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映画 「バイス」


*結末まで触れています。


映画 「バイス」


 クリスチャン・ベールがまた肉体改造でたぷたぷになってディック・チェイニー副大統領そっくりになって主演。いやほんとそっくり。というか、キャストみんなそれぞれに、そっくり。まー私はそんなアメリカ政権のみなさんを見知っているわけじゃないけど、ニュース画像が出て、それはホントのニュース画像なのか演じてるものなのか、ちょっとわかんないって思っちゃうくらい。

 9.11ののち、イラクとの戦争に踏み出すアメリカ。ブッシュ大統領のもとで、本来なら飾りもの的な副大統領の地位にあったチェイニーが、ひそかに実験を握っていたのだ。というようなことを、私はあまり知らなかったし、当時ニュースはそこそこ見ていたとはいえ、何が起きているのかなんてわかっちゃいなかったし。チェイニーが、ラムズフェルド国防長官が。情報を都合よく捻じ曲げて戦争引き起こす、って、って、なんか、ほんとうにそんなことが?? と、わからなくなる。

 先日みた「記者たちー衝撃と畏怖の真実」も合わせて考えてしまう。そんな風に戦争が始まって、兵士に、民間人に、多大な犠牲を出して。なんのために? 
 本当に合理的な理由なんてつけられないのかな。9.11の衝撃はひどかった。あのニュースをリアルタイムで見ながら、戦争が始まる、と、私はその時部屋に一人で、心底怖くて震えていたのを覚えている。誰がやったのかとかまだ全然わからなくても、このままアメリカがだまってるわけないっていうのははっきりわかるし、そして、正しい犯人捜しというよりはとにかく、敵を見出して戦う、ヒステリックな世界的パニックに陥っていたのではないか、と、思う。
 でもその戦争、何故。どこまで。

 ひどい出来事だった。けど、それをこういう映画にして見せるのが、また、すごいことで。なんかアメリカの近現代史についての映画を見てる気がする。そして、考えこんでしまう。で、日本は? と思う。日本もイラク派兵に参加したんじゃないっけ。。。あー。もーわからん。

 「ビリーブ」のことも連想した。チェイニーが若いころに酒飲みでダメ人間で、けど恋人で妻になるリン績優秀で、チェイニーを叱咤激励、するんだよね。60年代か。彼女は自分が女だから、どんなに優秀でもどうにもならない。何にもなれない。あなたがしっかりしてくれることが必要なの!このままなら別れる! って。
 ギンズバーグも、どんなにか優秀でも、弁護士になれなくて、けれど彼女は地道にがんばってついには夢をかなえた。夫はもちろんよき理解者で協力者で。でも、夫に出世してもらって自分の手柄のように思うっていう風にはならなかった。
 リンは? 彼女も本を出したりしてたけど、夫の成功こそが自分の成功って思っていたのかなあ。どうなんだろう。もちろん、飲んだくれのダメ夫をあんなふうに変え、やる気出させて、応援するのは素晴らしい。だけど、どーなの。女だから何者にもなれない、という呪縛に自分自身がとらわれていたのかなあ。

 娘二人いて、一人が同性愛なの、と打ちあけて、失恋に泣いちゃってるとき、チェイニーは娘にちゃんと愛してるよ、と言って、選挙のほうを諦めた。選挙になると中傷が彼女を攻撃するってことで。
 しかしそーゆー選挙戦っていうのもどーなの。でもそーゆーのあるんだよなあ。選挙戦、汚い。。。

 そんなこんな。あんなこんな。結構時系列も複雑に見せてくるし、ナレーションしてる誰かが、実は最後の方で、チェイニーに心臓移植することになった哀れな男、って感じだったり。ぐにゃぐにゃと、ぬらりとした感触の映画。権力、こわい。シンプルに正義感的なものは全然通用しない感じ。
 このところ、実話ベース、っていう映画が多いけど、本当にシリアスな問題を扱いながら、でもエンタメ映画に仕上げてて、面白い。面白くて、しっかりこっちに考えさせてくるんだよなあ。アメリカよ。。。こわい。すごい。

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