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映画 「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」

*ネタバレします。

 

 

映画 「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」

 

 

 ドン・キホーテの撮影中の監督、トビー。スケジュールがうまくいかず、現地スタッフといまいち英語が通じ合わず、機材トラブルも頻発。スポンサー、プロデューサーにせかされる中、かつて学生時代に撮った映画のDVDを胡散臭い男から買う。

 10年前、この近くの村で素人を誘って作った映画。それを見直し、トビーは撮影の合間にかつて訪れた村へいってみた。

 寂れた村。昔ドン・キホーテを演じてもらったハビエルという靴職人は、さらに年老いた今も自分をドン・キホーテだと思い込んでいる。トビーをサンチョと呼び、お供に従えて、火事から逃げ出して、混乱は深まっていく。

 

 

 私は、特にテリー・ギリアムのファンではない。「未来世紀ブラジル」はなんかの時にちゃんと映画館で見た、んだけど、なんか、ええと、何? シュールな感じ? あんまり自分はハマれなかった思い出。(そして細部は忘れている)

 今作は、構想から30年だっけ、トラブル続きで撮影が進められなくて、キャストも代わったりで、完成しない映画なのでは、みたいな噂っぽいのは知ってた。けどなんだかよくわからないでいた所、アダム・ドライバーが主演になったらしい、とかで、ついに完成~で、公開になるの楽しみに待ってました。

 

 で。映画を撮る映画。トビーはテリー・ギリアムの姿なのかなあ。ハビエルが思い込むドン・キホーテもテリー・ギリアムのことかなあ。

 かつてトビーが学生映画撮ったことによって、その村の人の人生のいくつかが狂った、と。

 寡黙な靴職人だったハビエルはドン・キホーテの狂気のまま。憧れの姫であった少女は、きっとスターになれるよという無責任なトビーの言葉につられて、都会へ行って夢破れ、今はマフィアかなんかの愛人をやっている。

 映画が人を狂わせる。生活を壊す。これって、この映画そのもののこと、ですか?

 

 シュールな画面が続くし、どんどん混乱とずらしが深まっていって、わからなくなる。どのくらいの気持ちで見ていいのかわからない。どこに軸を置いてみていいのかわからない。そういう狙い? けど、単に破綻してるようにも思える。わからない。

 で、こういうセンスだかなんだかに、はまれると凄い面白いのかも。けど、私何度か一瞬寝ちゃったな、って気を取り直して見る、って感じだった。後半にいってトビーもぐいぐいいくようになってからは面白かったかなあ。

 

 けど、アダム・ドライバー見たくて行ったわけで、その点でいうとめっちゃめちゃよかった! すごい! いろんなアダム・ドライバーの熱演が見られる! ヘンで振り回されてどんどんボロボロになって、でも主役になるアダム・ドライバー、トビー。

 ドン・キホーテに振り回されまくるトビーが、この映画で監督になんか無茶ぶりされまくってるんじゃないのアダム・ドライバー、って感じがしちゃう。面白い。

 見れば見るほど、アダム・ドライバー、いい役者だなあって惚れてしまう。ヘンで面白くて好きだなあ。

 

 ドン・キホーテと思い込むハビエルおじいちゃんを演じる、ジョナサン・プライス。ちゃんと認識してない俳優さんなんだけど、これもよかった。滑稽で悲哀。面白かった。

 「2人のローマ教皇」でアンソニー・ホプキンスと共演なんだっけ。これも早く見なくちゃ。

 

 キャスト、みんなすてきだったなあと思う。思うのに、映画としてはなんか素直によかったとか面白かったとかいう印象じゃないの。長年なかなか完成できなかったとか、なんか映画外でのごちゃごちゃがあるらしいなあ、全然知らないけど、っていう私の先入観とかがあるかなあ。監督のわがままに振り回されながら演じ切るキャスト、みたいに思ってしまうのかも。

 

 最後には、トビーが自分をドン・キホーテと思い込んで去っていくんだよ。まあ、そうなるかあ、と、納得はする。

 この映画が分かった気はしないけど、結構退屈もしたけど、それなりに、いやかなり十分、面白く見た。アダム・ドライバーを見て大満足もした。不思議~。

 

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