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『スパイたちの遺産』(ジョン・ル/早川書房)

*ネタバレ、結末まで触れています。


『スパイたちの遺産』(ジョン・ル・カレ/早川書房)


 今はフランスで引退生活をしているピーター・ギラム。ある日、呼び出しを受けた。かつての職場、英国の秘密情報部からの手紙。

 てことで、今になって、新刊(出たのは去年だけど。2017年11月刊)しかもギラムさんが主役!? って買ってドキドキしてて、ゆっくりじっくり読もう、と置いてたのをようやく読みました。
 老人になってるギラムさんか~。補聴器をつけてたりするよ。老人なのかあ。スマイリーは? と読み進める。スマイリーがほんっと最後の最後まで出てこないの。じらされる。死んでるのかと思ったけど生きてたわ。

 過去の作戦、<ウィンドフォール>で命を落としたスパイ、の、遺族が訴えるという。その作戦とはどういうものだったのか。何故失敗したのか。ギラムは弁護士たちに話を聞き出されるが、極めて限られたものしか知らない極秘作戦のことを、今もどの程度話すべきか、隠すべきか、悩んだ。

 基本的に「わたし」ギラムさんが語り手というか手記、ってスタイルだね。その過去の作戦の頃のギラムさんたちの回想と記録、弁護士たちの追求。次第に明らかになってくる<ウィンドフォール>。
 と、読み進めながら、あれ、これって『寒い国から帰ってきたスパイ』なんじゃないかな? と思う。読んだことはある。けど、名前とか詳細はもう覚えてないなあ。訳者あとがきを読むとやっぱり『寒い国から帰ってきたスパイ』のことなんだな。あー。
 
 すごく、はるばるした気持ちになる。
 私はル・カレ読んで日は浅くて、2012年か、映画の「裏切りのサーカス」を最初見て、あんまりよくわからなくて、でもすっごい好きではあって、それから本を順に一通り読んで、二回目見に行って、感激感動、そしてその後もいくつか作品読んで、という感じ。まだ全部読破しているわけではない。けれど、ギラムさんや特にスマイリーには、彼の半生に付き合ったような気分でいる。

 そして今、新刊が出るのか、と感慨深く、それがこういう、過去の作戦を別角度から描くという、こんな話になるのかと。コントロールやビル・ヘイドンたちもいた頃だよ。そして、ジム・ブリトーが今も、いるよ。学校の先生やってるよ。偏屈な先生を。ジム、生きてる。それだけで泣いちゃう。
そしてスマイリー。最後の最後に登場のスマイリー。生きてた。相変わらず穏やかで、紳士的で。ギラムとの再会を懐かしんで。そして静かに怒る。
 ギラムさんがあんなに極秘をどうするかって悩んでたのに、スマイリーはあっさり資料全部出すっていうんだよねえ。嗚呼。スマイリーかっこいい。

 この頃の翻訳は随分読みやすくわかり易くなってるなあと思うのだけれども、これも随分読みやすいなと思ったけれど、やっぱり、地味、地道で、終盤までは、なんだろうなんなんだろうとわからなくて、心がしーんとして。でもやっぱり読み終わるとじわっと目の奥に涙が熱い、という感じ。別に泣かせる感じではないのにね。でもやっぱ、うるっとくる。実際泣くまでには至らないほどの、じわじわと、沁みてくる感じ。好き。

 スマイリーは、ギラムさんは、ほんっとに作者に愛されてるキャラなんだなあ。スマイリーは作者の投影が大きいんだっけ。ル・カレの回想録『地下道の鳩』、買ってるけどこれも読みかけだ。読もう。ル・カレ伝も出るんじゃなかったっけ。どうしよう。それは、うーん、それはちょっと読むかどうかわからないけど。
 でもそれよりまずは『寒い国から帰ってきたスパイ』をもう一回読もう。
 ほんと、まんまと、ル・カレに惑わされる感じ。ほんと好き。読もう。

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