『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)
*ネタバレしてます。
『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)
ぬばたまおろち、しらたまおろち のシリーズ3作目。
ディアーヌ学園は夏至祭の準備で大忙し。生徒会の副会長になってしまった綾乃は会長のマロさんたち一同と準備に追われている。それが終われば試験。それが終われば夏休み!
夏至祭の夜、ミフミフこと三船先生を訪ねてきた人がいた。子供のころ英国へ渡った妹、妃早子・ミラー。一ふさ赤い髪が印象的なその人も魔女だ。
群馬にある五郎丸湖に、謎の生物の噂があった。ネッシーのようなそれはゴッシーと呼ばれる。昔、綾乃を狙った首長竜とは違うはず。だが、その竜をめぐって過激な生き物保護団体と、もともとの所有者から依頼を受けた小人のミハイルさんが対立することになり。五郎丸湖の近くに別荘を持つマロさんの所へ遊びにいった綾乃たちも巻き込まれていく。
今度は英国からきた魔女!? ってなわけで、綾乃ちゃんたちの学園生活と、ドラゴンと、過去の因縁とか生物保護とか、閉じた生態系での先細りの問題とか、またしてもものっすごいいろいろ盛沢山。すごいよなあ。毎回、よくこんなに山盛り要素詰め込んで、でもしっかり話が作り上げられまとまって畳まれるの、やるなあ。
綾乃ちゃんと雪くんのらぶらぶも深まっちゃって~。って思ってたら、大蛇の姿から戻れないとか、最後には記憶をなくす! だなんて、かなりドラマチックだった。アロウの人格、蛇格? との融合というか混乱というかの不思議。綾乃ちゃんとしては二人相手にラブラブってことでこのままいくのだろうか。それ、双子といっぺんにつきあうみたいなダブルラバーって感じにはならないのか? 体一つだからいいのか? まあ二人と、ってことでもまあ、まあいっか^^
最後の所で、記憶をなくした雪くんに読ませる物語として、「ぬばたまおろち、しらたまおろち」って綾乃ちゃんが書いてみたよ、ってなってて、わ~、と思う。
これで一区切り? でも英国勢とか敵対しそうな感じ~で、まだまだこれから世界が広がるのかなあって感じ。第一部ここまで、で、また第二部、みたいになっていったりするのかなあ。綾乃ちゃんたちが卒業するまではやる? やるよね? やってほしい。
ゴッシーを箒代わりに、代わりっていうか、またがれるものなら飛ばせられるのかー魔女すごーい、っていう飛行の旅の力も面白かった。
けどその前の、豊くんと綾乃ちゃんが誘拐!?っていうのは心臓に悪い;; 子どもをさらうなんて絶対ダメ;; RSPES 英国希少生物保護協会ってゆーの、一部の暴走とかっていっても、も~~~絶対悪い組織って思っちゃう;;
あ。しかし英国で魔法生物と連想すると、ファンタジックビーストのニュート先生の教科書とか使ってるのでは~。なんて勝手に妄想するのも楽しい。
いろんな問題がそれなりにうまく収まって。ゴッシーたちも今後幸せに暮らしてくれるといいなあ。綾乃ちゃんとのことを雪くんらは思い出すだろうか。でも思い出さなくてもまた恋するんだろうなあ。しかし大蛇の恋人で婚約者って、つくづくえろいっすね。もえるぜ。
綾乃ちゃん竜に変身しちゃうかも、どうなのかな、今大丈夫なんだからもう大丈夫って思っていいのかなあ。あの首長竜の過去の因縁はもう大丈夫なのかな。心配。とかも楽しみ。
シリーズをリアルタイムに追っかけて読む楽しみを味わっててしあわせだ~。過去作の細部は忘れてるな……と思うけど~。話が進んでから、えっ、って振り返る感じも楽しい。ディアーヌの生徒たちみんなの幸せを願いながら待ってます。
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