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映画 「女王陛下のお気に入り」

*ネタバレしています。


映画 「女王陛下のお気に入り」


 16日(土)に見てきました。

 18世紀のイングランド。アン王女。フランスと戦争中。病がちで孤独な女王の傍にはいつもレディ・サラがいた。幼馴染でもある彼女を頼りにし、政治決定も議会や議員の進言よりサラのいうがままのアン女王。
 アビゲイルはサラの従弟にあたる。今は没落した元貴族の娘。サラの所で働かせてくれとやってくる。最初は女中の中でいじめにあったりもしつつ、女王の足の痛みに効くハーブ薬を調合したことをきっかけに、次第に女王に接近し、サラよりもっと女王のお気に入りになろうとする。
 そして、サラを追い落とし、特別なはからいの結婚で貴族の地位を取り戻したアビゲイル。サラは国外追放。女王に仕えてもつのるのは虚しさばかりだった。


 なんだかいろんな賞にノミネートされまくり、受賞もいっぱい、って感じの本作。監督がヨルゴス・ランティモス、この人「ロブスター」「聖なる鹿殺し」と、私続けて見てるなあと、改めて思い出す。ツイッターで場面写真やトレイラーを眺めていた時から、今度はあの監督、が、王宮もの? 女王? なんかすごいゴージャス~、と楽しみにしてました。

 わかりやすいし面白かった。「ロブスター」だとかほんと、えっと、これは……と見終わって考え込むものだったけれども、今作はとてもわかりやすい。話の筋がわかるわ~。
 でもさすがというかなんというか。
 素晴らしく豪華絢爛な中、衣装も舞台もすっごいステキ綺麗、キャストも豪華、で、それなのに、なんでそういう角度で? 歪んで? そういう風に撮る??? と、奇妙に歪んたりして何これなんで??? というシーンが何度かありました。ぐにゃ~と、見てる私の脳がゆがむ。へんなの。引き込まれる癖になる感じだ~。

 英国版大奥だ! ってな宣伝文句でしたが。女王の寵愛を巡って女同士の戦い、っていう面ではほんとそうで、アビゲイルの成り上がりっぷりがすごい。エマ・ストーン、ほんっと綺麗で、でも素晴らしく凄味も迫力もあってすごい。一度没落して娼館で苦労してきたらしい中、での、肝の座りっぷり。だけどやっぱり清らかにうつくしい。女中からレディへ変化していく衣装もステキだった。

 レディ・サラを演じるのはレイチェル・ワイズ。登場の最初から、女王とため口って感じでクールビューティー。迫力ある~~~。アビゲイルを容赦なくひっぱたいたりするの~。女王とのセックスも含め、本当は女王を従わせているのよという余裕と迫力な。かっこいい。
 それがでもやっぱり女王は女王で、彼女の気持ちがアビゲイルにいっちゃったら追放なんてことに。夫は将軍だっけ。マーク・ゲイティスが演じてた。
 でも権力闘争の果てには、イングランドはもううんざりよ、と、達観している様は、やっぱり彼女が強かった、追放されても彼女の方が勝ったみたいだった。
 子孫? にウィンストン・チャーチルがいるそうで、アクの強い有能な血統って感じなのかなあ。英国の歴史をもっと私が知ってればもっと深く面白いのかも。

 アビゲイルは女王のお気に入りを勝ち取ったけれど、最後の虚しい感じはとてもよくて、宮廷の虚無みたいな感じの味わい、すごくよかった。満たされてはいない感じ。もちろん貴族に返り咲いてよかったのだろうけれど。女王のご機嫌ひとつで危うくなる身の上。いろいろ可笑しい中、お貴族様たちの醜悪な滑稽さとか虚飾みたいな感じが描かれていたなあと思う。王様って大変だ。

 アン女王を演じるのはオリビア・コールマン。気まぐれ、癇癪もちっぽい。美人ではなく弱気で病気に悩み、孤独。迫力ある女王、だけど、孤独。化粧が変にされちゃうとか、子どもを亡くして代わりにうさぎを飼ってるとか、女王の孤独が滑稽に、でも切実に見えて、すごくぐっとくる。サラがいなくちゃ無理―って頼りにしてるのに、アビゲイルとサラが私を取り合うなんてステキ、って煽るようなことしたり。戦争や税金や、なんかいろいろ女王としての職務はあって、なんとかやってるっぽいけど、なんかもう全然無理~~な感じ。孤独。
 女王の孤独って、結局誰にも癒せないんだなあ。女王という立場ってものが、シンプルな愛や友情を難しくさせる。夫は?? と思うけどその辺は歴史知ってればわかるのか。彼女を本当にただ愛しさをこめて抱きしめる人がいればいいのにね。

 ニコラス・ホルトくんだ~と思ったけど白塗りだしあのもしゃもしゃ白いカツラ被ってるしであんまりなんだかわからないw
 男たちがこの映画の中では本当に飾り物だった。うつくしくなくては、って精出すんだけどそれが白塗りでもしゃもしゃカツラで、まあ当時はそういうものだったのかという感じだけどそれも滑稽でなー。

 夜の蝋燭だけの闇だったり、屋外の白い日の光の中だったり。本当にひかりと闇もリアルに感じられた。
 何にも説明してくれない。さすが。ヨーロッパの映画って気がする。
 タイトルや、物語のようにⅠ章、Ⅱ章ってなる場面の文字、フォントとか文字配置とかも凝っててなんだかステキだったよ。
 なんだろうなあ、奥行きがとてもありそうでなさそうな、ほんと、話の筋としてはわかりやすく親切設計だけど、やっぱりなんか気まぐれ思いつきみたいな感じもあって、なんだろうな~ってやっぱり思っちゃう。キャストみんなの演技合戦素晴らしかったし、見応えたっぷりで満足した~けど、なんか、不思議だった気持ち。面白かった。


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