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映画 「記者たち 衝撃と畏怖の真実」

 あ、4月1日だ~。別に何も嘘はないです。
 新元号の発表が昼にありました。来月には「令和」になるんだって。典拠は万葉集だそうです。ほほー。そんなこんなの新年度、今日は映画が安い日、という認識で映画を見て、お昼をサイゼリヤで食べながら、元号発表、11時半から遅れてるじゃないの、なんてツイッターを眺めていました。穏やかな良き年になるといいねえ。


*ネタバレしてます。


映画 「記者たち 衝撃と畏怖の真実」


 2017年製作ですね。公開遅いというかまあそんなもんか。
 監督、ロブ・ライナー。出演もしている。「スタント・バイ・ミー」の!というのが私の中での印象。
 今作は9.11ののち、犯人捜し、イラクに大量破壊兵器がある、世界の平和のために、と、アメリカが踏み込んだ戦争が、まともな情報からの判断ではなく、戦争する、と決めてからの、都合のいい情報、なんなら嘘の情報をもとにして、始めた戦争なのだ。それを追い、真実を伝えようとしていたのに孤軍奮闘となった小さな新聞社の記者たちの物語。

 ドキュメンタリーではない。実話、事実、実在の記者たちをモデルにしつつ、これは映画として、みっしりぎっきり面白く見せてくれる作品だった。上映時間91分。ぎゅっと詰まった、でも時々、彼らの日常という風な笑える感じもありつつの、ほんっとうまい、すごい、すっごい面白い映画だった。

 9.11の衝撃。ビルに突っ込む飛行機、崩壊のニュースも、その後のテロへの糾弾やイラクが危険、って戦争になっていくのを、ニュースで垣間見る程度だけどリアルタイムに見ていた記憶は私にもある。その、砂漠に大量破壊兵器を隠している、という戦争への根拠が、嘘であるって。嘘? 嘘やろ? という、あの辺のよくわからない感じがもう、すごい、ドラマチックというにはバカバカしいような、なんか、何それ?? ジャーナリズムとは?
 
 なんて思うわけだけれども、正しい情報とは何なのか。何を、どう、判断するのか。
 本当はそれ国民一人一人が考えなくちゃいけない。そしてそれは、まさに今現在も問われ続ける問題である。けど、私、なんかただぼーっと生きてるな……。


 ウディ・ハレルソン演じるランデーと、ジェームズ・マースデン演じるストロベルという二人の記者がメインかな。ナイト・リッダー社というのは、タイムズやポストのような大手ではなく、記事を小さな新聞共同で使っていいよーみたいなところみたい。
 そこで、二人は様々な情報筋から話を聞き、裏をとり、という地道な作業を続ける。確信のないスクープはうてない、っていううちに別のところが追ってたネタのスクープ出したり。政府広報みたいになり下がってる大手を人々は信じて、ストロベルの主張は信用してもらえない。
 憤る若い二人に、まあ若いっていっても中堅だろうけれども、もっと渋いベテランボスが冷静に赤ペンいれてくのなー。かっこいい。ロブ・ライナーが演じているジョン・ウォルコット。最初予定のキャストが下りたので、監督がじゃあ自分がやるかってことになったらしい。可愛いな。
 記者の日常って感じが面白かったし、家族を不安にさせちゃったり、なんとか新しい恋を始めようとしていたり、それぞれのドラマにちょっとふふってなったりできるのがよかった。ミラ・ジョボビッチが隣人で恋人でっていうごく普通の人やってて、なんか新鮮だった。当たり前だけど当たり前に普通の女優さんで普通の人もやるよねえ。そりゃそうだ。

 ボーイズ、なんて呼ばれちゃうランデーとストロベルは向き合うデスクで仕事していて、やりとりが面白くてかわいくてよかった~。普通に働く人で、でも、しっかりジャーナリストであろうとしている。かっこいい。

 随所に、実際のニュース映像なんかもあって、こんな現実が、こんな? 馬鹿な。という苦々しさがこみ上げる。
 
 若い兵士、志願兵になって任地に赴き、爆撃にあい半身不随になった兵士の質問がある。「なぜこの戦争が?」 
 戦争を始めるのは他人の子供を戦地に送り出す奴。ナイト・リッダーは自分の子供を戦地に送り出す人のために真実を伝えるという、理念。

 最後には、記者たち本人のインタビュー番組かなんかの映像も出た。ジャーナリズムとは。事実を、真実を、つきとめるとは。民主主義、自由のためには、事実が必要だ。自由な報道が必要だ。

 今、まさに今も、問題は続いている。


 で、これ、もうじき公開の、クリスチャン・ベールがやる「バイス」が同じ問題扱ってるよね? ブッシュ大統領、の、副大統領の話だよね? アメリカ……すごいな。「バイス」見るのが一層楽しみだよ。テイストはずいぶん違うような感じだけど、どう、どうなの。あっちも「全部本当!」って予告うってるよねえ。こわい。すごい見たい楽しみ。

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