映画 「永遠に僕のもの」
*ネタバレしています。
昨日21日水曜日に見に行きました。二本目。勝手に美少年映画二本立ての幸せ。
映画 「永遠に僕のもの」
2018年、アルゼンチン・スペイン合作。スペイン語なんだね。
舞台は1971年。ブエノスアイレス。12人以上殺害を重ねた犯人は少年だった、それをモデルにした映画。
カルリートスは、目についた屋敷に侵入し、気ままに盗みを働く。酒を飲んだり踊ったり。犯罪を犯しているといううしろめたさはゼロ。目についたものを手にいれ、だが執着はなく、人にプレゼントしたりする。
前の学校でトラブルがあったらしく、新しい学校へ転入する。そこで、カルリートスはラモンという同級生に惹かれる。工業学校の実習中、バーナーでラモンの髪を焼きかけて、殴られて。ともに校長室に呼ばれるがカルリートスはさっさと逃げ去る。外でラモンを待っていて、そのまま仲良くなる二人。
ラモンの家族に銃を撃ってみるようすすめられて気に行ったり、一緒に盗みを働くようになる。計画なんて気にせず、盗みを重ねるカルリートス。邪魔ものがいれば撃ち殺してしまう。
盗みも殺人も平気。ブロンドの巻き毛、見た目は天使のカルリートス。自分の親には大事にされて可愛がられてきた様子。ピアノを弾いて、両親を喜ばせたりもする。
ラモンと一緒に、宝石を盗み、そんな日々を重ねていくつもりだったのか。けれど、ラモンは絵を売り払うことをきっかけにゲイの金持ちと知り合い、その男に取り入って、テレビに出て有名人になりたい、という夢を抱く。
金とか、有名人になりたいとか、そんなラモンにカルリートスは複雑な思いを抱く。
宣伝のころから大注目美少年!みたいな感じで、しかしそーいって宣伝されても、期待外れかもしれないし~、と思いつつ、やっぱ美少年で連続殺人犯とかすごく気になるので公開待ってましたっ。
サイコパスって感じでもないんだよなあ。すごい。すごく、めちゃめちゃで、天使だった。凄い。憎しみも怒りも何もなく、あ、邪魔。ってことで銃を撃つ。最初こそ撃ってしまったことにちょっとびっくり、な感じはあったけれども、どんどん気軽に殺していく。
盗みにもためらいはゼロ。みんなもっと自由に生きられるのに、と、人間社会のルールを全く気にしないで、まさに踊るように生きてるみたいだった。天使……。
写真で見るより、ほんっと、ほんっっとに、映画の中でカルリートスは美少年だった……。映画の神様ありがとう;; オーディションにきてくれてありがとう;; この作品の中に彼の姿をとどめてくれてありがとう;; ロレンソ・フェロ、ほぼ新人らしい。綺麗だったけど、普段の時には普通に素敵だなーという感じで。映画の中では天使で悪魔だった、あの、あんな、あんな風になれる、撮られる、撮っていくの、すっごい。映画ってほんとうに、凄い~~~。
宝石泥棒してる時に、大きな真珠(かな)のイヤリングをつけてみるカルリートス。それ一つで、ぐっと色気が増す。マリリン・モンローみたいだな、なんて、ラモンも一緒に鏡をのぞきこみ、かっこつけるポーズをしてみたり。
ラモンは、ゲイじゃない、というかホモなんてキモイ、って感じだけど、金持ちに取り入るためには舐めさせたりもしてて、絶対拒否って感じでもなく。カルリートスとの距離が近くなっていく感じは、とてもドキドキする関係で、そっとラモンの肩に頭をのせる一瞬、くらいのわずかなふれあいしかないんだけれども、時代が違えば、それは恋、だったかもしれない。
けれど、恋となることはなく。ただただ、カルリートスのピュアさは、人間としては残酷すぎるんだろう。今のままでいたいカルリートスと、もっと金が欲しい、そして将来の夢とかに浮かれ始めるラモンはうまくいかない。
検問にひっかかり身分証明書を持ってなかったラモンを警察で見捨てたりもしてた。
隣にラモンをのせて。夜のドライブするカルリートス。眠るラモンを何度も見ながら、不意にためらいなくハンドルを切る。対向車と正面衝突。ラモンは死亡。カルリートスは生き残った。
あの事故のシーンの衝撃もすごかった。一緒に死ぬ気だったのか。生き残ってしまったのはたまたまか。「永遠に僕のもの」って、カルリートスがラモンを、ってことなんだろうなあ。凄い。自分の命さえ殺すことになんのためらいもない、黒い天使……。
これは、なんか、何この感じ。いうなればJUNEの香り、って思った。たまらなく美しい、狂おしく切ない。自分たちにも愛だとわからない、愛。
単純にセックスでもやっちゃえばシンプルな話なのに、そうはいかない。カルリートスの彼女の双子と付き合い始めたりしてたラモン。その女とっぱらって愛し合えばいいのに、そうはならないのなー。
ゲイの金持ちはラモンつれてっちゃうんだけど、ちょっとびっくり。カルリートスが、あんな美少年がいるのに、そっち!?? って思っちゃった。ラモンの男くさい感じの方がモテるってことなのか……。
とにかく、カルリートスのうつくしさに魅せられまくりで、ほんっとこの映画を撮ってくれてありがとうだった。
唇のアップが、何度もあり。唇、赤いの。口紅とかではなく。そしてよく手入れされたぷぷるぷる~とかじゃなくて、ちょっと荒れた感じもあったりする、だけどたまらなく赤い、柔らかそうな唇。水を飲んで濡れた唇。最高すぎる;; 巻き毛くるくるも天使だし。半裸でうろうろしたりもする、その体も、若くてあやうくて、鍛えたりしてない普通に男の子の感じで、もおおお~~~~。たまんねえな。
赤が似合う。赤いシャツ。赤いパンツ。赤い唇。踊る姿も素晴らしかった。
大きな瞳。涙を零すシーンがあったのだけれども、涙って、涙が、あんなにも大粒に透明にうつくしくたまってぽろっとこぼれるものなんだ;; 凄かった。どんな絵よりも完璧にうつくしい涙のこぼれ方だった。凄い。
ラモンの家庭は、犯罪一家ってことなんだろう。彼らと知り合ってしまったばっかりに、という気もちょっとするけど、うーん。彼らと盗みをはじめなければ、カルリートスは、空き巣とかはしてたろうけど、殺人まではしなかったのか。けど時間の問題だったのかなあ。
カルリートスの家庭は、まともにいい家庭って感じだったのにな。大事に育てられてきたのだろうに。カルリートスはああなってしまった。
ママの作ってくれるビーフカツレツ(かな)。それが好きで美味しそうに食べるカルリートス。両親にとっては可愛い息子でしかないんだ。ママに、普通の人はそんなに人殺ししない、みたいに言われて、いや別に普通だし? と、まったく当たり前みたいにしてるのが、ほんと……。天使;; 人間の世界とは別の感性で生きてる……。
脱獄? 逃走? して、ママに電話したら、ママは何事もないかのように電話受けてるけど、その周り部屋いっぱいに警官、とか、逃亡先に向かう警官たち銃いっぱい、とかの画面は笑っちゃった。
盗んだジュエリーをベッドに広げ、シャワーからもどったラモンの裸の股間に宝飾品盛って眺めてみるカルリートスとか。
ちょこちょこなんか笑っちゃうシーンもあって、しかし、これは、ええと?? 笑うところ? と悩んだ。ブエノスアイレスの感性がわからない……。殴られた頬を冷やすのに牛肉使うのは普通のことなのか???
思い出そうとしてもなんだか夢かな、と思ってしまうような、凄い、最高大好きな映画だった。よかった。大好き。映画ってほんとうにいいものですね……。
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