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ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「ジュリアス・シーザー」

*ネタバレ、結末まで触れています。


ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「ジュリアス・シーザー」


 イギリス、ブリッジ・シアターで上映されたシェイクスピア悲劇。
 昨日、5日に見に行きました。正直シェイクスピアについて詳しくもなく、ブルータス、お前もか、ってセリフは知ってる気がするけど、この舞台の他の上演を見たことあるでもなく、本も読んでない。と、無知な状態で、ベン・ウィショー目当て~ってふら~っと行きました。

 しかし、何も知らなくてもわかる、この、舞台とアリーナ席?だかなんだか、観客が舞台まんま地続きで立ったまま右往左往させられてローマ市民、群衆扱いで舞台の中の人になるこの感じ、凄いんじゃないのー、という感じ。場面展開で舞台がせり上がったり下りたりして、あれどうなってんだか。凄いな。
 キャストにかぶりつき、なんなら一緒にいる中で演じられていく、シーザー暗殺劇。これは生観劇した人がめちゃめちゃ羨ましいやつ~。
 ナマの舞台を映像で見るってやっぱちょっと違うし、ちょっと遠くでしかやってないし、夜一回だけだし、見たいけどどうしようかなあと迷っていたけれども、見に行ってよかった。スクリーン越しでもめっちゃめちゃ圧倒されまくってきました。凄いわ。何なんだあれ。


 始まりはロックフェスのように。バンド演奏しているのを飲み物片手にとか自由に見ている観客。最初は、あの舞台?あのあたりにいるみんな、何? これも出演者? 客? 何だろう何がどう始まるんだろうと不思議に眺めていた。ナショナル・ライブ・シアター作ってるスタッフ?アナウンサー? な、人が、これから始まりますどうぞよろしく、みたいにマイク持ってカメラに向かって言ったりして、ますます、何が始まるんだろう??? と不思議だった。
 ビジュアルは完全に現代。今。その辺の人々。ジュリアス・シーザーが凱旋するぞ~という始まりらしい。後でアメリカの大統領選挙で楽しく集会していたりするイメージ、って感想見かけて、あ~なるほどと思った。
シーザーが出てきても、ん?大リーグの監督かな? って風情でジャンパーとか着ている。アントニーも。ブルータス、ベン・ウィショーくんもいる~。グレイのツイードのコート、マフラーって、普通のオシャレなスタイル。
 やあやあ、って群衆、観客に手を振るシーザーたち。

 しかし実際メインキャストが舞台に上がって喋りだすと、物凄かった。セリフの圧が凄い。劇場の空気がぎゅっとなる。お~なんだ~?ってぼんやり見ていた私の脳もがっと掴まれた感じ。声。佇まい。感情の凝縮、ぶつけ合い、高まる緊張感の波のようなリズム。すっごい。
 ステージ、客席、と別れている舞台じゃないから、観客の只中に上がる舞台で、全方向から見られてる中で、ビジュアルもすっかり今の世界と地続きの中で、しかしシェイクスピアのジュリアス・シーザーが演じられているんだ、ってひしひしと伝わってくる。何で。何だろうこれ? この圧倒的なパワー。すっごい。

 シーザーの横暴に我慢ならない、と、キャシアスがブルータスをたきつけて事を起こそうとするんだけど、何だよ~キャシアスお前がやれよもう~っとか思う。けどブルータスも真面目にローマ市民のために、とかって心を決める。
 この辺の感じって、歴史を私がもっとわかってたらいいんだけども、えーとー、シーザーってなんかそんな暴君だっけ、まあ、まあいっか、そうなんだな、と、そのまま飲み込む。やっぱ本を読もうと思う。
 キャスト、キャシアスとか仲間になる人とか、女性キャストと男性キャストと半々って感じ(人種もいろいろって感じ)だったけれども、多分元々はブルータスの妻以外は男ばっかなんじゃない、かな。たぶん、だよね。女性キャストだからどうこうって感じは全然なくて、そういう人物なんだということになんの違和感もない。どうなんだろう、これまでの感じを知ってたら違う風に見えるんだろうか。わからないけど。

 ブルータス、お前もか、の殺害場面とか、その後の演説、さらにアントニーの演説、ぞくぞくわくわくですっごい面白かった。最高だ……。
 そして戦い。追いつめられて、死んでいく人々。そんな~諦めるなよ~とも思うけど、あー死んじゃうよね君たち死んじゃうよね、という感じもすごい、いい。

 緊迫の中、笑いのあるシーンもあったりして、その感じもすごいなあ。ブルータスの従者、ルーシウスだっけなんか、彼がいろいろ無茶ぶりされてたり、オトボケキャラだったりで可愛かった。

 そしてブルータスたちは破れ、新時代になる、のか。
 演劇ならでは。今死んだキャストが並んで深々とお辞儀、で挨拶。はー。すっごい面白かった。すっごいよかった。見に行けてよかった。めちゃめちゃかっこよかった。ウィショーくんの印象ってわりとふんわり優しくソフトに喋るって感じなんだけど、舞台に立つとあんなにも凄くてあんなにも迫力あって、声、パワー、佇まい、ほんっと素晴らしい。シャツを腕まくりして血まみれの手になってたり、もう~~~っ……最高でした。大満足。見せてくれてありがとう。見に行けてよかった。ありがとう~~っ。

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