『クロストーク』 (コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
*ネタバレしてます。
『クロストーク』 (コニー・ウィリス/新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
2018年12月刊。
ブリディはコムスパン、携帯電話メーカーに勤めているアイルランド系の女性。親族の過干渉に悩まされる日々。会社はアップルとは違うさほど大きくはない所。新規アイデアが勝負。噂好きの社員たちに、トレントと付き合ってるの? 婚約? そしてEEDを受けるの? と詮索されまくる。
EEDとは、ちょっとした脳手術で、恋人同士が互いの感情をダイレクトに伝え合う画期的な技術。言葉を介することなく感情がつながるので、不信、不安とは無縁になる。セレブの間で流行って人気のドクターの予約は何か月も待たないと取れない。家族やなぜか仕事の同僚である変人CBにまでEED手術なんてとんでもないと言われまくるブリディ。
けれど、トレントの運なのか、キャンセルが出て奇跡的にすぐ手術が受けられることになった。トレントは会社の女子誰もがうらやむような理想的恋人。ブリディはすべての邪魔をかいくぐって、手術を受けた。
だが、肝心のトレントとの接続を得るより先に、CBの声が聞こえるようになってしまった。一体何故?
と、そんなこんなの、ロマンティックコメディSF。CBとブリディの間にテレパシーでの会話ができるようになってしまって、そんな馬鹿な!? 恋人はトレントなのに。一緒に手術を受けたのに。何故CBと?? そしてひっきりなしに家族から、電話、テキストメッセージ、直接の押しかけ、などなどのごたごた。会社では噂を避けてなくてはならない。どうして? どうすればいい??
ってもう、1ページ目からうるさいことこの上ない。も~~~ずーーーっとうるさい。邪魔ばっかり。邪魔ばっかり。何一つスムーズにいかないし、ゆっくり落ち着く暇が全然ない。全くない。ずううううう~~~~~~っとうるさい~~~~~あああああ~~~。
ってことで物凄くイライラするんだけど、面白くて一気読みしそうになる。おそろしいわコニー・ウィリス。二段組で705頁あるのに。二日ほどで読み終わりました。
まあ、一時も早く読み終わってしまって、このうるささから解放されたかったってのもある。それでもぐいぐい読めちゃう面白さ。ほんとすごい。
ブリディの心情言葉ひたすら全部、全部全部、一時の休みもなしに書き綴られている。ううううううるさい。そして邪魔が入りまくり。そして人の話し聞かないし、話も聞いてもらえないし。隠し事はいろいろあるし。何なの!?? 何なの~~っと読んでるこっちもすっかりブリディに同調してしまって、あ~ほんと疲れる。イライラ~。
私はどの登場人物も好きになれず。まあ、そもそもヘテロな恋バナ、ロマコメ好んで読まない……。それに正直、序盤の、何故だかCBとテレパシーが繋がってしまった!って心に入ってこられる感じが、心底気持ち悪くて、コメディって気分では読めなかったし。
読み進めると、あ~CBがんばってくれてるんだね、ってなるし、まあ、ねえ。ブリディは恋しちゃったんでしょ好きになったんでしょ、お互い好きなんでしょ、はいはい、って思って、認めてないのはお互いだけ、みたいなね~。そういう茶番は全然好きじゃない。
なのにぐいぐい読まされてしまう、おそろしいわコニー・ウィリス。大森望 訳。
でもこれって、あれじゃない、映画「スピード」でいってた、危機的状況で協力しあったドキドキが恋愛という錯覚に、って、吊り橋効果って、そんなやつ~。けどまあ、二人がめくるめくラブ&セックスして幸福~ってとけあってめでたしめでたしってことになるんですね~という雰囲気で終わるので、その後はまあ、お好みで、ってことですねー。私だったらテレパシーで互いの思考が繋がるなんて絶対絶対絶対に嫌! ほんとにそんな風に人とつながって幸せ感じるものなの?? ラブラブカップルならそうなの?? いやあ無理~。
ってまあ、ロマコメSFだから、まあ。そういうものなんですねと。
ずーっとうるさいし、みんなにイライラするし、んも~~なんだよ~~と思うし、好きな所ないなあって思うけど、面白く読めてしまう。面白かった。おそろしいわコニー・ウィリス~。
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