« 『弓なりの海』 (北野幸子/青磁社) | Main | 『リヴァーサイド』 (飯田彩乃/本阿弥書店) »

映画 「特捜部Q ―カルテ番号64―」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画 「特捜部Q ―カルテ番号64―」


 特捜部Qからアサドがもうじき移動になるという時。とあるアパートで管理人が住人不在の部屋を改めると、間取りがおかしいと気付く。あってはならないはずの壁を取り壊すと、そこには食卓を囲む三体のミイラ化した遺体があった。
 1961年、島にある女子収容所。そこでに入れられたニーデは脱走しようとしたことをとがめられ、強制不妊手術の犠牲になった。やがて、収容所は廃止になるのだが。


 そんなこんなで、原作は読んだことあるけど忘れてる、と思いつつ。
先月のシリーズ3本立てに続いて、キネカ大森で 体験ゾーン2019 出張版みたいなことらしく、張り切って見に行きました。
 優生学の信者、狂信者、って感じかなあ。医者が、誰にも言えない中絶手術にきた女の子に勝手に不妊手術してしまうという、あまりにもえがつなくむごい事件。発端は1961年の頃から、というものか。クアト・ヴァズという医者が密かに寒い一族だっけ、なんかそういう秘密組織みたいなのをつくっていて、賛同している医者とか政府や警察にも信奉者がいて、移民排斥みたいなことをやっていると。

 これ、私自分が原作の本を読んだ時の感想見直してみたけど、本の方がもっとえげつないキツイ感じがあったのかなーと思った。映画化は、本の時よりさらに数年たっている今、で、移民問題とかたぶんなんかいろいろある今、2018年(製作年)ということを描き出しているのだと思うし、原作からのアレンジもうまくやっているのだと思う。

 なんにせよ、女を、モノのように子宮というモノのように、人としての人格、思い、何もかも無視した強引で最低最悪な下劣な思考とそれに賛同し実行していく仲間がいるという、ほんっとうに酷い話で、めちゃめちゃ、キツイ。辛い。すごい辛い……。

 このシリーズ、毎度事件側での女性がいろいろタイヘンなんだけれども、女優さんが、すっごい凄まじくて素晴らしく演じて見せてくれている。今回も、凄かった。とてもあどけないほどに可愛い女の子な一面と、性に翻弄されるむごさとか、酷い目にあうとか、そしてあれから数十年、という老いた姿とか。すっごい。すごくよかった。

 で。アサドが移動になる、昇進だ、ってことで、特捜部Qにいるよりいいだろうと思っての事かどうか、カールはアサドにあまりにもそっけない。アサドは、長年一緒にやってきたのに! と、カールの態度に苛立つばかり。
 アサドがよくいく店の女の子が、中絶手術からの、本人に知らされぬままの強制不妊手術された被害者、ってことで、カッとなるアサド。移民排斥差別みたいなのには敏感だものなあ。本当に酷い。一人病院へ乗り込んでいって、殺されかける。危機一髪駆けつけるカール。で、死ぬな、ダメだ、ってなるカール~~~。こんなじゃないと素直になれない男~~っ。ああ~~。
 病院で目覚めたアサドに、やっと、ローセにきみが必要だから移動するな、っていう。そして自分にも、ってさ。も~~~。はあ。可愛かった。

 しかしほんとローセのキャラというか、扱いというか、なんかあれでいいのか、どうにもやっぱり気になる。今後の話も映画化になるのかな。どうなんだろう。んで、もし映画化していくんだったらローセについてどうするんだろうか~。
 今作のラストでは、カールがちょっと人としてまともになろうとしている感じみたいなのがあったし(カフェで女に声かけてる感じだった。恋人作ろうとしている??)アサドともちゃんと友達になろうとしている感じ、で、ちょっと一段落って感じなのかもしれない。
 でももっと映画化見たい気がするなあ。どうなんだろう。


 デンマークの、というに限らないけれども、北欧の人は背が高く美男美女だらけ、みたいなところ、ひょっとしてもしかしてかつて優生学を信じていた影響が、ってふと思ってしまったりして。いやいやフィクション小説だし。けど、もしかして、って思わせる、思えてしまいそうな、そういう人間の一面、みたいなことをちょっと思って暗澹たる気持ち……。
 ほんとキツイ事件だった。辛い。見に行ってよかった。すごいよかった。面白かった。

|

« 『弓なりの海』 (北野幸子/青磁社) | Main | 『リヴァーサイド』 (飯田彩乃/本阿弥書店) »

映画・テレビ」カテゴリの記事