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『短歌と俳句の五十番勝負』 (穂村弘×堀本裕樹/新潮社)

『短歌と俳句の五十番勝負』 (穂村弘×堀本裕樹/新潮社)


2018年4月25日刊。

 歌人と俳人がいろいろな出題者から出されたお題にそって、短歌と俳句をつくってエッセイそえて勝負、という本。雑誌連載のまとめと、語りおろし(?)対談つき。
 題詠という決まりと、短歌と俳句の読み比べができて面白かった。解説ってわけじゃないけれどもエッセイつきなので読みやすいし。
 この本をテキストに読書会というか、読み合ってどーのこーのいう会に二回参加しました。こっちが勝ち~とか、このお題は難しいとか言い合って楽しかった。俳句の方たちとお話できてよかった。

 お題の出題者がけっこう個性的で、その人らしいなーという題が出たり、なんか、えろいお題をなんとかこなす、みたいなお二人の作品作りのご苦労を思ったりするのも面白い。
 エッセイでの、歌づくりの苦心とか、別に関係なく思い出話みたいなのも読めて、いきなり歌集とか句集を読むのはちょっと、と思う人でも読みやすく、というものなんだろうなあ。

あとがき対談、すごく読み応えあってよかった。歌とか俳句つくる工夫というか苦労というかの話。題詠は思いがけないことにとりくむことになるから大変だなあ。
面白かった。


いくつか、好きな歌や俳句。

題「まぶた」 左目に震える蝶を飼っている飛び立ちそうな夜のまぶたよ  穂村弘 (p30)

これ一番好きだった。うつくしい。すごく姿が決まってるなあと思う。きれい。


題「黒」 点描の黒猫の目の夜寒かな  堀本裕樹 (p67)

俳句ではこれが一番好きだった。点描という細やかさ、それが黒猫、で、その目にぐっと焦点がいって、夜寒、というのが決まってると思う。かっこいい。


題「誕生日」 垂直に壁を登ってゆく蛇を見ていた熱のある誕生日  穂村弘 (p126)

これ歌集にも入ってた。熱がある、というふわふわした身体感覚、それが誕生日っていうほんとうなら特別ないい日であるはずの日であること。そこで見た、蛇。垂直に壁を登っている、という、不思議な感じ。朦朧とした夢のような、けれどげんじつでもありそうな、ひかれる歌。


題「着る」 濡れ衣を着せられしまま秋の蜘蛛  堀本裕樹 (p155)

何の濡れ衣をきせられちゃったんだろう。蜘蛛って不気味、みたいな所と、しんと寂しい感じの秋の気配と。濡れ衣、と言う湿り気と冷たさがよく響いていると思う。好き。


題「瀬戸内海」 蝶生れて瀬戸内海の綺羅となる  堀本裕樹 (p183)

私は瀬戸内海地方というかまあ愛媛松山出身なので、瀬戸内の海の穏やかな波がこまやかにきらきらとしている景色を思い浮かべる。そこに生れし蝶、とは、幻のようなものだと思う。綺麗。

五十番勝負ってことでなのかなんなのか、著者のお二人が忍者のコスプレ? とかしてたりして、いろいろサービスしてくれている一冊でした。

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