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ドラマ「ブレイキング・バッド」とその映画「エルカミーノ」を見た。

*ネタバレしてます。

 

 ドラマ「ブレイキング・バッド」とその後の映画「エルカミーノ」を見ました。

 

 「ブレイキング・バッド」は2008年から2013年まで全5シーズンのドラマですね。すっごく面白いと評判になってたのは知ってましたが、見たことなかったです。そのうち見たい、とは思ってた。そして、今年の10月に、Netflixで配信になるとのことで、この機会に見るべし、と思って見ました。
 S1を見たら、7話だったので、よし頑張って一気見だと思ったら、S2からは13話だった。しかもS5は16話だった。さすが長い……。

 

 冴えない高校の化学教師が、癌になってしまい、高すぎる医療費をなんとかするためにドラッグを作り始め、こだわりの高品質のおかげでマフィアから引っ張りだこになる話。みたいなうっすらしたイメージで見始めたのです。

 

 しかし、始まりの頃には、まあ確かに50歳の誕生日を迎えたおじさん教師ウォルター・ホワイトが、ドラッグ作っちゃいましたが。とにかく金がない。癌でショック。妻スカイラーは妊娠中。今いる一人息子ウォルターjrは脚が不自由でいつも杖ついてる。ちょっと言葉も不自由。妻の妹であるマリーは窃盗壁の問題を抱えてる。マリーの夫、ハンクはDEA、麻薬取り締まり捜査官。この、ウォルターの家族問題が中心なんだよね。
 
 ジェシー・ピンクマンは元ウォルターの教え子。ひょろっとした若者。ドラック作って売ってる。ハンクの捜査についていったウォルターがその逃亡を見逃したことから付き合いが始まる。付き合いというか、ウォルターの相棒になるというか、ならされるというか。俺が最高のドラッグ作ってやる、と決意したウォルターの手下にならされちゃうジェシー。ほんっと、彼はウォルターに振り回され奪われ続け、酷い目にあっちゃうよなあ。

 

 家族の問題、医療の問題、ドラッグ商売が横行していて、暴力が隣り合わせの街。様々な要素が次々絡み合って、ウォルターとジェシーに次々ピンチがやってきて。ドラッグ作った~売れた~金儲かるぞ~って、全っ然、簡単なことじゃない。
 中でもやっぱり家族問題が一番大きな割合で、あれ、なんか、ドラッグとマフィアでド派手なドラマかと思ってたけど、そうでもない? と思いつつ。むしろ家族問題とかあんまり見たくない、なんて思ってたんだけども。

 

 ウォルターのキャラクターがほんっと絶妙で。周りからどっちかというと軽く見られる小心者のお人よし、授業でも生徒に馬鹿にされてるような、そういうさえないおっさんとしてあるんだけど。徐々に、道を踏み外し、その踏み外した道を立ち止まらずにむしろガンガン突っ走っていくその変化がじわじわと物凄くてびびる。

 

 見てる私も最初はおっさん何おっぱじめちゃってんの、危ないよやめときなよー。家族のためって言いながらそれってダメじゃーん、とまるで生徒たちみたいに、このおっさん何やってんの、って感じで見てたのに、話が進むにつれて、いや、なんか、ウォルター酷くない? そこは越えちゃダメな一線じゃない? いやまあ最初から越えちゃダメな一線、ドラッグ作って売っちゃうぞってのが最初からダメっちゃダメなんだけど。

 

 邪魔者を殺す。死体を硫酸だかなんだかで溶かして消す、みたいなとこへ、行くか??? え? ウォルター、小心者だけど科学的知識はある秀才で、癌になってブチ切れ、みたいな、けど、たんなる冴えないおっさんなのでは?? 違う? おっさん、おっさん……ウォルター、怖い。酷い。
 と、どんどんウォルターの進む道にドン引きして怖くなってくる。

 

 それでも家族を守るとか、愛してるとか、それはホントの気持ちで。だけど。でも、でももうそれ家族壊れてるよね? 壊したのは自分だよね? 
 家族とは……家族を愛してるとは?????

 

 癌患者とは。患者と家族とは。そんな問題もすごく深くて、難しい所なんだよなあ。
 シーズン進むと、ウォルターの癌はいったん緩解するんだけれども、ハンクが怪我しちゃったり、スカイラーが職場で不正にかかわっててとか、何かと金がいる、金さえあれば。みたいなことで、ずーっととんでもなく金がいる事態が起きてって、ますますウォルターは金に執着していく。

 

 けれど、最初は自分が死んだあとにも家族を守るために金を残さなくては、って始めた事だったのに、本当に欲しいのは、これまで自分が馬鹿にされ不当に扱われてきたことへの復讐のようなことだったんだ。復讐というか。俺には誰にも出来ないもっと凄いことができる、やってやる、という。
 終わりの方では、ジェシーに、帝国を作るんだ、とか言ってた。自分の帝国。ドラッグ界の帝国。それが不正であろうとなんでもいい。誰からも畏れられて仰ぎ見られる存在になりたいんだ。

 

 それでも最後まで、家族のためとか守るためとかいう口実にしがみついていたのに。最後の最後では、「自分のためにやった」とスカイラーに静かにぽつりと言うの。

 

 ウォルターが極悪人になっていくほど、すごくすごくすごく物凄く引き込まれる面白さで、ほんっとこいつ極悪人で泣いた。家族を愛してる、守りたい、というのは本当だろう。だけど自分の次に。自分の思いの暴走を止められなかった。止めるのをやめてしまった。本当に酷い男。

 

 ジェシーは、最初はS1で死ぬ予定のキャラだったらしい。けど、パートナーとして、ウォルターと対称的に、ただのダメヤンキージャンキーだったのが、とてもまっとうな心を持ってる、愛情を持ってるキャラクターとして描かれていく。ウォルターの暴走についていけず、耐え切れず、弱い普通の男の子って感じだったりする。泣いちゃうし。ほんっと可哀相で可愛いの。

 

 ウォルターがなんだかんだジェシーをパートナーとして手放さないのは、なんだろうなあ。便利な手下が必要ってことでもあり。けど、自分の支配下に取り戻すために、随分手の込んだやり方をしたりしてて、ほんっと、なんでジェシーをそんなひどい目に遭わせるのーって泣いちゃうよ。結構マジで相棒、腐れ縁、初めての時から一緒だったからみたいな感傷的な所も実際あったとは思うけどねえ。ほんと、関係性が複雑というか単純に割り切れないのが凄く好きだ。

 

 最後にはウォルターはジェシーを助けたし。自分がしでかしたことすべてにケリをつけて自分も死ぬ。でも、それは解決ではないんだよなあ。本当に、極悪人が極悪人として死んだって感じ。マジで悪人が主人公でバッドだった。凄い。

 

 そんなこんなで、シーズン5まで、一か月半近くかかって見終わった。途中疲れちゃうので見るのやめたり。他にもいろいろあるしー。一気見はやはり無理だった。

 

 

 そしてそして。映画「エルカミーノ」

 

 ドラマが終了してから6年たって。どうして? どういうの? と気になって、これを見るためのドラマを見たのだ。まあいい機会になった。すごく面白くてよかったし。
 実際の時間は経っていても、映画の時間は、ドラマ終了時直後からだった。

 

 ジェシーに、友達がいてよかったし。マイクとの会話はうるっときちゃう。マイクがアラスカおすすめだったんだねえ。
 ジェシーは、マイクや、ウォルターにも、ちょっと庇護欲かきたてるとこあって、お前ちゃんとしろよまっとうになれよみたいなこと言われたりするんだよな。
 だけど、また利用されて奪われてしまうんだよなあ。自業自得なんだけどな。でもなー。ツライ。

 

 ジャックたちの所から脱出できて、けれどまた金がなくて大変だし。ジェシーもまた、必要なら、相手が悪い奴、邪魔な奴ってなったら、殺す、という選択をする人間になってる。まっとうさを持ち合わせながら、だと思うけど。

 

 回想というかフラッシュバック、トラウマみたいに、ジャックたちの所で檻に入れられていたぶられていた事とか、トッドに連れ出されたと思ったら、死体処理を手伝わされてとか、ドラマで描かれてなかったところもあり。
 トッドが、マジでサイコパス。かっこいいタイプじゃなくて、マジで、心が欠如してる。ほんのちょっとでも邪魔ならすぐにパンって人殺す。本気で人命尊重のためらいとか一切ない。ドラマの中でもヤバイやつってのはあったけど、マジもんでマジ酷い。一見普通で、一見控えめそうで、大人しい青年って風で、そのテンションのままで人殺す。怖い;;
 
 ジェシーが連れ出されて、トッドの自宅だって所に連れ込まれて、えっ、えろいことやられちゃう? とドキドキしたけど、そんなもんじゃなかった。もっとひどくジェシーの気持ち壊すんだよなあ。酷い。
 トラウマっぽくなってたの当然だ。ジェシー、逃げ延びてちゃんと生きていけるのか。トラウマ、忘れることができるのかなあ。

 

 ウォルターとの回想もあった。最初のころの、キャンピングカーでメス作ってた時だね。ウォルターが大学へ行くとかすればどうだ。なんて勧める会話。ウォルターは「お前はラッキーだな」って言う。「何か特別なことをやってのけるのに一生待たなくていい」って、ジェシーをちょっと眩しそうに見るの。
 ウォルターは50過ぎてようやく、メス作ってようやく、スペシャルな自分になれた、って実感し始めてた所なんだろうか。こんなスペシャルなこと、その若さでやってよかったな、という感じ。
 でも、ジェシーにとって人生めちゃめちゃにされる所なのに。まだあの時はかなり平和っつーか朴訥とした頃だったとはいえ。ほんと、ウォルター自己中……。

 

 それでも、あの時先生はああ言ってたな。って感じにジェシーは思い出すんだなあ。
 
 なんとか金集めることが出来て、ジェシーは別人になってアラスカへゆく。
 私、ジェシーがなんとか生き延びて、別の暮らしをしてる所、みたいな映画なのかなあと思ってたけど、その前の段階だった。アラスカで、ジェシーは本当にまっとうに生きていけるのかな。今度こそ、日の当たる世界に暮らせるのか……。

 

 いろいろ仕方ないとか身を守るためとかあったにせよ、ジェシーは人殺し側の人間になっている。生まれ変わることが、できるのかなあ……。また何かすごく邪魔、ってことが起きたら、人を殺してしまいそうで心配だけど。
 けど、真っ白な雪道を走る車で終わったから。
 これからは厳しくても清らかな世界へ向かったのだ、と、思いたい……。

 

 これ、何なら数年後、数十年後、地味な暮らしをしてるおっさんかと思ったらめちゃめちゃ肝の据わったジジイで舐めてかかったチンピラがボコボコにされてしまうみたいなことになるのでは~。そんなそれはそれで別の話、みたいな妄想もできてしまうわ。

 

 凄いドラマを見て、凄い続きの映画も見て、大満足。面白かった。映画作ってくれてありがとう。おかげで全部見ることができました。考えてみればウォルターが50歳から52歳になるくらいまでだから、作中時間としては2年程度。なんて濃厚な時間。その彼らの人生にがっつり付き合った気分。面白くて疲れる。見てよかったー。

 

 

 

 

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