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映画 「マイ・サンシャイン」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画 「マイ・サンシャイン」

 
 これも昨日19日(水)に見てきた。

 1992年、ロサンゼルス暴動。その、数週間前からのお話。
 ミリーの家には沢山の子供たちがいる。家庭に事情があって行き場のない子を預かり育てている。どんな子も放っておけない愛情深いミリー。ケーキを焼く仕事をしているけれども、育児に追われまくりでお金にも苦労している。
 子供たちの中でビッグブラザーであるジェシーは母を手伝って下の子たちの世話をするけれど、本人だってまだ学生。10代だよね? 中学生くらいか。
 黒人の女の子が店で万引きと間違えられて撃たれ殺された。無抵抗になっているのに白人警官に囲まれて殴られ続けたロドニー・キング。街には黒人たちの怒りが渦巻き、白人警官は警戒し、誰もが苛立ち、不穏な空気が満ちている。
 そんな中、変わらず子供たちを愛し守ろうとするミリー。
 隣人のオビーはキレやすい嫌なおっさんのようでもあるが、ミリーに叱られて家から閉め出された子どもたち3人をかくまって一緒に遊んでやったりもした、実は悪い人じゃないんだなって人物。ミリーとお互い文句いいつつも、ちょっと仲よくなった。
 街でついに暴動が起き始めた日、学校にいってないというジェシーを探すミリー。
 ジェシーはニコールという威勢のいい、家出中らしい女の子をかくまっていて、彼女が別の男になびいていくのに傷ついて、彷徨っていた。

 1992年か。このニュースなんかを見てた記憶はあるし、差別問題のこともなんとなくは知っているつもり。それでも、映画の中でも実際登場人物たちがすぐにかっとなるとか、兆発しまくるとかのシーンを見ると、ああ~なんでそういうことするの~、と思ってしまう。もっと、落ち着いて。もっと冷静に。もっと話し合えば。って思う。
 でも落ち着いて冷静に、話をすることなんてなく一方的に殴られ続けるような日々があってのことなんだよなあ。裁判で冷静な正義の裁きがあるはずと思っていたのに、無罪判決とか嘘だろってことなんだよね。

 街で暴動が始まって、テレビ見て無邪気に店から盗む行動に加わっちゃう子どもたち。そうなっちゃうか、という気持ち。そうなっちゃダメだ、という気持ち。あんな風な喧騒の中に巻き込まれて、まともでいるとかまともとか正義とか、何だよ!?? という気持ち。わからなくなりそうだし流されるかもしれないし、だけど暴力の暴発とか本当に怖い。すごく辛い気持ちになる映画だった。

 そんな時に比較的まとも、な感じのオビーがいてささやかな救いになってくれてよかった。ダニエル・クレイグが普通のおっさんであるということ。街灯に繋がれてしまった手錠をなんとかすることがなかなかできないダニクレ。全然ボンド的にかっこよくないダニクレ。でも頑張ってなんとかしてくれるダニクレ。大丈夫、って安心させようとしてくれるダニクレ。出番はほどほどだったけど、隣人にダニクレって最高だな~~。美味しいキャラだった。
 
 ダニクレとハル・ベリーという、ボンドとボンドガールというサービスなのかなんなのか、ミリーの夢としてラブシーン?があって、急に裸の男が天井からおりてくる感じっつーかなんつーか、何あれ? 笑ってしまった。まあ、ん~、いつもパワフルママとしてがんばってるミリーも女なんです、ってこと??? まあ。いいけどさー。

 ジェシーは暴力の熱気にあてられたのか、暴動に行こうとするウィリアムを刺してしまう。ジェラシーもあって、ってことなんだろう。ニコールと止めようとしてたのに。つい、みたいな。こういうのが怖い……暴力がむき出しになってる所に巻き込まれたら、自分の理性とか簡単に混乱しそう。
 助けを、病院を求めて彷徨うまだ子どもなジェシーやニコールの不安で苦しい夜の描写が本当に辛かった。

 1992年。
 26年前か。あれから、少しは社会はよい方に変った、だろうか。よくなってると信じたい。よりよい社会に、進めると願う。何もかもがすっかりめでたしめでたしって解決する映画じゃなかった。あの夜の一コマ、という映画だった。忘れないで、ずっと考えて、もっと知って、いきたい。


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