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笹井宏之賞授賞式とシンポジウム「わたしたちのニューウェーブ」

 3月3日(日)、中野サンプラザで行われた、笹井宏之賞授賞式と、シンポジウム「わたしたちのニューウェーブ」を見に行きました。以下、あくまで単なる観客、一個人の主観的覚書メモです。発言とか意図を勝手に私が思い込んでいることが多分あって正確なものではないだろうなという、個人的メモです。

 書肆侃侃房の「ねむらない樹」というムック本企画かな。あんまりよく知らなくて申し訳ないのですが。書肆侃侃房は、笹井さんの歌集出したことをきっかけに、というかなんというかわかりませんが、歌集、短歌関係の出版事業に力を入れてらっしゃるところ、という感じ。
 笹井さんの名をつけたこの賞は50首、ウェブからの応募のみ、らしい。大賞ひとつと、審査員それぞれの名前での賞がありました。選ぶ側も受ける側も、どのスピーチも真摯な思いがあるんだなあと思って、面白く聞きました。皆様おめでとうございます。

 で、休憩挟んでのシンポジウム。「わたしたちのニューウェーブ」は、去年6月の名古屋で行われたニューウェーブを振り返るってイベントに続いての企画、かと思います。名古屋見に行ったよー。あの場でニューウェーブは荻原、加藤、穂村、西田の四人の活動です、と言いきっていたのが、ざわざわ、って感じだったのね。他にも同じ流れ、似た活動というか一緒にやってた歌人っているんじゃないの??? という疑問。いません、という断言がきたからなあ。

 登壇者は、東直子、水原紫苑、江戸雪(司会)。タイトルは東さんが、なんかタイトルつけろと言われたので一応つけました、というものらしい。
 レジュメにはそれぞれが選んだ10首。わたしたちのニューウェーブ、というので思った歌、とのこと。6月の時の四人の歌を入れてないのは、シンプルに、あの四人のはあの時たっぷりやったからいいでしょうという感じ。あげられているのは女性歌人の歌に限ったものではなく男性歌人もあり。江戸さんがあげてますね、大辻隆弘、大塚寅彦、山田富士郎、正岡豊。複数入ってるのが紀野恵、大滝和子、早坂類、山崎郁子あたり。

 で、まあ、話を聞けたのは面白かったですが、話していくうちに、ライトヴァ―ス(都会的とか浮遊感とかドラマ性、口語)、という大きな流れの中での自称ニューウェーブ、みたいな所なのかなあという感じ。口語や記号使っての表現を広め習熟させていく、みたいなテクニック的な所がニューウェーブの特徴だったのかなあ。そういう表現をしていた人はたくさんいて、でも僕たちニューウェーブ、って張り切って自称するのはあの四人、ってことでいいのかな~という気がした。80年代終り、90年代に、ニューウェーブ的な表現は流行ったけれども、それは流れ広がって一時代の一つの特徴、とはいえるけれども、多分ライトヴァ―スの方が大きなくくりであって、ニューウェーブは僕たち四人です、と言い切るならそれはそれでどうぞ、というくらいなのかなあと、短歌を知ったのはその時代より後である観客の私としては思いました。去年6月のイベントで言い切ったことによって、ニューウェーブって、ぼんやり流れというか広い波みたいに思っていたものが、ぎゅっと限定されて、矮小化されたような気がするなあ。
 今回登壇のみなさんも、ニューウェーブの一員に、入ろうと入らなかろうと、別にまああんまりどっちでも、みたいな感じかな、と。ただ、他にはいません、というような切り捨てられ方をした感じが、え? という感じなのかなあ、と。
 というかだいたいライトヴァ―スなんじゃないの? まあ、私はライトヴァ―スもちゃんと認識してるわけじゃないけど。

 やはりバブル期、という、景気いいねーって時代の空気みたいなのがすごくあって、伝統的しがらみみたいな所から自由に、都会でおっしゃれーでお金つかっちゃうぞ、銀行にあずけたら利子が増えて預金増えちゃうぞ、僕たちは永遠の子ども、死なないんじゃないか、老いないんじゃないか、みたいな空気があった時代、の、歌、って感じかなあ。永遠の青二才とか言われてたのは島田雅彦だっけ。
 やはり今の50代くらいのバブルな空気体験してたってのは、実際本人がお金バンバン使ってよかったわとかじゃなくても、まーその空気感みたいな中にいたことっていうのは、なんだかな~。
 と、バブルのハシゴが目前で崩れた世代である私は、憎しみを持っていて信用できないわ~と思う。

 ま、そんなこんなで。ニューウェーブとかはまあそういう時代がありましたね、という感じで今はまだ、あの頃は~という思い出話なのだろうというのがよくわかった気がする。
 当事者が現役で、当事者が30年前を振り返って、というのは。やっぱ思い出話になるしかないかねえ。あの頃若かったね、みたいな感じ。多分評価みたいなことを言うにはまだ早いのか、な。30年って随分時間がたっているような気はするけど、でも全然普通にちょっと前の若い頃、みたいな感覚なのだろうと思う。私も30年前かあ、と単にちょっと前な気分で思い出せることあるからなー。
 
 てことで、なんかニューウェーブがどうこうって結局みんなそれぞれに思う事が違うみたいだなあということがわかった、かな。そして統一見解みたいなのは出せない、出すとしたら多分あと30年先とかそういう感じなんじゃないかなあ。で、たぶん、ライトヴァースというほうが用語としては使える、気がする。記憶や記録は大事と思うけど、評価ってなかなか難しいなーと思った。時代の変化も広がりも凄く関わるものねえ。面白かったです。


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