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映画 「キャッツ」

*ネタバレです。

 

 

映画 「キャッツ」

 

CATS

 私は舞台を見たことはないのですが。ロングヒットのミュージカル、猫たちの世界、というくらいのことしか知らないまま見てきました。なんだか評判が良くないらしい、なんか異様、みたいなネットコメントをちらっと見てしまったりして、けど、楽しみにしてて。週末は時間なかったので、今日、張り切って行ってきた。

 

 

 ロンドンのゴミ捨て場か。高級車から袋が捨てられる。その中には白い仔猫がいた。名前はヴィクトリア。

 周りには野良猫たちがいっぱい。袋からもがいて出てきた彼女に、猫たちは、選ばれた猫一匹が天上の世界で新しい命を得ることができるという、ジェリクルキャットたちの年に一度の特別な夜のことを歌って聞かせる。長老の到着。集まってくる猫たち。それぞれ得意な歌とダンスで競い合う。

 悪い猫もいる。マキャヴェティという猫は魔法が使えるのかな? ライバル猫をさらって自分を選べと強引に長老に迫る。だが長老は無事また魔法? 手品? で救い出された。

 かつては華やかなスターとしてもてはやされたことがあるものの、老いて街の片隅を隠れ歩いていたグリザベラ。思い出を歌う彼女にひかれたヴィクトリアの後押しで、皆の前で歌った彼女のすばらしさ。天上の世界へ選ばれたジェリクルキャットは、彼女だった。

 猫たちは観客に唄いかける。猫には敬意をもって話しかけてもいいですよ。忘れないで、猫は犬ではない!

 

 

 メモリー の、曲、歌。有名なので曲だけは知ってたのだけど、舞台の中で見ると切なさ倍増で、最初に聞いた時からうるうる涙がこぼれて仕方なかった。そしてもう一度、皆の前で高らかに歌い上げる、その、なんという迫力、強く切なく、魂震える。もーーー私、号泣。マジで。自分でもこんなに泣いてる客が隣にいたらひくわーって思っちゃうほどぼろぼろ泣いてしまった。映画館なのでなんとか声あげないようにがんばったけど、それでも、もう。大声あげて泣きそうなほどに心つかまれて泣いちゃった。マスクしてたけどマスク濡れまくり。

 メモリー。 今は老いの方が近くなって、疲れてる今の私に必要だったのかも。泣いて泣いて涙でデトックスさせてもらったー。

 メモリー。 華やかな思い出と、そこから追われて今は見る影もないという歌。孤独と、それでも気高さのある歌。名曲だなあ。凄い。同じメロディでヴィクトリアが歌うのもまたピュアピュアで切なくていいし。

 メモリー。 あの一曲だけでも途方もない満足感いっぱい。本当に本当に、今日見に行ってよかった。昨日新年会で疲れ果てたものね。映画ってすてきだ。

 

 

 ネットでキモチワルイみたいに言われてた感じは、まあ、そうかなあ。舞台なんだし人間が演じている猫、という前提は当然あって。それをヘンにCGでカワイイ猫チャンたちの世界とかを期待しちゃうと気持ち悪いのかなあ。私は人間の感じはまあ、そういうもんだろと思ってたので別にいいと思う。けどまあ、人間で、体の線がモロにわかるので生生しいよねえ。

 あんまダンスとかわからないけど、モダンとかコンテンポラリーだとかだと、ホントに全裸で踊ったりとかもある、よなあ、ってちょっと思ったり。

 で、そう、生身だなあって思うので、猫たちのじゃれあいとかダンスがとってもエロくてやばいドキドキする~って気恥ずかしい感じもしたりして、困っちゃうね。でもそれもいい~。

 

 で、あとキモチワルイと評判の、ゴキとかネズミとかのシーン。ゴキをつまんで喰っちゃう猫チャンたちな~~~。うへえ、ってあれは思っちゃうね~。けどまあ、コミカルでもあるし、私はそんなリアルにキモチワルイ無理、ってほどではなかった。

 

 ダンス! みんなみんなすっごい素晴らしかった! ヴィクトリアはほんとのバレリーナだそうで、当然素晴らしい。怯えておずおずとしてるところも、みんなにつられてはしゃいでいくのも。よそ者だから、という気遅れや捨てられた不安さ切なさ、なんかも。体全体で表現されてて、動きはとってもきれいだし猫らしく軽やかだし。可愛かった~。

 タップダンスとかもさっすがみせる~! これほんと舞台で生で見られたら最高盛り上がるだろうなあって。パーティシーン最高ですね。舞台だと、長老が攫われていっちゃうとかどうなってんだろうな。映画は映像マジックいっぱいあったけど。

 とにかくずっと歌とダンスとで、楽しめた~~~!

 

 長老がジュディ・デンチでね~。素敵だよもう当然。みんながあがめちゃうのわかるーって思うし。劇場猫、かつての名優というおじいちゃん猫ガスがイアン・マッケランよ。そりゃ~~名優でしょうよ!納得! だし。セクシーな悪い猫がテイラー・スウィフトだったのかな。そして悪い猫マキャヴェティがイドリス・エルバなのね! いや~~~猫になって全裸的に体のラインみせてくれるイドリス・エルバ悪い奴なんてご褒美じゃん!ありがとう!!!ドキドキしちゃった!

 そんなこんなでキャストもすごく楽しませてもらったし。

 

 これといって物語が複雑にあるってわけじゃなくて、それでも猫たちの姿、いろんな猫がいていろんな気ままさがあって、まだ怯える仔猫ちゃんも、年老いていってよろよろしちゃったり、それでも誇り高くあったり、それって人生なんだよねえ。猫たちの世界であり人生のいろんな瞬間なんだよね。たくさんの素晴らしい歌とダンスで楽しく華やかに、熱く切なく見せてくれる。それぞれの居場所をそれぞれにつかみ取っていく。あ~ミュージカル見た~って満足。

 

 猫は犬じゃない! という宣言も、あれは、犬ってなんかこう、多分権力の犬とか、人に従うとかいう感じに暗喩されてるのかな。犬は人間の良きパートナーって大事にもされるけど、人に従うみたいな良くない感じに暗喩されることもあるかーと思う。猫、つまり自由を愛して誰にもこびずに生きていくっていう宣言ね。自由を愛する作品なんだなあ。

 何はともあれほんっと メモリー 最高すぎでよかったし。泣かせてくれてありがとう。見に行ってよかった。よかったよー。

 

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