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『追いつめられた天使』(ロバート・クレイス/新潮文庫)

*ネタバレしてます。


『追いつめられた天使』(ロバート・クレイス/新潮文庫)

 ロスの探偵エルヴィス・コール
 というシリーズものの二作目らしい。1992年刊。『モンキーズ・レインコート』というのが一作目かな。なかったので、ひとまずこれから読みました。主人公はロスの私立探偵、エルヴィス・コール。相棒はジョー・パイク。元警官。かなり強い。なんか問題起こしたりしたことがあったりしたのかな。一作目でなんか二人コンビになることになったとかいう話とかあったのだろうか。わかんないけど。

 ともあれ今作から読んでも別に、事件そのものは単発なので大丈夫だったと思う。

 とある大富豪、ブラドリー・ウォーレンが秘書ジリアン・ベッカーと仕事の依頼にやってきた。自宅の金庫から盗まれた貴重な日本の本、「ハガクレ」を取り戻して欲しいと。
 警察では時間がかかりすぎる。その本は大事な日本の取引先から借りたものだ、早急に取り戻さなくては信頼を損なう。
 コールはそういう本を扱いそうな美術商方面をあたり始めた。

 そんなこんなで、ずいぶん日本アイテムがいっぱいだった。ブラドリーの娘、ミミが最初読んでいたのは三島由紀夫の「午後の曳航」だったよ。ステキ。ヤクザは当然悪い奴ら。殺人事件が起こり、ミミが誘拐され、コールは解雇される。
 本の行方は。ミミを取り戻せるのか。

 ロスの私立探偵ってこういう感じだ~って思う。皮肉、ユーモア。偉そうに命令されると反発する。権力や金とは距離を置き、綺麗な女性がいればダメもとという風に軽く口説いてみようとしたり。ふらふらふざけているようでいて、子どもが誘拐されたとなればクビになっていても引き下がらない。相棒のパイクは頼りになるたくましさ、強さ。格闘も銃もばっちり。
 てことで、なんとなく懐かしいというかレトロなというか。あれだ。シティーハンターの感じだな~。そしてロスでは私立探偵のライセンスが役に立つみたいな。いいキャラ。

 ミミの誘拐事件が、実は狂言だったということがわかる。本を盗んだのもミミ。コールが見つけ出しても家には帰りたくないという。単純な反抗期だとか家出ではない。父から性的虐待を受けていたというのだ。
 
 そう聞いてからのコールの対応が、全面的にミミの味方につくもので、感動ものだった。彼女の意思でそこにいること、そこで安全だということを確認して。児童相談、カウンセリングをする知人に連絡をとって。親たちにも治療、カウンセリングが必要だ、と説得と脅しをして。
 子どもへの虐待がしっかり問題視されケアされていくようになった時代だっけかなあ。27年前の本の中。ハードボイルドというか、探偵ものの本の中。でもこれ今現在でもこんな風にちゃんとケアの方針持ってるかどうか、だなあと思っちゃった。でも、思春期の子供の訴え、難しい。

 そしてミミがコールの提言を聞かず、父を呼び出して撃ち殺してしまう。また行方不明になった彼女を探し出すコールたち。
ヤクザに騙されてつきあうフリをされていると思っていたのに、本当にミミと恋して、ともに逃げようとしていたエディ。ミミもほっといて!っていう。

 難しい。ほんとに愛し合ってるならいいじゃない? って思いそう。だけどミミは16歳だし。殺人を犯したまま逃亡なんて未来はない。治療を受けよう、逃げるのはダメだ。
 こんな風に展開していくとは。面白かった。

コールは秘書ちゃんとしばし付き合うってことになるし。一応、事件は解決。でもほろ苦さは残る。ハードボイルドかあ。

 コールはネコを飼っていて。猫ちゃん可愛いでしゅね~って感じではなくて、なんだけど、でも、ああ、いいよね、ネコ。クールな猫でした。
 シリーズ他にも読んでみようかなあ。どうしようか悩む。ちょっと前に新刊が出てるようなので、それ読んでみるかなあ。でもすごい。30年近くにわたって、の、シリーズなんだよな? 新刊、たまーに出る、みたいな感じか。著者があまり多作な人ではないようなので、ファンはじっくり気長につきあっていくのかなあ。
 訳者のあとがきにもあったけど、名詞で止める文体のくせみたいなのもあって、はまるとすごく好きになるのかもしれない。時々読んでみようと思う。

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