 これ、実話ベースなわけで、知ってる人はマイルズは後に事故死する、ってわかってて見るわけでしょう。そりゃあもう途中からうるうるしちゃうだろうなあと思う。

 

 そう本当に。素晴らしい家族。最高の家族。貧乏でどうしようってなったりしながらも、とてつもなく愛ある家族の姿。マイルズの世界がうつくしいのは、優勝を盗まれ、それを晴らす間もなく亡くなった彼への敬意と愛をこめた映画なんだなあと思う。

 私は知らないけど、伝記的なものとかあるのかな。家族や、友人が語ったマイルズの姿みたいなのが、あるのかなあと思う。天才ドライバーだけど扱いづらい問題児。けど、彼に近い親しい周りの人たちから愛されていた男。キャロル・シェルビーと、友達だった。

 

 友達、っていうのがねえ。ほんっとすっごくよかった。シェルビーも天才ドライバーだったわけで、けど病気でその道を諦めて。それでもレースに関わり続けて。車、作って売るっていう。

 ああいうあたりよくわかんないんだけど、アメリカンシェルビー社、という、小さな車メーカー持ってたシェルビーが、フォードと協力、というかフォード傘下でレースに参加、ってことで、フォードチームだけど一台はアメリカンシェルビーフォード、みたいな感じで参加してた、と、いう感じ? マイルズはシェルビー社から参加、マクラーレンというドライバーはフォードから参加っていう感じ、なのかな。多分。なんか、ともあれ、巨大企業と、小さな職人集団、みたいな感じが、下町ロケットだとかいう宣伝文句になったりしてるのかなあ。まーよくわかんないけど。

 

 で、一応は商売やっててビジネスマンとしてなんとかやっていってるシェルビー。けど、レーサーの魂持ってるシェルビー。天才ドライバーマイルズをフォードから守っていこうとするシェルビー。すごいよかった。かっこいい。

 私、マット・デイモン好きな方だけど、でも正直あんまりかっこいい~っきゃーって思ってるわけではないんだよね。勿論すごくかっこいいよマット・デイモン。スターだよ。けど、うまいのはわかってるけど、こんなにもすごいいい男でかっこいい、ってしみじみほれぼれしたのは初めてかも。すごいよかった。すっごくよかった。あーわかってたけどマット・デイモン、めっちゃ上手いんだった。降参。って思ったね。

 

 クリスチャン・ベイル。当然うまい。めちゃめちゃうまい。毎度のなりきりで、困った天才。なんだけど、愛さずにはいられない。パパが息子に語る、ル・マンのコースで、その魅力とか素人の私にもなんだかとても最高にうっとりするものだって、しっかり伝えてくれる。

 この映画、ほんと親切設計。

 車好きじゃなくても好きになっちゃうし、家族愛みたいな所も丁寧だし。マイルズが英国人とのことで、やたらお茶、紅茶だね、飲んでるの面白いし。そういうもんなのか^^

 アメリカ人には英国人の英語って英語じゃないのか??? とか、なんかこう、そういうのわかんないけどそういうのありそうーって思わせてくれるのなー。

 

 そんな二人の喧嘩シーンがめちゃ可愛かった^^ あらあらあの子たちったら。と、妻モリーが喧嘩する二人を眺めに庭に出てきてやれやれ。アホ男子は可愛いな。って呆れてるのもすごく可愛かった。

 ツイった見て気づいたけど、そういえば、バットマンとジェイソン・ボーンの戦いだったのだったw けど、ほんと、ただのおっさん二人がなんの技もなくボカスカぐいぐいやってるだけで、リアル~w 食料品店帰りだったマイルズの荷物がこぼれたのをシェルビーが思わず握って武器にしかけたのが缶詰らしく、あ、缶はマジで武器になるからヤバイ、と一瞬で持ち替えたのがパンで、パンの袋でバットマン殴るジェイソンボーンで、おかしい。

 二人はこれまでにも喧嘩したことはあって、ちょっと殴りあったらもうへろへろで二人ともダウンしちゃうのが可愛い~。あ~普通のおっさん~~~。

 この、喧嘩して許しあう、あーもー。夢とロマンだなっ。可愛かった。ほんと、男同士の友情っていいよな、という理想が詰まってた。

 それで、ブロマンス~ってこっちはまんまともえころげてしまうわけですが(*ノωノ)

 

 ル・マン、本番前日。レースコースのスタート地点に、眠れなくてマイルズが散歩に行くと、そこにはシェルビーがいて、っていう、夜のシーンも美しかった。

 大河の「いだてん」最終回で、開場前の早朝のスタジアムにいたまーちゃんと金栗氏を連想しちゃった。ここまでにかけてきたもの。その本番前。もう待つしかない静かな時間。

 そういう思いを共有しちゃう二人なんだなあ。誰もいない、とお互い思ってて、それでも、そこにシェルビーがいること、マイルズがきたこと、それをわかってる感じ。素敵。

 

 フォードの偉いさんたちの中でもいろいろあるんだろうなーって感じさせてくれてすごく面白かった。シェルビーたちに共感してくれてる人、あくまで企業の中の一部門だろレースだって宣伝のためだ、っていう嫌なやつ副社長。そいつの横やりをかわすため、シェルビーは開発途中の車を視察にきたトップ、二世社長を乗せてコースをぶっとばす。怖くて泣く、じじい、と思いきや、こんな感覚を知らなかった。父を乗せてやりたかった、と、泣くじじい。可愛い。きゅん。二世社長だって、やっぱ車好きだし、自分の会社愛してるし、フェラーリに負けてたまるか、と、すっごく思ってるんだよねー。

 

 フェラーリはフェラーリで、アメリカ人に何ができる。野暮な奴ら。って見下しではあるけど、プライドであって。うつくしい速い車をつくる、という思いは純粋でもあるんだろうなーと思うし。

 アメリカVSヨーロッパ、でもあるんだなあ。アメリカのパワー、勢いを恐れ、同時に見下すヨーロッパと、古臭いくせにと思いつつコンプレックスもあるアメリカ。そんな歴史的背景も思わせる。

 

 レースで、ついにフェラーリがゴールできないとなった後、フォードの3チームで並んで同時ゴール、優勝にしよう、いい宣伝写真になる、っていう、また副社長のろくでもない思い付きに、一度は怒ってしりぞけたシェルビー。けど、それを一応はマイルズに伝えるシェルビー。マイルズがこのままぶっちぎりでもいい。けど、チーム三台で並ぶ、というのも、いいかな、というか、やっぱみんなチームだものな、とか、スポンサーのいう事聞いてやるか、というか。ほんと複雑なマイルズの葛藤がいっぱいいっぱいいっぱいあっての、スローダウン。かっこいい。あーそこで折れちゃうのかーという思いと、フォードというチームで並んでゴールするっていうのは、確かに、仲間といううつくしさが、あるなあと思ったり。

 けど、同時優勝にはならなくて、マクラーレン、マクラーレンって、ドライバー? 別のチーム? の。そっちが優勝でマイルズは同時ってカウントされない、マクラーレンの方がスタートが後方からだったから、みたいなことで。優勝を盗まれた、ってショックがあり。シェルビーは副社長にくってかかるけど。けど、まあそれはいいか、って、自分が優勝ってちゃんとわかってるマイルズがまたかっこいいし。

 

 マイルズが、クリスチャン・ベイルがなんかちょっと猫背でねー。ひょろっとふわっとしてるのがすごくよくてねー。なんかちょっとさえない男、である所のマイルズね。でも最高の男なんだよねえ。

 

 次に向かって、車のテストだか練習だかしてる所。ピーターも見に来てる。レース本番ではないし、もう一回回るか、くらいの走行だったのに、事故が起きる。コースの向こうの方で起きる炎上。駆け出すスタッフ。それを見つめる、ピーター。駆け出して、けれどピーターを振り返るシェルビー。

 ピーターくんが、その前の時にも、パパの事故を心配してたりしてたんだよね。目の前で車が火をふいたこともあった。それでも、耐火スーツがあるし、大丈夫、みたいなこといってたりしたんだけど。

 車から出られなかったら、もう、ダメで。

 

 マイルズの死から半年たっても、まだ立ち直りきってないシェルビー。マイルズの家に、昔彼がキレて投げたレンチもっていった。家に、けれど近づけなかったシェルビー。そこへ、自転車で帰ってきたピーターが声をかける。

 ピーターに、変なごまかしもなにもなく、レンチを渡すシェルビー。

 シェルビーが、誰よりも本当のパパの友達だった、って、わかってるピーターくんが素晴らしかった。友達。うん。友達。

 

 マイルズは殿堂入り。シェルビーはカーデザイナーとしてその後も活躍。

 

 この映画見ると、ドライバーって、運転だけじゃなくてそもそも車に詳しくて大好きで、自分が乗る車開発にがっつり関わる、というか俺が乗りこなしてやるからもっと、もっといけるもっとやれ、もっと工夫してもっと軽く速く凄い車、作ろうぜ! って感じなのかーってびっくりした。ドライバーというか、エンジニアだよなあ。もちろん、レースにはスタッフがついて、チームでやるんだけど。

 レースの世界がすっごくかっこよく思えたし、カーレースの魅力とか、車そのものの魅力とか、わかったような気になるほどに、すごくすごく面白くてよかった。

 優しい映画だった。夢とロマンだった。いい映画見た。大満足。

 

 

 

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