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『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)

*ネタバレしてます。

『蛇苺の魔女がやってきた』(白鷺あおい/創元推理文庫)


 ぬばたまおろち、しらたまおろち のシリーズ3作目。

 ディアーヌ学園は夏至祭の準備で大忙し。生徒会の副会長になってしまった綾乃は会長のマロさんたち一同と準備に追われている。それが終われば試験。それが終われば夏休み!
 夏至祭の夜、ミフミフこと三船先生を訪ねてきた人がいた。子供のころ英国へ渡った妹、妃早子・ミラー。一ふさ赤い髪が印象的なその人も魔女だ。

 群馬にある五郎丸湖に、謎の生物の噂があった。ネッシーのようなそれはゴッシーと呼ばれる。昔、綾乃を狙った首長竜とは違うはず。だが、その竜をめぐって過激な生き物保護団体と、もともとの所有者から依頼を受けた小人のミハイルさんが対立することになり。五郎丸湖の近くに別荘を持つマロさんの所へ遊びにいった綾乃たちも巻き込まれていく。

 今度は英国からきた魔女!? ってなわけで、綾乃ちゃんたちの学園生活と、ドラゴンと、過去の因縁とか生物保護とか、閉じた生態系での先細りの問題とか、またしてもものっすごいいろいろ盛沢山。すごいよなあ。毎回、よくこんなに山盛り要素詰め込んで、でもしっかり話が作り上げられまとまって畳まれるの、やるなあ。

 綾乃ちゃんと雪くんのらぶらぶも深まっちゃって~。って思ってたら、大蛇の姿から戻れないとか、最後には記憶をなくす! だなんて、かなりドラマチックだった。アロウの人格、蛇格? との融合というか混乱というかの不思議。綾乃ちゃんとしては二人相手にラブラブってことでこのままいくのだろうか。それ、双子といっぺんにつきあうみたいなダブルラバーって感じにはならないのか? 体一つだからいいのか? まあ二人と、ってことでもまあ、まあいっか^^ 
 最後の所で、記憶をなくした雪くんに読ませる物語として、「ぬばたまおろち、しらたまおろち」って綾乃ちゃんが書いてみたよ、ってなってて、わ~、と思う。

 これで一区切り? でも英国勢とか敵対しそうな感じ~で、まだまだこれから世界が広がるのかなあって感じ。第一部ここまで、で、また第二部、みたいになっていったりするのかなあ。綾乃ちゃんたちが卒業するまではやる? やるよね? やってほしい。

 ゴッシーを箒代わりに、代わりっていうか、またがれるものなら飛ばせられるのかー魔女すごーい、っていう飛行の旅の力も面白かった。
 けどその前の、豊くんと綾乃ちゃんが誘拐!?っていうのは心臓に悪い;; 子どもをさらうなんて絶対ダメ;; RSPES 英国希少生物保護協会ってゆーの、一部の暴走とかっていっても、も~~~絶対悪い組織って思っちゃう;;

 あ。しかし英国で魔法生物と連想すると、ファンタジックビーストのニュート先生の教科書とか使ってるのでは~。なんて勝手に妄想するのも楽しい。

 いろんな問題がそれなりにうまく収まって。ゴッシーたちも今後幸せに暮らしてくれるといいなあ。綾乃ちゃんとのことを雪くんらは思い出すだろうか。でも思い出さなくてもまた恋するんだろうなあ。しかし大蛇の恋人で婚約者って、つくづくえろいっすね。もえるぜ。
綾乃ちゃん竜に変身しちゃうかも、どうなのかな、今大丈夫なんだからもう大丈夫って思っていいのかなあ。あの首長竜の過去の因縁はもう大丈夫なのかな。心配。とかも楽しみ。
 
 シリーズをリアルタイムに追っかけて読む楽しみを味わっててしあわせだ~。過去作の細部は忘れてるな……と思うけど~。話が進んでから、えっ、って振り返る感じも楽しい。ディアーヌの生徒たちみんなの幸せを願いながら待ってます。

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『償いの雪が降る』(アレン・エスケンス/創元推理文庫)

*ネタバレしてます。


『償いの雪が降る』(アレン・エスケンス/創元推理文庫)


 ジョー・タルバートは大学生。英語の課題で、年長者にインタビューをして、その伝記を書かなくてはならない。あいにくジョーは母子家庭。祖父母はもういない。ろくでもない母の話を聞くなんて考えられない。そして老人ホーム、シニア・センターとかそういう所で、話を聞かせてくれる人を見つけようと考えた。
 そして、知り合ったのは殺人犯。14歳の少女をレイプし殺し死体を放置した小屋に火をつけた罪に問われた男。カール・アイヴァソンというその男は癌で余命数か月となり、刑務所を出て施設で死を待っていた。

 カールが話してくれたのはジョーの心の奥のトラウマ的な告白のあと。ジョーは11歳の頃、祖父と釣りにいった川で、誤って転落した祖父を助けることができず、ただ見ていたことを悔やんでいた。その死は自分のせいだと。
 カールはジョーの真摯さに応えるように、ベトナム戦争での経験を語る。
 話を聞くほどに、カールが犯人ではないという思いを強めていくジョー。

 そんなこんなの、若者の探偵ごっこ、まあ、ごっこってわけでもないのだけれども、カールの無実を信じ、行動していくジョーのピュアさと無謀さにハラハラひきこまれていく。危ないよ~~~ちゃんともっと警察を頼るとか~~してくれ~~。

 ジョーにはジェレミーという弟がいる。自閉症かな。18歳だけどまるで子どもで、環境の変化が嫌いだし独自のこだわりが強い。母はだらしない。その家を出て、大学生としてやっていこうとしているのに、なにかと足をひっぱられるの。ジェレミーのことは好きで大事にしてやりたいけど、重荷にも感じていて、ジェレミーを引き受けることなんてできないと思っている。けど、その思いが変わっていくのもよかったな。感動……。お兄ちゃんだなあ。いいお兄ちゃん。ジェレミーの特性に合わせてうまく話をしたり、カッとなるのを抑えたり。お兄ちゃん、大変だよなあ。それでも弟を守るお兄ちゃん;;ジェレミーもお兄ちゃんが好きなんだよねー。幸せになってくれ。

 ジョーのお隣さんとして、同じ大学生のライラがいる。なんとか彼女の気を引きたいと思っていたところ、ジェレミーとのつながりで、ライラと夕食をするまでにこぎつける。そして英語の課題の話、殺人犯にインタビューの是非についてとか、意見を交わして仲良くなっていく。
 ライラにも辛い過去があった。男の子たちといちゃいちゃするのが好き、というふわふわした日々でいた所、次第にただ簡単にやれる女扱いになり、レイプ被害にあう。そのカウンセリングで一年の休学があったという。
 そういう、傷ついた心を誰もが持っている。

 ちょっとさ、キャラクター作りとか、話の筋道づくりの作者の手つきが見えるような気がするな~。うまくまとまってて、都合よく甘い気が、しないでもない。ストーリー作りのお手本とかキャラの肉付けのポイントとかマメにおさえて書き上げられたのでは。って気がする。素直でわかりやすくて、ドキドキハラハラもあって、ピンチ、脱出、とか、実は最後に頼りになったかっこいい刑事とか、カールの死に間に合うように現在の大事件が過去を明らかに、そして救済、みたいなのも。ほんときれいにまとまってるんだよねえ。

 殺された少女の日記にはシンプルな暗号が記されている。それこそが本当の犯人を示す手がかりなんだけど、カールが捕まった時には暗号は解読されてなくて、カールもむしろ逮捕されることを願っているかのようで、すでに状況証拠は十分ってことで見過ごされてきた。
 しかし、ジェレミーの他愛ないおしゃべりがきっかけで、タイピングに使う例文がキーだ、と気づくと、犯人は義父だとわかる。
 でも本当はその息子、義理の兄だった、と、さらにわかる。おおー、ヤバイ。と、読みながら緊張しちゃった。だからさ、もう~~さっさと警察に行こうよーー。

 ともあれなんとか無事事件終了。カールは大雪のうつくしさを眺めることができて。そして無罪になった知らせを聞くことができて、逝った。
 カールの葬儀の日に、犯人が他にも犯行を重ねていて、別の被害者に懸賞金がかかっていて、ジョーたちは10ドル、さらにもうちょっと、受け取ることができるという。
 ジェレミーを引き取り、学生生活を続けることができる。そんな救いもあった。めでたしめでたし。ドキドキハラハラも、しんみりしみじみも、たっぷり堪能できて、良かったなあ。

 これは作者デビュー作だそうで、いろいろ賞もとってるみたい。本国2014年の作品なんですね。その後、この中のキャラでの話とか、今作の続編とかも書かれているみたい。読んでみたいかも。ルパート刑事の話特に読みたいよー。翻訳されるのかなあ? でもこの続編はきっと翻訳くるよね? わかんないけど、お待ちしたい。出ればまた読みたい。もっと洗練されていってるのか、なんかもっと深くなってるのか。読みたいな。

 

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映画 「名探偵ピカチュウ」(二回目)

*ネタバレしてます。

 

映画 「名探偵ピカチュウ」

 

 二回目鑑賞。昨日(26日、日曜日)見に行った。3D字幕、IMAXで。
 3日公開の最初のころは、吹き替えしかIMAXでやってなかったので、前は普通のスクリーンで見たのだけれども、いつのまにか字幕もやってるーIMAXでも見たい~と思って。

 

 父の事故死の知らせを受けて、ポケモンと人が共生するライムシティへ向かうティム。ティムは祖母と暮らしてて保険調査員で友達は一人しかいなくて、その友達も引っ越しちゃう。子供のころの夢はポケモントレーナーだったけど、今はどっちかというとポケモン好きじゃない。そんなこんなが始まって早い段階でするっと入ってくるので、ポケモンワールドのこととかほぼ知らない私でも、この一つの映画として十分楽しい。

 

 そしてピカチュウ~! 最初は不審な、ちょっと不気味怖い感じで気配があり、からの、ピカチュウ~もふもふ~!くりくりお目目、ぽってりお尻、小さな手足、あ~可愛い!!!って登場完璧^^ そしてライアン・レイノルズの感じで喋り出して、表情もあんなで豊かでシニカルで可愛い^^ ほんっとビジュアル完璧だ~。

 

 お話としては父と息子のモチーフ、ティムと父、ライムシティトップのえーと、ビル・ナイがやってた権力者とメディア社長の息子、って対称があって、シンプルに王道。謎をおい、そして父の思いを知り、一方は仲直り。一方は、自立する息子になる、って感じかな。
 
 ポケモンっていう人気ゲーム、の、このストーリー的には原作漫画があるの、かな。ゲームかな。まあともあれ、とにかくポケモン実写化! ということは、とにかくポケモンたちをいかにリアルに、でももとのまま可愛く、生き物として人間と暮らしてる街を作り上げ見せてくれるか、ってことだと思う。
 ポケモンたちがわんさか出てくるんだけど、うお、生々しくて気持ち悪い感じ、とか、やっぱ可愛い、とか、人間と暮らす中でお互い協力してやってんだなーとか、単にペット的に可愛いだけじゃなくて、いつも一緒にいるよ相棒!だったりするんだなあ。って、すごくよく見せてくれる。私はポケモンはポケGOやってるだけであんまり物語的には知らないんだけど、それでも、あ~~ポケモンと一緒~^^ってすっごく楽しくなる。

 

 ミュウツー、という、古代の化石から人が生み出した最強のポケモン、っていうのも、すっごいいい設定だし、強いしこわいかっこいい~。その力を利用する悪。でもその心をとかす人間もいる。みたいな、すごく王道でムネアツな感じ。テクノロジーの暴走とか悪用とかかなりシリアスな問題含みつつ、っていうのもかっこいい。

 

 で、最後にライアン・レイノルズがパパとして登場~で、あああ~やっぱめっちゃかっこいい~~ってなって! ぴかぴか~、としか言わなくなってるピカチュウがいて。可愛い~かっこいい~かわいい~~って中でのハグ。はー。楽しかった!
 おばあちゃんとも後でちゃんと話しなさいよ、とか、保険調査員の仕事してたってのは、ティム、それわりと探偵に近い感じも、しないでもないなあって思ったりして、パパもママも大好きだからこじらせちゃったティムかわいいなとか思えて。よかったねえ。

 

 ポケモンいっぱいでてくる! ポケモン生きてる! ポケモンすっげー! ってことを存分に見せてくれる実写化。IMAX、やっぱすっごい綺麗で、迫力で、見に行けてよかった。

 んで、映画のあと、昨日はラプラスがレイドバトルに出る、色違いも出るらしい、ってことでいくつかバトル。シャイニーラプラスもゲットできた~! そして映画見たあとだと、コダックがいるとつい捕まえてしまう。おまえサイダックっていうのかい? なんて思いながら。一いい一日、楽しかった。大満足です。

 

 

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映画 「レプリカズ」

*ネタバレしてます。

映画 「レプリカズ」


 バイオテクノロジーかなんかの研究所。死者の脳の記憶を取り出して、合成脳にインプリントする技術の実験を重ねているウィリアム。動物実験は成功したのに、人間はうまくいかない。
 クリスマスの近い週末、家族と車で出かけていると激しいスコールにあい、事故でウィリアム以外の家族、妻と三人の子どもたちが死んでしまった。ウィリアムは、家族の脳のデータを取り出し、クローンの体を作りインプリントして、家族を取り戻そうとする。

キアヌ・リーブス主演だ~。というわけで楽しみにしてた。今作では、超人的に凄腕の殺し屋とかではなく、普通のパパ。いや、まあ、普通じゃないけど。天才と紙一重の方に近いのかなあ。なんかすごい技術とかひらめきとか、まー、マッドサイエンティスト?? 
 人間を死から呼び戻す。脳のデータさえあれば、という思考は、医者である妻からは、大事なものが見えていなのでは、と、軽く口論になったりもする。
 なのに~。家族が死んじゃった! データとりだしてクローン作ってよみがえらせるぞ!って~~。クローン作るポッドが3つしかパクッてこれなかったから、誰か一人は犠牲に……。くじ引きで決めちゃう、とか~。一人犠牲にしちゃう娘のことは、よみがえらせる家族の記憶から消しておこう。とか。
 とにかく! いやいやいやいや、ちょっと、マジかー??? と、ついていけない強引さです。キアヌよ。本当にちゃんと脚本を読んでじっくり選んで出た作品なんですかそれは?

 でも映画のトーンとしてはシリアスで。家族を思って苦悩して泣いちゃったりするウィリアムはあくまで真剣。真面目。エドという同僚だか部下だか友達なんだかをぐいぐい巻き込んで、あれこれ便利に使って面倒事は押し付けまくり。エド、可哀相だよ(´―`)
 データ取り出したあとの家族の死体の始末とか丸投げよ。そんな~~~。ウィリアム、かなり、ダメじゃん……。
 再生できない娘の記憶を消しておこう、とかもさ、友達とかいろいろ、なんかもう、あっという間にボロが出ることばっかし。自分の思い付きに夢中になるけど、視野が狭すぎる。

 まあもちろん、一度に事故で家族を失って、っていうショック、パニック状況での強引さ、って、うーん、思う、思えるかなあ。うーん。でもまあ、そういうことにしないと話が始まりませんからね。おかしい。

 実は研究は医療のためじゃなく、優秀な兵士のクローンを作るのだ、みたいな、会社の裏の顔、陰謀みたいなのがあってー。というわけなんだけど、しかし、悪いおっさんよ、そのタイミングでバラして脅してってやる意味は一体。ウィリアムに何も知らせずさっさと実験勧めさせて、345番だっけか、アンドロイドにフィジカルなデータも入れさせて実験成功ってなるまで待つでしょー。馬鹿じゃねえの。。。

 ま。ほんとにまあ、雑にやってるな~~~。これは午後ロー案件(´―`)って、楽しかった。キアヌはかっこいいステキ可愛かったし。家族を前におろおろしちゃったり。妻大好き家族大好きだったり。娘ちゃんのぬいぐるみをぎゅっとしながら、考えてるってキレ気味になったりするの。可愛いぞ……。

 そして、最後の実験というか、解決というかは、合成脳、ボディに移すデータは自分のものにしてしまうウィリアム。俺が二人いれば家族と仕事と両方オッケーみたいな。そ、そんな~~。
 そんなこんなで、あくどい金儲けしていくらしい研究施設、会社にはアンドロイドのウィリアム。本物は家族と海辺で。そして、一度はあきらめかけた末娘ちゃんを、しっかりよみがえらせてました。
 クローンでいいのかウィリアムの家族たちよ……。まあいいか。ウィリアムは嬉しそうだし……。アンドロイドのウィリアムは悪に染まってってるっぽいし? 雑だな~~。
 酒飲みながらみんなで突っ込み実況しながら見たい映画かな。楽しい。キアヌはステキです。

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映画 「アメリカン・アニマルズ」

*ネタバレしてます。

映画 「アメリカン・アニマルズ」


 2004年。大学生のスペンサー。悪友ウォーレン。殊更なことはなにもない、ごく平凡な、だけど何か凄い特別なことが起こらないかな、と日々思っている若者。「普通の大学生が起こした普通じゃない強盗事件」というコピーがついていたけど、普通とは、というのはともかく、本当に、そこそこ恵まれた暮らしの中のいい若者たちが、一線を越えてしまった実話ベース。
 事実をもとにしたストーリー、というよくある惹句が、真実の物語、みたいに変化して、始まる。

 特殊メイクで老人に変装して、図書館へ向かう四人の姿。そして、遡ること一年八ヵ月、だっけかな。
 スペンサーは図書館案内の際に、特別コレクションとして、1200万ドルだかの、古い貴重な本を見る。アメリカの動物たちを描いた大きな図版の本。他に、ダーウィンの『種の起源』の初版だとか、貴重で高価な本がある特別コレクションの部屋。
 そのことを、悪友ウォーレンに話すと、それを盗み出して売って大金持ちになろう!みたいなノリになる。
 バイト先のスーパーみたいな所から肉やジュースを盗んで一緒に走って逃げる。そんな悪友との雑談が、やがてだんだん本気の盗みの計画へと変わる。

 このままただ平凡な人生のままでいたくない。何か特別な出来事を経験したい。何か、大きな経験を超えて、すごい人間になりたい。そんな思いを抱くのは、若者なら誰だって、いや若者じゃなくても、多分、大多数の平凡な人々が感じることだ。すっごい高い本がある、その警備といえるのはおばさん司書一人だけ。簡単に盗めるんじゃないか? 売りさばくルートだってなんとかなるかも? そんな計画を立ててるうちは、まだ単にわくわくした青春物語。参考にするのは映画。華麗にスマートに、誰も傷つけずにやってのける、かっこいい夢物語の主人公になる自分たちの姿を思い描く計画。
 なんだか怪しげなメールのやりとりで販売ルートに目途をつけ、二人だけじゃ人数足りないから、あと二人仲間が増えて。変装するなら老人だ。老人は無害とみなされてるもんね、みたいに、計画が本格的になっていく。

 監督、バート・レイトンという方はドキュメンタリーを撮って名を挙げた人、なのかな。私は知らなくてなのですが、それでというかなんというか、この、四人本人と、その家族までインタビューで答えてるのが、映画の俳優たちが演じてる所にするっとくるんだよ。うわ、って、ぎょっとする。
 事件が起きて、7年服役して、だからつまり今の彼らは一般市民なわけだけれども、なんか、でもやっぱり、マジかー、と、複雑な思いを、映画見て、俳優の演技と物語の中でドキドキハラハラしてる中に突き付けられる。う、うう。マジかー。

 事実をもとにした物語。本人たちが回想語ってる、それはドキュメンタリーで事実、のはず。だけど、記憶があいまいになっていたり、自分が見てない時の相手の行動はわからないわけで、泥棒仲間として信じあってるってことでもなく、うーん。もちろん、泥棒仲間で信じあい、なんてのもフィクショナルな幻想だよなあ。
 彼らが、今はまた普通に、別に凶悪な顔してるでもなんでもなく、なんならちょっと苦笑とかしてみせたり、で、事件のころを語る。家族は涙ちょっと浮かべたり、でも本当にいい子だったんですよ、みたいな感じだったり。

 ウォーレンの家庭こそ、両親が喧嘩多くて離婚だ!みたいな感じだったけど、それでもずっとスポーツ優等生してきたらしく、大学にはスポーツ推薦で入ったらしい。けど、試合に出ないでいて大学から叱られるみたいな感じではあった。
 スペンサーんちはとてもよい家庭って感じ。家族に心配かけられない、って、途中で降りる、って悩みなくったりもしてた。心配かけたくない、よい家庭だったんだよ。自分は絵の道にすすみたくて、芸術家には何か大いなる苦悩みたいなのが必要だ、みたいに思ってたりする、でもそれもすごいよくある若者の焦り~って感じ。
 チャド、Mrピンクくんは明らかにエリート家庭。金持ち。自分も10代のうちに起業して自分の金も持ってるって感じ。登場の時、ボート漕ぎのトレーニングしてて、あ~これ「ソーシャルネットワーク」の双子、アーミー・ハマーがやってた感じのやつー。アメリカでもっとも成功してるイメージの役柄~って思いました。
 エリックは真面目で頭よくて、会計の授業とってたり。FBIをめざしてるんだっけ。いろいろ計画の不備を指摘、計画がいっそう具体的になっていく力になった。

 みんな何が特別な人に、他の人とは違う何者かになりたかった。
 その計画が強盗っていうもので、でもそれはきっと失敗すると思っていて、計画立てても、どこかで、何かで、誰かが、ストップさせるんじゃないか、って思ってた。
 実行するなんて。成功するなんて、思ってなかった。
 なのに、実行してしまったー。

 途中でやめることになるきっかけは何度もあった。人数が足りないとか、金が足りないとか、時間があわないとか、警備でひっかかるとか。一度は図書館までいっちゃったけど、その時は司書が4人もいて無理だーって引き返した時とか。あの時、あの時、あの時、やっぱりダメだやめようって。誰かがちゃんと言えばよかったのに。

 実行に移ってしまってからは、ぐだぐだのぼろぼろ。司書をスマートに気絶させるなんてことはできなくて、彼女を傷つけていることに、手を下してから気づくウォーレンたち。せっかく盗み出した一番大きな本は途中でとりおとし、小さいのを二つ、か、なんとか手に入れて逃げ出す。売りさばくための鑑定書をもらうためにNYへ。しかし簡単にはいかない。

 結局、当初の計画なんて崩れまくり。思い返せばミスばかり。自分たちが捕まるのは時間の問題。パニックの喧騒をすぎて、悪夢ばかりの数日、ってことかな。そして、捕まる日がくる。

 かろうじて救いは、本は無傷で司書の女性が今も仕事を続けていること。本人がインタビューに答えていた。ショックは測り知れないだろうけれども。

 失敗の物語だった。
 事実に基づく物語。とはいえ、たいてい、映画になる時には実話ベースのフィクションとして見るものだけれども、この映画は、本人登場してのインタビューがぐいぐい入るので、フィクションとして面白い、という楽しみを覚まさせる。
 映画なら。フィクションなら。何かしら犯行をしても相手がなんかしら悪い奴だったり、犯人側に何かのっぴきならない事情だとか、なんかこう、観客のストレスをそらす仕掛けがしてあると思うんだ。
 でもこの映画の事件は事実よりが大きくて。
 普通の若者たち。普通に仕事をしている被害者。それはあまりにも無謀で愚かで身勝手な犯行だった。若者の悪ふざけというには度がすぎているし、被害者は本当にただ被害者で、災難でしかない。
 ドキュメンタリーと映画の融合って、こんななのかー。面白かった、というにはためらってしまうような、飲み込みづらい映画だったー。

 スペンサーやってるバリー・コーガン。「ダンケルク」で覚えてから鹿殺しにつづいて二つ目、見るの。なんか、ハンサムじゃないけど、印象的な顔、表情で。今作もすごくよかった。普通にさえない若者って感じ、で、でもなんか狂気にも豹変できそうな。すごい。彼のことはできれば追っかけてみたい感じ。

 現在の本人たちは、それぞれに普通に、暮らしているらしい。スペンサーは鳥を専門に絵を描いている。フィクション的な所で、夜道で鳥、何か大きな鳥を見てたよなあ。なんか、ああいう時、動物を見てしまう、啓示的に、って感じは。「スリービルボード」で鹿ちゃんだったり。なんかそういうもの? キリスト教的なもの? わかんないけど。今回はまあ、鳥、フラミンゴ? なんかそう、象徴的なものがあったかなあ。
 あと、回顧録書こうとしてるとか映画監督になりたいとか。地味にジムインストラクターしつつ筋トレ本書こうとしているとか?

 けれど、この映画で、こんな風に出て、それってなんかとても残酷だと思った。
 彼らはもう、きっとこの先、何者にもなれないのでは。
 見ながら、すっごく、きっと何者にもなれないお前たちに告げる、ピングドラムを探すのだ、という声が私の中でぐるぐるしまくったわ。
 もう彼らは何者にもなれないと告げられてしまった。
 絵は、まあ、絵のことは私わかんないけど、この映画であんな風に出て、彼の絵は盗めなかったあの本の絵の代償のように見える。
 回顧録を書こうが映画監督めざそうが、この「アメリカン・アニマルズ」を超えるものには、ちょっと、なれないんじゃないの。

 もう何者にもなれない。
 映画に出ることは何かスペシャルな感じがちょっとするんだけれども。でも。
 ただの、元、若さと無謀の愚かな犯罪者、にしかなれない。
 映画に出ることを最初は嫌がったけれど、監督との交流と信頼の上、出演したそうだけど。なんか、愚かさの果てに何者にもなれない呪いがさらに深まったように見える。怖いよこの映画監督。すごい。
 司書さんにとっては、いい映画だったかもなあ。

 こんな、事実とフィクションとのゆらぎのあわいでよく映画作り上げたなあ。すっごい。面白かった。見に行ってよかった。


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『三島由紀夫 ふたつの謎』 (大澤真幸/集英社新書)

『三島由紀夫 ふたつの謎』 (大澤真幸/集英社新書)

 

 2018年11月刊。
 なぜ切腹したか? 『豊穣の海』のラストはあれでいいのか? という写真つき帯にもそそられて買ってたの、ようやく読みました。「豊穣の海」好きなんだ。

 

 「三島由紀夫は、哲学的な知性に関しても、また芸術的な感性に関しても、近代日本の精神史の中で最も卓越した創造者の一人である」
 というまえがきに始まる。それでも、三島由紀夫の最期の衝撃があまりにあんまりで、三島をどう評していいのかわからないよね。わからない……という気持ち。10章+終章で、三島の主要な、というか、いくつかの道筋をたどるように、作品の中から三島の最期に至る道を探る一冊。
 正直、私は三島の全作品読み切ってるわけじゃないので、あ、結末まですっかりネタバレ、と思っちゃったりもあったけど、まあ、今更ネタバレがどーのってわけでもないか。最初期の『花さかりの森』、そして『仮面の告白』。『金閣寺』、『鏡子の家』などなどから、豊穣の海の全四巻、丁寧に読み込んで探っていて面白かった。すごい、いろいろ再読したくなる。

 

 答えとしては、えーと。三島には「海」という美のイデアにつながるイメージと、「血、鉄」の破壊のイメージと両輪があって、ええーと、天皇という幻想の彼方のために血を、暴いてみせねばならなかった。みたいな感じか。んー。わかってないか。私が馬鹿ですまない……。


 読んでる時には、ん~んん~なるほど。という気持ちで読んで面白かったのだけれども、でもなんか、著者と私ではやっぱ解釈が違う、ような気がする、と思ったりもして。まあもちろん、私が著者についてく頭がないですし、三島を読んでるのもはるか大昔で、そんな緻密に読んだわけでもないので。やっぱすごく再読したい。自分で読んで自分でもっといろいろ思いたい。私、豊穣の海読んでめっちゃめちゃあのラストの衝撃に参って、やっぱ三島由紀夫好きすぎる、と震えた覚えが。物凄い面白さだったなあ。豊穣の海はああいうラストのはずではなかった、構想ノートの頃とかには、本多にもっと救いがあるような感じだったらしい。


 でも私は今世にある、あの結末、あれを読んで、なんて酷い裏切りっって思ったけどそれはそれですっごいよくって、大好きで震えたんだよなあ。あんまり細かく覚えてないけど。と、この新書読みながら、三島の作品読みたいなあってすごく思った。すごく、そう思わせてくれる、この著者の三島の読みが面白かったので、これ買ってみてよかったな。

 

 ちょうど先日、鎌倉文学館へ薔薇を見に行ったのです。4/20~7/7まで、特別展「三島由紀夫 「豊穣の海」のススメ」というのをやっていて。自分的にはとてもタイムリーだった。この新書読んでる途中だったし。
 展示そのものはこじんまりとしたものだけれども、直筆原稿とかノートを見ることができて嬉しかったし。何より、鎌倉文学館はかつてお屋敷。「春の雪」の中に出てくる舞台、ってことで、あ~ここで~となんとなく嬉しくなりながら見て回ることができるわけです。楽しかった。薔薇もとっても素晴らしく咲き始めている所で美しかったし。満足。いいよねえ三島由紀夫……。

 

 

 目次
 まえがき
 第一章 1970/11/25に結びついた二つの謎
 第二章 仮面の無意識
 第三章 時代錯誤の決起
 第四章 鉄の肉体
 第五章 「吃り」の告白
 第六章 猫を斬ってもなお残るもの
 第七章 美の現れ
 第八章 ニヒリズム研究
 第九章 白鳥に化す天皇
 第十章 不毛の海
 終章  真の<豊穣の海>へ

 

 

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映画 「コンフィデンスマンJP」 と、スペシャルドラマ「運勢編」

*ネタバレしています。


映画 「コンフィデンスマンJP」 と、スペシャルドラマ「運勢編」


 ロマンス編。
 ロマンスって映画タイトルに含まれているのではないのかな。18日(土)に見てきた。

 大きなヤマがなく退屈しているダー子。小魚釣りでもするか、と物色しているところで、大きなターゲットを発見する。香港の氷姫とあだ名されるラン・リウ。容赦なく労働者から搾取しまくる財閥の長である彼女の持つ伝説のパープルダイヤ。ダー子、ボクちゃん、リチャード、そして五十嵐たちは香港へ飛ぶ。

 そんなこんなで、香港ロケしてるのが映画ならではの予算の使い方なんでしょうか。お話としては基本的にはテレビシリーズと同じく。金持ってる悪い奴からごっそりいただくぜ!という詐欺ゲーム。毎度仕掛けが凝ってる、のを、最後には種明かしで振り返って、うわそっからもうすでに仕掛けてたのか~!と、すごく楽しい^^

 今回は、昔、ダー子と組んだことのある恋愛詐欺師、ジェシーという男が絡み、もしかしてダー子はこの男に心奪われたまま!? みたいな感じがロマンス編ですかね~。三浦春馬が、胡散臭くキラッキラなたらし男演じててすごくよかった! 可愛いな~。

 そして黒幕っつーか、江口洋介演じる経済マフィア?な、赤星、だっけ。かつてダー子たちに騙された復讐を企んでいると。実はジェシーは彼のためにダー子一味をまとめておびき出す計画を立てていたのだー。なにー! っていう。ラン・リウがオマケだったのかよ、っていう。
 
 このドラマは演技過剰だし話もそんなわけあるか、そんなうまくいくかっ、って突っ込み満載。だがこれはショータイム! マジで遊ぶぞ!というドラマの中からの大人の遊びの気合がよくて、それに、そこからそんなに仕掛けが!という驚きも楽しい。よくこんな話作ったなあーってなるし、それをこんなに演じて見せてくれてキャストありがとーって思うし、それに見れば見るほど、ダー子もボクちゃんもリチャードも、まさにキャラとして素敵で面白くてかわいくて大好きになる^^ 今回は、まだひよっこ詐欺師としてスパイやってるつもりのモナコちゃんのことも、可愛い、いいキャラだなーって好きになる。
竹内結子もね! ラン・リウが彼女ってのがすでにフェイクだったのかー。ダー子のたてた計画はほんっと経費かかりまくりの、すごい、あの手この手なんだなあ。まさかそこまでやらないでしょ、って所までやってる仕掛けへの金のかけ方が、楽しい。ダー子に協力する子猫ちゃんたちも楽しい。子猫ちゃんになりたいよーって、なるよねえ

 そうしてまんまと赤星からまただまし取っちゃった。モナコちゃんも仲間になった。仲間じゃないし裏切りも自由、って最初にみんな言うけど、そんな風に嘘も裏切りも許す、人情味みたいなのがほろっとまざってて、うまいんだよなあ。この話のそもそものきっかけも、実は最初に子猫ちゃんがジェシーに騙されててって所からで。前田敦子演じる鈴木さんが、ひそかに復讐してちょっとだけ気を晴らす、っていう、ちょっとした泣かせポイントみたいなのが、いい匙加減。

 で、エンドロール後に、アイドル投資詐欺? しようとしてて、生瀬さんがちらっと出る、そのアイドルもどきのメンバーに前田敦子で、AKBファンへのサービスか~って感じ。可愛い。

 キャストみんな最高によくて、楽しく演じてるんだろうなって思う。長澤まさみ、どんどん魅力増してると思うけど、ほんっとこのダー子やってる彼女大好きだ~!かっこいいかわいい。別に全作品見てきてるわけじゃないけど、見るたびにすごい、いい女優になってる~って気がする。アクションもこなすんだよなあ。すごい。ますますのご活躍を、って彼女をおっかけて作品見たくなる女優さんだ。
 東出くんのことを、私はあんまりというかその、すまないが興味ないんだけれども、でもこのボクちゃんやってる東出くんは大好き^^ めっちゃいい。すごくいい。可愛いな~~。
 リチャード小日向さんは、勿論すごくて。「あしたの、喜多善男」すっごい好きだったなーとか思いつつ。やはり別に全作品見てきてるわけじゃないけど、見るたびに勿論違う役で、その役のそういう人って感じになってて、それでも小日向さんって感じがして、すごい。で、リチャードのつかみどころのない、ただのヘンなおじさんとかジェントルとか包容力とか冷たさとか、いろいろすごくありそう~って思わせてくれるの、好きだなあ。

 と、そんなこんなで映画に満足して帰ると、夜に、スペシャルドラマ、新作があるという、この、何? テレビシリーズから映画化! で、その公開日翌日に新作スペシャルドラマって何事。すごい作り方してるなあって、面白かった。なんか映画やってるの? って、連ドラ見てない人がなんとなくスペシャルドラマ見て、何これオモシロイとなれば映画も見に行くだろうし、ってことなのか。一話再放送よりは効果的なのか?? 不思議だ。

 で、見ましたね、スペシャルドラマも。「運勢編」。時系列としては、映画の後、映画エンドロールの前、って所ね。映画を見ててもみてなくても大丈夫と思う。モナコちゃんのことだけ、映画見てないとなんか仲間増えてる? と多少気になるだろうか。私は映画見た後、で見たので、ああ~よかったねモナコちゃんもしっかり子猫ちゃんの一人としてやってくんだな~と思えてよかった。そしてドラマの最後で、次のオサカナちゃんがアイドルプロデューサー生瀬さんか! ってことであのエンドロールか~と思って笑った。

 「運勢編」は、強運でもって詐欺成功させてきたダー子の運が落ちきて、もう駄目だ、と、ボクちゃんやリチャードは離れていく。なのにダー子はますます強気に、一人で危ないヤクザに仕掛けていく、って感じ。ゲスト的騙されちゃう役に、北村一輝、中山美穂、広末涼子とこれまた豪華キャスト。みんなそれぞれにゲスイ悪い奴。このドラマに出るって、役者さん的にもすごくいいんじゃないかなあ。なんか酷い、けど面白い役を、いいノリでやってるんじゃないかな~~~って思う。まあ、北村一輝がヤクザ、でも実は気弱、なのはよくやってる感じかもしれないか。

 ともあれ、運が落ちてきてどん底までいく、ってなれば、自らどん底までいっちゃう、そしてどん底でひどい目にあいましたーと神様まで騙そうってダー子さんの計画がお見事ですし、楽しかった。

 ちょっとだけ、「ホワイトカラー」なんかと似てる感じがするかなあ。ニールも天才詐欺師で、仲間もみんな全員とってもスマート。その無茶な計画も、でもドラマですから! 天才~とかスマートに事が運ぶとか、やっぱ見てて気持ちいいよねえ。ドラマですから! 楽しい。

 これで好評が続いて、またドラマだったり、たまにスペシャルドラマだったり、やってほしいなあ。基本的にきっと楽しい。と思いつつ、けど犯罪ものではあるわけで、もしかして悲劇に転がる可能性も、あり、って、ほんのちょっとだけ思っちゃうのがスリリング。
 ほんっとに。脚本古沢良太、これからも見続けたい。


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映画 「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」

*ネタバレしています。


映画 「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」


 ルドルフ・ヌレエフ。伝説のダンサーなんですね。ホワイト・クロウというのは、はぐれ者、みたいなことらしい。仲間場ずれの白いカラス。ソ連のバレエダンサー。1961年のパリ公演後に亡命。という事実があるらしい。私はほぼ何も知らないので、実話ベースなのねと思いつつ、単純に一人のダンサーの半生物語として見ました。

 物語は、すでにヌレエフが亡命して。その師であるプーシキン(?)がソ連高官、か、な、政府? 警察? に、亡命の兆候はあったのか、とか尋問されてるような所から始まる。
レイフ・ファインズ監督作品、で、本人はこの先生役で出てるのね。なんだかしょんぼりしてる所から始まって、すうっと引き込まれた。

 ルディ、と呼ばれている。主演はオーディションで決まったという、現役ダンサーのオレグ・イベンコ。さすがダンスシーンもしっかり素敵。目が強くて印象的。性格きついというか、トップであろうとする人はそうなのか、芸術家気質とでもいうのか、わがままって感じのルディの、傲慢さ、強さ、若くてうつくしくて危うい感じ、とってもとってもよかった。

 友達っていうのか先輩っつーかの、ユーリを、金髪にしてるセルゲイ・ポルーニンがやってた。ああ~綺麗に動く~~~。うっとり。

 パリで、一人芸術と向き合う感じのルディ。絵や彫刻、聖堂。そういう中で生きたい、と、子どものころに思い、思い続けてきたという。
舞台で踊れば、人々をひきつけて名をはせる。
 パリの街。パリの夜。パリの友人。ルディの欲しい自由はソ連にはない。それでも、反抗的な奴だと嫌われて、次のロンドン公演の前に強引にモスクワへ帰れなんていわれていなければ、亡命なんてことはしなかったのか。それでも、時間の問題で、そういう行動に出ていたのか。わからないけれども、ヌレエフが自由が欲しくて、ソ連という広大な、なのに窮屈な一つの世界に押し込められているのは嫌だ、という切実な願いはすごく、感じた。

 バレエダンサーとして、先生の妻に可愛がられちゃうとか、なんか、なんなんだ。芸術なのか?? あんなこんなの世界はよくわからない……。
 でもなんだかヌレエフ自身の持つ物語が、とても特別、っていうのは、わかる。生まれたのも列車の中だったという。子ども時代の、子役ちゃんもすごくいい顔、綺麗で、きれいな体をしてて、すごくよかった。

 終盤、このままでは強引に連れ戻される、と泣きそうな彼に、亡命の手助けをするクララ、とか、すごく、スパイものっぽくてハラハラドキドキ。でも本当にこのまま、二度と故郷には帰れないかも、家族がしいたげられるかも、という選択を、あの一瞬、あの一時間足らずの間に決意しなくては、というのは、ものすごく大変なことで。こわいよなあ。それでも、そうせずにはいられなかった。

 時間というか、話は回想がランダムに入り込んでくる、って感じで、んん? これはいつの事なんだ、とわかんなくなったりしながらも、それが重層的っていうのか、ポリフォニー? な、感じで。面白かった。重厚で壮大で、でも淡々としている。見に行けてよかった。好きだったよー。


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映画 「アベンジャーズ エンドゲーム」(3回目)

*ネタバレしています。


映画 「アベンジャーズ エンドゲーム」

 5日に、3回目見に行った。3D字幕、IMAXで。

 もう展開はわかっている。だから余計に、最初っから胸いっぱい。三度目だけどもまたまだだらだらと感想書いちゃう。
いつものマーベルロゴが出る中に映るのは、インフィニティ・フォーで生き残った方のヒーローたちの姿ばかり。ほんっとうに最初っから、ぐっとくるように見せてくる~。

 そして静かな、平和な、クリントの家族との時間。初回見に行った時には、娘ちゃんが消えた所であの塵になってふわりと消えた、塵がよく見えなくて、何が?? とクリントと同じく思っちゃったけど、けど、あの塵が舞ってるのがわかって、そして、クリントにとってのあの瞬間なわけだ、と、思う。ワカンダでの死闘のころ、クリントは遠くにいて、世界のあちこちではこんな風に日常があって。そして何が起きたかもわからず突然大事な人が消えてしまうという事態だったんだな……。

 宇宙に浮かぶトニーたちの船。トニーはネビュラとなんか、手作りの折り紙かなんかの三角のコマ?を、はじいて手で作ったゴールの枠に入れる、っていうゲームをしてる。トニーがルール作って教えながらって感じだったのかなあ。ネビュラはコマをがっと手でつかんじゃったりして、そういうのはダメって教わりながら、ゲームして。ネビュラ、ちゃんとルールに従ってお互いピシピシ弾きあって、ゲームに勝つ。「楽しい?」ってトニーに聞かれて、「楽しい」と答える。「フェアゲームだ」ってトニーと握手。も~~~さ~~~。あのネビュラがさ~~~ちゃんとゲームのルールを守って勝って楽しいって。すごい。トニーがちゃんと大人だなあって思うし、ネビュラが本当に変わってきたんだなってすごく、思う。

 後に、過去の自分に、「変われる」って説得しようとしたり、過去の自分を殺す、までできるのは、すごいことで。こんな風に「フェアゲーム」を学んだり、そうしてフェアな中で戦って、楽しい、って感じたりできるようになったからで。
 ゲーム。フェアなゲームは楽しい。でも、これまでの自分、サノスのしてきたことは、フェアじゃなくて、酷い、ということが本当にわかって。そんな風に心を取り戻しているんだなあと思う。ゲーム。フェアじゃないゲームは取り消してやり直して終わらせる、ゲーム。
 ネビュラ、ラストのクイルたちの船にのって、ソーとどっちが船長かって争いを、フェアゲームで決めろ、とかいってて。フェアゲーム、っていうのをしっかり心に刻んで気に入ったんだなーって、うれしい。

 キャプテンマーベルに地球へ連れて帰ってもらってきて。出迎えるキャプテンたち。そしてポッツ。ポッツがみんなより先に外に出てきてるの、あれしょっちゅう外を気にして空を見上げて待っていたんだなあ。
 そして、トニーはキャプテンにキッズを失った、って真っ先に言う。やっぱそれが一番辛いことだった。ポッツがいて本当によかった;;
 
 で、さー。ひとまずの応急手当はしてるんだろうけど、点滴つけたトニーに、何か情報はないか、とか聞いちゃうキャップたち。トニー、キレる。キャップたちも焦ってるんだけど、やっぱみんなひどいじゃない。宇宙をさまよったトニーの心のケアを、もっと考えてよー;;
 でもこの時、トニーがちゃんとキレてキャップに文句言うの最高好き。らいあー、嘘つきって低く絞り出すように言う、あの言い方最高っ大好きっあああああ~~トニー、かっこいいすごい大好き。トニーが文句言ったり喧嘩したりする相手ってキャップだけなんだよな。
 やはりこの二人が。このMCUのトップ、作り上げてきたわけで。トニーが大人になって、子どもを守ったり仲間のリーダーとして頼られたりアイアンマン像がますます大きなヒーローになる中で、キレる相手がいてよかったよトニー。
 しかし倒れちゃうトニー。ほんとにみんな、トニーのこと大事にしたげてよ;;トニーの孤独を思う。
 だから、ほんと、五年後、トニーが普通に穏やかな家庭で、愛する娘を授かっててほんっとよかった。すごくよかった。それでもそれは喪失と敗北の苦しみを押し殺した中での、暮らし。穏やかに、だたこの小さな家庭、家族を守る。それはそれで全然、いい。すごくいい。何も悪くない。そういう風に前に向かって進む、ので、全然いい。トニーはただの優しいお父さんで夫でいていい。それなのに、キャップたちは、真っ先にトニーのところへ来る。
 
 もちろん、量子世界を通ってタイム泥棒したいけどなんかそのための装置開発して、ってなったらトニー・スタークのところへ行くよね。誰よりも天才。なんでも作れちゃうぞって感じ。だけど、だからって、トニー君は大事な人が無事でよかったけど、失ったままの人が大勢いる、ってそんな言い方ないでしょーーっ。トニーだって目の前で大事な人失ってるじゃんピーター坊やをその手の中でさーっ。ほかにも目の前でともに戦った仲間が消えてったの見てきてるんだ。ポッツがいて本当によかったけど、喪失に苦しんでないわけないのに。君の大事な家族、娘がいるってわかってるのに、その言い草はなんだっ。こらスコット。キャップもーっ。
 でも、トニーのところへ来るのは当然、ってトニーだってわかってる。キャップたちが可能性があるならっていうのも当然ってわかってる。ポッツだってわかってる。みんなわかってる。わかってる。トニーはただの男だけど、アイアンマンだから。

 うっかりマシン開発に成功しちゃうトニー。断ってキャップたちを追い返したのに、研究シュミレーション重ねてしまうんだなあ。世界を救いたいに決まってる。ピーターをとり戻したいに決まってる。成功するのは難しい、はずなのに、トニーは天才~というわけで、シュミレーション成功してしまう。
 娘ちゃんに3000回愛してるって言われて、おやすみするのは本当に素敵なシーンで。その言葉をしみじみかみしめるトニーはまったくもってただの父親でしかない。でも、世界を救える男なんだよなーっ。最高にかっこいいけど最高に切ない。

 そのセリフ、実はロバート・ダウニー・jrがホントに子どもから言われたことある言葉だそうで、それを採用したんだってー。最高かな。ダウニーもさあ、その子供に言われた言葉しみじみかみしめて大事に思ってて、それでこういう時に印象的だったことって感じで話して、ってことだったんだろう、たぶん。すごいね。

 で、もう一人の天才博士であるところのバナー博士ハルクは、ハルクなりに努力を重ねてバナーの人格とハルクのパワーを融合させることに成功してる。ちびっこたちにヒーロー認識されて人気あるから、小さな町のヒーロー的な感じで活躍したりしてたのかなあ。まあ、あれ以前から目立つに人気キャラだったんだろうけど。
 タイムマシン開発に取り組んで、微妙~な装置開発する。スコットが年寄りになったり赤ちゃんになっちゃりしちゃって。時を超えるんじゃなくてスコット自身の中の時が変化する感じ? まあよくわかんないけどそれじゃダメだー。

 ということろでトニーが本部に戻ってくる。アウディぶっとばして。キャプテンに仲直りしたい、ピース、って軽い感じに言うのが、彼らなりの照れくささとか、あんまり言わなくても通じ合うというかで、これもまたすごい好き。対等に喧嘩するのもさらりと仲直りするのも。そしてキャプテンに盾を返す。きみのものだ、と。娘がソリ遊びに使っても困るし、って。可愛いんだよな~~~~~。
 そして、目標確認。サノスによって失われた命を取り戻す。この五年、今の生活は何も変えないどんなことをしてでも。生きて帰る。でも、何を犠牲にしてでも、勝つ、という感じ、今度はみんなが暗に自分の命をかける、という決意をしてるんだよね。

 あ、今(5日)テレビでアベンジャーズのエイジ・オブ・ウルトロンやってるわ。これはほんっとエンドゲームへの伏線がいっぱいだったんだなあ。今見るとすごい、ああ~~~ってなるねえ。嗚呼。。。

 で。えーと。過去に戻ってストーンをとってくるぞ、と、それぞれの過去の戦いのある地点に戻ることになって。キャップとトニーと、アントマンとブルースがNYに行くんだよね。この過去に戻るぞってシーンは、過去の時点ではドシリアスなただなかだったりするのに、今裏側見るとちょっとふふって感じの、ユーモア、ほっと一笑い、みたいなシーンになってて楽しい。でもぎゅっとシリアスにもなるわけで。緩急のバランスな~。

 ミスっちゃってさらに過去へ、となる、キャップとトニーとのシーン。信用するか、とトニーが聞いて、キャプテンがもちろん、と答える。うう。冒頭でもう信用もない!みたいにキレてたトニーが、キャップはまだ俺を信じるか?って聞くの、もえる。
 で、1970年で、トニーは父に会って;; トニーの人生の許し、なんだろうなあ。ほんとエンドゲームは、トニーの人生の幕引き、というのがたっぷり描かれていた。
 寂しい。
 そりゃまあダウニーが永遠にアイアンマンを演じ続けることはできないわけで、おりる時はくるし、そのことも含めてこのシリーズの構想が積み上げられてきて、こんなに見事にたたまれるとは。一体どこからこの10年って構想されてきたんだろう。10年、って思ってたとしても、その思惑通りに進められるでもないだろうに。ほんと、すごいよなあ。

 無事ストーンを集めて、新たな指パッチンできた! 成功! と思ってからの、サノスがきて大決戦になるのー、よろこびの余韻味わう間がほとんどない容赦なさが、ほんっと。くっそこのサノスめ~~~。酷い。

 ビッグ3とかいう、キャプテンアメリカ、ソー、アイアンマンの三人でまず戦い始めるの、シルエットとかさいっこうにかっこいい!しびれる~!泣く~っ。
 キャプテンがハンマー使ってのバトルになった時からはもう全然涙止まらず。あまりのかっこよさに;; ヒーローものですごいのって、かっこよすぎて涙がってなる凄さだよ。かっこいいよおお~~;;
 戦って、またボロボロになって、それでもキャプテンは立ち上がり続ける。膨大なサノスの軍を前にしても、盾が半分壊されて一人でも、立ち上がる。半分になった盾のベルトをぐっと締めて腕につけて。
 そしたら~~~ストレンジのくるくるサークルが開いて、味方がきて;;
 何度聞いても、あのキャプテンの「アベンジャーズ、アッセンブル」は、うおおおおおおおおお~~~~~!!!!!ってなるよねーーーっ!!!!! アッセンブル、って、叫ぶんじゃなくて、むしろ低く静かに、けど最高に力強く言うんだよーーー。泣くわ。

 トニーのところへスパイダーマンがきて、うっわねえねえ!って感じで一生懸命しゃべるのほんと可愛い。それを見つめるトニーの表情たまらん。で、トニーからハグするの。
 ほーるどおん、って小さく言ってたの聞こえた、と、思う。ピーターと最初に会った頃、車から降りるときハグだ!?ってピーターが喜んだら、ドア開けてあげただけだよーってことがあったので、この、しっかりハグはまたもう、すっごい、よかった。ピーターの方は消えてた間の記憶も意識もないようで、なんかわかんないけど、タイヘンだ。なんかわかんないけどトニーさんがハグしてくれた。って感じと、トニーのほうの重みとの差、ね。
 五年。
 悲しみ、喪失、敗北の五年。それでも前に進む。それでも幸せもある。それでも。
 だから、自分の命かけてでも、という決戦になる。ほんと、あれから五年にしたことを、思えば思うほど深く重く凄い話だと思う。

 トニーがストレンジ先生とアイコンタクトして、自分の命をかける、という時、本当に覚悟をきめる間があって、どばどば泣いてしまう。恐怖も未練もたっぷりあるに決まってる。だけど。トニーは本当に、ヒーローになって散った。アイアンマンだ。
 スーツをきててもトニーってただの人間だもの。衝撃に耐えられるわけはなかった。三度目だというのに、やっぱり、あの時、でもでも危篤になったけど回復したってことにならないか? って思っちゃう。

 トニー・スタークは、最初は会社の利益を気にする程度の天才エンジニアで社長、というキャラクターだった。でも武器商人として得る富が間違いだ、となると、やめる、むしろ自分が正しいことをなすために、という風に方向転換するキャラだった。トニーの変化。トニーの負うようになった責任。それってさー、一般人で普通に人間である身に負うには過酷すぎる。
 ナターシャやクリントも普通の人間、めっちゃ訓練積んで超人的に強いしタフだけど、けどまあ人間なところで、すごいんだけど。トニーはアベンジャーズの中でも普通の人間枠としてのヒーローというナターシャやクリントよりもっと期待と責任を負いすぎてるのでは;;とツライ。トニーにはできることが多いから。誰よりも天才で金持ちで、なんだか楽々とあれこれ成し遂げているように見える、見せているから。
 
 最後のビデオメッセージで、タイムトラベルに挑む前夜、ね。やっぱり怖いし、不安だしけどやるしかないし、というのが。トニーだなあって思う。それでもやって、成し遂げるのも、トニーだなあ。希望を託したメッセージあることが救いだった。トニーが望んだとおり、平和な時がきて、再生されるメッセージ。
 10年前、宇宙人がいるってきいても、驚かないけど、これほどとは、って言ってたメッセージ。もう地球は地球だけじゃない、宇宙規模に、家族だ、という話。これほどとは、ってね。トニーが負うことになる責任が、これほどとは。これほど、世界を救うヒーローになるとは。ほんっとかっこいいよスタークさん;;

 改めて、キャプテンが、長い眠りを経て孤高のヒーロー、キャプテンアメリカであり続けた日々って、サノス以後の五年、みたいな感じを一人ずっと生きてきたのかなと思うと、辛い。大事な人はいなくなってて、ただ一人思ってもみなかった別世界に生きている意味とは、ということを思い続けていたのかなあと。バッキーに執着しちゃうなーと思ったし、大事な人がいた時に戻れるならば、と、キャプテンじゃない、自分として生きる、生きられる、となったのも、そうかーと思う。エンドゲーム見てやっとシビル・ウォーで、バッキーを見捨てられないってなってるキャプテンがわかった気がするよ……。それでもトニーに対して酷いよ~;;って思うけど~~;;

 最後のタイムトラベルに行く前、キャプテンはまたここで会おう、っていって消えたので、この日この場所へと、帰ってきたんだなあ。自分の人生を生きて。キャプテンだって、兵士で国のために尽くしたい、ってのはあったにせよ、それでも一人のただの人間であるのはみんなと同じ。

 ヒーローたちも成長する。変わる。世界は変わる。過去の自分は変わらないけど、変えることができるのは今の、未来の自分。
 トニー・スタークは戻らない。ナターシャも。ヒーローにも死はある。魔法がある世界でも変えられないことはある。
 そのことを受け止め、みんなまた、前に進む。ピーター・パーカーくんが心配だよ。一番子供だし。ファーフロムホーム、どんなふうに始まるのか、あの後の世界ってことのようなので、どう、なるのか。ちょっと長いトレイラーが6日に解禁になるらしい、ね? 早く見たい。夏が待ち遠しい~。

 そしてエンドロールで、最後にメインのアベンジャーズたちの、姿。キャストサイン。本当に本当に、こんなにヒーローたちを生きて、演じてくれてありがとう。かっこいいよ。サインが現れるのを見ながら涙涙。最後にロバート・ダウニー・jrで、ほんっと、好き。かっこいい。素敵。かっこいい;;

 永遠に何回でも同じことぐだぐだ言いながらこれまでのシリーズ見直したりしたいかもなあ。シリーズ22作、か、23作? まとめたブルーレイボックス出してくれたら今の私ならぽちってしまうかもしれない。どうなの。シリーズ見直したらあれこれ思うことが倍増で、感動感慨がすごいことになりそう。はー。すごいな。かっこいいって素晴らしいな。大好きだー。

 

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映画 「名探偵ピカチュウ」

*ネタバレしています。


映画 「名探偵ピカチュウ」

 字幕で見ました。

 とある研究施設。カプセルの中でミュウツーが育てられていた。研究所から逃げた車を追って、ミュウツーがカプセルを破壊して飛ぶ。そして車を破壊した。

 ティムの子供のころの夢はポケモントレーナーになること。しかし今はポケモンに興味はなくただの保険調査員として祖母と暮らしている。ある日、ライムシティの警察から連絡がくる。父が亡くなった、と。

 ライムシティでは、誰もがポケモンを相棒としてつれている。ポケモンとの絆によって人間の健康増進につながる、だっけか。なんかそういうつながりがあるとか。父と疎遠になっているティムは、父が探偵としてポケモン絡みの仕事に没頭していったのが許せない思いでいた。父の部屋で自分のために用意されている部屋でぼんやりしていると、不審な物音が。それは父の相棒だったピカチュウ。何故か人間の言葉をしゃべるピカチュウ。その言葉はティムにだけわかるのだった。

 ライアン・レイノルズがピカチュウの声だって!? 表情なんかもすっかりライアン・レイノルズ!? ってことで予告見てからすごく楽しみにしてた。それにポケモン!いっぱい! それぞれに生々しい~^^ リアルで、でもぬいぐるみで、可愛い気持ち悪い、すーごくよかった!

 ピカチュウ~可愛い~^^ んが、中身は皮肉でおしゃべりですごい楽しい~!
 ティムが、もう働いてる感じか、ってちょっとびっくりしたけど。なんとなくやっぱ少年かな~学生? ってくらいに思ってたから。けど若者だもんねー。父と息子の物語で、すごくよかった。途中から一緒に冒険だーってなる彼女も、キャスター目指してパワーがあって、すごくよかった。可愛いし。

 ポケモンに関しては、私はポケモンGOをのんびりやってるくらいなので、話とかはほとんどわかっていない。出てきたポケモンも全部わかったわけでもないかな。けど、英語だと名前が違う~とか一緒~とか思うの楽しかった。どんどんいっぱい出てくる~怖いなとか可愛いな~とか。いちいち楽しめた^^ バトルもよかったー。ピカチュウが記憶なくしてるとこがあるとかで、戦い方がわかんないーってヨワヨワなの可愛いし。
 ティムと一緒に、父は実はまだ生きているのではないか、って父親の追ってた事件を探るの、名探偵っていうか謎解きミステリっていうか、なんかさすがどんどんわかって話が早い。ピカチュウ名探偵か~? でもまあいい^^
 ミュウツーのパワーで人間を相棒のポケモンの中にミックスしちゃって、新たな進化をするのだ、って健康志向からなかなかのマッドサイエンティストっぷりになっていって、でもなんか話もそれなりにちゃんと練ってるな~けどなんか疑問も?? って思うけど。でも十分面白かったわ。
 ミュウツーがすごい最強っぽかったし、こわいけど、実はティムの父には心許していたのかーとか、まあ、ベタな王道かもだけど、面白かった~。

 最後にはちゃんとめでたしめでたし。実はピカチュウの中に父親の魂が入っていたのだーってことで、ちゃんと父と息子、仲直り。ライアン・レイノルズ出てきて、さっすがかっこよかった! わーい! 大満足!

 単純に人間とポケモン仲良しで一緒に暮らしている街、(ライムシティ、新宿やロンドンや上海等をモデルミックスして作り上げた感じの街らしい。おーあのビルの感じは、とちょっと思ったりも楽しかった)人間にくっついて回るポケモンたちすごく可愛かった~。上映時間97分とコンパクトでぎゅっと楽しめる。真面目にポケモンみんな大事に好きで作り上げてる気がした。渡辺謙さんも渋い警部でよかった~^^。
 ポケGOだけとはいえ、ちょっとはポケモン知っててよかったな。安心のいい映画^^。

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映画 「荒野にて」

*結末まで触れています。


映画 「荒野にて」


 チャーリーは父親と二人暮らし。引っ越してきて今は学校には行っていないみたい。父との暮らしはあんまり豊かじゃないしまともじゃないけれど親子の仲はいい。父は一応仕事はしてるけど寝る相手をふらふら変えるしチャーリーのことにあまりかまわない。母は幼いころに出て行っていてチャーリーの記憶にない。マージー叔母さんが優しくしてくれていたのだが、父と大喧嘩して12歳のころ以来音信不通だ。

 一人で近所をランニングして、チャーリーは競馬場があるよ、と父に報告する。
 ある日、ランニング中に、トラックのタイヤ交換にてこずっていたデルを手伝って、そのままその日の仕事を手伝って給料をもらった。デルは競走馬を持っている。一時よりは落ちぶれた、とはいえ、まだ6頭の馬を持っている。
 厩舎の仕事を手伝って、お金を得て、馬の世話をするのは好きだ。チャーリーはリーン・オン・ピートという馬と仲良くなる。
 ある夜、父が寝た人妻の夫が家に押し入ってきた。撃たれてしまう父親。入院した父の医療費のためにもチャーリーは仕事に出かける。だが、容態が急変、父はなくなってしまう。
 児童保護施設へ連絡しよう、という医者をふりきって、チャーリーは厩舎へ逃げた。

 しかし足を痛めたらしく勝てなくなったピートは売られてメキシコ行きになるという。デルにじゃあ僕が買う!と言ってももちろん相手にされない。騎手のボニーもとりあってくれない。チャーリーははトラックごとピートを盗み出し、叔母さんのところを目指した。


 チャーリーがほんとはいくつなんだ、と思う。15歳? 16歳? 18とか言ったのは嘘かなと思うけど、ともかく、大人に保護されなくちゃいけない子どもなのは間違いない。
 父は、悪人ってほどじゃないけど、子どもを育てるには向いてない人なんだよなあ。母もそうだったんだろうなあ。叔母さんがいい人で、チャーリーにとっていい思い出で。施設にやられるより叔母さんのところへ行く、というのはわかる。
 そこで逃げ出さないで、ちゃんと、施設なり警察なりに、叔母さんを探して、と頼めばきっと探して連絡とってくれるはずなのでは? 逃げないで。怖がらないで。
 でもチャーリーは逃げ出す。大人なんて信じられないってことなのか。かたくなに心を閉ざし、ピートだけに喋る。馬をつれて、でも自分は馬には決して乗らないで、大丈夫だよ、って馬にいいながら逃げ続けていく姿は、景色もあいまってとても美しい。
 だけど、大丈夫だよって言ってほしいのはチャーリーなんだよ。

 逃亡の途中、少しは助けてくれる人とも出会う。でも、そこでも打ち解けることはできなくて、信じられなくて、居場所じゃなくて、またピートと歩き出す。

 ピートが夜の車におびえて暴れて走り出してしまい、車にはねられたのは衝撃だった。辛い。チャーリーの衝撃と後悔、どれほど深いことか。警察がきて、そしてまたチャーリーは逃げ出す。
 
 ホームレスになり、炊き出しのところで知り合った男が親切、と、思ったのに。なんとか日雇い仕事で得た金を、男に奪われる。
 チャーリーもブチ切れて、男をレンチで殴って金を奪い返す。

 そんな旅の果て、叔母さんを見つけ出すことができて、再会できて、叔母さんにハグされて本当にほっとした。この叔母さんが、昔と変わってしまっていたらどうしよう、って息をとめる思いで見た。
 叔母さんは、ちゃんとした人だった。よかった。チャーリーをちゃんとハグして、ここにいていい? と聞いたチャーリーに、離さないわよって答えてくれる。
 やっと、やっと、安心して眠れるベッドを得て、それでも眠れなくてチャーリーは叔母さんの部屋へ行く。学校に行ける? 刑務所に行っても戻ってこれる? と聞く。もちろん、と、叔母さんは受け入れてくれる。
 チャーリーは悪夢の話をする。ピートが溺れているのに助けられないんだ。と、やっと、泣くことができた。ピートに会いたい、って。
 
 こっちが泣くわ。溺れているのはチャーリー、きみだよ。
 
 静かな、過酷な、だけどちゃんと優しさもある映画だった。チャーリー、そんなに逃げ何で。おびえないで。でも、彼はそうであるしかなかったんだな。

 デルとランチ食べるとき、マナーもなんもなってなくて、食事がきたらすぐばくばく食べて、デルに、母親になんかいわれなかったのかって呆れられたりする。父親には? チャーリーは別に何も言われないよ、って答える。
 チャーリーは学校に行ってたころには、スポーツ得意だったみたい。友達もいたみたい。だけど、今の自分を見せたくない、元気でやってるって思ってほしい、って、連絡しようとはしなかった。誰かにきちんとかまってもらって、せめてもの食事のマナーとか、ちゃんとするっていうことを、教わる家庭ではなかった。
 仕事を与えられたらすなおにやるし、汚れるようなことでも嫌がらないし、逃亡中の塗装の日雇いみたいなやつでも、真面目にやって、たぶん気に入られて、ずっと仕事にこいよ、みたいに言われてた。本当に、素直で真面目で、すごくいい子なんだよなあ。
 もう少しだけでも、父がちゃんとしてくれれば。叔母さんと引き離されなければ。もっと当たり前の幸せがあっただろうに。

 最後もランニングしてる姿で終わった。学校に行って、またスポーツをやるんだろう。これからはまともな暮らしになるだろう。少年の孤独に、やっと安心できる居場所ができたんだと思う。これからきっと優しく強くしあわせな人になるんだと思う。
 チャーリーが出会った人たち。別に悪い人ばかりではなかった。ただあともう少しでも、まともにチャーリーの話をよく聞けたら。けれど、チャーリーの方でも話さないで、逃げるしかできなくて。話せないっていう感じが、もう、辛くて。

 たぶん私自身も、チャーリーに居場所とか安心とか示せないような、人間だなって思う。
 優しくなりたいって思った。
 キャストみんなすっごくよかった。すごくいい映画。見に行ってよかった。

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