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『三島由紀夫 ふたつの謎』 (大澤真幸/集英社新書)

『三島由紀夫 ふたつの謎』 (大澤真幸/集英社新書)

 

 2018年11月刊。
 なぜ切腹したか? 『豊穣の海』のラストはあれでいいのか? という写真つき帯にもそそられて買ってたの、ようやく読みました。「豊穣の海」好きなんだ。

 

 「三島由紀夫は、哲学的な知性に関しても、また芸術的な感性に関しても、近代日本の精神史の中で最も卓越した創造者の一人である」
 というまえがきに始まる。それでも、三島由紀夫の最期の衝撃があまりにあんまりで、三島をどう評していいのかわからないよね。わからない……という気持ち。10章+終章で、三島の主要な、というか、いくつかの道筋をたどるように、作品の中から三島の最期に至る道を探る一冊。
 正直、私は三島の全作品読み切ってるわけじゃないので、あ、結末まですっかりネタバレ、と思っちゃったりもあったけど、まあ、今更ネタバレがどーのってわけでもないか。最初期の『花さかりの森』、そして『仮面の告白』。『金閣寺』、『鏡子の家』などなどから、豊穣の海の全四巻、丁寧に読み込んで探っていて面白かった。すごい、いろいろ再読したくなる。

 

 答えとしては、えーと。三島には「海」という美のイデアにつながるイメージと、「血、鉄」の破壊のイメージと両輪があって、ええーと、天皇という幻想の彼方のために血を、暴いてみせねばならなかった。みたいな感じか。んー。わかってないか。私が馬鹿ですまない……。


 読んでる時には、ん~んん~なるほど。という気持ちで読んで面白かったのだけれども、でもなんか、著者と私ではやっぱ解釈が違う、ような気がする、と思ったりもして。まあもちろん、私が著者についてく頭がないですし、三島を読んでるのもはるか大昔で、そんな緻密に読んだわけでもないので。やっぱすごく再読したい。自分で読んで自分でもっといろいろ思いたい。私、豊穣の海読んでめっちゃめちゃあのラストの衝撃に参って、やっぱ三島由紀夫好きすぎる、と震えた覚えが。物凄い面白さだったなあ。豊穣の海はああいうラストのはずではなかった、構想ノートの頃とかには、本多にもっと救いがあるような感じだったらしい。


 でも私は今世にある、あの結末、あれを読んで、なんて酷い裏切りっって思ったけどそれはそれですっごいよくって、大好きで震えたんだよなあ。あんまり細かく覚えてないけど。と、この新書読みながら、三島の作品読みたいなあってすごく思った。すごく、そう思わせてくれる、この著者の三島の読みが面白かったので、これ買ってみてよかったな。

 

 ちょうど先日、鎌倉文学館へ薔薇を見に行ったのです。4/20~7/7まで、特別展「三島由紀夫 「豊穣の海」のススメ」というのをやっていて。自分的にはとてもタイムリーだった。この新書読んでる途中だったし。
 展示そのものはこじんまりとしたものだけれども、直筆原稿とかノートを見ることができて嬉しかったし。何より、鎌倉文学館はかつてお屋敷。「春の雪」の中に出てくる舞台、ってことで、あ~ここで~となんとなく嬉しくなりながら見て回ることができるわけです。楽しかった。薔薇もとっても素晴らしく咲き始めている所で美しかったし。満足。いいよねえ三島由紀夫……。

 

 

 目次
 まえがき
 第一章 1970/11/25に結びついた二つの謎
 第二章 仮面の無意識
 第三章 時代錯誤の決起
 第四章 鉄の肉体
 第五章 「吃り」の告白
 第六章 猫を斬ってもなお残るもの
 第七章 美の現れ
 第八章 ニヒリズム研究
 第九章 白鳥に化す天皇
 第十章 不毛の海
 終章  真の<豊穣の海>へ

 

 

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