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映画「マザーレス・ブルックリン」

*ネタバレします。

 

 

映画「マザーレス・ブルックリン」

 

 

 1950年代のニューヨーク。調査会社をやっているフランク・ミナ。その下で働いているライオネル。彼はチック症や、突然叫んでしまったりする障害があるが、記憶力抜群。仲間と共に、フランクのバックアップをするために待機していた。交渉相手ともめたフランク。連れ去られた彼を追ったが、フランクは撃たれて倒れていた。

 フランクの調査していたこと、殺された謎を追って、ライオネルはまず調査対象だったローズという女性を見つけ出す。

 

 

 原作小説があって、それは1999年だかが舞台らしい。けれど、監督脚本主演、製作でもあるエドワード・ノートンは1950年代の、ニューヨークの再開発計画の頃を舞台としたのね。小説も読んでみたいなあと思ったけど、多分ずいぶんアレンジしているんだろうなあ。

 年代的にもクラシカルだし、物語も、クラシカルで。ほんと、探偵小説を読んだみたいな気持ちになる映画だった。渋い。かっこいい。もちろん映画だからこその、素晴らしいビジュアル、すっごいかっこいいジャズが鳴り響く。ファッションや車も、素敵~で。これもとってもとっても夢とロマンの込められた映画だった。

 

 主人公が困った障害がある、って、「ジョーカー」を連想しちゃうけど。この映画では、彼が突然叫んじゃったり、言葉の連想とかちょっと壊れた頭の中が声に出ちゃったりするのを、周りの人は、びっくりしたりしながらも、まあいいけど、って流す。

 特にボスだったフランクは、ライオネルの才能、記憶力やひらめきみたいな所をかっていて、大事にしてくれたみたいだった。フリーク、ってからかわれても、お前はそんなんじゃない、ってちゃんと言ってくれる。

 ライオネルの事務所で働いてるのは、かつて孤児院にいた少年たち、ね。もうみんなすっかりおっさんですが。フランクが救い出してくれた、仕事をくれた、居場所をくれた、そういう感じみたい。特にライオネルは、自分の障害をなんとかうまく扱うよう教わったり助けられたりで、すごくフランクを尊敬してる。

 その死、というトラブルに深入りしたくない同僚たち。けど、一人ででも追い続けるライオネル。そういう、仲間たちの中での微妙な空気とか、それでも仲間っていう感じとか、渋いよなあ。事務所のみんなたち、モブキャラ的だったりなんだけど、それでも彼らには彼らの人生があるって感じ。

 

 敵、というか、黒幕みたいなのは、行政官だかなんだかの、権力者だった。スラムを一掃し、NYに公園を、マンハッタン島に橋を、作って便利で綺麗な街にしよう、とする。市長みたいに表だったりはしない、けれど誰よりも街を仕切る権力を持って離さない男、モー。

 けれど、貧しい黒人たちを別の住宅を世話するといって追い払って、けれどその約束は守られることがない。家を追われ、街から消されてゆくマイノリティ。そこに抗議し、デモする人たちの中に、ローズはいた。

 

 フランクは何故殺されたのか、と。ローズがカギを握っているらしいけれど本人はわかってないみたい、彼女の秘密とは。っていうのが大きなストーリーかな。ローズは、実はモーがかつて手を出した黒人女性の子ども。その出生の秘密の証拠をバラせば、選挙で不利になるだろう、と調べ上げたのがフランクで。証拠の書類をめぐっての殺人だったのね。

 街の再開発を強引に進めさせないためにも、ローズが切り札になるはす。だけど、ローズは傷つくことになる。ともに身寄りのない孤独な二人として心が近づいた二人。ライオネルはローズを守るために、モーの秘密の書類は秘密のままにする、と約束した。ローズに決して手を出すなということで。

 

 権力の腐敗とか、貧しい人々の行く末とか、かなり壮大なトラブルがあきらかになりながらも、結局、ローズを守る、というところに着地して、シンプルな結末だった。

 それでもモーではなく市長の方の不正腐敗の証拠を新聞記者に渡したので、それなりに糾弾はあるだろうなあという所。

 大都会の孤独、とか、欠落を抱えた男と女が出会い、優しい夜をすごすとか、ものすごくクラシカルに夢とロマンだった。クラシカルに、とはいえ、やはり今の映画なので、簡単に寝たりはしない。一緒に寝るけどほんとうにただ、父のように育ててくれた人を殺されたローズを落ち着かせるように、そばにいて、添い寝。

 細やかなあれこれがみんなとてもやさしい映画だった。ライオネルの障害とか、男女の親しみとか、みんな、優しい。殊更なことがなく、ただ、そういうもの、っていう描き方がとても優しいと思った。

 「ジョーカー」のアーサーがここにいたらジョーカーにならなかったのに、って思っちゃうねえ。

 

 ブルース・ウィリスがフランク役。出てきてわりと早々に死ぬんだけど、すっごく渋く素敵で軽やかでもあって、かっこいい、いい役~。そっかーかっこいいんだなブルース・ウィリス、と思う。

 モーと、実は兄弟であるポール、追い出される住民たちの味方で野次ってたりする男、を、ウィリアム・デフォーが演じてて。最初、お、ウィリアム・デフォー。ゴッホだ、と連想しちゃった。貧しくて偏屈みたいな感じで出てきてて。ちょっとしたゲスト登場なのかと思ったら、実はかなり深い兄弟の確執抱えてるみたいな人物で、あーやっぱ重要人物だったのかーとやられた。けど、兄弟の確執が何なのかはいまいちよくわからなかったんだけど。ポール、建築家かなんかなのか? モーの街の再開発計画っていうか、街づくりの計画の理想を作ったりしていたのかなあ。最後に返されてた書類は、何? 計画書かな? なんかあの兄弟すごく業が深い過去とかありそうと思いつつちょっとよくわからなかったのが残念。本読むべきかなあ。

 

 そしてジャズ。私はジャズぜんぜんわかんないけども、ジャズめっちゃかっこいい~すてき~~~とうっとりなってしまうほどに、この映画の中でジャズ、すっごくよかった。ジャズ。これもNYの一部って感じなのかなあ。本当に、ロマンチックでもあり、深くかっこよかった。

 

 あとライオネルが猫飼ってた。孤独には猫だよねえ~可愛い~。出番はちょびっとだったけど、ねこ、可愛い。ライオネル、出ずっぱりになり、ボコられたりもしてて、あんまりちゃんと家に帰れなかったりしてたけど、猫ちゃんのお世話は大丈夫なのかね、ってことがちらっと心配でしたよ。あのあとも猫もいっしょに、暮らしてね。

 

 今作、いまいち話題でもないし、動員数もあがらなさそうだけど、まあ確かにどーんと派手に面白いっ!ってなるものでもないけど、ちゃんと面白いし、渋い、かっこいい、優しい、いい映画だと思う。おしゃれだよー。音楽もいいよー。キャストみんな素敵でうまいかっこいいよー。夢とロマンたっぷりだよ。見に行ってよかったです。

 1/10に公開になった見たい映画が多すぎるよ。もー。

 

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