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『ゲイ・カルチャーの未来へ』 (田亀源五郎/株式会社Pヴァイン)

 

『ゲイ・カルチャーの未来へ』 (田亀源五郎/株式会社Pヴァイン)

 

 出版社がよくわからない。2017年刊。インタビュー、語り下しという本でした。編集、木津毅という人がインタビュー、記事まとめしたということかな。

 

 田亀源五郎という漫画家、と思っていたのですが、ゲイ・エロティック・アーティストというべきかなあ。

 はじめは「さぶ」に絵や漫画や小説を投稿して採用されたら原稿料がきた、というような、プロとしてというより投稿者のつもりでいた、とか。

 私は漫画をいくつかは読んでいて、今はTwitterフォローしてて、いろいろ知るきっかけもらったり面白かったりエロかったりを堪能させてもらってます。

 多分大昔、JUNE読者だったのみならず、さぶやアドンなんかも多少は見てて、なんとなく、絵を見たことはあって、多分。漫画読んだりは最近かなあ。『弟の夫』は漫画もドラマも見ました。

 

 最初に、同性婚の話がありました。世界中で同性婚が認められる勢いの時期だったのね。日本でもパートナーシップ制度が出てきたり。でもその、同性婚というのではなく。「ゲイ・マリッジ」ではなく「マリッジ・イクオリティ」という、結婚の平等という言葉の方への気づきの話。あーそうだ、と、すごく腑に落ちた。わざわざ同性婚というのを新たに認めてください、じゃない。結婚を平等に、という事。人は平等。基本的な人権の問題なんだっていうこと。人権。人権について、なんか日本では難しくて曖昧で、と思ってしまうけど、平等に、自由に、というのは、社会を営む中、番基本で大事なことだと思う。

 

 『弟の夫』は、けっこうハード目なゲイエロティック漫画家である田亀源五郎が一般誌でゲイではない人向けに描いているファミリー漫画、というので連載始まる時ずいぶん話題になっていた覚えがある。

 どんなふうにその連載することになったか、とか。そういう漫画を描くように心情変化があったかとか、経歴振り返りつつ語ってました。流れというかタイミングって、あるもので、そういうめぐりあわせみたいなのが訪れるとか掴めるとか、努力も実績も当然ながら、運みたいなとこもあるよねえ。人生、と思ったり。

 

 ゲイ・カルチャー、というのはやはりどうしたって海外からのものが多く、日本で話題になるのも海外のことで、でも日本にだってあるのでは、あるよ、なのにあまり注目されない。

 日本の有名人というか人気ある人が、ゲイアイコンになることがない、というの。暗黙の了解みたいになんとなくみんな知ってる感じだけど公言はしないとか、名前を変えてひっそりしてたり、とか。

 三島由紀夫がなんかゲイカルチャーにはしょっちゅう絡んできてるのがわかるけど、三島~~そんなに関わってんならなんで公言してないんだ、という苛立ちのつっこみあったの笑ってしまったけど。笑いごとじゃないな。結局言えない社会だった、とか、壁とか苦しさとか窮屈さとかあったんだろうなあ。

 日本は、同性愛が犯罪みたいな明確な規定はなかったけど、なのでいっそう、黙ってればいいとかいう風に今も波風立てたくない方向に、クローゼットに偏りがち、かも、みたいな。

 

 カミングアウトとかは個人的な問題で、したくないならしなくていいし強制的にアウトするべき、ってことじゃない。けど。結局誰も言わずにひそかになあなあで見なかったことなかったことにしてしまうのって、不自由を強いることでもある。

 わざわざ言って波風たてなくていいじゃない。という雰囲気もわかる。けど、秘密を抱えて苦しい時に、言えない、と思い込んでしまうことになるのは辛い。

 そんな時、先人に、アイコニックにロールモデルに、なる人がいるといいのに、という願いはこれからかなえられるんだろうか。海外俳優とかオープンゲイな人の名前はいくつも知ってるけど、日本人で、オネエタレント的な枠以外でオープンな人は、なかなか、うーん。

 ゲイだからどうこうじゃなくていい。人それぞれが持ついろんな属性の中、セクシャリティはゲイですが、という、それだけのことを、隠さなくてはいけない、いけないと思い込まされるのが辛い。

 

 それでも世の中変化していきているし、この所は本当に変化が早くて、社会がよくなるといいな、良くなってきてるよな、と思う。まだまだとはいえ、ゼロだった頃よりは1になってる。

 可視化、ということを言ってて、ほんと、不当な扱い受けてるんだという人の声を可視化、もっとできればいいし、それを見ないふりにしないようになるといい。私はなんの力もないただの人だけど、せめて、いろんなことたくさん見て、知って、考えることをやめないでいる。日本はダメとか海外は良いとかそんな単純なことはなく、世界中あちこちいろいろだし、日本の中でもいろいろだし。

 それにつけても田亀源五郎、つよい。自己肯定。自尊心。大事。

 フィクションはフィクションとして楽しんでいくのは勿論だ。えろい漫画も楽しみます。

 読みやすく面白くて、読んでみてよかった。

 

 

 目次

 イントロダクション

 1、『弟の夫』ができるまで

 2、性の目覚め、カミングアウト

 3、ゲイ・エロティック・アーティストとして

 4、LGBTブームと日本の現実

 5、ゲイ・カルチャーの未来へ

 あとがき

 

 

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