『怪談 牡丹燈籠』 (三遊亭円朝/岩波文庫)
『怪談 牡丹燈籠』 (三遊亭円朝/岩波文庫)
円朝の創作、怪談噺を書き写したもの、かな。中国の古典に典拠があるようだけれども、それをふまえて円朝が作った、噺。
って、円朝って、正直私はわからないんだけれども。文久の頃に作られた噺らしいとか、明治に初めて出版されたとか、らしい。
怪談としての 牡丹燈籠 は、前にも読んだことある。パタリロの漫画の中にあったんだっけ。怪談本で読んだんだっけ。ともあれ、お露という美少女が恋煩いの挙句亡くなって恋い慕う相手のところへやってくる、みたいな。お札はってこもってたのに、朝かと勘違いしてしまってあけるとそれは月光で、まだ夜。翌朝、骸骨に縋りつかれて男も死んでいるのが発見された、とか。
噺を書き写しているわけで、会話のていでぽんぽん展開していく。私が知ってた、お露の怪談部分はあるけれども、それ以前に、お露の父、飯島平太郎、のちに平左衛門となった武士のお家に、因縁めぐってかつて斬り殺した相手の息子が奉公にきて、その敵討ちに殺されてやるとか、わけを知ってもなお忠義の心は同じままで、殿様を裏切った妾と間男を仇と追っていくとか、なんかこう、武家の義理だ忠義だなんだかんだの人情話なんかが長く続く。
何回にもわたって噺していったものなんだね? 寄席にみんな続きを聞きにいかなくちゃって通ったって感じなのか。わからない、寄席の世界……。
読んでるとなんだかもう、みんなまだろっこしい、じれったい、んも~ってなっちゃう。けどそういう時代でそういう美徳とかそういう愚直とか、だったのかなあ。まあ、作った噺だからひっぱるようにひっぱるように、ずいずい作っていったからじれったいわ、もおーって気を持たせる感じなのかな~。面白かったけど、ああもう~さっさとやっておしまい! とか心の中で突っ込みながら、読みました。
しかしこんな昔の噺がこうして残ってるの、凄いなあ。口語文体のもとってこういう噺の記録がはじまりみたいなものなんだっけか。(文学史の記憶がもう……)今も面白く読めてよかった。
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