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映画 「テルマ」

*ネタバレ、結末まで触れています。


映画 「テルマ」


 凍った湖の上を歩く親子。小さな娘と父親。氷の下で泳ぐ魚。やがて森の中で鹿を見つけ、父親はライフルを構える。鹿を狙い、だが次に狙ったのは自分の少し前にいる娘の頭だった。緊張の一瞬の後、だが銃を撃つことはなく、鹿も逃げ出す。
 女の子の名前はテルマ。大学生になり、都会でひとり暮らしを始める。だが母からは毎日電話がかかってきて、様子を確認される。
 なかなか友達が出来なかったテルマ。図書館で癲癇のような発作が起きる。原因は不明。その時居合わせたアンニャという同級生と親しくなっていく。そして次第にテルマはアンニャに恋をして、その自分の思いに戸惑い傷つく。

 ノルウェーの映画ってことでいいのかな。ホラー、といわれてて、怖いの嫌だ、と思ってたけど、でもこれは死霊がどうこう的なものではなく、超能力というか、んーと、テルマの周りで不思議なことが起き始めるとか、力が目覚めるとか、そういう感じ。あまりびっくりさせられるような怖さはない。
 じわじわと幻想の中に引きこまれるようで、女の子二人の恋がうつくしくて、でも痛々しくて、思春期の女の子だなあという感じがひりひりと伝わってくる。

 テルマの育った家庭は厳格なキリスト教徒だそうで、お酒はダメとか同性愛を罪と思っている感じとか、テルマが自分で自分を追い込むような辛さも多々。水とか炎とか、多分キリスト教的モチーフがある、のだろう、と、思うけど、その辺に関して私はわからないので、なんとなくそういうのあるのかもなあと思う感じ。ないのかもしれない。
 水が、本当に冷たく寒そうで、何度も水に落ちて苦しい。恐怖。

 テルマは幼少期のことを覚えていない。でも明らかになってくると、赤ちゃんである弟を邪魔、と、おそらく感じたのであろう小さなテルマは、消してしまう。はっきりとした自覚はないままに、消して、殺してしまう。
 その、目覚めてはならない力を封じるように、医者である父は強すぎる薬を使った。なんだろうな、精神安定剤みたいな感じなんだろうか。よくわかんないんだけど。
 で、癲癇の発作らしきものは心因性であろう、遺伝かも、みたいなこともあって、死んだと聞かされていた祖母が実は生きていて、祖母もまた痴呆というよりは薬で意識を抑えられているような感じみたい。
 祖母も魔女だったのかな。
 テルマの力、は、父によると、何かを強く強く願うと、その願いを叶えてしまう力、だという。邪魔な人間を消す、というようなことも。
 アンニャとの恋、気持ちを消したい、と強く願ってしまったテルマは、アンニャを消してしまった、と思い、家へ帰る。
 そこで、父にまた薬を与えられるテルマ。でも彼女は父を燃やして消し、家を離れて大学へ戻る。そこにはアンニャの姿があり、二人は仲良く歩き出す。

 って感じで、なんとなく、テルマにとっては自立してハッピーみたいな感じに思えるような終りなんだけれども、でも、何がどこまで本当なのか、幻想のうつくしさの中にのみこまれて冷たい気持ちで見終わった。

 強く願ったら、叶えてしまう力。
 友達が欲しい。アンニャと仲良くなりたい。アンニャが側にいて欲しい。恋、かもしれない。そのテルマの願いがかなってしまう力、で、アンニャの心の本心っていうのは、アンニャの気持ちなんて捻じ曲げられてしまったのでは。それは本当に二人の恋、なのか。テルマだけの思いの押しつけなのでは。
 そう、思ってしまったら、どんな恋も、愛も、ただただ恐ろしい孤独と絶望のような気がしてとてもこわい。力のせいで得た恋なのか、どうか。それはわからないのでは。ただ、恋がかなったと信じて喜びを得る、ことが、できるのか。
 
 赤ちゃんであった弟を失った母が自殺を図ったのか、飛び降りて怪我して足が動かなくなって車いす生活だったのだけど。テルマが家を出る時に、母の足を治して出ていった。母のことは殺さないのか~。動かなくなった足を治せる。それは天使の力のようでもある。
 強い願いの力。
 天使の力なのか、悪魔、魔女の力なのか。テルマの力の使い方次第、かなあ。

 テルマを演じている女優、エイリ・ハーボー。とても綺麗だった。清らかさのままに力を持っている感じ、すごくうつくしかった。
 ホラーで怖かったらこわい、と思って見るかどうか迷ったけれども、大丈夫だった。見に行っておいてよかった。

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