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映画 「天気の子」

*ネタバレしてます。

 

 

映画 「天気の子」

 

 IMAXで見てきました。せっかくなら色鮮やかに見たい。
 
 とはいえ、正直あまり思い入れもなく。「君の名は。」がすっごく流行った時につられて見に行った。けど、まあ、そりゃあ綺麗だと思ったけれども、大好きってわけでもないなあ、と思った、そのくらいのテンションのままで今作も見に行きました。予告やCMにつられまくって。
 タイアップCM、すごく多いよね? 特にカップヌードルは耳につくので、本編で出てきた時笑っちゃって困る。まあいろいろ、商品名とかなんだかんだ、出てくるのは、んー、いっぱいタイアップできてよかったねと思うんだけど、んー。ああいうのを見て、現実の自分が手にしてるものたちがアニメの中に!って感動するのがよい見方なのだろうか。ん~。
 まあ私も好きな作品見てる時に目についたものとか現実のものであると喜んで買っちゃったりするかなあと思うので、まあ、うん。たくさん物品があるのもリアルな小道具と思うかな。

 そして梅雨が長くて雨降りの多い関東地方。今年の天気でこの映画公開になったの、すごく重なって感じられる。運だなあ。

 

 少年のモノローグで始まる。あの時、と彼は語る。僕たちは世界の在り方を変えてしまった、と。
 女の子が、病室で誰かの手をとっている。雨続きの外を眺めると、一筋の晴れ間が、ビルの屋上の鳥居を照らしているのが見えた。その光を目指して外へ出る女の子。そこは廃ビル。屋上の小さな神社。強く、強く願いながらその鳥居をくぐって、彼女は、願えば晴れになる力を得たのだ。

 

 フェリーに乗って東京へ家出してきた少年、帆高。16歳。大雨の注意を聞かず甲板に出ていた所、大きく船が揺れて、危うく転落しそうだった所をくたびれた感じの男に助けられた。命の恩人、といって子供に飯をたかるダメ男、須賀圭介。胡散臭げな名刺を渡して少年とは別れる。
 家出してきたものの、身元不明の16歳を簡単に雇ってくれる所はない。マックで飲み物一杯で夜を過ごす帆高に、ハンバーガーを一つくれた店員。そのバイト店員が、陽菜、晴れ女の力を持つ女の子。
 
 街をさまよい、野宿の場所も見つけられず、ごみ箱から銃を拾ってしまったりしながら帆高は捨ててなかった名刺の場所を訪ねる。結局バイトは見つからず、圭介の編集事務所、とは名ばかりの半地下の部屋へ、住み込み、雑用、記事書きの手伝いとして落ち着いた。ムーだとか、オカルト系雑誌の記事のネタを集めたり。そこには、夏美さんというきれいなお姉さんもいて、一緒に仕事をする。

 

 そんなこんなで人物は出そろい。あ。陽菜の弟、凪も。小学生なのにモテモテで彼女っぽい子が二人もいて仲良くしてる。恋愛の先輩、と帆高は呼ぶことになる。

 

 雨が降り続く中、晴れ女の力でお金かせげるんじゃない? とネットで売り込んでみたら、依頼がきて、稼げるようになって。大きなイベントにも呼ばれちゃったりして。
 帆高と陽菜と凪。街の片隅で身を寄せ合う子どもたち。

 

 しかし、天気の子、巫女の定めとして、天気をあやつる代償にいずれ消えることになるとか。そんな占い師や言い伝えの注意がありながら、晴れ女として自分の役割、人を笑顔にできてうれしい、と陽菜は言う。

 

 で、まあ幸せな時間は長くは続かず。家出少年として、また、うっかり銃を発砲しちゃったことで、帆高は警察に追われる身。誘拐犯になりたくない圭介には首にされる。姉弟、未成年二人だけで暮らしていた陽菜たちも、いよいよ保護されるかも、そしたら引き離されちゃう、嫌だ。というわけで三人で逃げ出す。
 子どもたち。
 子どもだけでもなんとかやっていける! とか、大人の助言が全部自分たちの邪魔にしか思えないとか。ああ~子どもだ。理屈も正論もない。ただただ、自分たちの感情の爆発に自分が振り回されていく。

 

 まあ、大人たちの方も素敵な良い人ってことじゃないけれども、まあ一応、それなりに大人のふるまい、でもある。職務とか立場とか、大人ってというか人ってやっぱ自分が大事でしょ、というのは当然。
 それでも、つまらない日常の中、ピュアな帆高や陽菜たちの姿は眩しくて、つい、力を貸してしまうのも、ほろ苦いぜ。正論はわかる。けど、それより大事なものと信じる方へ、走り出せ、と見送ってしまう。
 圭介さんが、実にダメな大人で、ダメさがかっこいい、というやさぐれ感ステキだったよー。小栗旬が声やってました。かっこいい。
 圭介さんもかつて、東京へ家出、かなんかで出てきて、妻となる人と出会い大恋愛、娘がいる、けど、妻は死んでしまった、喘息のある娘はあちらの実家に引き取られていて、父である自分は疎外されている。という、ヨワヨワな感じで、ほろっといっちゃうんだよねえ。

 

 晴れの巫女のように願えば天気を変えられる。少しの時間、狭い範囲だけど。そんなファンタジー。ボーイミーツガールの王道のキラキラな恋。貧しくて、食事はカップラーメンでも。ポテトチップスで味付け? で、チャーハン作るとか、豆苗を水につけてて二回目の収穫してんなーとか。そんな節約生活みたいな中、けれど、心から美味しい~、いただきまーす、ってする。若くて、恋、の自覚の一歩手前の何よりもだれよりも仲間だ、という嬉しさいっぱいの二人。
 青春が眩しいぜ……。

 

 ファンタジーだけれども新宿あたり、東京の街はリアルに描きこまれていて、あーあの辺、ってすぐわかるような背景。ただただ雨が降り続け、水が跳ね、晴れが広がる瞬間は最高に輝く。水の塊の中に魚がいるとか、謎は、天には別の世界がある、という証だろうか。

 

 相変わらず少年がお姉さんの胸の谷間みてドキドキ、とかやってますが。その感じで繰り返された「どこ見てんのよ」が、終盤の、陽菜の体が透明になりかけてる、という所で言われると、どうしようもなく切ない言葉で。これはうまかった。
 東京に降り続く雨。異常気象。けれど、陽菜が人柱として天にめされれば、きっといつもの夏がくるよ、と、いう。そして陽菜が消えたあと、確かに晴れて夏がきて。
 
 けれど、帆高はあきらめない。本当は陽菜のほうが年下で、今月18歳っていうのは嘘で。帆高と陽菜と凪と、三人でいるだけで幸せだった時にも、本当は自分が一番年上だったんだ、って知る。そして無茶苦茶をしまくって、天の陽菜を迎えにいった。天気なんかどうでもいい、晴れなくてもいい、と、陽菜と共に地上へ戻る。帆高の方が竜神的なものなんじゃないのか―? とちょっと思った。冒頭、わざわざ大雨になるっていう時に大喜びで甲板に出て行ったじゃん。あれなんで。特に説明なかったような。ん~。

 

 三年後、ってことで、帆高は実家に戻って高校卒業で、進学のために東京へ。あの日から、雨はやまず、東京は水没している地域がいくつも。それでもなんとか、人々は暮らしているし、大昔は海だったりしたし、天気なんてもともと狂っていたんだ、お前たちのせいじゃない、と、行ってくれる圭介。会社が結構まともにちょっと大きくなっていた。猫ちゃんも大きくなっていた。
 三年、保護観察の身だった帆高は、あれから陽菜に会ってなくて。でも、やっとまた、会いに行って。坂道の上で陽菜は小さく祈っていた。駆け寄る帆高。僕たちは、大丈夫だ!

 

 ってことでめでたしめでたし。ですかねえ。
 本当に綺麗な映画で、汚いところさえ綺麗で、ダメなことも綺麗で、素晴らしくきれいに作り上げられていた。若者の無鉄砲さや閉塞感、その中での希望、絶望、未来。大人のやるせなさやつまんなさも責任も、あった。世界を変えてしまうけれど、恋にひたむきな爽やかさの力がすべてを突破していく。
 感動的だし面白かった。けど、ん~。私はやっぱまあ、あんまり好きにはならない。若者たちの素直な恋が眩しすぎるよ……。
 というかまあ、私が、ヘテロな恋バナに根本的に興味が持てないので、ああそうね、よかったね、と、100歩下がって見てしまうからなー。そうじゃなかったら好きになって感動するだろうか。わからない……。

 

 世界より君が大事!っていうのは、とてもよくって、子どもに運命背負わせるんじゃねーよ、と思うので、帆高くんたちのせいではないよ、っていうのはその通りで、そういってあげてよかった。

 

 しかしまあ子どもだからこそ、陽菜ちゃんちに警察とか児童相談所かなんかの人? 状況把握してたっぽいのに、母が亡くなってから何か月? 二人だけのままにしてたんだか。実は15歳とかって、義務教育のうちってわかってるのに、何故。登校拒否とか扱い? 父がかえってきますとかなんとか嘘ついてたりしたのかなあ。
 子どもだけの世界のキラキラは、とっても良いんだけれども、なまじ現実的背景みっしりだったりするので、そんな根本的なとこが気になったよ……。
 東京、あんなに水没してタイヘンすぎるだろ、とか。まあ、勿論天気のせいなんで、人為で気候を変えることはできないでしょーから、仕方ない、仕方ない、かねえ。けどハリウッド映画ばかり見て地球がしょっちゅう滅亡しそうな世界観に慣れてる私は、まあすごいタイヘンだ、と考えちゃうけど、同時に、ま、関東地方だけのことなら規模は小さい、とか思っちゃったり。いやいやタイヘンなことだよ。

 

 あと「君の名は。」キャラが出てた? ちょっと、ん? と思ったけどまあ、それはまあいっか。他にも多分なんかオタク的サービスがあるのかな? よくわからない。
 映画始まる前のCMで、白い犬お父さんが出てるぞ、探してね、みたいなのが流れたのも笑った。探さなかったけどw
 ともかくあの「君の名は。」の新海監督の新作です!!!みたいな世の中の期待があるんだろうなあと思った。大変ですね監督。けどほんとよくきれいに作り上げてるなあと。見に行ってよかったです。見たぞ、と安心できるから。
 

 

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