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映画 「ジュリアン」

*ネタバレしています。


 映画 「ジュリアン」 (2017年、フランス)


 離婚調停。アントワーヌと離婚したいミリアム。二人の子供のうち、姉はもう18歳なので対象外、だが息子ジュリアンは11歳。ジュリアンの供述が読み上げられて、あの男が怖い、会いたくないという訴えがなされるが、共同親権ということになり、ジュリアンは週末に父であるアントワーヌに会うことになる。
 離婚に納得いかないアントワーヌは、ジュリアンを問い詰め、ミリアムの電話番号や住所をつきとめようとする。
 ママはいないよ。とか、家は3階、とか、必死の嘘をつくジュリアン。ママを殴らないで、というジュリアン。それでも、子どもであるジュリアンにそれ以上なすすべはない。
 面会の時には、アントワーヌの実家へ一緒にいって、祖父母に守られるかに見えたが、キレやすいアントワーヌに祖父もまたキレる。
 ジュリアンは逃げられずに、今の住所をアントワーヌにあかすことになる。もうモメたりしない、と言ったアントワーヌだったが、ミリアムにも娘にも歓迎されないことに苛立ちはつのり、ついに深夜、銃をもってジュリアンたちの家に押しかけてくる。


 暴力ストーカー元夫であり父親であるアントワーヌ。彼が、怖いのなんの。すっごい緊迫感いっぱいで見てる間ずっと緊張してしまって、映画のあとぐったり疲れた……。
 ジュリアンに寄り添うカメラ。父との面会で、車で送り迎えされるんだけど、その車に乗らなきゃいけない。シートベルトしなくちゃいけない。怯えながらもママを守らなくちゃいけないから詰問されることに無言だったり嘘ついたりしなきゃいけないジュリアン。

 ポスターで、金髪のきれいな男の子が車のシートベルトしてて、怯え泣きそうな、でも耐える強さを奮い立たせているような、その写真に惹かれて見に行くことにした。美少年くん~ってくらいで、あんまり内容知らないままに見て、ぐったり……。
 車のシートベルトをしてくださいのアラームとか呼び鈴のブザーとか電話とか、鳴る音。小さな電子音。なんでもないはずのその音に緊迫感高まって、すっごい。責められ、追い立てられているように感じでめちゃめちゃこわい。嫌だ。


 まさに今、日本で、子どもが親の虐待で死亡したニュースが流れている。
 子供は、社会の中であまりにも無力で、大人の言う事きかなきゃいけない。どんなにあの男がこわいといってもそれが親で、親がクソである場合、子どもが逃れる術はほとんどない。
 ジュリアンはママが必死で守ってくれた。
 アントワーヌが押し入ってくるっていうあの恐怖を一緒に体験する映画で、本当に、こわい。ホラーというか。話の通じない人間こわすぎる。

 一応、アントワーヌって、俺は誰からも何処にも歓迎されない男だ、って、寂しさのあまりの苛立ち暴走みたいな感じだったけど。あんたが暴力ふるうような男だからだよ。こわい。彼の中では俺を愛してくれないお前が悪い、って、自分が被害者気分なんだよなあ。こわい。猟銃みたいなの持ち出して発砲し、ドアを壊し、警察呼ばれて捕まっても、家族に会いにきただけだ、ミリアム、やめさせてくれって元妻の名前を叫ぶ。こわい。自分が悪いとは思わない思考回路か。こわい。

 ジュリアンも、妻も、一応かつて家族だった、という感じで、かたくなになりながらも、アントワーヌがキレてないような感じの時には簡単には拒絶できない。下手に拒絶して怒らせるのが怖いってなってるってことかなあ。ほんと、暴力夫から、父から、逃げるのって難しい。こわい。

 警察が間に合って、助かって本当によかった。
 ジュリアン役の子、撮影後にちゃんとケアしてもらってるかなあ。本当に、子どもはちゃんと守られてて欲しいよ。あったかくして美味しいもの食べてね、って、願ってしまった。思ったとおり美少年だった~。あ~子供だなあというひょろっとか細い感じ、不安になっちゃうよ。すごい。名演だった。
 
 助けが必要な声をちゃんと聴くこと。子どもや弱いものを暴力から守ること。簡単なことじゃないけど、ほんとうに、子どもはちゃんと守られてほしいよ。考えなくては。

 映画館ハシゴで一日二本見ちゃった。肉体的にも疲れるし、精神的にも疲れる二本を見てしまった。やれやれ……。でも見ておいてよかった。

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