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映画 「ハウス・ジャック・ビルト」

*ネタバレしてます。


映画 「ハウス・ジャック・ビルト」

 ラース・フォン・トリアー監督作。カンヌであまりの過激さに途中で席を立つ観客続出!みたいな煽り文句で、どんだけ過激なのかと身構えながら見に行きました

 ジャックはサイコパスのシリアルキラー。ヴァージという人物に自らの行いのいくつかを語り始める。

 というわけで、暗闇の語りから始まって、ジャックの犯行、ジャックが思いつくままに5つのケースが淡々と語られる。たまたま車のトラブルで立ち往生していた女性に押し切られるように車に同乗させてやったら、なんだかイラつく女で殴り殺したり。目をつけていたらしい夫を亡くした女性のうちになんとか上がり込んで、外で待たせやがって、と絞め殺したり。恋人のように親しくしていた、いいおっぱいの彼女の胸を切り取ったり。まだ小さい息子二人とその母と、ピクニック的に狩りの練習場?に誘い、子どももろとも撃ち殺したり。一発の銃弾、フルメタルジャケット弾で何人の頭を撃ち抜いて殺せるか試してみようとしたり。

 どうしてその殺しが行われたか。ジャックの気まぐれというか、そうしたかったから、という以上の理由はなさそう。まあ、最初の車トラブルのやつは、むかつく女だった、って感じがちょっとわかる気はしたけど。何故、ということは語られない。そういうことをした、というだけ。強迫神経症で犯行現場に何回も戻って血の跡が残ってないか、最初のころは気にしてたけども、だんだん雑になっていく感じ。
 
 この、深い恨みとか、殺人快楽!みたいな大仰さがなく、ジャックなりにはいろいろ多分考えたり計画したりしてるのかもしれないけど、説明はなく、行動も一貫性はなく、ただただ淡々と殺害シーンが繰り広げられる。
 ホラーみたいに観客を怖がらせるものではなくて、淡々としてて、眠くなったりしつつ見ました。宣伝で言ってたほど過激か?? 別にそこまで言うほど過激ではないだろーと思った。
 でも私、ドラマ「ハンニバル」で人間トーテムポールとか、こう、死体装飾の感じ見てたりして、過激の基準とかよくわからなくなってるかもしれないかなあ。
 ジャック、最後には、冷凍室で死体を使って小さなおうちを作ってましたが。

 ジャックの夢というか、趣味? で、建築家になりたいとか、自分の思い通りの家を建てたい、という計画をたてていた。土地は買った。自分で図面引いたり模型作ったりしてた。
 家を作る。
 どうしようもなく衝動がきて、人を殺す。
 一見普通に見えるけれども、人間らしく表情を作るべく、雑誌や新聞の人の写真を切り抜いて張って、鏡の前でいろいろな顔を練習してたりする。
 感情がないのか。
 ある、んだろうけれども、表すことができないのか。彼独自の考えすぎて誰にも理解されないのか。
 サイコパスのシリアルキラー。どんどん雑になる犯行から、警察に追い詰められる。

 そして、最初に闇で話す相手、ヴァージとは、神父みたいなものかと思っていたら、どうやら、死神? 地獄の案内人? ジャックの中の自分? よくわからないけれども、追い詰められてヴァージに従って地下に逃げる、と、洞窟みたなのくぐっていって、地獄に到着、みたいな感じだった。
 お、なんか突然ファンタジー? と、びっくり。宗教画みたい。画面の力が強い。
 そして結局地獄の底に落ちる。
 あれ、どうなったんだろう。つまり地獄に落ちましたってことでいいのか。現実世界で脱出に成功したわけじゃない?? 映画なんだし、みたまま、あれ別世界にきたな、ってことで納得していいのか。ん~。まあ。まあ、なんにせよ地獄に落ちるよね。まあ。うん。うっかり助からなくてよかった。

 グールドのピアノ弾いてる姿がたびたび出てくる。ボウイの「フェイム」も印象的に使われている。ブレイクの詩? や、絵、なんかも。うわこれ好きなものがいっぱい、というのにもびっくりした。

 主演、マット・ディロン。なんとなく青春映画のハンサム、ってイメージしかなく。近年もちゃんとご活躍なんだよね。ジャックは、ヤバイというか不気味というかの、殺害しながらなんかずれてるような感じとか、キレるけど妙に感情がなさそうとか、ひんやりしたおっさん感がすごくよかった。
 ヴァージ、地獄の案内人。でも天使なのか? ブルーノ・ガンツって「ベルリン・天使の詩」の人。今年の2月に訃報があって、結構ショックだった。そういう思いがあって見たせいか、佇まいが、不思議な気がした。
 サイコパスのシリアルキラー。理屈はわからないけどそういうものかなあってなんか、可笑しくて変で、残酷で、納得しそうになるのがこわい。見に行ってよかった。


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