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『シスターズ・ブラザーズ』 (パトリック・デウィット/創元推理文庫)

*ネタバレしています。


『シスターズ・ブラザーズ』 (パトリック・デウィット/創元推理文庫)


 舞台は1851年、アメリカ。西海岸へ向かって。
 シスターズ・ブラザーズというタイトル自体がなんか面白いことになってるけど、シスターズというのは苗字ってことで。チャーリー(兄)とイーライ(弟)のシスターズ兄弟が主人公。二人は殺し屋として名をはせていて、提督という男の仕事を請け負っている。
 今回指示されたのは、オレゴンからカリフォルニアまで出張し、ハーマン・カーミット・ウォームという山師を消すこと。
 前回の仕事でしくじりがあって、チャーリーが指揮官ということになり、馬も駄馬しかなくて気乗りしないイーライ。イーライ視点の語りで話は進む。

 兄がキレやすく酒飲みでひどい。が、弟もカッとなると見境なくなってしまう質らしい。
 ゴールドラッシュに沸く中、夢破れてボロボロな人たち、という中、旅していく兄弟。半分くらいは、目的地へ向かう旅で、なんだかたいへんな道のりだなあと思いながら読み進む。私にはちょっとのりきれない感じがして、半分くらいはつまんないなあと思ってた。旅の途中出会う泣いてばかりいる男とか、娼婦とか家族に取り残された男の子とか、なんか、こう、どうなの? 何か深いものを読み取らなくちゃいけないの? 私が読み切れなくてごめん。

 イーライが、タブというちょっととろくさい馬に乗って、そいつにだんだん愛着もってくるのはよかった。私も好きになってくる。けれど、途中で目にけがをして、ダメになった目を抉り出す、その目の穴にアルコールじゃばじゃば注ぐとかいう荒っぽすぎる治療。あげく、タブは崖から落ちて死んじゃう、と。つ、つらい……。けれど、その昔の西部って、そんなもんなのかなあ。生きるのに、動物はもちろん人間にも過酷……。

 マッツの映画「悪党に粛清を」の時にも、西部で生きるのって、あまりにも無秩序つか法なんてあってなきがごとし。力で解決、ガンガン殺されれる、みたいなんだよなー。生き続けるだけで偉業……。

 そして、殺しの標的ウォームは、山師というか科学者みたいなものらしく。水に流せば底に沈む黄金が光輝いて見えるようになるという薬を開発していたのだ。
 ちょっと魔法めいた、西部劇っつーか謎のミステリっつーかファンタジーめいたというか、何その魔法の薬? と思うんだけど、一応、科学って感じ。
 カリフォルニアで先にウォームを見つけて兄弟を案内する係だったモリスという男が、ウォームの口車に乗せられて、提督を裏切ってウォームとともに川へ行き、黄金を手に入れようとしている、とわかる。
 旅の間に、もう殺し屋をやめたくなってしまったイーライは、川で本当に黄金を手に入れている二人を見つけると、一緒に組もう、ってことになる。
 薬品が劇薬で、それを流した水につかったら皮膚がただれてひどいことになり。

 そんなこんなで二人は殺すまでもなく死んじゃうし。ええ~~。あっけない。ウォームの半生のおしゃべりとか面白かった。
 死んだ彼らを生真面目に葬ってやるとか、片手をなくす羽目になるチャーリーが弱気になっていくのも、兄弟の変化が面白かった。
 せっかく手に入れた黄金はインディアンにとられちゃうし。
 途中で隠しておいたカネは火事でなくなっちゃってたし。

 結局、兄弟は母の家へ帰る。イーライが提督をひそかに始末し、殺し屋はやめると決めて。結構お母さんが真面目に優しくて、ほっとした。もう、生きて帰っただけで、すごいよ。

 後半はすごく面白く読んだ。ウォームたちに出会ってからはぐいぐい読めた。だからなんかあっさり死んでしまうことになって残念。というか、ほんと、容赦ないというか、西部劇、過酷……。

 これ、映画になると知って読んでみたのでした。邦題は「ゴールデン・リバー」。映画はだいぶアレンジしてるのかな? そもそも兄と弟が逆になってるみたい。ジェイク・ギレンホールとリズ・アーメットが出てて、リズくんがウォーム役らしく、それはすごくイメージ合うな~と思った。7月に日本公開らしい。すごく見たい。楽しみだ。

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