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『日常に侵入する自己啓発』 (牧野智和/勁草書房)

『日常に侵入する自己啓発』 (牧野智和/勁草書房)

 

生き方・手帳術・片づけ

 

 ツイッターで見かけて、気になったので読んでみた。2015年刊。この前に『自己啓発の時代―「自己」の文化社会学的探究』というのを出しているそうで、その後のこれ、ってことらしい。

 

 特に年末。手帳術とか気になりますよね。自己啓発モノには基本的に私は興味ゼロなんだけれども、なんとなく、手帳術、なかでもほぼ日にハマった時期があり、というか今もほぼ日手帳使ってる。

 そうじ力とか断捨離とか、ときめく片づけみたいなのをやろうとしてたりもしたわ。一応、そこそこはやった。

 しかしどうしたってめんどくさがり、飽きっぽいワタシは、手帳術だとか断捨離だとか、教えどおりにできるはずはないのだった。一応、一応なんとなくは、自分なりにものすごくトーンダウンしてうっすら維持してる感じはある。

 

 書店員してた頃だったよなあ。自己啓発本の波があって、そうじ力だとか捨てるだとかの波があって、手帳が、時間管理みたいな所から夢を叶える!みたいなのがきて、って本、売り場の感じをすごく覚えてる。シンプルライフみたいなのがあって、ていねいな暮らし、みたいなのがきて、っていう、なんだかそういうのを、最初は面白く思い、ちょっとハマったりして、けどなんか私はちょっと、もう、疲れちゃった……と、あっさり降りた感じがあって、そのなんだか、これって、何? という感じがうっすらずっと自分の中にありました。

 この本読んで、あ~こういう流れですか、ですね、って、ぼんやり思ってた感じ、が、言語化されてふむふむ読めて面白かった。

 

 自己啓発、主に男性向けだと、まず何はともあれ仕事。仕事においてデキる人間になろうって所。手帳術、時間管理効率化も仕事、思考を管理するコントロールするという所から。そして夢、というか目標だろうか、それから逆算して時間分割、管理していこうという感じ。

 女性向けだと、まず何より「自分らしく」というワードが共通してあるらしい。日常の中、このままでいいのかという不安をあおって、自分らしく輝きましょう、自分の好きを見つけてなりたい私になろう、という感じ。

 

 自己啓発の世界って、価値観が保守的~。男は仕事、女は生活、みたいな感じ。勿論おおざっぱな傾向として、ってことだけど。

 んでもこの本からもう少し時間たってるから多少は変化してるんだろうか。けどやっぱ、男は仕事っていってそう。女も仕事、ってなってそうだけど。いやけど、男も自分らしく、っていう方向にもなってそう。*個人のイメージです、が。

 

 自己啓発本の流れあって、手帳術、片づけも、昔から言われてることの味付け変える感じかなあ。最初は手帳も片付けも、ツールというか、効率化みたいな所から、夢! とか、人生を変える! とかになっていった。

 夢、自己実現って、そんなに求めなくちゃいけないものなのか……。求めたい人、が、いるってことかなあ。

 でもこの不況続きになってから、自分の内面、精神、みたいな方に向かうんだなあというのは、腑に落ちるというか、うーん。私は、そういうの、息苦しいよなあと、改めて思いました。

 

 自己啓発本を読んだ人、のコメントもあった。読んで、忠実に実践、というわけでもないようで、ですよね、と思った。読んでみて、10紹介されてるこうしようってことのうち1つか2つくらい、取り入れてみる、とか、いろいろ読んでみて確認しながらまたがんばったりする、らしい。つまみ食いしつつって感じね。なるほど。

 

 近年になるにつれて、ぺージ当たりの文字数は減る傾向、とか、文字が大きかったり図版、イラストも多くなるとか、そーだねーと思う。本、文庫も、文字は大きめになってきていて、それはまあ読みやすくていい。私もすっかり老眼はいってきてますし。

 本、出版事情っていうのも、大変ですよねと思ってみたり。

 

 この本は丁寧にたくさんの本のデータあげてて、表とかあったのに私は丁寧に読まなくてごめん。言葉遣いが、私には久しぶりに読むちょい硬めな感じで、あー私は全然いい読者じゃなくてごめんと思った。けど読んでみてよかったし面白かった~。

 

 はじめに

  • ハビトゥスとしての自己啓発
  • 「ヘゲモニックな男性性」とそのハビトゥス
  • 「自分らしさ」という至上原理
  • 「今ここ」の接合可能性―手帳術本の三五年史
  • 私的空間の接合可能性―家事の自己啓発的転回と私的空間の聖化

 終章  自己啓発の時代のゆくえ

 あとがき

 参考文献

 

 

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