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映画 「THE GUILTY ギルティ」

*ネタバレしています。


映画 「THE GUILTY ギルティ」


2018年、デンマーク製作。

 緊急通報指令室。日本でいうと110番かな。デンマークでは112らしい。強盗にあった、だとか、ドラッグでへろへろになってるとか、様々な通報が入る。
 アスガーはオペレーターとして淡々と通話をうける。かつては刑事としてだか警官だか、事件の現場に出ていたようだけれども、今は多分不本意な内勤。何かの事情で明日、裁判があるらしい。それを乗り切ってまた現場へ戻れる、という状況らしい。

 涙声の女性からの電話が入る。不自然な彼女の話からアスガーは事件を直感する。彼女は誘拐されている。なんとか誤魔化して緊急通報してきたのだ。出来る限りの情報を聞き出して、アスガーは彼女の保護、彼女のうちの子どもの保護を手配する。そして、何か自分にできることをやらなくては、と焦燥感にかられる。


 関係ないけど、今月デンマーク語の映画を見るのが二本目だなあ。全然わからないけど、ああ~デンマーク語ってこんな感じ~と響きを聞くのが嬉しい。

 特捜部Qを読んだりみたりしたとはいえ、やっぱりデンマークの警察ってどうなの? そんななの? とよくわからなくて不思議な気もする。オペレーターがそんなあれこれ突っ走っていけるもの?? まあ、もちろんエンタメ映画だから。アスガーの突っ走りっぷりはフィクションとは思うけど。
 相棒、ラシード(?)に勝手なお願いをして、誘拐犯と思われる男のうちに勝手に入ってなんか調べてくれ、とか。それでしゃあねえなって相棒くんも言われるがまま勝手に侵入しちゃうし。まあそうしなきゃ話が進まないってことなのか。いいのか警察。うーん。
 通報したら、電話番号から? 名前とか大まかな場所とかがすぐにわかっちゃうものなのかーと。警察ならすぐわかっちゃう方がいいのか。

 場面は、アスガーがいる緊急通報受ける部屋だけ。状況、話の進行は電話だけ。少しずつ明らかのなる事件。
 最初は、離婚した元夫、暴力沙汰で服役の前科持ちのミケルが元妻イーベンを誘拐している、家には子供だけが残されている、という状況。子どもを保護しなくては、と、アスガーは電話に出たマチルダに、弟がいるなら警察が行くまで一緒に待ってて、と言う。パパが弟のいる部屋には絶対入っちゃダメっていってた、といっても、いいから大丈夫だから、って言うの。
 あ、これは。ヤバいのでは、と見てるこっちとしては察してしまうんだけど、オリバーは殺されてたのね……。警察が保護しにいったら、マチルダ血塗れ。オリバーは死んでる、って。確認するまでもない、切り裂かれてるって。パパが入っちゃダメと念押ししてたのに、マチルダに惨状見せることになったのは、アスガーのせい……。

 ミケルに電話してやめろ、って説得を試みるアスガー。
 イーベンから再度の電話があったときに、ミケルは悪い男だ、武器を探して殴って逃げろ、と指示するアスガー。
 けれど、相棒からの電話でわかったことは、実はイーベンは精神病にかかっていたことがあって、かつて精神科に入院歴もある。ミケルはイーベンを、また病院へ連れて行こうとしているらしい。

 そしてイーベンの言葉によると、泣きわめくオリバーから蛇をとり出したら、あの子泣かなくなったわ、と。オリバーを切り裂いて殺したのはミケルではない。ミケルはむしろイーベンの妄想被害をなんとかしようと、病院へ強引に連れて行こうとしているのではないか。

 自殺しようとしながら、イーベンはまた電話をかけてくる。泣きながら、私はオリバーを殺したの? と。
 アスガーは、自分も人殺しなんだ、と必死にイーベンをひきとめる。きみのしたことは事故だ。自分は正当防衛を装って殺したんだ、という告白を彼女にして、なんとか、彼女との電話をひきのばし、引き留めようとする。
 パトカーのサイレンが聞こえて、けれど不意に途切れた電話。
 アスガーの言葉は、間に合ったらしい。彼女は無事保護されたと、わかる。

 もうさ~~~。今まさに事件進行中、な、緊張感、臨場感。アスガーがなんか勝手に電話しまくって、ミケルを刺激したりしちゃダメなんじゃないの~~?? 君は今は事件捜査する立場じゃないよ、動ける警官に任せておくれ、というドキドキハラハラ。いやまあ映画なので、そこでじゃああとは現場の刑事にお任せって話じゃないって話だけどっ。

 少しずつ事態が明らかになるたびに、ああああ、そうか、そっち? やっぱり? 思い込みはダメ、と、なんかこうアスガーの頑張ってることが裏目裏目になっていく、凄い辛い。そしてアスガー自身の問題もわかってきて、ああああ。ちょっと、それ、その同じ部屋で聞いてる同僚の気持ちとしてはけっこう、困っちゃうのでは。と、なんかもうすごいいっぱいいろんな心配がどっときて、物凄い緊張感の映画だった。90分程度のコンパクトさでぎゅっと見せられるのでよかったけど。これが2時間ものだったら無理すぎる。

 場面はひとつだけ、ほぼ一人芝居、電話でのやりとりだけ、というのは、トム・ハーディの「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」を連想した。時間も同じくらいですね。トムハの方は、日常の中の特別、がじわじわ、ぐさぐさ来るもので、これも臨場感~とかとにかくトムハを見続けるのとかとても好きなやつだけど。

 誘拐? 死んじゃうかも、っていうシリアスさは「ギルティ」が強烈なわけで、見終わってからのぐったりもなかなかのものでした。罪、というのは、イーベンの無自覚なものと、アスガーの罪、両方なんだろうなあ。辛い。渋い。見応えありありでした。

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