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『カササギ殺人事件』上下(アンソニー・ホロヴィッツ/東京創元社)

*ネタバレしています。

『カササギ殺人事件』上下(アンソニー・ホロヴィッツ/東京創元社)

2018年9月刊。
 発売は去年ですね。凄い! 面白い! クリスティ好きならば間違いなく読むべきみたいな絶賛評判で煽られまくってて、表紙も鮮やかで目について気になってました。でも正直、私は別にそんなにクリスティ好きでもないし、クラシカルなミステリに思い入れあるわけでもなく。そんなに面白いのかなあ、と、手を出しかねていたのです。けど、帰省のおともになんか電子書籍買っとくか、と思って、読みました。

 始まりは八月の雨の夜。「わたし」は大ヒットシリーズ、アティカス・ピュント探偵の九作目の原稿のプリントアウトを読み始めた。「わたし」はこの作家、アラン・コンウェイの担当編集者。ミステリ、本が大好き。さて、と読み始めた「カササギ殺人事件」
 舞台は1955年。とある村での葬儀が始まる場面から、その犠牲者のこと、村の人々のこと、息子やその婚約者。たんなる事故死と思われた最初の死は、もう一つの死を生んだ。
 自身が死の病にあると知らされた探偵は、一度は依頼を断ったものの、二つ目の死の報道に、やはり解決へと乗り出していった。
 そして。いよいよ犯人は。
 というところで上巻が終わり、下巻を読み始めると、なんと解決、結末の原稿がない。紛失? 上司の意地悪? わたし、スーザン・ライランドは週明けに出社して問いただそうと、ひとまず自分の推理をメモしてみたりする。だが、ニュースで、作者、アラン・コンウェイが死んだと知る。

 てことで、ええええ~~~っ、と、犯人判明を焦らされること二つ分のお話。作中作の犯人と、この作中での現実、アラン・コンウェイは自殺なのか他殺なのか。失われた原稿は? そんなこんなの謎解きでした。
 アラン・コンウェイは、ほんとはミステリ作家として有名になるより、もっと深い文学を書きたいんだ、みたいなことで、シャーロックを殺したがったドイルみたいに、自分の人気シリーズをこっぴどくからかって終わりにしたかった。とんでもないアナグラムで、読者をコケにするように。それを許容できない上司が犯人だったんですねー。パイ屋敷の方は、息子が、婚約をダメにしたくなくて、過去を葬り去るように屋敷の主人を殺してしまった。暴力的傾向って、なんだか、んー。まあ、そういうものか。

 そんなこんなでお話は面白く読みました。けど、やっぱりまあ、私の好みって、キャラもえ読みというか、このキャラが好き、って肩入れして読むのが自分にとっては一番楽しいことなので、この本の中の誰の事も好きにはならず、ふむふむとストーリーは楽しんだけれども、大好きだった!って満足感はなかったなあ。

 で、この、作中作の作者、アラン・コンウェイが自分の作品に仕掛けたアナグラムっていうのが、探偵の名前そのものが、ばかげたカントってことで、なーーんだその下品~って思って。まーそれが殺されるきっかけになるものだからまあ生半可なおふざけじゃダメなんだろうけど、ほんとに嫌な気分、読後感が作品そのものを読んだ後にも残るので、なんだかな~。私はこれ嫌い、という気持ちが残る。それは作中作品の作者アラン・コンウェイのことなんだけれども、なんとなーく、この作者、アンソニー・ホロヴィッツへの嫌な気分になってしまうな。

 別に私は上品な人間ではありませんし、下ネタばりばりおっけーなんだけど。やっぱこの読者を馬鹿にするやり方、それが酷いからこそ事件になったって重々承知の上でも、やっぱやだなーって気持ちが残る。やだなー。で、ひいてはこの作者そのものを信用できない気持ち。それに登場人物誰も好きにならなかったのも、私がこの作者と合わないってことなんだろうなと思う。私の個人的好みの問題。もう手を出さないようにしよーって思った。

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