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 映画 「ミスター・ガラス」

*ネタバレしてます。


 映画 「ミスター・ガラス」


 かつて列車事故から一人だけ生き残った男、ダンは不死身であるという特性を持ち、悪人には触れたらわかる能力をもって密かに街の悪人を罰していた。
 いくつもの人格をもつケヴィンはまた生贄を誘拐監禁している。ケヴィンを見つけたダンが対決しようとしていた時、警官に取り囲まれ、二人とも拘束、精神病院に監禁される。
 そこには、かつてダンに、ヒーローには悪役が必要だ、と語った自称ミスター・ガラスも拘束されていた。
 自分がヒーローだと思い込む精神病理を研究しているという医師ステイプルは、三人に自分が超人的だというのは単なる思い込みだと気付かせようとする。その思い込みにはきっかけがあったのでは? 辛い経験からの逃避なのでは?
 逃走を図り、コミックブックのヒーロー対決のように、決着をつけようとするミスター・ガラス。自分たちは超人なのか。


 「アンブレイカブル」と「スプリット」と三部作のシャマラン監督のヒーローもの、ってことで。「スプリット」を見に行った時には、「アンブレイカブル」を見てなくて、最後にブルース・ウィリスが出てきて、何??? と思ったものでした。その後テレビでやってたのを見て、一応話は把握。で、「スプリット」の後に、実は三部作です! なんだってー!? というびっくりがあったのだった。
 「スプリット」はまあ単独で見ても最後以外は大丈夫だと思ったけれども、今作は、前二つを見ていないとよくわからないものだろうなあと私は思った。しかし「アンブレイカブル」は2000年公開なんですよね。19年を経ての三部作、息子は子役くんが育ったまんまなんだろうか。いや~そんな構想ある?ってまずびっくりした。

 で、今回は、前作で超人だと描いてきた彼らを、本当は違うのでは? 妄想よ、と治療しようとするわけで。見ているこちらも、んんん?? ってなる。
 けれども、シャマラン監督だからな~~って思うので、そうはいっても騙されないぞ? とか、いややっぱ違うってことでアンチヒーロー的な??? って見ながら翻弄される。ステイプルに惑わされる三人まんまな気分を味わって面白かった。
 けれどやはりさらにどんでん返しのどんでん返し~~。

 タイトル、「ミスター・ガラス」なわけで、まんまと脱走成功する黒幕、で、ニューオープンのタワービルで対決だ、ヒーローものらしくな、ってことで、おお? ダイ・ハード的なことになるんですかー? と含みもたせておいて。そこには行かないーーっ。
 結局病院の敷地内庭先で、こじんまりと決着ついたか、と。医者が実は謎の組織~~っ。って、そっかーそういう感じ、と、思ったらまだ、やっぱりミスター・ガラスが上手だった!という。ミスター・ガラス、ヴィランを装っていながら、これ、まんまヒーローの名前がタイトルになってる、スーパーマンみたいなことだったのね。
 ヒーローといってもダークヒーローというか。ミスター・ガラス、ダンとケヴィンの超人性を引き出すために一般人殺しまくりだったりなわけで、やはりヒーローではない……。

 自分が超人的能力があると思いこむなんて馬鹿げてる、と封じ込めにくる謎の組織。これってヒーローものっぽくしつつ、可能性の物語なのかなと思う。自分に力があると、信じられるかどうか。そんなの馬鹿げてるという理解ない他人の声に惑わされるな、ということか。
 そして、彼ら超人がいる、と目にした世界からは、さらにヒーローが、自分の力を自分で認めることができるヒーローが、超人たちの目覚めが始まるのかなあ。
 彼ら三人は殺されてしまったけれど。

 殺されてしまったけれど、ケヴィンは、ケイシーと心を通わせることができて、自分になれた。ミスター・ガラスはママに自分の価値があったよ、って言えた。ダンは、えーと、どうだっけ。ダンは、息子に自分は本当に超人だって見せられたのがよかったのかな。それぞれに、ただ不幸な結末ではない感じがあって、ちょっと、救いかなあ。そして彼らの姿が世界を変えるきっかけになるかもしれないという未来への希望かなあ。

 ジェームズ・マカヴォイが「スプリット」につづいて24の人格があるキャラを熱演! ほんっとに、すごい、人格交代されてるように演技力だけで見せるのすごい。エンドロールの時に、その人格キャラの役名がそこそこずらっと出てて、キャスト名マカヴォイ一人で、ふふって思っちゃった。

 ともあれ、三部作見られてよかった。よくこんなに展開させられるなあって感心しました。

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