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『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ/早川書房)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『鋼鉄都市』(アイザック・アシモフ/早川書房)


 これは今日読み終わり。
 刑事とロボット、ハンサムなアンドロイド?のバディもの、とかいう感じの煽りがツイッターに流れてきて、それにまんまとつられて読んでみた。「世界SF全集 14」という1978年の本で。この小説が出たのは1954年らしい。64年前か? すごい。
 アシモフ、有名だよねーと思うものの、私は多分読んできてない気がする。ロボット三原則なんかは勿論きいたことはある。

 1.ロボットは人間に危害を加えてはならない。
 2.ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。
 3.ロボットは第一条、第二条に反するおそれのない限り自己を守らなければならない。

 ざっくりとこういうやつですね。この小説の中でもこの原則を守っているのかどうか、ロボット、っつてもほぼ人間と見分けがつかないほどの、アンドロイド? ヒューマノイド? そういうタイプと人間との、付き合いってできるのかどうか、という所が突き詰められていく。
 まだこの頃ってアンドロイドって言わないのかな。ロボットだったな。R(アール)と呼んでる世界。
 地球から宇宙へ移民していって、宇宙でそれなりに繁栄して地球へまた戻ってきた人類を宇宙人と言ってる世界。地球にも人間型のロボットはいて、それに仕事奪われる、みたいな嫌悪とか不気味の谷的嫌悪とかあるような世界。宇宙人のテクノロジーの方が進んでる感じで、人間と見分けがつかないタイプのロボット、R・ダニール・オリヴァーが宇宙人を代表して、地球人のベイリとコンビになって、宇宙人の博士が殺された事件の捜査をすることになる。

 ミステリかな?って思ったけれども、それよりはSF色の方が強いか。ロボットのダニールをベイリが(イライジャとかライジとか呼ばれてて紛らわしい……イライジャ・ベイリがフルネーム。地の文ではベイリ。上司で友達の警視総監からはライジと呼ばれ、ロボットからは丁寧にパートナー、イライジャと呼ばれてる)嫌悪したり犯人扱いしたり、でも段々対等に思うようになっていく。その途中で、地球の事とか宇宙人の世界の事ととか、行き詰まりそうな地球のドームの世界からもう一度宇宙へ飛び出さねばならないみたいな、社会問題とか哲学とか語られていく話。
 
 一緒に食事を出来るのか、とか。家につれていくと妻が怯えるとか、息子がいるのに近づけたくないとか。ベイリはちょっと頑固でちょっと頑なで、でもちゃんと柔軟性のある思考が出来る優秀な刑事。ダニールは人間と見た目はほとんど同じ。けど人間と実際に接するのは不慣れで、生真面目な感じがちょっと面白い。見た目はハンサムらしいので妄想は楽しい。
 事件の捜査はなんとなくな感じだったかなあ。まあでも推理はいろいろしてて、その感じも結構面白かった。

 パソコンって感じの世界ではなくて、電子計算機的な感じ。んでも64年も昔なわけで、まーそうですよねと思う。高速路で移動とか、ちょっと不思議なレトロフューチャーな感じ。んでも宇宙へ移民ってテクノロジーな世界でもある。しかし宇宙と地球と分断されてて、地球は人口爆発中で都市はドームの中で、自然とか隔絶してて、イースト菌が大事でなんか、食糧難をいろいろ合成食品でなんとか賄ってる感じとか、あ~こういう感じ~ディストピアみたいな? 世界観が面白くて、こういうのがSFのベースなんだなあと思う。
 で、これ、2020年くらいの時代設定みたいなんだよねえ。ベイリの妻との出会いが2002年で、それから結婚18年目、ってことなので。今じゃーん。そうかそうだよなあ。2000年代ってすごく未来って感じだったものなあ。でももう違うんだよなあ。

 結局、宇宙へもう一度新天地を求めていくべきだ、という方向へ社会を向けようって感じで、そのためにベイリは観察されていたとか。殺人事件そのものは、計画的なものではなく、警視総監がつい、はずみで、って感じ。懐古趣味が悪、悪というか、引き籠りになってくのはダメってことですね。過去を懐かしんでも駄目だ、という未来志向。
 
 続編があるようなので、読んでみるか。ベイリとダニールが仲良くなってよかったね、という続きかなあ。どうなってるんだろう。楽しみ。

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