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映画 「残された者 北の極地」


*ネタバレしてます。


映画 「残された者 北の極地」


 11/8(金曜日)に見てきました。11/8はマッツの日、とファンの間で記念日だったの。「残された者」と「永遠の門」というマッツ出演の映画が二つ同日に公開。ゲームの「デス・ストランディング」にもマッツ出演、出演? で、発売日。
 ゲームも予約してたの受け取ってきたし、映画も一つ見に行ったのだ。

 荒涼たる雪原の中、一人の男が歩く。雪を掘って何か地面の様子をチェック。ひとしきり作業した男の腕時計から小さくアラームがなる。上空からの映像に変わると、歪な文字で「SOS」と描かれている。男は、遭難者なのだ。

 マッツ演じるオボァガード一人が、延々と遭難し救助を待つシーンが続く。一人きりなのでほぼ無言。歩き、魚釣りの仕掛けを確認したり、少し小高い場所へ行って救難信号を手回しして電源起こして? なのかな? で、一定期間発し続ける。時計の小さなアラーム。ストイックにもくもくと、自分が決めた作業をこなして、眠る。
 たった一人の遭難者。何の説明もなくセリフもないままに、彼の姿、行動でその場の状況を理解させてくる。細かいことははっきりわからないけれども、この過酷な状況はひしひしとわかる。見てるこっちも辛い。寒い。怖い。

 ある時、ヘリがやってきた! しかし悪天候の中、風に煽られたヘリは墜落。束の間の希望が絶望に。そしてヘリへ駆け寄るオボァガード。二人の乗務員、だが、一人は投げ出されて死んでいた。もう一人、女性パイロット(?)はまだ息がある。けれど怪我をしていて、喋れる状態ではない。それに、言葉も通じないかも。アジア系なのかな。
 ヘリにあったメディカルキッドで応急手当はするものの、他にどうしようもなく、ひとまず自分がねぐらにしてる、自分の方の墜落した小型飛行機に彼女をつれていくオボァガード。ヘリから地図や使えそうなものを持ってきて。じっと助けを待つ。

 しかし彼女は衰弱していく。地図を見れば、北に観測基地があるようだ。うまくいけば、数日で歩いていけるかも。しかし動けない彼女を引いて。荒地、山を越えることができるのか。天候は? それでも、ただ彼女が衰弱していくのを見ているだけよりは、少しでも助けられるかもしれない行動を起こすべきなのでは。
 静かに決意を固め、オボァガードは出発することにした。

 で、歩き出してからも困難につぐ困難。北極は人間には向いてない場所だよね。過酷。装備とかなんとかいろいろ工夫していってるけど、厳しい。
 途中、旗の場所、ってのがあって、あー多分ここまでは助けを求めようと歩いたことがあるんだろうなあと思う。けれど、挫折して戻ったんだろう。一人じっとしていた彼が、もう一人の人間と出会って、行動を起こす。

 「生きる」ということ。ただ生存しているだけだった男が、人間らしさを取り戻していくこと。そういう映画なんだ、とマッツのインタビューなどでもあり。
 本当に、ただそう、じっと助けを待つだけのルーティーンの中から、危険に立ち向かっていく姿への変化が鮮やかで。でもぎゅっと心苦しくて。辛い。

 言葉が通じてるかどうかわからない彼女に、大丈夫だ、と言う。彼女がまだ生きていると確かめるために、手を握って、と促し、眠る彼女の呼吸に耳を寄せる。しかし、動けない彼女を引いてゆく雪原は厳しく。地図で見た以上に山は厳しく。どうしても彼女を引いて山を越えることができない。一人だけならよじ登っていける崖に近いような坂、そこを超えれば、道はもうあまり険しくなさそうだ。けれど、どうしても彼女をひっぱりあげることができない。結局当初の予定より大幅な回り道をしていくことにするんだけど。
 あーここで彼女を置いていけば。とか思っちゃったりして私の心が苦しい。

 吹雪をさけてうずくまったり。岩穴で休んでいたら白くまに襲われかけたり。貴重な発煙筒を一つ使って難を逃れる。
 どんどんぼろぼろになっていく。彼女が重い。衰弱していく彼女はもう死体になってしまうのでは。彼女を置いて行けば、自分だけは助かるかもしれない。

 一人で歩きだしたオボァガードは、隠れていたクレバスに落ちてしまい、足に怪我を負う。必死にあがいて脱出はできた。そして、彼女の所へ戻る。「ハロー」と、彼女はかすれた声で言った。
 「ハロウ」と、彼も答えた。ごめん、と、心から悔いて泣き崩れるオボァガード。そしてもう一度、彼女を引いて、歩き出す。

 この中で、マッツは何度か涙を見せる。一人雪原を眺める時、じっと遠くを見つめる目に涙が浮かぶ。彼女を見捨て、また戻った時涙を流す。その涙の、なんてうつくしい。こんなに追い詰められて、それでも人間らしく生きる行動を起こす姿。うつくしい。
 超人的パワーがあるわけでなく、特殊な訓練積んでるエリート軍人みたいなわけでもなく。パイロットらしいので、多分、多少は緊急時の訓練みたいなのはしてるんだろうけれども、普通の男でしかないんだよなあ。苦しいし、弱い。それでも、彼女を助けようと、頑張っていくんだよ。凄い。

 数日進んでいって。ある時、遠くにヘリ、多分なんか調査をしている人がいる。発煙筒をたき、上着まで燃やして注意をひこうとするが、ヘリに声が届かない。ここにいるんだ!ここに! と、初めて大声をあげるのに。その声はかすれているし、もうボロボロすぎる。
 ほんっとに見てて苦しかった。辛い。見えるところに希望が。しかし絶望になってしまう。
 ヘリが飛び去ったあとに、それでもまた彼女に、大丈夫だ、といってまた手を握るオボァガード。ぐったりと地に倒れる彼。
 大丈夫、君は一人じゃない。そういうけれど、それはつまり自分への言葉でもある。一人じゃなくて、二人だから、歩き出すことができた。一人じゃない。一人じゃないから。握った手がある。ここにいる。

 そしてその背後にヘリがまたきて着陸してくる! という所で終わったーーー。

 あれ、は。結果どうなの。二人はちゃんと助かった?? 私は、助かったんだと、思いたい。きっと間に合ったんだって、思いたい。助かったんだと思う。だって、神様。オボァガードはあんなに頑張った。あんなに、あんなに、あんなに大変な苦しい辛い中、彼女を助けようとした。助かったんだって、私は信じるよ。

 見てて、もう早々に、辛すぎる。こんな、過酷すぎる。もう、見てるだけなのにツライ、結末教えてもう終わって。って願ってしまった。ほんとうに側についてる気持ちになってしまう。大丈夫、って私も彼らに言ってあげたい。あー。苦しいってなる。
 上映時間は97分なのに、ものすごく、ぐったり疲れたよ。すごい。引き込まれまくり。本当に、その場の状況に限ってて、余計な言葉も説明も回想も何もなし。潔いつくりの映画。
 マッツが素敵でずっと見ていたいけれども、こんな過酷なの見てられないという、心が引き裂かれることになる映画。うつくしかった。

 ツイッターでマッツ情報を追いかけてるので、この映画の撮影始まったよーとか、仕上げてるよーとか。カンヌで売り込みしてるとか、公開する国が決まっていってたり、そういう映画ができていく過程、状況をお知らせされるごとに見続けてきた。やっと日本でも公開ですかと、感慨深い。ハリコンこみでの日本でのプロモーションで、雑誌やインタビュー記事がたくさん今見られるのも凄い。嬉しい。すごい。
 状況は過酷すぎるんだけれど、雪原に青空だったりで、画面が眩しく明るかったりもして、マッツの表情がすごくよく見えて。涙も綺麗なんだー。うっとり。でも辛い。ほぼずうっとマッツの一人芝居。ほんっと見応えある。ほんと上手いんだよなあ。セリフなくても、わずかな視線とか動きだけで物凄く伝わってくるものがある。佇まいだけで魅せるんだよねえ。かっこいい。素晴らしい。見られてよかった。大好きだー。
 

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